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番外編)都様語り

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あたしは水上みずかみ みやこ。三つ子の真ん中っ子。左京が上で、右京が下。だから、兄も弟もいてお得って感じ?
ここんとこは三人でつるんでいたけれど、最近は新しく義姉おねえちゃんになる予定の佳音ちゃんと、その親友の麻友ちゃんと一緒に遊ぶことが増えた。
いやーほんと、この二人に関わって結構変化したことってたくさんあるんだよね。当の二人には全然自覚がないんだけれど(笑)

まずさ、あたしね、右京左京には一番パパに似てるって言われるけれど全然だよ?むしろ、あんたたちの方が性格的にそっくりだよ。だって、ほら、こんなにかわいい乙女だからさ、あんたたちみたいに非情にはなれないのよ・・・そこ、黙れ。
第一、あのお祭りの夜なんて、めっちゃすごかったんだから。あれでもうちょっかい出せるやつっていないんじゃないかなー。

「ごめっ、ん、なさい!」
「もう、許して……!」
「ごめん?許してだと?その程度で解放しているようなら警察なんていらないよな?」

元彼女達のはずなのに、容赦なく頭の髪を掴んで揺さぶってる。ほんと、感情のかけらもない冷たい目・・・久々にみたなぁ。
あ、左京が水をぶっかけちゃった。うわードロドロベタベタ・・・。

「はい、これで涙なんて乾いたよねー?ねー右京、こいつらどうするつもり?」
「あー、警察に突き出すなんて生ぬるいよな」
「うんうん、あの屋台のためにみんなめっちゃ頑張ってたんだよね。この商品だって、佳音ちゃんが一生懸命見本作ってさぁ。ほんと、泣けるよねー」
「つまり、もっと重い罰をってことだな」
「そーわかってるよねー」

うぇーいと笑ってるけど、そいつらめっちゃドンヒキしてるよ?まあ、作為的なんだろうけれど。
何かを考え込んだ後、右京がスマホを取り出し、何やらしゃべり始めた。

「ねー左京。あれ、誰から?」
「都、聞いてるならわかるでしょーギリシャ語ぐらいは勉強してるよねー?」
「やだ、メンドクサ・・・・・・」
「都?」

左京は時々真顔になるとコワイ。翻訳を頼むことを諦めて渋々耳を澄ます。すると、ボロボロになった彼女たちが不安気にしているのが見えたから、心優しいあたしとしては通訳してやらなきゃ!って思ったわけ。

「あ、今のはねー貴方達を引き取ってくれるギリシャの人と話してるのよ」
「えっ」
「心配しなくても、交通費はぜーんぶ右京達が払ってくれるよ。貴方達は自分の身体を惜しみなく現地の人に与えるだけ。あ、大丈夫、行き先はギリシャじゃなくって、アジアのどっかみたいだから言葉も問題ないしね」
「いや・・・・やめ・・・」
「ねぇ、木村さん、島田さん、時枝さん。佐野家ならまだしも、その大事な人に手を出したのが間違いなんだよ~。貴方達は忠告を聞いたその時点で身を引いていれば良かった。ねぇ、これでもかなりの温情なんだよ。いざとなれば貴方達の両親の会社も潰せるんだからさ?」
「うっわ、都……えぐい」
「えーこんなの優しく説明してやってるだけじゃない。ねぇ、別に逃げたってよいのよ。でもね、そうなったらさ、貴方達だけじゃなく周りも潰さなきゃいけないの。わかるよね? 大丈夫、佳音ちゃん達には幸い怪我もなかったから、損害賠償も10倍ぐらい払えばもうあたしたちと関わらずに済むんだよ。支払いを完了させるためにも6か8年ぐらいガンガン腰振って、男達を落としてきてねっ♪」

なぜか一気に泣き出した女性達。
あれ? 
貴方達なんでこんなことでなくの?自業自得ってもんじゃないのかな?
貴方達の家族じゃどう考えても払えないから、貴方達の身体でもすぐに払えるようにって探してくれてるんだよ、右京が。その辺解ってないよね?

