33 / 262
第一章 少女たちの願い(前編)
天使のような悪魔
しおりを挟む
数時間前。謎の光が放たれる前のこと。
西園寺星良、通称せーちゃんは――神社でとある謎の少女に遭遇していた。
「ま、魔法少女……の??」
「ええ、そうです! 知ってますよね?」
まるでせーちゃんの答えを知っているように訊いてくる少女に、どこか不気味さを感じる。
ここで安易に『知らない』と答えても、『知っている』と答えてもいけないような気がした。
だからせーちゃんは――
「その人に――なんの用があるんですか?」
少女の問いには答えず、問いを返した。
すると少女は「ふーむ……」と顎に手を当てて考え込む。
「ちょ~っと、その方が持ってるステッキ――ガーネット? がぁ、欲しくて☆」
屈託のない笑みで、自分が“敵”であることをバラす。
せーちゃんはその少女に畏怖を覚え、すぐさま戦闘態勢を取る。
それを見た少女は目を丸くして、口元を歪めて言った。
「へぇ? 私と戦うつもりですか?」
異常なまでの殺意と敵意を剥き出しにしながら少女は目を瞑り。
何かを唱えると天使のような翼が生え、透き通るようなアクアマリンの瞳を濁らせながら――警告した。
「残念ながらぁ、私と戦うのは……無理だと思いますよー? あはっ♡」
いっそ清々しいまでの上から目線で少女は――天使のような悪魔は、微笑んだ。
そして笑みを外すと、尋常ではない威圧感がせーちゃんを襲う。
――“こいつには逆らうな”。そう、言われたような気がした。
せーちゃんは身動きが取れず、ただ顔を顰めて少女を見ると。
「あははっ。なんですか? その程度の実力? いっそ笑えますねぇ」
ガーネットに似ている笑い声を上げる。
だが、悪意がガーネットに以上に感じられる笑い声だ。
「うーん、困っちゃいますねぇ……このまま殺しちゃってもいいんですけど……それはちょっと面白くないですし……」
「あ、あなた……目的はなんなの?」
辛うじて出たせーちゃんの言葉を吟味するように、少女は熟考しているように見える。
そして、目を輝かせながら少女が放った言葉で――今度こそせーちゃんの動きが完全に止まった。
西園寺星良、通称せーちゃんは――神社でとある謎の少女に遭遇していた。
「ま、魔法少女……の??」
「ええ、そうです! 知ってますよね?」
まるでせーちゃんの答えを知っているように訊いてくる少女に、どこか不気味さを感じる。
ここで安易に『知らない』と答えても、『知っている』と答えてもいけないような気がした。
だからせーちゃんは――
「その人に――なんの用があるんですか?」
少女の問いには答えず、問いを返した。
すると少女は「ふーむ……」と顎に手を当てて考え込む。
「ちょ~っと、その方が持ってるステッキ――ガーネット? がぁ、欲しくて☆」
屈託のない笑みで、自分が“敵”であることをバラす。
せーちゃんはその少女に畏怖を覚え、すぐさま戦闘態勢を取る。
それを見た少女は目を丸くして、口元を歪めて言った。
「へぇ? 私と戦うつもりですか?」
異常なまでの殺意と敵意を剥き出しにしながら少女は目を瞑り。
何かを唱えると天使のような翼が生え、透き通るようなアクアマリンの瞳を濁らせながら――警告した。
「残念ながらぁ、私と戦うのは……無理だと思いますよー? あはっ♡」
いっそ清々しいまでの上から目線で少女は――天使のような悪魔は、微笑んだ。
そして笑みを外すと、尋常ではない威圧感がせーちゃんを襲う。
――“こいつには逆らうな”。そう、言われたような気がした。
せーちゃんは身動きが取れず、ただ顔を顰めて少女を見ると。
「あははっ。なんですか? その程度の実力? いっそ笑えますねぇ」
ガーネットに似ている笑い声を上げる。
だが、悪意がガーネットに以上に感じられる笑い声だ。
「うーん、困っちゃいますねぇ……このまま殺しちゃってもいいんですけど……それはちょっと面白くないですし……」
「あ、あなた……目的はなんなの?」
辛うじて出たせーちゃんの言葉を吟味するように、少女は熟考しているように見える。
そして、目を輝かせながら少女が放った言葉で――今度こそせーちゃんの動きが完全に止まった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ばじゅてんっ!〜馬術部の天使と不思議な聖女〜【完結済み】
M・A・J・O
キャラ文芸
馬が好きな女子高生、高宮沙織(たかみやさおり)は伝統のある星花女子学園に通っている。
そこは特段、馬術で有名な学校……とかではないのだが、馬術部の先生が優しくて気に入っている。
どこかの誰かとは大違いなほどに――
馬術の才能がある沙織は一年生にもかかわらず、少人数の馬術部員の中で成績がずば抜けていた。
そんな中、沙織はある人が気になっていた。
その人は沙織の一つ先輩である、渡島嫩(おしまふたば)。
彼女は心優しく、誰にでも尽くしてしまうちょっと変わった先輩だ。
「なんであんなに優しいのに、それが怖いんだろう……」
沙織はのちに、彼女が誰にでも優しい理由を知っていくこととなる……
・表紙絵はくめゆる様(@kumeyuru)より。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる