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第三章 まさかの裏切り
緋依の様子に気づいたのは……
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「それで? ガーネットはどこにいるの?」
ガーネットはやはり、何かを隠している。
それも、とてつもない何かを。
それゆえ、ガーネットに聞かなければならないことがたくさんある。
「……それは、結衣にも分かるはずよ。天使モード――ガーネットの力を借りないで魔法少女になれるモードがあるから」
「そう。魔法少女になっちゃえば、魔力の流れが分かるはずだよ」
――そういえばたしかに、人探しをしている時にすぐにその人を見つけることが出来ていた。
それはつまり、結衣にも魔力を辿ることが出来るということ。
「……だけど、気をつけてください。ガーネットは自分で自分を抑えられなくなっています」
緋依はせーちゃんと美波より、重く苦しそうに言う。
まるで、何かと戦っているように。
「……わ、わかった。けど……なんでそんなことが分かるの?」
だけど、それに気づいてあげられるほど、結衣には余裕がなかった。
――早くガーネットを見つけなければならない。
それだけで頭がいっぱいなのだ。
緋依は何かを考えるような仕草をした後、不安そうに呟いた。
「私は――……あ、いえ。やっぱりやめます。とにかく急いでください! これ以上、ガーネットが苦しむ前に」
「……うん。その代わり、ちゃんと後で私に話してね」
「はいっ!」
不安そうな顔から一転、明るく笑顔で返事をする緋依。
その肩が震えている様子に気づいたのは、せーちゃんと美波だけだった。
結衣は早速天使モードに変身し、ガーネットの元へ飛んでいく。
「……良かったの? 結衣に言わなくて」
「そうだよ……あんなに話したがってたじゃないか」
せーちゃんと美波は、緋依のことを心配するように言った。
だけど緋依は、不安そうな様子はそのままに、どこか覚悟を決めた様子で言う。
「このことに気づいたのは今のところ私が最初ですから……私がなんとかしなくてはなりません」
その覚悟に、せーちゃんと美波は付き従うように……薄く笑った。
ガーネットはやはり、何かを隠している。
それも、とてつもない何かを。
それゆえ、ガーネットに聞かなければならないことがたくさんある。
「……それは、結衣にも分かるはずよ。天使モード――ガーネットの力を借りないで魔法少女になれるモードがあるから」
「そう。魔法少女になっちゃえば、魔力の流れが分かるはずだよ」
――そういえばたしかに、人探しをしている時にすぐにその人を見つけることが出来ていた。
それはつまり、結衣にも魔力を辿ることが出来るということ。
「……だけど、気をつけてください。ガーネットは自分で自分を抑えられなくなっています」
緋依はせーちゃんと美波より、重く苦しそうに言う。
まるで、何かと戦っているように。
「……わ、わかった。けど……なんでそんなことが分かるの?」
だけど、それに気づいてあげられるほど、結衣には余裕がなかった。
――早くガーネットを見つけなければならない。
それだけで頭がいっぱいなのだ。
緋依は何かを考えるような仕草をした後、不安そうに呟いた。
「私は――……あ、いえ。やっぱりやめます。とにかく急いでください! これ以上、ガーネットが苦しむ前に」
「……うん。その代わり、ちゃんと後で私に話してね」
「はいっ!」
不安そうな顔から一転、明るく笑顔で返事をする緋依。
その肩が震えている様子に気づいたのは、せーちゃんと美波だけだった。
結衣は早速天使モードに変身し、ガーネットの元へ飛んでいく。
「……良かったの? 結衣に言わなくて」
「そうだよ……あんなに話したがってたじゃないか」
せーちゃんと美波は、緋依のことを心配するように言った。
だけど緋依は、不安そうな様子はそのままに、どこか覚悟を決めた様子で言う。
「このことに気づいたのは今のところ私が最初ですから……私がなんとかしなくてはなりません」
その覚悟に、せーちゃんと美波は付き従うように……薄く笑った。
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