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第二章 似すぎている敵

肝試しを始めよう!

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「うわ……夜になるとこんなに雰囲気出るんだね……」

 結衣は『まさしく肝試しに相応しい光景』というものに、呟かずにはいられなかった。
 光がなく、真の闇が広がる林。
 まるで「こっちにおいで」と誘っているような、吸い込まれそうな黒がある。

「オカルト好きな私もちょっとこれは不気味かも……ん?」

 林の方ばかり見ていた結衣が後ろを振り返ると、体育座りでプルプル震える明葉が見えた。

「……えーと、明葉ちゃん?」
「ひえっ!」

 結衣が声をかけるも、明葉は小さく悲鳴をあげるだけ。
 明葉のこの状態を何となく察した結衣が、心苦しそうに言う。

「あ、明葉ちゃん……その……無理しなくてもいいからね?」
「……だ、大丈夫どす。うち怖いの平気やもん……」
「そ、そうなんだ……」

 結衣と目を合わさず、会話しながら震える姿に。
 ますますどうすればいいのか分からなくなってしまった結衣がいた。
 だが。一連の話を聞いていなかったのか、グループの子がいい笑顔で言う。

「この林は結構出口への距離が短いから、すぐ帰れると思うから安心してよ!」
「いや、こういうことやってる時点で安心できないっていうか……」
「いいから行くよっ!」
「え~……」

 結衣は別に、肝試しをやりたくないわけではないのだ。
 ただ、友だちが震えているのを放っておけなかった。
 だから結衣は、再び明葉の近くへ寄っていく。

「明葉ちゃん、私は一緒にいるから。心配しないでね」
「……結衣さん……」

 ほんわかとした、和やかな雰囲気が広がる。
 しかし、その後ろでニヤリと口角をあげる者が……

「へぇ……そっかぁ~、明葉ちゃんって……へぇ~?」

 挑発するように、嘲笑うように言う。
 何かを期待するような眼差しで、なおも口撃していく。

「そっか……“”、明葉ちゃん♡」
「っ――!!」

 ……その一言で。
 明葉の顔つきが変わっていく。
 結衣はそれを感じ取り、顔が引きつった。

「ええよ。肝試し、やってやろうやないの!」

 明葉が勇ましくそう言うと。
 グループの子は満足そうに笑い。
 結衣はどうしてこうなったのかと、頭を抱えた。
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