鈍感王子の背徳なる性事情

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第九話

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 金糸の髪が空気を孕んで上下に靡いた。
 引き締まった体に、山なりにとび出る胸の起伏。
 およそ極上といえる女体を前に、俺はあえて理性を放棄し獣になっていた。

「あ♡ あッ♡ あ”あッ♡♡」

 膝の下に手を回して、持ち上げた裸体の女を下から串刺しに突き上げることだけに集中して腰を振る。
 パンッ、パンッ、パンッと破裂音に似た交尾の音が、天蓋付きのベッドの外で鳴り響いた。

「エリノーラは、確か、2日ぶり、だったなッ」
「あ”♡ あ”ぅ♡ はッ、はイ”ぃい……~~ッ♡♡」
「おい!?」

 雄の象徴が、この女をもっと喘がせろと肥大する。
 すると、すでに息も不規則で絶え絶えのエリノーラが、敏感に反応して弓形に背中を反らせた。
 慌てて踏ん張りを利かせて、股間にも力を入れる。
 抜けそうになった腰を無理矢理打ちつけ、腰を押し上げるようにして体勢を取る。

「ひぅッ?!♡♡」

 すると、エリノーラが身をこわばらせたと思えば、次の瞬間には脱力した。
 俺はもたれ掛かるエリノーラの火照った体温と荒い吐息を近くに感じながら、休ませるためにベッドに下ろした。

「久しぶりで疲れたか?」
「ご、こめんなさい♡ もっと、ご奉仕♡ する、つもりなのに……♡」
「良い。それに、今のは前座だ。ティアの後にもう一度抱くからそれまで休憩しておけ」
「はい……♡」

 射精することが出来ずに抜かれた俺の肉棒は、血管を浮き出しにして天井へ向けて反り返っていた。
 早く出したいという思いがあるが、何もエリノーラに無理をさせる必要はない。

「ティア」
「はっ、はぃ……」

 ベッドの上で、今の今までエリノーラの痴態を見せられていたティアが声を上擦らせて答えた。
 提燈が照らす暖色の光と、窓から差し込む月の光が、ベッドの上を鮮やかに彩っている。
 ティアのピンク色の髪に乗せられたヘッドドレスと白いフリルがついた黒の下着がまるでメイドの正装であると主張するかのように、その淫靡な姿に期待で胸が膨らんだ。

「似合ってるぞティア。送った甲斐があった」
「……あ、ありがとうございます」

 ティアは足りない面積分を隠そうと両の手で胸と秘所を隠しながらも、その目はようやく幾分か見慣れるようになったらしい俺の怒張に釘付けになっていた。

「……なんだ、これが気になるのか?」

 俺はティアの隣に座ってから肩を掴んで引き寄せて、目の前で肉棒を見せつけた。

「っ……」

 ゴクリ吐息を飲んだのを確認してから、俺はティアの下着に手を差し込んだ。

「あっ」
「昼間は服の上からだったからな。もどかしかっただろう?」
「~~ッ、はぁんッ」

 ふにふにと弄ってやると、ビクンっと肩を震わせて喘ぎ始める。
 俺はティアのそんな快楽に弱い姿を愛おしく思いながら、昼にエリノーラと一緒になって気持ちよくさせてくれたお礼をするために、割れ目を少し開いて、中に隠れていた陰核を摘み出した。

「あっ♡ そ、それダメっ♡ ぁあッ♡ す、すぐイく♡ イっちゃう♡ イっちゃーーイちゃうからダメですッ♡」
「大丈夫、安心してイけばいい。気持ち良くなって、また俺と愛し合おう。頑張ったらご褒美にティアの大好きなキスしながら中出しもしてやるから俺にティアがイくところを見せてくれ」
「だ、だめ♡ イ、イく♡ イっくぅうううーーッ♡♡♡」

 コリっと、突起を指の腹で転がすとビクンビクンと痙攣して、ティアは絶頂に上り詰めた。
 俺はそんなティアの肩を支えながら、もう一方の手で頭を撫でた。

「よく頑張ったな。偉いぞ。ティアは毎日してるからかだんだん感じやすくなってきてるな。すぐにイくところ、すっごい可愛いぞ」

 エリノーラに続き女の子二人も簡単にイかせることができた達成感に浸りながら、俺はティアの耳を甘噛みする。
 快楽で涙を滲ませるティアの姿に言いようのない好きが溢れて、もう我慢の限界だった。

「ティア、俺のこれ、また摩ってくれないか?」
「ぅ……すん……」

 鼻を啜りながら、ティアは虚な目で、俺の股間に手を伸ばした。

「やり方は覚えてるな?」
「……はい」

 こくりと頷いたティアの頭を撫でて、身を任せる。
 ティアは泣き止み、男の俺よりもひとまわり小さな細い指を肉棒に巻きつかせてくる。
 そして、何も言わずに、ゆっくりと上下に動かし始めた。

「……もう少し強く握って速くしてくれ」
「強く、速く、ですか……? わかりました」
「……ん。その調子だ。良いぞティア気持ち良くなってきた」

 しこしこ、と摩っていた動きが、一気に速くなる。
 おそらく思いっきり握っているのだろうが俺には程よい力加減に思えて、絶妙な動きだった。

 思わず肩を抱きとめていた手を肩の上から下におろして、黒ビキニの中に手を突っ込んだ。

「ッ」
「どうした、力が弱くなったぞ?」

 いつのまにか先端に出ていた先走りがティアの手を濡らして、ずちゅずちゅずちゅッ、といやらしく音を立てていた。

 滑りも良くなったからかはじめの方にあった抵抗感ももう無くなり、ティアが俺の肉棒を扱く手は止まることが無くなった。
 俺も負けじと、小さくも確かな弾力を持った胸の先端に狙いをつけて、指先のつめで軽く弾いてやる。
 するとティアは敏感に反応して、乳首がピンと立ち上がった。

「ん♡」
「ティア、もうイくぞ? もっと強く摩れ」
「はい……♡」
「はぁっ、はぁっ…………くッ!」
「~~~ッんん♡♡」

 ーーびゅっ、びゅっ、びゅうっ、びゅうぅうう!

 俺はエリノーラの時から貯めていた子種もすべて吐き出した。そしてその直前に指の腹で乳首を押し潰したことでティアが二度目となる絶頂に至り、俺たち二人は快楽の余韻に浸ることになる。

「……ティア」
「……んむ」

 俺とティアは互いの目を見つめ合い、我慢できなかった俺が唇を奪ってベッドに押し倒した。

 ティアは抵抗は一切せず、忍び込ませた舌同士を触れ合わせて、俺の唾液を進んで求めてくる。
 俺もティアの唾液を啜っては、歯の裏を舐めとるように動いて、まるで一つに溶け合うような時間を過ごした。

 だが、そうしている間にも、魔法によって萎え知らずの肉棒が痛いくらいに膨張して、女を求めて腰が勝手に動いてしまった。
 ぴとりと下着越しに、ティアの破裂の入口をぐりぐりと弄ったら、入れようとする俺を上目遣いに見つめてくるティアは顔に熱を帯びさせて、両手で胸元を隠すようにしている。
 俺はその手を退けて、メイドビキニを上にずらして、下の方も紐を解いて、裸に剥いた。

 俺はそれからもう一度ティアに覆い被さり、耳元で囁いた。

「挿れるぞ」




 #




「あっ♡」

 膣に亀頭をあてがうと、ティアは早速喘ぎ始めていた。
 ただ性器が触れ合うだけだが、その後の快感を知っているからこそ、共感できる。
 こうして入れようとする直前の性器同士の触れ合いは、何故か気持ち良さが背筋を這うようになるのだ。

 にちゃ、と、既に濡れて準備のできているティアの陰部が音を立てる。
 はぁっ、はぁっ、とティアは息を荒げる。
 ビキニブラを半端に脱がされたせいで露出している薄い桜色の突起の胸を上下させ、じっと自分の雌の部分に入り込もうとする雄棒だけを見ていた。

 たぶん俺と同じように、ティアも感じているのだろう。
 これから雌であるティアは雄に支配され、子宮を全て目の前の雄に使われてしまうということを。

 そして、その運命に抗うことはできない。
 なぜならティアは初夜の時から毎日、俺に抱かれ続けている。身体はすでに誰のものなのか教え込まれてしまったのだ。

「ん”……♡」

 つぷーーっと、先端が入る。
 するとティアはびくんッと目を閉じて首をのけぞらせた。

 膣の感触はエリノーラと違って柔らかく包むようだった。
 狭い場所を掘るように進むが全く抵抗はなく、まるで帰りを待っていたとでもいうように奥へ奥へと吸い付いてくる。

