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百合風俗だって!?イクっきゃない!

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「そこのお姉さん、どうですか? ここで休憩していきません?」

 夜も更け、草木も眠っているだろう闇の時間。ほとんどの人が寝静まり、明日に向けて活力を蓄える時間。そんな静かでゆったりとした時間帯にもかかわらず、夜の闇を払うようにまぶしく輝く場所がある。
 それが……風俗街。大人の遊び場であり、これを生きがいにしている種族も少なくない。

「へぇ……アタシの好みの子はいるのかな?」

 そんな世界に魅せられた女が一人。前も後ろも長い黒髪をなびかせ、その隙間からのぞく鋭い目で呼び子を見つめる。露出が多いその服装から、彼女がどんなお店に案内してくれるのかは想像に難くない。
 女は舌なめずりをする。食事処で何を注文するか決めるように、呼び子が見せてくれた風俗嬢の写真を見定める。

「はい! 私のオススメはこちらの子です!」
「お! かわいいじゃん。年齢も近いし、この子にしようかな」

 呼び子に案内されるままに、女は夜の街を歩きだした。その姿は、まるで夜へ羽ばたく蝶のようだった。



「……ここか」

 そして、案内された先にある建物を見上げる女。その外観は華やかで美しく、汚れや傷は一切見られない。ここが風俗街だということを知らなければ、高い宿と間違えるような立派な建物だった。

「いらっしゃいませ。当店は初めてのご利用でしょうか?」

 建物を物色している女を不審に思ったのか、受付嬢が声をかけにきた。女は受付嬢の方を向くと、自信満々に答えた。

「初めてだよ。今日からここの常連になるかもね」
「承知いたしました。それでは、お部屋の方をご案内いたしますのでどうぞこちらに……」

 女の返答を聞いて納得したのか、受付嬢は先程と打って変わってにこやかな笑みで対応する。受付嬢に案内された場所は、二階に上がるための階段。

「どうぞ足元にお気を付けくださいませ」
「ありがとね。さぁて、どんな娘が出てくるのかな」

 女を出迎えたのは実に多種多様な容姿をした美女たちだった。獣人やエルフはもちろんのこと、中には人でありながら竜のような特徴を備えた女性もいる。そして……もちろんのこと人間もいるわけで。
 そんな様々な種族の女性たちは皆一様に、黒髪の女が来るのを待っていましたと言わんばかりに歓迎していた。実際、彼女を見る女性たちの表情はどこか恍惚としており、まるで恋する乙女のよう。

「いらっしゃいませお客様」

 階段の上、二階では一人の女性が待ち構えていた。女性はカウンターに肘をつき、不敵な笑みを浮かべて黒髪の女を見据える。その姿はまさに女王のそれだった。

「はじめましてだね! 今日からここを利用させてもらうよ!」
「ご利用いただきありがとうございます。それで……当店は初めてだと伺ったのですが、料金の説明はいりますか?」
「あぁいらないいらない。他のお店には行ってないから比較できないけど、とりあえず他のお店よりは安いんでしょ?」

 自信満々に答える黒髪の女。彼女が答えた通り、この風俗街の中でもこの店は料金設定が良心的な部類に入る。相場よりもかなり安く、それでもなお十分以上に満足できるサービスと女の子たちの容姿や質の良さで人気を博している。
 ……ただし、それはあくまでも一般的な相場と比べての話である。
普通のお客さんなら決して手を出さないような高値ではあるが、黒髪の女は当然のごとく手持ちには困っていない。それもそうだろう。彼女が自由気ままに、好きな時に使えるお金は大陸全土を見ても指折りに入るのだから。

「なるほど……確かに安いですけど、本当によろしいのですか?」
「いいっていいって! 気にしない気にしない!」

 黒髪の女が自信たっぷりに答えると、女性は不敵に笑った。そして……近くに置いてあったベルを手に取ると、高らかに鳴らして声を上げる。

「皆の者! 準備を始めろ!」

 するとその声に呼応するように、獣人やエルフの風俗嬢たちが前に出てきた。その誰もが美人であり、豊満な胸と引き締まった体を持つ者ばかりである。そんな彼女たちを見て、黒髪の女は喜びを隠し切れないといった感じでニヤリと笑う。

「ほぉ……いいねいいね! 今日は楽しめそうだよ!」
「そう言っていただけるとなによりです。それではお客様、今日はどの子を?」

 受付嬢に尋ねられた黒髪の女は、迷うことなく一人の女性に指を向けた。その女性の身長は周りより頭一つ分小さく、胸も大きいとは言えないが平均よりは上に位置している。褐色の肌にエルフの特徴である長い耳……そして長く伸ばした銀髪。特徴的な部分を上げるとすればそんなところだろう。
 そんな彼女の名は……エナといった。


