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第一章 高校一年生(二学期)

しんいり(瑠衣)

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「新入りの朔良です。よろしくお願いします」
「え、えっと……美久里です。よ、よろしくお願いします……」

 礼儀よく深々と下げる朔良と、たどたどしく頭を下げる美久里。
 そんな二人を見て、瑠衣は興奮を抑えられなかった。

「二人とも可愛いにゃ~!!」
「おわっ!」
「ひゃわっ!」

 我慢出来なくなった瑠衣は、叫び出して二人に抱きついた。
 瑠衣はスキンシップ旺盛で、すぐに身体を密着させる。
 朔良よりもディープな抱きつき魔なのである。

「ふんふん……二人ともいい匂いがするにゃあ……」

 おまけに女の子が大好きで、匂いフェチ。
 変態のような怪しい匂いしかしない。

「お前……ほんと相変わらずだな……」
「へっ!? に、匂いってなに……!?」

 朔良は呆れ気味にされるがままになっていて。
 美久里は腕を鼻につけて、自分の匂いを確認している。

 その状況を作り出した張本人はというと。
 未だに二人から離れず、二人の匂いを堪能している。
 それに見兼ねた部員が口を挟む。

「ね、ねぇ……そろそろ瑠衣ちゃんのからも自己紹介しないと……」
「はっ! そうだったにゃん!」

 部員の言葉で我に返り、瑠衣はバッと飛び退く。
 そして、息を整えながら自己紹介をする。

「お久しぶりとはじめまして。瑠衣って呼んでほしいにゃ」

 瑠衣はそう言い、手を差し出す。

「よろしくにゃ」

 どこか演技がかった笑顔を向けられ、美久里は困ったような顔になる。
 人見知りを発揮しているのか、なかなか手を出せない。
 だが、朔良の方を一瞥すると。

「大丈夫」

 毅然とした様子で言ったので、おずおずと手を出した。
 拙いながらも、端的に応える。

「よ、よろしく……」

 緊張しながら、ふにゃりとした柔らかい笑みを浮かべる。
 すると、当然のごとくまた瑠衣が抱きついた。
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