 最後はふにっ、と亀頭が柔らかな壁を叩くことになった。

「あ”っ」

 目を開いて、ティアが大きく驚きの声を出した。
 ーーここが俺の精子を溜める場所だ。

「あ”あ”ぁ♡」

 俺はティアの腰を持ち直して、ゆっくりと味わうように腰を押し進めた。
 亀頭がティアの子宮口を押し出していく感触がたまらなく気持ちいい。
 だが、途中でこれ以上は行かせないと言うかのように抵抗が始まったので、俺は残りの長さ全てをティアの中に埋めるために、腰を突き出した。

 ズン、と子宮を押し出す触感があった。

「ぁ”……ぁ”あ”ああああーーーッ♡♡♡」

 ティアはそれに合わせて今日一番の嬌声を響かせる。
 それからはもう、止まれなかった。

 両足を持ち上げて、上から覆い被さって腰を振り続ける。
 まるで獣になったように、ティアの中に突き立てることだけを考えて交尾して、腰を振るたびにティアは痙攣したかのように絶頂した。

「ティアッ、もう出すからな!」
「あッ♡ あッ♡ あ”ッ♡♡ も”ッ♡ もうだめ♡♡♡」
「ーー受け止めろ、ティア!」
「ん”あ”あ”ぁっ~~~!!!♡♡♡」

 パンパンパンパンッ…………ビューッビューーーーッ!!

 まるで放尿のような勢いで、精液がティアの子宮に流し込まれる。女の中に子種を仕込む快楽に酔いしれながら、俺は延々と続けられそうな射精を途中で止めてから、スッと顔を近づける。

 イき狂いしそうだったティアも、射精が止まれば脱力して虚な目になったが、俺の顔を見るなり餌を求める雛鳥のように口を開いてキスを待っていた。

 俺はそれに応えて、唇を塞ぐ。
 息がまだ整っていないので何度も呼吸を挟んでやったが、そのたびに唾液でティアの顔が汚れてしまう。
 それでもティアは気が付かずに俺の舌を求めるように口を開き続けていた。

「んっ、んちゅ……はぁっ……んんっ♡」
「ティア、残ったの全部出すぞ」
「はむっ、ん♡ はぁ、はぁっ、ん”ーーっ♡♡♡」

 キスしながらの射精はやはり極上の快楽だ。
 ティアも幼馴染で気が合うのかこれが一番好きなようで、投げ出していた両足を俺の腰に巻きつけて、もっともっととせがむように抱きついてくる。

 お望み通り俺は上と下両方から唾と精液を流し込むと、ティアはごくごくと俺の体液を飲み込んだ。

「ティア、お疲れさま」
「……♡」

 俺は最後に触れるだけのキスをして、少しだけ縮んだ剛直をティアの中から引き抜いた。
 帰らないでというかのように吸い付いてくるそこに名残惜しさを感じながらも、今日のメインディッシュはエリノーラだと自分に言い聞かせる。

 ティアの膣は微動を繰り返し痙攣し続けていて、抜いたところからは子宮に注ぎ込まなかった俺の精子が溢れだしていた。

 いつもならすぐに《清潔/クリーン》で水にするところだが、俺の精子がティアの中に刷り込まれると思えば、もう少しだけこのままでもいいような気がして、そのまま寝かせることにした。
 快楽の余韻で眠たそうにしているティアの頭を撫でてから、振り返る。
 そしてーーー、

「ーーもう動けるようになったか?」
「はい♡ 今度こそ満足いただけるまでお付き合いします」
「そうか。期待してるぞ」

 前屈みで、俺に近寄ってきたエリノーラの頭を撫でる。

「今日は散々やられたからな。お礼に可愛がってやるから音をあげるなよ?」

 そう言って俺は、エリノーラの胸を下から揉みしだき、恍惚とする金髪碧目の淑女を躾けるために、頭の中で魔法式を描き始めた。



 #



「ま、エリノーラのお仕置きはさっきので済んだことにしてるんだがな」
「あれがお仕置きですか……?」
「散々絶頂させて、中に出さなかっただろう。あれが罰ってことにしてる。本当に気持ちよくなるのはイってる時に膣内で精子をぶっかけられた時だっていうのはティアとの性教育で散々理解したからな。気持ちよくする機会を逃したのが罰だ」

 ティアは良い。
 気立て良く、容姿も良く、なにより快楽に抗えないところが良い。
 昔からよく知る桃髪を振り回して快楽に喘ぐティアを見るのは、背徳感があって、女をもっと知りたいと思わせてくれる。まさに性教育の任命を全うする女性の生き字引のような存在である。

