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居酒屋じゃないんですか!?

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あの日から2週間くらい、あの日以来忙しいのか迅さんからのラインは来ていない。もしかしたらもう飽きられたのかもしれないがそれはそれでいい。

「ねえねえ、あれからどうなの?彼と遊びに行ってみた?」
「うんん、ラインで電話したくらい」
「どうどう?お遊びとかじゃなくてホントに惚れてるぽい?」
「はいはい、そろそろお昼休み終わるよ」
「えー、教えてく手もいいじゃん」

仕事に戻ろうとしたとき、スマホから通知音が鳴る。

「もしかしたら彼かもね」
「無いって、迅さん最近忙しそうだし午後のお仕事の連絡とかでしょ」

ちらりとスマホを見て飲みかけていた紅茶を吹き出しそうになる。

『お昼休み中かな?』

迅さんからだ、まさか亜子の言ったことが本当になるとは

「本当に彼じゃん、良かったね」
「いい…のかなぁ。とにかく返さなきゃね」

『はい、そろそろ終わりそうですが』
『そっか、じゃあ簡潔に』
『今夜飲みにでも行かない?』

2人きりで飲むのかぁ、襲われたりは…さすがにない…よね。世間体とかあるし


『いいですよ。どこにします?』
『いいお店を知っているんだ、そこに行かない?迎えに行くから』
『わかりました』

飲みか…お酒は弱いけど少し楽しみだな。

「ねえねえ、どうだったの?」
「今夜飲みに行く事になった、まぁお付き合い程度かな?」
「頑張ってね、応援してるよ」

応援だなんて…向こうに気がそんなにあるわけでも… いや、ない人を飲みには誘…うのかなぁ?

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その日の仕事を終わらせオフィスビルを出る。その事をラインで言うとすぐに彼が乗る車が来る。わかりやすく高級車だったので降りる前から察しがついた。

「待った?」
「いえ、そこまでです」
「そうか、良かった。さぁ、外は寒いし早く乗りなよ」
「ですね。今日はお願いします」
「任せてよ」

彼の車の後部座席に乗り込む。フカフカしていて座り心地がよい。暫く走っていると目的地に着いたのか車が止まる

「ここからは歩きなんだ。ごめんね」
「迅さんが謝る事じゃないですよ」
「そう言ってくれると助かるよ、さぁ、早く行こうか」

迅さんはそう言うと私の手を取る、彼の男らしいゴツゴツとした手の熱を肌で感じる。
正直ドキッとした。永遠にも感じる時間は数十分で終わりお店に着く。

そこは恐らく居酒屋ではなく割烹料理店、高級居酒屋程度と思っていた私に衝撃が走る

「ここだよ」
「わっ私やっぱり…」
「大丈夫大丈夫、今日誘ったのは僕だし全部奢るよ」
「そうじゃなくて…」

そこじゃないんです迅さん、こんないい店気が引けるんですよ…

「そこじゃなくてですね、気が引けちゃうというか…」
「全然大丈夫だよ、僕の連れって言ったらそこまで言われる事は無いはずだから」
「そうなんですね、わかりました。とういう所は初めてですが頑張ります」

また彼に手を引かれ店の中に入る。中はイメージ通りの高級店らしい落ち着いた内装。個室に通され席に座る

「お酒はどれくらい飲めるかな?」

私はお酒はとても弱く、少し飲んでしまうだけで酔ってしまうのだ。

「実は弱くて…」
「大丈夫だよ、お酒を出されてもあんまり飲まなくてもいいから。お店の方には僕が言っておくよ。ごめんね、先に聞いておくべくだった」
「いえ、迅さんのせいじゃないですよ」

その後はどこか変な空気になってしまい会話が無くなってしまう。こんな空間でスマホをいじる度胸も無いのでこれまた永遠にも感じる時間が過ぎる。

しかし幸いすぐに最初の料理が運ばれてきたので空気は幾分かマシになった

「じゃあ頂こうか、いただきます」
「いただきます」

美味しい、今まで食べたどの料理よりもおいしいかもしれない。

「そう?」
「美味しいです」
「よかった、誘った甲斐があったよ」

その後も色々な料理に舌鼓を打った私達。結局お酒はいっぱいも飲むことが無かった、彼なりに気を使ってくれたのだろう、助かる。

コース料理を食べ終えこの二人きり飲み…いや、食事会?はお開きになる。

「それじゃあ今日はこれでお開きだね。帰りの足はタクシーを取っといたから、勿論その金も俺持ちだから安心してね」
「ありがとうございます、その…」
「どうかした?」
「今日、楽しかったです。その…また今度一緒に行きませんか?」

彼の顔がパァ…と明るくなる。前から思っていたが犬っぽい人だなぁ。可愛い

「勿論、奏さんのお誘いならどんなに忙しくても時間取るからいつでも気軽に連絡してきてね」
「はい、でも忙しいときは仕事を優先してくださいね」
「分かったよ。それじゃ」
「さようなら」

帰りの車に揺られながら今日の事を思い出す。少し…胸がキュンキュンして、ドキドキする。この気持ちは…恋なのかな?
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