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番外編
番外編)ラティスの非日常のその後
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*第二王子と妃の夫婦事情
「ザンのばかぁあああ!!」
アリアは涙目でザンの胸を叩きながら文句を言い続けた。ベッドの上で事を終えた直後のことだ。
ザンに抱かれていた最中にラティスが乱入してきたので羞恥心から逃げようとしたのに、ザンはほうっておけとばかりに腰を振るのをやめてくれなかったのだ。しかも、ベッドに移動させられてあれよあれよと第二ラウンドまでイッたのである。
「ううう、恥ずかしい、もうやだ」
「前々からあったんだがな・・・・そういえば、アリアが直接会ったのは初めてか?」
横たわったまま、アリアの髪を梳きながら宥めていたザンがふと思い出すように言えば、アリアは啞然と固まる。どういうこと・・・とアリアが聞けば、ザンはお前が夢中になって気付いていなかっただけでこれまでにも何度かあったぞとトドメを刺してくれやがった。
「うあぁあああ!」
「大丈夫だ。あいつがお前の痴態を思い出すようであれば雷を落とす」
「そういう問題じゃないんですぅううう、解りますか?」
「とはいえ、記憶を消すのはそう簡単ではない・・・ぐっ、痛いぞ」
「ザン、責任を持ってラティスをなんとかして!!」
「なんとかって言われてもな・・・(第一、今雷で追いかけている真っ最中なんだが)」
珍しく困惑しているザンを他所にアリアは舌を出した後、浴室に引っ込んでしまった。逃げられたかとため息をついたザンは目を細めながらシーツを腰に巻いた。
ザンはとりあえずと魔法で散らばった服を集め、一通り着直した。
「・・・シャラ、いるだろう?」
ザンが声を出した直後にシャラがするりと扉からやってきた。アリアを護衛する立場でもある彼女がアリアの家出事件を機にできる限り近くに侍っていることを知っていたザンとしては驚かない。
「はい・・・アリア様はどちらに?」
「とりあえず、ラティスを回収しにいく。あと、あれは風呂だ。溺れないように見張っておけよ」
「かしこまりました」
以前寝落ちして沈んだ過去があるだけに放ってはおけない。
ザンはシャラに後を託して廊下に出た。ラティスは訓練場へと誘導したから今頃は、訓練場で倒れているだろうと足を向ける。
そしてやはりというか、ラティスは訓練場で大の字に倒れていた。
「・・・少しは運動になったか?」
「・・・・・雷・・・容赦ないっスね」
「ここ最近、下らぬことで悩んでいたようだからな」
「よくお気づきで・・・はは」
むっくりと起き上がったラティスに向かう形で座り込んだザンは呆れたようにため息をついた。
「周りがなんと言おうとも、お前の父親が真実を喋ろうとも、アリアは聖女であり、お前はそれを守る立場だ。それがひっくりかえることは決してない」
「・・・・親父が何か言ったんスか?」
「いいや、だが・・・そうだな、時期的にそろそろ伝わるころかとは思っていた」
ザンは心を読めることを告げようかと思ったが、整理しきれていないラティスにはまだ言えないと判断して、単なる推理だと誤魔化す。ラティスはなにかを言いかけたが、迷ったように首を振った。
「・・・ザン様、俺・・・」
「お前は俺が選んだ。それがどういうことかは解っているだろう?うだうだ悩む暇があるなら、アリアにケーキでもプリンでもなんでも与えて機嫌直しでもしておくんだな」
「・・・・・ザン様は、本当にすげーっスね・・・了解しました」
ザンの一言で完全に迷いを無くしたのか、ラティスは随分とすっきりした表情で立ち上がった。同じく立ち上がったザンはラティスが空を見上げるのを見ながら小さく、メンドクサイヤツ・・・と呟いた後、思いだしたようにラティスに釘を刺した。
「ああ、そうだ。解っているだろうが、さっき見たあれは忘れろよ。アリアもお前に顔を合わせる顔がないと泣き喚いていたのでな」
「うっ・・・・は、はい・・・・っス・・・・」
「・・・・・・・・・忘れろ。いいな?」
「ハイっス!」
ザンの珍しい微笑みと裏腹に声が随分と冷たい・・・と思ったのは気のせいじゃないはず。ラティスが体中にビシバシはりついてくる悪寒をなんとか振り払いながら敬礼すると、ザンは満足そうに消えた。
「はー疲れた」
「ザン、ラティスは?」
「ああ。少し訓練場で汗を流してからくるとさ。大丈夫だ、次会う時にデザートでもなんでもおごってくれるだろう」
「・・・・いっぱい注文するわ」
「ああ、好きにやれ」
ぐっと拳を握り締めたアリアの腰に伸びてくる逞しい腕。それがザンのであることは言わずもがなで。アリアは恐る恐るザンを見上げた。もちろん、ザンの目に宿ってる欲情に気付かないはずはなく。
嫌な予感を覚えたアリアは恐る恐る逃げようとするが、ザンの行動はそれより早かった。
「さぁ、やり直しと行こうか・・・ああ、こんなに濡らして・・・厭らしいヤツだな」
「ぎゃああっ・・・・んっ・・・や、中、中に、指っ・・・ああっんぁあああ!」
「せっかくさっぱりと風呂に入ったのに―――――――!」と、アリアの悲鳴がこだました頃、兵舎の方のラティスも冷たいシャワーを浴びながら「俺は何も見ていない、見ていない・・・・・!!」と煩悩を払うべくわけのわからない呪文を唱えていた。