 まだ精通が始まってから5日ではあるが、その毎日をティアとまぐわい女を知ることを追求したので、こうして未来の側室であるエリノーラにも気兼ねなく性の快楽を与えコントロールすることができている。

 もう寝たらしいティアの髪を撫でながら、明日はどんなことをしようかと想像を膨らませていると、エリノーラが寂しそうに笑った。

「……ティアさんがうらやましいです」
「どうしてだ?」
「私も同じ日に処女を捧げたはずですのに、ジルクニール様と触れ合う機会に差ができてしまった……なんて思ってしまいます」

 エリノーラがそのまま俺の股間に向けて顔を伏せた。
 そして、未だ硬さを保っている肉棒を小さく舌を伸ばして舐め取った。

「どんな味がする?」
「ジルクニール様とティアさんが愛し合った味がします」
「全く想像がつかない味だな」
「ジルクニール様も舐めますか?」
「いや、遠慮しておこう」

 ティアの味なら実はもう知っている。
 要はその味が俺の陰茎についていると言いたいのだろう。

「ちゅ♡ ちゅう♡ ち”ゅぱっ♡」

 エリノーラはそのまま先端から咥え込んで、顔を上下させながら俺の顔を見上げてきた。ぬるっとした舌が這い回り、暖かく気持ちのいい刺激が股間から伝わった。

「んむ、ちゅっ♡ ……気持ちいいですか?」
「っああ、ティアはまだ口ではしてくれないからな。慣れない感触だが気持ちいい」
「そうなんですね♡ ではこれからは休み時間でもお呼びいただければご奉仕させていただきます♡ んむっ♡」
「うおっ、喉奥まで……ッ! 膣とは違った感触だ」

 じゅぱ、じゅぱっ、とエリノーラが下品な音を立てて肉棒を加えている姿に興奮してしまう。彼女はファンクラブができるほど多くの人間に慕われるくらい清楚で憧れられる人間だった。遠目から見る弟たちと遊ぶ姿もその通りだったし、時折目が合っては綺麗な所作で頭を下げてきたことを覚えている。

 それがこうして俺が処女を奪ってから、これほどまでに卑猥さを身につけているのだとすれば、この変化は俺が与えたということになる。

 自分が変えたという達成感と優越感で、すぐに射精感が込み上げてきた。

「あーもう無理だ。そろそろいくぞ」
「ふぁい♡」
「くッ、出すぞ」

 ビュッ、ビューーーッ、ビュルルルルルッ!!

「ンッ♡ んんッ♡♡」

 エリノーラは頬を膨らませ、普段怜悧な顔を歪めながら最後まで精液を受け止めた。
 やがて射精も終わると、ちゅぽん、と肉棒を口から離して、「んくっ」と小さく何度も嚥下させる。すべて飲み終えるまで待った後、俺はエリノーラの頭を撫でて褒めることにした。

「ふー……気持ちよかったぞ、エリノーラ。今朝から思ってたが色々と吹っ切れてるみたいだな」
「下品な女はお嫌いですか……?」
「俺だけにエロい淑女なら大歓迎だ」
「♡」

 目をトロンと蕩けさせる。
 エリノーラがなおも俺の肉棒を舐め始めたのでちょっとした悪戯で腰を動かした。

「あっ♡」

 すると、ぺしんとエリノーラの頬を打つことになり、それが面白くて何度か両方の頬を叩いて、エリノーラが鼻息荒く興奮するまで続けると、エリノーラが上目遣いで、懇願するような碧い目を向けてきた。

「物欲しそうな目だな。どうして欲しいんだ?」
「その……ジルクニール様の逞しいこれをもう一度私の中でご奉仕したいです……♡」

 まるで媚びるように、チロチロと亀頭の先端を舐めてアピールしてくる。
 もう、待つ必要はなかった。

「ご奉仕もいいが、さっき言ったようにお礼のご褒美があるんだが、受け取ってくれないか?」
「子種のことですか♡ ちゅぱ♡」
「違う。とりあえずまずはしゃぶるのをヤメロ」
「ああっ」

 気持ちよくて一時の快楽に流されそうになったのでさっきから魔法の影響で萎えない雄の象徴を逃げさせた。
 エリノーラは残念そうにするが、すぐに体勢を起こして、その肉付きのいい裸体を惜しみなく俺の目に晒させた。