 案内された部屋にてエナと二人きりで向かい合う黒髪の女。今この部屋にいるのは自分と相手だけ。これからすることは一つしかない。
エナは黒髪の女を見つめ、艶めかしく微笑んだ。そして……彼女は自分の服に手をかける。

「ほほう……なかなか積極的なんだね」
「えぇ……そういうお店ですからね」

 服を脱ぎながらエナが答えると、黒髪の女は彼女の体に視線を向けた。そこには素晴らしいとしか言いようのない完璧な肉体美があった。彼女の褐色の肌に白い液体をぶちまけたらどんな絵面が完成するだろう。思わずそんなことを考えてしまうほどの代物だ。
 頭の中で今日の夜の予定を立てながら、黒髪の女は服を脱いでいくエナのことを目で追い続けた。

「……全部脱ぎました」

 エナは一糸まとわぬ姿になると、無言でじっと見つめてくる黒髪の女の前に腰を下ろした。そして彼女は恥じらいで赤くなった顔を両手で隠しながら口を開く。

「それではお客様……あ、そういえばお名前を聞いていませんでしたね。なんとお呼びしましょうか?」
「そうだな……じゃあ、リリィって呼んでもらおうかな」
「……かしこまりました。それでは、リリィ様。どうか私めを可愛がってくださいませ……」

 エナが期待の眼差しを向けてくる中、黒髪の女……リリィは彼女を押し倒した。エナは抵抗することなく受け入れると、全てを受け入れるように目を閉じる。
 そんな彼女の姿を見たリリィは興奮しながらエナのからだを舐め回す。

「あっ……リリィ様ぁ……気持ちいいです……っ」
「ん~? どこが気持ちいいの? ちゃんと言ってくれないとわからないよ?」
「お、おまんこと乳首が……気持ちいいです……っ」

 リリィに触られた部分から徐々に熱くなっていくエナ。そんな彼女の体は触れられるたびにビクビク震え、嬌声を堪える口からは熱い吐息が漏れ出していた。その反応に気をよくしたリリィは、さらにエナの体を激しく攻め立てる。

「あっ……だめですぅ……! もうイッちゃうぅ!  ひぅっ!?」
「あれれ? もうイッちゃうの? そんなに気持ちいい?」
「は、はいぃ……っ! 気持ちいいですぅ!」

 快楽に顔をゆがめるエナを嘲るようにリリィが問いかけると、エナは恥じらいながらも即答する。その答えを聞いたリリィはさらに彼女を責め立てた。だが、絶頂寸前だったエナにとってそれは逆効果だったようで……彼女は全身を痙攣させながら絶頂を迎えた。

「……っ!!」

 その瞬間、今まで我慢していた嬌声と共にエナの股から愛液が吹き出した。辺りに飛び散るその液体を見て、リリィはニヤニヤと笑みをこぼす。

「あれれ~? もしかしてお漏らししちゃったのかな? いけない子だね~」
「い、言わないでください……恥ずかしいです……」

 自分の痴態を指摘されたことで赤面するエナだったが、そんな彼女のことをリリィはさらに追い込んでいく。彼女は絶頂によって力が抜けたエナの足を掴むと大きく広げさせたのだ。
 そしてそのままエナの足の間に潜り込んだ彼女は、ゆっくりとエナの股の辺りに顔を近づけていき……

「ご馳走様」

 ……と、エナを美味しくいただいたのだった。

 ☆ ☆ ☆

「リリィ……ねぇ、リリィったら、早く起きて」

 甘くて舌っ足らずな声が聞こえてくる。毎朝この声で起きるのが至福のひとときで、浮上しかけた意識が幸せすぎて遠のいていく感覚があった。

「リリィ、起きてるでしょ? ねぇ」

 でも、今日は何故か一段と声が近い。体が揺さぶられているようで、寝返りを打とうとしてもうまくできない。何かがおかしいと思いながらも、リリィはなんとか眠気に逆らおうと目を擦った。

「起きてるならちゃんと返事してよ……リリィのバカぁ」

 その言葉が耳に入った瞬間、リリィの意識は一気に浮上した。
 ぱちっと目を開けると目の前には頬を膨らませた鼻の上辺りに大きな傷のある女の子の顔があって、リリィの上にその少女がまたがっていたのだ。

