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第二章 似すぎている敵

お母さん……?

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「……そ、そうだったんだ……」

 結衣はお母さんから話を聞き、全てを知った。
 少女の行動も、心情も、過去も――全部。

 それならば、結衣に対する妬みや僻みをいだくのも無理はないだろう。
 それならば、結衣を攻撃している時にあんなに悲しい顔をしている理由もわかる気がする。

「……早く、会わなきゃ……! 会って……話さなきゃ……っ!」
「ま、待ってください! そんなすぐに行動しない方がいい気がします……!」
「で、でも……っ!」

 結衣は焦燥感を溢れさせ、いてもたってもいられない状態になっている。
 そんな結衣を引き止めるガーネット。

 今すぐ少女に会っても、すぐには解決しないだろう。
 むしろ悪化してしまうかもしれない。
 頭では解っても、心が処理しきれないものもあるからだ。
 結衣は今、そんな状況に陥っている。

「……私が、あの子とちゃんと話すわ。結衣には関係ないもの」

 そんな時、お母さんが覚悟を決めた顔で言う。
 だが、その言葉がさらに結衣の心をかき乱した。

「関係ない……!? なくはないでしょ!? 私が……っ、私がいたから……っ!」
「結衣様……! そんなに自分を責めないでください!」

 結衣は感情が溢れ出し、涙を止められない。
 決壊した涙腺は、修復するのに時間がかかりそうだ。
 涙がポロポロ零れ出した結衣の様子を見て、ガーネットがおろおろと慌てる。

 二人のやり取りを見て、お母さんは自分の過ちに気づく。
 そして、結衣に向かって頭を下げる。

「……ごめんなさい。こんな言葉、言うべきじゃなかったわね。でも、ちゃんと私が向き合うから……私から――謝らなきゃと思って」

 そんなお母さんを、結衣は涙越しの目でじっと見つめた。
 丁寧に下げられた頭頂部を、しっかりと頭に刻み込む。

「……うん、わかった。おかあさ……って、変……だよね……その……“”って呼んだ方が……いい、のかな?」
「……そう、ね。結衣“ちゃん”がそうしたいのなら……そうすればいいと思うわ」

 お母さん――いや、“叔母さん”から全てを聞かされた結衣は、急に他人行儀になった。
 結衣の心情を察し、“叔母さん”も結衣のことをちゃん付けで呼んだ。

 ……そんな二人の変化を見てどう思ったのか。
 ガーネットはただ――何も言わずに漂っていた。
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