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第一章 少女たちの願い(前編)

メインに向けて……

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「ふー……おなか、いっぱい……」
「あー……なんかもうこれで満足ですぅ……」

 真菜と緋依が、それぞれ幸せそうに零す。

「もう……メインは料理ってわけじゃないのに……」

 結衣が呆れながら言うと、せーちゃんも会話に入ってくる。

「まったく、だらしないわねぇ。これぐらいの料理いつも食べてるから私には造作もないけど」
「あ、あはは……せーちゃんと比べちゃダメでしょ」

 真菜と緋依はお腹がいっぱいで動けないと言っていたので、先にお母さんとせーちゃんと結衣の三人で温泉を堪能することにした。

「真菜ちゃんと緋依ちゃん大変だったみたいね」
「そうなんだよね……ついつい食べすぎちゃったみたいで……」

 お母さんはその時ちょうどお手洗いに行っていたので、二人の一部始終を見ていないのだ。

「まったく……これだから庶民は……」
「なんかせーちゃん最近セレブぶってきてるよね……」

 出会った時はそれほどでもなかった気が……と結衣が物思いにふけっていると、

「着いた……!」

 お母さんの甲高い声によって、その思考は掻き消された。
 目の前には『女』と書かれた暖簾が見える。

 さあ、ここからが本当に本当のメイン――温泉だ!
 結衣はそう息巻いて、扉を開けた。
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