「ザンのばかぁあああ!!」
アリアは涙目でザンの胸を叩きながら文句を言い続けた。ベッドの上で事を終えた直後のことだ。
ザンに抱かれていた最中にラティスが乱入してきたので羞恥心から逃げようとしたのに、ザンはほうっておけとばかりに腰を振るのをやめてくれなかったのだ。しかも、ベッドに移動させられてあれよあれよと第二ラウンドまでイッたのである。
「ううう、恥ずかしい、もうやだ」
「前々からあったんだがな・・・・そういえば、アリアが直接会ったのは初めてか?」
横たわったまま、アリアの髪を梳きながら宥めていたザンがふと思い出すように言えば、アリアは啞然と固まる。どういうこと・・・とアリアが聞けば、ザンはお前が夢中になって気付いていなかっただけでこれまでにも何度かあったぞとトドメを刺してくれやがった。
「うあぁあああ!」
「大丈夫だ。あいつがお前の痴態を思い出すようであれば雷を落とす」
「そういう問題じゃないんですぅううう、解りますか?」
「とはいえ、記憶を消すのはそう簡単ではない・・・ぐっ、痛いぞ」
「ザン、責任を持ってラティスをなんとかして!!」
「なんとかって言われてもな・・・(第一、今雷で追いかけている真っ最中なんだが)」
珍しく困惑しているザンを他所にアリアは舌を出した後、浴室に引っ込んでしまった。逃げられたかとため息をついたザンは目を細めながらシーツを腰に巻いた。
ザンはとりあえずと魔法で散らばった服を集め、一通り着直した。
「・・・シャラ、いるだろう?」
ザンが声を出した直後にシャラがするりと扉からやってきた。アリアを護衛する立場でもある彼女がアリアの家出事件を機にできる限り近くに侍っていることを知っていたザンとしては驚かない。
「はい・・・アリア様はどちらに?」
「とりあえず、ラティスを回収しにいく。あと、あれは風呂だ。溺れないように見張っておけよ」
「かしこまりました」
以前寝落ちして沈んだ過去があるだけに放ってはおけない。
ザンはシャラに後を託して廊下に出た。ラティスは訓練場へと誘導したから今頃は、訓練場で倒れているだろうと足を向ける。
そしてやはりというか、ラティスは訓練場で大の字に倒れていた。
「・・・少しは運動になったか?」
「・・・・・雷・・・容赦ないっスね」
「ここ最近、下らぬことで悩んでいたようだからな」
「よくお気づきで・・・はは」
むっくりと起き上がったラティスに向かう形で座り込んだザンは呆れたようにため息をついた。
「周りがなんと言おうとも、お前の父親が真実を喋ろうとも、アリアは聖女であり、お前はそれを守る立場だ。それがひっくりかえることは決してない」
「・・・・親父が何か言ったんスか?」
「いいや、だが・・・そうだな、時期的にそろそろ伝わるころかとは思っていた」
ザンは心を読めることを告げようかと思ったが、整理しきれていないラティスにはまだ言えないと判断して、単なる推理だと誤魔化す。ラティスはなにかを言いかけたが、迷ったように首を振った。
「・・・ザン様、俺・・・」
「お前は俺が選んだ。それがどういうことかは解っているだろう?うだうだ悩む暇があるなら、アリアにケーキでもプリンでもなんでも与えて機嫌直しでもしておくんだな」
「・・・・・ザン様は、本当にすげーっスね・・・了解しました」
ザンの一言で完全に迷いを無くしたのか、ラティスは随分とすっきりした表情で立ち上がった。同じく立ち上がったザンはラティスが空を見上げるのを見ながら小さく、メンドクサイヤツ・・・と呟いた後、思いだしたようにラティスに釘を刺した。
「ああ、そうだ。解っているだろうが、さっき見たあれは忘れろよ。アリアもお前に顔を合わせる顔がないと泣き喚いていたのでな」
「うっ・・・・は、はい・・・・っス・・・・」
「・・・・・・・・・忘れろ。いいな?」
「ハイっス!」
ザンの珍しい微笑みと裏腹に声が随分と冷たい・・・と思ったのは気のせいじゃないはず。ラティスが体中にビシバシはりついてくる悪寒をなんとか振り払いながら敬礼すると、ザンは満足そうに消えた。
「はー疲れた」
「ザン、ラティスは?」
「ああ。少し訓練場で汗を流してからくるとさ。大丈夫だ、次会う時にデザートでもなんでもおごってくれるだろう」
「・・・・いっぱい注文するわ」
「ああ、好きにやれ」
ぐっと拳を握り締めたアリアの腰に伸びてくる逞しい腕。それがザンのであることは言わずもがなで。アリアは恐る恐るザンを見上げた。もちろん、ザンの目に宿ってる欲情に気付かないはずはなく。
嫌な予感を覚えたアリアは恐る恐る逃げようとするが、ザンの行動はそれより早かった。
「さぁ、やり直しと行こうか・・・ああ、こんなに濡らして・・・厭らしいヤツだな」
「ぎゃああっ・・・・んっ・・・や、中、中に、指っ・・・ああっんぁあああ!」
「せっかくさっぱりと風呂に入ったのに―――――――!」と、アリアの悲鳴がこだました頃、兵舎の方のラティスも冷たいシャワーを浴びながら「俺は何も見ていない、見ていない・・・・・!!」と煩悩を払うべくわけのわからない呪文を唱えていた。
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