 天へ向く怒張が期待でびくんびくんと血流を早めて肥大化した気がする。
 この女を完全に俺のモノにするのだ。
 俺はすでに組み上げ終わった魔法を待機させてエリノーラに、まずは一つだけ尋ねてみた。

「ーー淫紋って知ってるか? 紋章術の一つだ」
「イン紋、イン紋……陰紋? そんなのありましたか?」

 エリノーラが真面目に答えるが、やはり知らないか。

「いや、確認しただけだ。実は禁書庫から持ってきた本に書かれてあってな」
「き、禁書ですか……?」
「ああ、口外するなよ? まぁ、危険なものじゃない。いわば先代たちが書いた日記のようなものだ。その中に初代がサキュバス王が現れた時、開発した魔法があってそれが淫紋だったようだ」

 俺は生活魔法《光/ライト》でその紋様を浮かび上がらせた。形はハート形で子宮を示しているらしい。下はわずかに隙間ができていて、精子を入れる入り口になっているようだった。

「この子宮を模した紋章を、ここへ烙印する」
「……ッ」

 エリノーラのヘソの下、下腹部の辺りでハート形をなぞるようにすればエリノーラはビクンッと身体を跳ね上げた。

「経緯を遡ればサキュバス王が目覚めたところまで話さないといけないがそれはまた今度として……淫紋は、烙印した者以外からの快楽を寄せ付けず、短い周期で発情し、快楽を増幅させてしまうという……いわば性奴隷を作る魔法だな」
「性奴隷を作る魔法……淫紋……」

 エリノーラはごくりと喉を鳴らした。その碧目はわずかに揺れて、頬は赤みを帯びさせていた。
 俺はエリノーラの腕を引き、背中から密着するように抱き締めた。

 ドクンドクンと強く、鼓動する音が重なるのを確かめてから、大人しくなったエリノーラの両の胸を揉みしだき、耳たぶを甘噛みする。

「んっ♡」
「エリノーラ、期待したんだろ」
「そんなっ♡」

 耳元で囁けば、エリノーラは恥ずかしそうに目を伏せて、快楽に身を捩らせた。
 分かっている。エリノーラは、求めているのだ。
 自分を求めて欲しいと、願っている。

「舌を出せ」
「そんな……今は……」
「全部飲み込んだんだろ。なら大丈夫だ」
「……ん♡」

 決して逃げられないように強く抱きしめれば、エリノーラは余計に俺の唾液を求めて舌の激しさが増し始めた。
 俺はそんなエリノーラの要求を中断させるように唇を離して、一択しかない選択肢を選ばせた。

「淫紋を刻み、これからのすべてを俺のために捧げるか?」

 下腹部を撫でて、ここの所有権を渡せと言外に伝える。
 するとエリノーラは嬉しそうに笑いながら目尻に涙を浮かばせた。

「ど、どういう反応だそれは?」
「ジルクニール様は……ご主人様は本当に鈍感ですね」

 そう言ってエリノーラが不意に俺の唇を触れるだけのキスで塞いできた。
 すぐに離れると彼女は、照れて頬を赤くし上目遣いに、選択の答えを口に出した。

「私のすべてを貴方のものにしてください」


 #


「手順は簡単だ。まず、俺が魔法を唱えてからエリノーラの子宮がある下腹部に淫紋を烙印する。刻み込まれた瞬間から強烈な催淫効果が現れるらしい。所有者の種を子宮に仕込む事で淫紋は完成して、その後は俺の思うがままに淫紋を操ってエリノーラを発情させることができるようになる。分かったか?」
「は、はい……んッ♡」

 背後から抱きしめながら豊かに実る乳を回すようにして弄んだ。
 時折乳首を捏ねるようにし、摘んで持ち上げるようにすればエリノーラは口元に手を当て、ビクンと体を跳ね上げながら声を我慢するようになった。

 俺はそうして快楽に悶えるエリノーラの肩に頭を乗せて、最後の忠告をした。

「初代はこれをサキュバス王への対抗策として編み出し、使ったのは一度きりらしい。人用にできるだけ効力を弱めてるが、淫魔すら屈服させる禁呪だ。一度刻まれたら取り消せないし、引き返すなら今が最後だぞ?」

