3 / 239
第一章 高校一年生(一学期)
せいり(美久里)
しおりを挟む
――まずい、ことになった。
今日から約一週間、血祭りウィークが始まる。
にも関わらず、それに必要な道具を忘れて学校に来てしまった。
(どうしよう……誰かに借りないと……でも……)
――そう。コミュ障な美久里にとって、誰かに物を借りることは結構ハードルが高い。
だが、その時。
「おはよー。今日も早いな。いつも何時ぐらいに学校来てんの?」
救世主が現れた!
今日はいつものポニテ姿ではなく、髪をおろしている。
「さ、朔良……っ! あ、あの……」
美久里は目を輝かせ、朔良に駆け寄る。
――が、突然美久里のお腹に強烈な痛みが奔った。
「ぐっ……!」
締め付けられるような痛みに耐えられなかったのか、その場にうずくまる。
突然の出来事に驚いたのは、美久里だけではない。
「お、おい。美久里……? 大丈夫か!?」
朔良は美久里の元に駆け寄り、美久里の身体をゆする。
そんな朔良に、美久里は息絶えだえに言う。
「だ、大丈夫……ただの……生理痛……だから……」
「いや、大丈夫じゃねーだろ。お前薬は? 痛み止め持ってるか?」
「い、一応は……」
「どこにある? とってやるからちゃんと飲めよ?」
朔良は立ち上がり、美久里のカバンの中を漁る。
……と、そこには。
「……す、すげぇ……」
たくさんの『魔法少女になれたなら』の関連グッズが入っていたのだ。
アクキーや缶バッジ、同人誌やクリアファイルなどなど。
美久里がいかに『まほなれ』の大ファンなのかがよくわかる。
「――はっ! そんなことより薬……!」
つい『まほなれ』グッズに惹き付けられてしまっていた朔良だったが、なんとか正気に戻ることができた。
そして、ふちの方にしまわれていたピンク色のポーチから薬を取り出す。
「ほら、飲めるか?」
「……ん……」
もう、意識を保つのが限界にきていた美久里。
そんな美久里は、朔良にもたれかかるように倒れ、意識を手放した。
今日から約一週間、血祭りウィークが始まる。
にも関わらず、それに必要な道具を忘れて学校に来てしまった。
(どうしよう……誰かに借りないと……でも……)
――そう。コミュ障な美久里にとって、誰かに物を借りることは結構ハードルが高い。
だが、その時。
「おはよー。今日も早いな。いつも何時ぐらいに学校来てんの?」
救世主が現れた!
今日はいつものポニテ姿ではなく、髪をおろしている。
「さ、朔良……っ! あ、あの……」
美久里は目を輝かせ、朔良に駆け寄る。
――が、突然美久里のお腹に強烈な痛みが奔った。
「ぐっ……!」
締め付けられるような痛みに耐えられなかったのか、その場にうずくまる。
突然の出来事に驚いたのは、美久里だけではない。
「お、おい。美久里……? 大丈夫か!?」
朔良は美久里の元に駆け寄り、美久里の身体をゆする。
そんな朔良に、美久里は息絶えだえに言う。
「だ、大丈夫……ただの……生理痛……だから……」
「いや、大丈夫じゃねーだろ。お前薬は? 痛み止め持ってるか?」
「い、一応は……」
「どこにある? とってやるからちゃんと飲めよ?」
朔良は立ち上がり、美久里のカバンの中を漁る。
……と、そこには。
「……す、すげぇ……」
たくさんの『魔法少女になれたなら』の関連グッズが入っていたのだ。
アクキーや缶バッジ、同人誌やクリアファイルなどなど。
美久里がいかに『まほなれ』の大ファンなのかがよくわかる。
「――はっ! そんなことより薬……!」
つい『まほなれ』グッズに惹き付けられてしまっていた朔良だったが、なんとか正気に戻ることができた。
そして、ふちの方にしまわれていたピンク色のポーチから薬を取り出す。
「ほら、飲めるか?」
「……ん……」
もう、意識を保つのが限界にきていた美久里。
そんな美久里は、朔良にもたれかかるように倒れ、意識を手放した。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
ばじゅてんっ!〜馬術部の天使と不思議な聖女〜【完結済み】
M・A・J・O
キャラ文芸
馬が好きな女子高生、高宮沙織(たかみやさおり)は伝統のある星花女子学園に通っている。
