正解は胸の中に

生徒

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君をずっと

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ちょっとだけ、昔話をしたいんだがいいかな? みんなが嫌だって言っても僕はそんなの気にせずにやるんだけどさ。

 それでさ、僕がちょっと前まで半端じゃないくらいコミュ障で、ビビりだった頃を覚えてるかな? だいたいその頃は江桐と喋るきっかけになった衝突事件が始まりだったね。

 でも、僕のコミュ障はそれよりも十年くらい前の小学三年生。僕が八歳の時だったかな。でも、その一学期まではそんなにコミュ障じゃなくてちょっとだけシャイだったんだ。

 僕が吃り症になったきっかけはその小学三年生の時にとある、いじめグループに目をつけられたのが原因だと思う。別に友達も少しは居るしそれに別に対して貧乏とか豪邸に住んでたわけでもない普通なやつだったから、こんなのに目をつけられるなんて思ってもなかった。

 急に僕がクラスで発表とかをしたりすると休み時間にその子達に着いてきてと言われてついて行くと、

 「お前、今日なんで喋ったんだ? 俺さお前のその声嫌いなんだよね。正直いってキモい」

 僕はその言葉と共にサッカーボールさながら、頭に一発トーキックをいれられた。僕は急の出来事に対応出来ずにそのままの地面に転がった。すると周りにいた人たちが僕の姿を見て嘲笑う。

 こんなことは僕が小学生を卒業するまでずっとあった。それで僕の心の中で多分、自分が喋る=殴られるや蹴られる。といったふうに感じていたのだと思っている。

 でも、彼女達と話せるようになった理由は他でも無い、彼女たちが手助けしてくれると言ってくれて自分はひとりじゃないといった安心感があったからなのだと思う。

  だからこそ僕は彼女たちに精一杯恩返しをしなくちゃいけない。


 僕は、夏祭りの会場についた。時計を見ると時計の針はだいたい集合時間の七分前を刺していた。まあ、これならゆっくり行っても五分前には着くかもな。

 そんな気持ちで集合場所に行くと二人の女性が後ろを向いて談笑していた。そう、江桐と菊池だ。彼女らはどちらも少し前までは二人の名前を出すと怒り出すほど一触即発で起爆寸前の爆弾見たいな関係だったのだが、少し前の喧嘩で仲をより戻したそうだ。

 「あ、山田くん。こっちこっち~」

 そうやって手を上にあげてジャンプしているのは江桐 唯華。最近知ったのだがクラスの中では結構モテてる部類の人らしい。それもそのはず、人当たりが良くてかなり面倒見もよくでも、お節介は焼かないという素晴らしい性格を持った人でそして何より可愛いかららしい。

 僕の常識じゃそのくらいの性格の人が普通なんだけどなあと思っていたが、友達曰くこんな常識人はこの学校には片手で数える程しかいない。との事らしい。至極どうでもいい。

 そして、江桐の後ろでもうすでに疲れきった表情をしているのが椎葉 一織。江桐の唯一無二の親友だと思う。彼女はいつものポニーテールではなく、髪をただ下ろしただけのストレートだった。

 「よう、江桐も椎葉ももう来てたんだ。てか、菊池はまだなの?」
 「うん、まだっぽい。でもさっき会場についたってメールが来たからすぐ来ると思う」 
 「そっか、てかさ。椎葉今日は髪の毛下ろしたんだな。結構似合ってるぞ」

 僕がそういうと彼女は完全に疲れきった様子で軽く頭をあげてありがとうと言った。そういえば菊池って人混み苦手なんだっけか。

 そして、僕が来てから数分たった時菊池が来た。それで、何故か菊池だけは私服で着物を着ていなかった。

 「あ、菊池。来たんだ。てか、なんで菊池、着物着てないの? みんなで一生に着よって言ってたのに」
 「ごめん江桐。着物なんて着てたらあと三十分は遅れちゃうところだったよ。それでも良かった?」

 にしても菊池は時間にルーズだなぁと思い携帯を見るとまさかの集合時間ジャストだった。凄いなある意味才能があるんじゃないか。僕がひとりで変なことに感心していると菊池が急に仕切り始めた。
 
 「よーし今からみんなで出店を回ろうかー」

彼女はそう言って疲れきった椎葉の腕をひっぱって歩き始めた。
 そして、僕達は適当にいろんな場所を回り夏祭りを楽しんだ。別に大したことはしてないので端折らせてもらう。
 

そして、僕が帰ろうとすると椎葉が急に僕の袖を掴んできた。
 「どうした? まだしんどいか? 別に家に送るくらいなら問題ないんだけど」
 「いや、大丈夫。それでさ、ちょっとだけ話があるからこっちまで来てくれないかな?」

 そうして連れてこられたのは人通りの少ない通りだった。
 
「どうしたんだ? こんな所に呼び出して」

彼女は軽く頭を振って気合を入れたようにすぅーっと息を吸って僕に言ってきた。


 「あ、あの。私と付き合ってくれませんか?」


 彼女の声は透き通るほどの透明な声だった。でも、僕はこの言葉の重要さがひしひしと伝わってきた。それも、嫌になるほどに。

 人生で数回、人によっては1回しか言わないような、大切な言葉。

 大切であるからこそ面と向かって言わなくちゃいけない言葉。

 だからこそ曖昧にしてはいけない。絶対に白黒を付けなくちゃならない。

 それがどれだけ嫌で辛いことでも。どれだけ悲しまれることでも。

 その一つ一つを僕は紡ぎあわせて僕は彼女に今の本心を語った。泣きそうなほど痛く。辛い言葉を。



 「すみません」
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