 すると、愛撫で顔を火照らせたエリノーラが俺の方へ向いて、何も言わずに口付けをしてきた。ちゅっ、とリップ音を鳴らして、エリノーラがにこりと笑ってくる。

「そもそもご主人様から申し出された話です。何度も言いますが私は貴方のものになりたいので、心配なさらなくても大丈夫ですよ」
「……ならもう何も言わん」

 ここで、「でも」とか抜かすのはくどい人間だ。
 エリノーラの言うように俺が言い出しっぺで尻込みしているのは情けない。

 だから、

「お前のすべてを俺のものにする」

 俺はエリノーラを抱きながら一緒になってベッドに身を投げ出した。それからすぐさまエリノーラに覆い被さり、片手で両手の自由を奪った。

 両腕を頭の上に拘束されたエリノーラは脇を見せ、山なりの胸を強調するような姿勢になり、思わずその綺麗な形に目を奪われてしまった。

 そして、恥ずかしそうに俺を見上げるエリノーラの顔に気づく。

「緊張してるのか?」
「はい……でも、それ以上に期待してます」

 そう言い切る様は普段見知っている伯爵令嬢の顔だった。
 気高さと気品を備えた金髪碧目の美貌の少女ーーエリノーラの偽らざる本質。
 俺の顔だけを映しているその瞳を見て、少し昔のことを思い出した。

 エリノーラはもう忘れているだろう出会いの記憶だ。
 学園に入学する前の話。
 いつものようにティアやレイモンドの待つ平民街へ出かけようと城を抜け出そうとしているときに、背後から声をかけられた。

『ーー王子、ようやく見つけましたよ!』

 そう言って俺の腕を取ってくる幼い少女の声が、あまりにも突然な事だったので、驚いて肩を震わせ顔だけで振り返っていた。

 そして、俺は初めて澄んだ海のように碧い目と視線を交えることになった。
 俺の顔を見て人間違えだと気が付いたのだろう。エリノーラも驚いてしばらく俺たちは見つめ合い、遠くの方で父上が派遣しただろう俺の捜索隊の騎士たちの足音を聞いて我に帰った。

「バレステッドの令嬢だったな。悪いが人違いだ。弟たちなら渡り廊下の方へ御令嬢たちと走って行ったぞ」
「あ、その……」
「すまんが時間がないみたいだ。ここで俺と会ったことは内緒にしておいてくれ」
「ぁ……」

 いまに泣きそうなくらい顔を真っ赤にしていて、後ろ髪を引かれたが、さすがに構っていては見つかって約束に間に合わないと思ってそこで出会いの場面は終了した。

 会話らしい会話もしていない第一接触だったが、それからは遠くで目が合う機会が増えて、弟たちと遊んでいたエリノーラはそのたびに遠くから頭を下げていた。
 弟たちと仲良くしてくれている者だと分かっているので、俺も手を振り答えたが、その関係止まりで、学園に通ってからもそれから進展することはなかった。
 そもそも交流の機会がなかったため、俺はエリノーラの名前すら知らないままお互いを認知していたのだ。

 それが俺が精通したことをきっかけに、こうして今、俺のものになろうとしている。
 そう思えば、この女は俺のために生まれ、運命づけられているように考えてしまう。

 そんなことがないと分かっているのに、エリノーラが向けてくる嘘のない好意を受けていると愛おしさが止まらないのだ。

 今日でたった二度目だ。肉体関係も、会話した時すらそれほど多い数ではないのに、前はただそうしたいからと囁いた「愛してる」よりもずっと愛している。

 俺は右の手のひらに淫紋を浮かべた。赤く光る紋章は子宮を模したハート型を象っている。
 これを今から押し付け、そしてーー普通よりも大量の精液を飲ませなければならない。

 契約に必要な量はただ一度の射精で達成するだろうが、先に言ったように、これはご褒美だ。
 ただ所有物である証を刻みたいがために、この魔法を持ち出したわけじゃない。

「股を自分でひらけ。そのまま手を動かすなよ」
「……はい」

 エリノーラは俺に両手を封じられたままぴっとりと閉じていた足を大きく開き、自らの秘所を曝け出す。
 それから動かないことを確認して拘束していた手を離して、羞恥で真っ赤になったエリノーラの頭を撫でた。

 そしてーー、俺はエリノーラの開いた足の間に移動して、右の手のひらを下腹部の上に待機させた。

「いくぞ」

 合図は一度っきり。
 エリノーラが頷くのを見て、一気に下腹部を強く押し込んだ。

「ぁッ!?」
「さぁ、この淫紋を代償に発動しろ。《紋章烙印/ブランド》ッ!」
「あーーあ”あ”あ”あ”ッ!!!?」

 淫紋が急激な熱を伴って、俺の手から離れた。強く子宮を押し込まれ、そのまま淫紋を刻まれたエリノーラは淑女とかけ離れた獣のような声をあげて、腰を飛び上がらせた。

「なにこれッ、ジルクニール様ッ♡ 助けてッ、いやッ♡ 熱いのッ♡ 痛いのに♡ あ”あ”ッ♡ お、お願いしますッ、おちんちんエリノーラの中に早くッ♡ ズポズポいっぱいかき回して熱いのいっぱいドピュドピュしてくださいッ♡♡」
「ーー……ははッ、エリノーラがこんなに乱れるのか」

 立ち上がろうとするエリノーラの丹田を押し続け、定着させるようにしていると、俺の手を押しのけようと抵抗し始めた。おおよそ普通の女子が出せそうにない怪力が出ている。リミッターが外れたか。

「なんでジルクニール様いじわるするの……ッ♡ エリノーラのこと嫌いになったんですかッ♡ エリノーラのこと嫌いになったらイヤなのぉッ♡」
「大丈夫、愛してるぞエリノーラ。望み通り子宮の中にいっぱい子種を仕込んでやるから少しじっとしてろよ」
「おちんちん♡ 早くおねがいッ♡ イかせて♡ 頭バカになってるのッ♡ もうおちんちんでズポズポされたくてエリノーラのお腹の奥が熱くなるのッ♡」

 正気を失ってる自覚はあるのか。自分のことをエリノーラと呼んでいるところとか可愛いと思うし、これだけ求められては答えるしかないだろう。

 エリノーラが立ち上がれないよう、下腹部を押さえ続けながら立ち上がった肉棒をびちょびちょに濡れた秘所にあてがい、先端を擦り付けるようにして入りやすいように準備する。

 だが、それすら焦らしだと思ったのか、エリノーラの暴れっぷりがもう一段階上がってしまうことになった。

「入れて? 早くおちんちんエリノーラの中に入れてくださいッ♡ なんで意地悪するんですかッ♡ ジルクニール様嫌い♡ ッ♡ うそですッ♡ 大好きですッ♡ 愛してますから早くおちんちんーーおほッ♡ おちんちんッ♡ ズンッて奥までぇ……あはっ♡」

 あまりにも真面目に思えたのでパンッと一気に腰を打ちつけると、エリノーラは情けない顔を晒しながら嬉しそうに全身をピンと伸ばし出した。

「ジルクニール様ッ♡ もっと♡ もっとパンパンって腰動かして?♡ エリノーラと一緒に気持ちよくなって?♡♡」
「ーー可愛すぎるだろッ」
「あ”っ♡ あ”んッ♡ パンパン気持ちいいッ♡ もっとパンパンして♡ あッ♡ あッ♡ エリノーラの赤ちゃんのお部屋♡ どちゅどちゅって潰されて……ッ♡ 好き♡ おちんちん大好き♡ ジルクニール様♡♡」
「くっ、一発目出すぞ!」

 腰を持ち上げ、熱く濡れそぼった蜜壺を精液の捌け口のように使って扱く。
 普段剣術を訓練しているだけあって引き締まった体は俺のイチモツを強く求めてきゅうきゅうと締めつけてくる。
 もう、俺の頭の中にも気持ちよくなることしか無くなって、エリノーラへの気遣いも忘れて自分にとって一番気持ちいい乱暴な腰使いで精子を上らせる。

 パンパンパンパンッーー! ビュッ、ビューッ!!

「あっ♡ あんっ♡ あっ♡ あっ♡ あーーッ♡♡♡」

 エリノーラは射精と同時に強い絶頂を迎えた。
 ビクンビクンと魚が陸に揚げられたとかのように跳ねて、大きく膨らんだ胸をたわませる。

「はぁ……はぁっ……おっと」

 突然の激しい運動で思わず息が上がってしまうが、エリノーラが戻ってくるまで少し休もうと埋め込んだ雄棒を抜こうとすると、がしっ、と背中から押し出す力によろけて、エリノーラの上にのしかかってしまう。

 顔をぶつけそうになる直前に止まったが、どうやらエリノーラが足を回したらしい。
 強く足を巻きつけ、結合部の柔らかな媚肉で俺の膨張した肉棒を押し付けるようにして美味しそうに小刻みに動いて咥えていた。
 かと思えば、ぎりぎりで止まった俺の上体にエリノーラが腕を回して、俺は求められるままにエリノーラを全身の体重でで押しつぶし、胸が潰れる柔らかな感触を直に感じた。

「ジルクニール様、もっとパンパン♡ ビュービューッてしてください♡ んちゅっ♡ あーむ♡ んはぁ♡ 熱いの止まらなくて♡ またさっきみたいに気持ちいいのエリノーラにください♡ ん”んっ♡」
「んむっ? まさか……ちゅッ……これだけ出しても……ちゅぱ……まったく足りていないのか」

 想定外だ。エリノーラの乳首を摘んでひねり絶頂させる。
 まさか淫紋完成までの精子の量を多くしすぎたか?

 パンパンッと腰を振って、絶頂の最中にあったエリノーラを追加で責め立て、密着して舌同士も絡めながら二発目を出す。

「あひっ♡ 気持ちいい♡ でもッ、もっとッ♡ 子種ください♡ エリノーラの子宮にもっといっぱい満たして♡ 足りない♡ あんッ♡ 全然足りないのッ♡」
「ああッ、もっと注いでやる。お前のためにもっといっぱい注いで、早くこの淫紋を完成させてやるからな!」
「あはっ♡ ジルクニール様♡ 子宮の入り口、ぶちゅうって♡ おちんちんといっぱいキスして気持ちいいです♡」
「よし、三度目行くぞ!」
「あ”あ”あ”ッ♡ エリノーラの中、使われてる♡ お腹の中、ジルクニール様のでいっぱい♡ もっと♡ もっとぉ♡♡♡」
「うおっ!?」

 正常位をしていたが、エリノーラの暴走により体位が逆転した。射精している最中だったので途中で抜けてエリノーラの顔にかかるが、そんなことお構いなしにエリノーラは貪欲に俺の立ち上がった雄棒に跨ると、過激に尻を振って自ら性交の音を響かせた。

 パンパンパンパンッ。

「……ッどこから来てるんだその体力は」
「愛です♡ もっとエリノーラに愛の証ください♡ あ♡
あんッ♡ いやなの♡ 切ないの♡ んっ♡ ジルクニール様の精液熱くて気持ちいいのに♡ お腹のじんじんが止まらないのッ♡」

 騎乗位では、さっきの密着した正常位とは違い淫紋が見える。淫紋は淡くピンク色に光っていた。
 量的にはすでに最低限満たしたし、エリノーラの体力を考えても終えてもいい頃合いではある。

 だが、本当の完成はこんなものではないと知っていたし、ましてや妥協したお礼などすべきではない。

「エリノーラ、大丈夫だ。お前の疼きが治るまでずっと付き合ってやる」
「ジルクニール様♡」

 俺は喘ぎ快楽に溺れた顔をするエリノーラの腕を引いてを抱き寄せて唇を奪った。
 さっきとは真逆の体勢で、俺はエリノーラを逃さないよう抱きしめながら、ベッドのスプリングを活かして容赦なく突き上げる。

「ジルッ♡ ク、ニール様♡ んむ♡ ちゅーッ♡ れろ♡
 これッ♡ 気持ちッ、ぃ♡ 好き♡♡♡」
「よし、四発目出すぞー!」




 それから、淫紋の完成は朝までかかった。
 射精回数はなんと38回である。
 今まで一日で多くて5回だったのを考えると、今回だけでティアに中出しした回数を余裕で抜いてしまったことになる。
 エリノーラは淫紋の完成後、催淫を切ると気絶したかのように寝落ちしてしまった。流石に出すばかりで疲れた俺も後始末をしてからさっさと寝ようとしたところ、実はティアも起きていて俺たちの交尾で一睡もできなかったらしい。
 これはもう仕方ないと思い、レイモンドでは小言がうるさいのでテシアに《通信/コール》で今日は休むと伝えてから、何故かまだ立っている肉棒を寂しそうにしているティアのナカに埋めて、心地いい微睡に身を任せた。

 その後エリノーラとのまぐわいがまだ頭から離れないのか、昼過ぎに起きた時、俺は無意識で腰を振っていたらしく、ティアがその下で涙を流しながら快楽に喘いでいた。

 いよいよ、俺の《避妊/リブート》もどうにかしなければならない時が来たようだ。

 そんなふうに思いながら、次なる魔法について頭を巡らせていた。








「もう魔力切れ……」

 紫髪のツインテールが揺れる。
 処女しか着れないローブを靡かせ、手にしていた杖を腰に差した少女はボソッと呟いた。

「……昨日のこと、訊いてみようかな」
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