そこは特段、馬術で有名な学校……とかではないのだが、馬術部の先生が優しくて気に入っている。
どこかの誰かとは大違いなほどに――
馬術の才能がある沙織は一年生にもかかわらず、少人数の馬術部員の中で成績がずば抜けていた。
そんな中、沙織はある人が気になっていた。
その人は沙織の一つ先輩である、渡島嫩(おしまふたば)。
彼女は心優しく、誰にでも尽くしてしまうちょっと変わった先輩だ。
「なんであんなに優しいのに、それが怖いんだろう……」
沙織はのちに、彼女が誰にでも優しい理由を知っていくこととなる……
・表紙絵はくめゆる様(@kumeyuru)より。
私の隣は、心が見えない男の子
舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。
隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。
二人はこの春から、同じクラスの高校生。
一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。
きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。
アナタはイケメン達に囲まれた生活を望みますか? ▶はい いいえ
山法師
青春
私立紅蘭(こうらん)高校二年生の如月結華(きさらぎゆいか)。その結華の親友二人に、最近恋人が出来たらしい。恋人が出来たのは喜ばしいと思う。だが自分は、恋人──彼氏どころか、小中高とここまでずっと、恋愛といったものとは縁遠い生活を送っている。悲しい。そんなことを思っていた結華は、家の近所に恋愛成就の神社があることを思い出す。どうせ何もならないだろうと思いながらも、結華はそこにお参りをして、彼氏が欲しいと願った。そして、奇妙な夢を見る。
結華は、起きても鮮明に覚えている意味不明な内容のその夢を不思議に思いながらも、まあ夢だし、で、片付けようとした。
が、次の日から、結華の周りで次々と妙なことが起こり始めたのだった──
エスケーブ
Arpad
青春
作るんだ、俺たちのヘイブンを! 入学した高校での部活強制から逃れる為、避難所(エスケー部)の創設を画策する主人公。しかし、計画は早々に乗っ取られ、意図していなかった方向へと突き進んでいく。それでも彼は、自らの避難所を守る為、全力で奔走する。これは、しがらみから逃れようと足掻き、さらに厄介なしがらみに捕らわれていく物語。
グループチャット・五つ星
サクラ
青春
チャットアプリ・LINEのとあるグループ『五つ星』。
彼らを題材とした日常系ゆるふわストーリーが始まる。
旧・風亘理学園(かざわたりがくえん)。
この学園は中高一貫のこの辺りで珍しい学園である。
そんな風亘理学園には、不思議な部活動があった。
交流広場・五つ星。
誰がそう呼び出したのかは、わからない。
けれども交流広場の名の通り、人々はそこで交流を深める。
個性豊かな人々が集まって雑談していく交流広場・五つ星。
そんな彼らの日常を、少しだけ覗いていってください。
ーーーーー五つ星の絆は、永久不滅だ。
僕は☓っぽいけど○だから☓子校に行くなんて間違ってる!
だらけたい
青春
僕は○なんだ。
でも、なぜか☓っぽくみられてしまう。
普通にやってるのに☓っぽいと言われてしまう。
そして、なぜかついには☓子校に通うことになってしまった。
ホントになんでこんなことになってしまったんだ!
何度でも言うよ!僕は○なんだ!!誰がなんと言おうと○なんだ!!!
サンスポット【完結】
中畑 道
青春
校内一静で暗い場所に部室を構える竹ヶ鼻商店街歴史文化研究部。入学以来詳しい理由を聞かされることなく下校時刻まで部室で過ごすことを義務付けられた唯一の部員入間川息吹は、日課の筋トレ後ただ静かに時間が過ぎるのを待つ生活を一年以上続けていた。
そんな誰も寄り付かない部室を訪れた女生徒北条志摩子。彼女との出会いが切っ掛けで入間川は気付かされる。
この部の意義、自分が居る理由、そして、何をすべきかを。
※この物語は、全四章で構成されています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる