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番外編
ハイジ記録①(マスター話番外編)
しおりを挟むにゃあ、僕はハイジ。
いろいろあって、ここのマスターの飼い猫になったにゃ。
ここは『きっさてん』という店にゃ。いろんな人間がやってくるからたくさんつくえやいすがあるにゃ。マスターが仕事中はここにいるにゃ。普段はマスターの家にいるにゃよ。
隠れるのにはこまらないので楽しいにゃ。
マスターはここで、コーヒーという飲み物を売っているにゃ。人気があるのは、気まぐれテザートセットというたまに出てくるおやつにゃ。
「ハイジ、誰としゃべってるの?そこ誰もいないよ?」
くすくすと笑いながら撫でてくれるこの人はマスターにゃ。
倫さんという大学生にゃ。
いろんな人間のことをお客様と呼んで案内したり、飲み物を運んだりする働き者のお姉さんなのにゃ。
「にゃにゃーんにゃーん(今日もアップルパイのにおいがする)」
くんくんとりんごの焼けたにおいがするの。
これはマスターの一番得意なお菓子らしいにゃ。僕は食べれにゃいけれど、とっても美味しそうなにおいでいいなぁ。
「今日も暑いわねぇ・・・ただいま、倫」
「あ、おかえりなさい」
むっ、天敵がやってきたのにゃ。
見た目は人間の雌にゃが、雄なのにゃ。マスターを舐めたり、かじったりするから嫌いなのにゃ!
「シャーッ!!」
「おお、ハイジよ。ごはんはまだだから少し待つのだ。」
違うのにゃーーーーー!!
そりゃ、光の特製ごはんは旨いけれど、それじゃないのにゃ!!
ダンダンと前足で光の足を叩くと、ひらりとスカートが揺れた。揺れる裾に耳をぴくぴくさせて前足を伸ばす。
「スカート気になってるみたいだね、かわいいな。」
「誉めても何もでぬぞ。」
「なんで光をほめる必要があるのさ。可愛いのはハイジだよ・・・」
解っていて冗談を言う光に倫は呆れた顔を向けた。ハイジはというと、うなだれていた。
「うみゃ・・・・(また罠にはまった・・・!!)」
光は敵なのに・・・でも、ごはん美味しい・・・ブラッシング上手、手もおっきくて温かいし・・・トイレ掃除もしてくれる。お店や家にたくさんの道も作ってくれる。
「にゃっにゃーん!!!(敵のくせに甘いっ!!!)」
悔しくなったからマスターのところに行くにゃ!!
マスターの足にすり寄って尻尾を絡めて甘えるのにゃー!!
ゴロゴロと喉をならすと、マスターが抱き上げてほっぺすりすりしてくれる。うにゃーきもちいのにゃー。
「こら、ハイジ。倫にあまり近づくでない。」
眉間にしわを寄せた光がひょいと僕を抱き上げる・・・またこのパターンにゃ。
光は僕が雄と分かったとたん、心が狭くなったのにゃ。だが、ここは僕の勝ちにゃよ。抱きしめられた瞬間、光の肩を伝ってマスターの方へと移動する。ふふ、まだこどもな僕だからこそできることにゃ!
「あっ、こら、ハイジ!」
「にゃにゃーん♪(ふふふっふーん♪)」
「相変わらず仲がいいなあ。」
マスターがふふふと笑っているから僕もつられて鳴いた。光はあきらめたみたいで、リップを塗った口を尖らせている。・・・本当に雄かにゃと疑うぐらい雌にみえるにゃね。
夜寝る時は裸だから雄ってわかったにゃけれど。光はマスターがいないときは裸で寝るにゃ。だから、僕もついつい悪戯でベッドに入り込んでいたずらするにゃ。光の胸に上ってすりすり体を押し付けたり。脇をぺろぺろ舐めたり。ねそべったりするにゃ。でも、光は寝つきがいいからずーっと起きないんにゃよ。
でも、マスターの声や気配を感じると一気に起き上がるにゃ。あれはもう特技にゃね。
起きた時にいたずらのあとをみつけた光は僕をにらみつけてくる。最近はシャワーを浴びてから朝ごはんをつくるようになったにゃ。その時にたまに僕もシャワーを強制的に浴びるはめになるにゃけれど・・・。いたずらはやめないのにゃ!
ふふふーん。
僕のマスターを独り占めしてるからだぞっ!!
僕のいたずらはまだまだ終わらないのにゃ!!
「ほんと、ハイジは光のことが好きだよね。」
「にゃにゃにゃ!?にゃーんっ!(えええっ?全然違うよ!)」
マスターは誤解しまくってるのにゃ!僕は光のことが嫌いなのにゃっ!
もう、ぷんぷんなのにゃ・・・。
「ハイジよ、今日はマグロにするかの?」
「にゃ~~ん♪(ぐっとぉおおお♪)」
「・・・・・・本当に仲がいいなあ。」
ぐぅ・・・・・・ご、ごはんは別腹なのにゃ。
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