 あまりの近さにびっくりして跳ね起きたリリィに、少女も驚いたようだった。わたわたしながら少女はベッドの上から退いて、何かを探すように辺りを見回した。そして枕の近くに置かれていた手鏡を見つけるとそれを手に取ってまたリリィの方に向き直る。
 バサバサとした前下りショートの淡い桃色の髪から覗くその瞳は濃いピンク色で、その頭には垂れ気味の大きな犬耳。年齢は十歳くらいで、庇護欲をかきたてるような見た目をしている。

「えぇっと……なんでアタシの上に乗ってたのかって……聞いてもいいかな、キュイ?」

 リリィがその少女に問いかけると、彼女は何度も頷いてベッドの上に正座した。

「あのね、リリィのお手伝いしたかったの」
「あー……うん? そっかそっか、それでアタシを起こそうとしてくれたんだね」

 キュイはまた頷き、そして期待するような眼差しでリリィを見つめた。そんな彼女の様子に首を傾げながら、リリィは先程から気になっていたことを聞く。

「……ところでなんで全裸?」

 キュイは首を傾げながら自分の胸元を見下ろした。するとそこに一糸まとわぬ彼女の裸体があり、彼女はそこでようやく自分が服を着てないことを自覚したようだった。

「さっきまで獣の姿でシャワー浴びてたから……そのせいかも?」
「あぁなるほどね! そういうことか」

 自分の服を着込みながら、納得したように頷くリリィ。彼女はいつもベッドでキュイと寝るときは服を脱いでから寝るのだ。そのことを失念していたと反省しつつ、改めてキュイの全裸をまじまじと見つめる。
 白く透き通るような肌に可愛らしいおへそと下腹部、そしてきゅっとした小さなおしり。見るだけで興奮できるその体に目を奪われていると、キュイは恥ずかしそうに胸と股を手で隠した。

「もう! えっち!」
「あ、ごめんごめん。つい可愛くてさ……それじゃ、そろそろアタシも起きよっかな」

 そう言ってリリィがベッドから降りようとするとキュイが駆け寄ってきて、ギュッとその腰に抱きついてきた。そんな彼女の頭を優しく撫でてやるリリィ。
 そのまましばらくなでなでしているとキュイは満足したのかリリィからそっと離れて手を差し出した。彼女はいつもこうやって朝は手を繋いでほしいと頼んでくるのだ。

「はい、手」
「ん……ありがと」

 キュイの手を握ってリリィが立ち上がると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。彼女のその笑顔を見ると不思議と元気が出るような気さえして、自然と顔がほころんでしまう。
 そんな和やかな雰囲気のまま服を着終えた二人はリビングに向かったのだが……そこで不意に、キュイがとある質問をしてきた。

「ねぇねぇリリィ? お勉強したいんだけど……いい?」
「……えぇっ!?」

 驚いて思わず大きな声で叫んでしまったリリィ。だが、それも無理はない。だって、勉強というのはつまり……そういうことなのだから。

「ほんとにいいの?」
「……うん、リリィになら……いいよ?」

 顔を真っ赤にしながら、それでも覚悟を決めたように言うキュイ。そんな彼女の様子にごくりと喉をならしてからリリィは頷いた。そして……二人は寝室へと戻り、ベッドの上で向き合った。

「それじゃまずは基本のやり方からやってみよっか」
「う、うん……」

 キュイがベッドの上に仰向けに寝転がるとリリィはその上へ覆い被さった。するとキュイは両手で自分の股を開きながら懇願するように口を開く。

「えっとね……あのね? わたしのここ……触ってほしいな……」
「わかった……」

 リリィがそっと割れ目に触れると、そこは既にしっとりと濡れていた。これならすぐにでも受け入れられそうだと思い、そのまま中へと押し進めようとしたのだが……

「リリィ?」

 リリィの指はキュイの割れ目の中にどうしても入れることができなかった。キュイは首を傾げていたが、リリィの額には冷や汗が滲んでいた。真剣に割れ目を見つめているところから、リリィは本当は入れたいのだろう。だけど、なぜか指はぷるぷる震えているだけだ。

「ごめん、やっぱりキュイにはまだ早いよ」
「えー!? なんで!?」
「ほら、こういうのはもう少し大人になってからするものだからさ。焦らなくてもちゃんと教えてあげるから」

 リリィが笑いながら言うとキュイは頬を膨らませたが、彼女もさすがに無理を言っていることはわかっていたようで素直に頷いた。

「んー……わかった」
「よし、いい子だね……それじゃそろそろご飯にしよっか」

 リリィが頭を撫でてやると、キュイはくすぐったそうに身を捩りながらも嬉しそうに笑う。
 そんな様子を見ながら、リリィは静かにため息をつく。

「はぁ……また今日の夜は風俗イクかな……」
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