あたし、優しいからその辺もしっかりと釘を刺しておいてあげた。

「右京がせっかく丁寧に弁護士まで派遣して貴方達に忠告してあげたのに、それを無視したのは貴方達なんだよ。だからこれは自業自得。ね、おわかりー?」

あ、大学の友達の口調がうつっちゃった☆

説明を丁寧にしていたら、右京の電話が終わったらしく、連れて来ていたマッスルの一部に彼女たちを連れていくように指示し始めた。嗚咽や悲鳴がしばらく止まらなかったけれど、まぁ、虫の鳴き声と思えばいっか☆


「都がいると俺たちのヤバさが薄れるからありがたいな」
「ほんとだよねーいやーありがとね~~」
「解せぬ!? もーいいやーあの2人に癒されてくるもーん、ぷんぷんっ!」

示し合わせたように声を揃えて拝んでくる2人に突っ込みを入れた後、逃げたっけなー。
そういえば、あの時の人たち、今頃どうしてるかなー。頑張って賠償金ためてるのかなぁ。


ぼんやりとしていたら、スマホが鳴った。この着信音は『カノン』にしてあるから、すぐに彼女からだと分かる。

「都ちゃん」
「はいはーい、佳音ちゃん、どうしたのー?」
「ごめんね、あのね、もうすぐ先輩の誕生日でしょう? 何をあげたらいいと思う?」

ああ、うん、正しくはあたし達の誕生日なんだけれど・・・ま、いっか☆
恋する乙女の相談ってことで。でもちょっと寂しいから揶揄っちゃおう。

「右京なら、佳音ちゃんのベビードールで十分じゃない?」
「えええっ、いや、それ恥ずかしいからムリムリ!!!」
「大丈夫だよー、佐野系列のデパートにちゃあんと下着専門店もあるよ。今ならセールでやっすくできるはず。何色にする?」
「えっ・・・し、白・・・はっ、い、いやいや、その手には乗りませんよ?!」

ってか、あたしの作った店だからセールもあたしの気分次第ですぐにできるけれどねー。
ま、彼女はすごく気にしぃな人だから、絶対に言わない。
ちなみに佳音ちゃんが時々敬語になるのはあたしが年上だと気付かれたせいだ。もーそんなの気にしなくていいのに真面目だなー。
そもそも、あたしの義姉ちゃんになるんだしさーもータメ口でよくないー?

「明日、麻友ちゃんと一緒に選ぼうと思ったんだけど、どういうわけか先約があるって嫌そうに言ってた・・・」
「ああ。じゃ、あたしと一緒に行こう?」
「本当?ありがとう、都ちゃん!!」
「どーいたしましてー、うん・・・うん。じゃ、また夜に」

お互いの都合もあり、また夜にということで会話を打ち切った。麻友ちゃんの先約ってのは恐らく、左京と一緒にどっか行くって話なんだろう。あの麻友ちゃんってすごいよね。佳音ちゃんでさえ気づかなかった左京の裏の顏(本性)をひっぺがしてしまったんだから。しかもそれに動じないって・・・うん、佐野家の嫁としてはぴったりだよね。左京がちょっと本気だすわーっていうのもうなずける。
よし、ここはあたしも未来のお姉ちゃん確保のためにもちょこっと頑張るか。

「とりあえず、右京には仕事ガンガンふっちゃおう。で、なきゃ佳音ちゃんとのデートに割り込んできそうだし、それはかわいそうだよねー。なんせ、あのバカのためのプレゼント選びだしなー」

メールを打って、あらゆるところに根回しをしておく。ついでに、右京にも佳音ちゃんとのデートを自慢しておいた。それにくいついた右京から抗議の電話が来るのはこの後すぐ。

「ちょ、待て。俺に仕事を押し付けてそれはないだろう・・・!?」
「佳音ちゃんと付き合ってからガンガン休みとってばっかの右京に言われたくない~」
「それぐらいは許されるだろうが!」
「ふーんふーん、じゃあ、わざわざ夜のオフィスに忍び込んで、佳音ちゃんにOLコスプレさせてガンガン突っ込んでいたアレ、ばっちり監視カメラに映っていたってばらすわ」
「・・・・・・喜んで仕事させていただきます・・おまえ、そういうところが親父似だっていうんだよ・・・・・すいません、すいません、もう言いません」


も―失礼だなー。違うって、それは。だって、コレ、お母さんがお父さんを脅す時の常套句だよ?
あたしはちゃあんとお母さんにも似てるもんねー。
ほんと、2人とも失礼だなー。
こんなに頑張ってるのにー。

明日は佳音ちゃんにいろいろ慰めてもらおうっと!



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