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27 虹色の結界①
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(私に聖魔力を授けた神様! いるのならカイルを救って!)
手で包み込むように蓋を開け、ゆっくりと自分の体に魔力を取り込んでいく。カイルに魔力を流された時とはまったく違う熱い魔力が、私の体をビクリと震わせた。
(なにこれ……すごい!)
まるで全身が心臓になってしまったみたいだ。ドクドクと激しく鼓動し、急激に増えた魔力がまるでマグマのように体中を暴れまわっている。
「う……うう」
「カイル、もう少し、だから……まって、て……」
(苦しい……! でもあと少し。あと少しで魔力を流せる……!)
必死に体の奥から湧き出てくる魔力を受け止めていると、少しずつ流れが穏やかになってきた。私はそれをゆっくりと手のひらに集めていき、そして一気にカイルの体に流していった。
「うあ……っ!」
私の魔力が熱いのだろう。カイルは身をよじらせながら苦しそうに叫んでいる。でもこれしか方法はない。私はつらそうな彼を抑え込むように、魔力を流していく。
「カイル、頑張って……!」
流した魔力がカイルの体を満たしていき、やがて頭の天辺から足の指先まで届いた。彼の体は薄く虹色に光り始め、みるみるうちに顔色が良くなっていく。荒かった呼吸も少しずつ穏やかになっていった。
(さっきまであんなに青白かったのに……良かった!)
「サ、サクラ……」
「カイル! ラクになった?」
カイルが薄く目を開け私を見つめている。汗をぐっしょりかいてまだつらそうなのに、彼はよろよろと起き上がった。あわてて背中を支え近くの木に寄りかからせると、カイルはふうっと大きく息を吐きほほ笑んだ。
「……かなり良くなった。ありがとう。サクラのおかげだ」
「それは違うよ! カイルのおかげなの。カイルが持っていたネックレスに私の魔力が入ってて……」
「サクラの魔力? あの小瓶に入っていたのか? いや、その前にサクラ! さっきからずっと君の魔力が体からあふれていいるが、大丈夫なのか?」
「えっ? ああ! 本当だ! なにこれ!」
あわてて自分の体を見てみると、魔力が勝手にあふれ出していた。私の体全体が虹色にキラキラと光り、浄化もしていないのに「聖気」になって空に飛んでいっている。
「わああ! これどうしたらいいの?」
「止めることはできるか? サクラは魔力がなくても平気みたいだが、これは異常すぎる」
「わかった! やってみるね!」
たしかに体調が悪くなることはないけど、ここまで魔力があふれると何か起こりそうで怖い。
(でも魔力ってどうやって止めるの? やったことないんだけど……)
しかたなく私は水道の栓を締めるイメージで、あふれる魔力を抑え込もうとした。
「少し収まってきたぞ」
「でも、カイル。これ、ちょっと無理かも……」
魔力を止めていると、まるで熱いお風呂に入り続けているみたいにつらい。汗が一気に吹き出し頭がクラクラしてくる。案の定、提案したカイルでさえ止め始めた。
「サクラ! 顔が真っ赤だ。一度魔力を出したほうがいい!」
「ううう……そうする……」
私は丸く縮こまっていた体を伸ばし立ち上がった。そして両手を上げ、せき止めていた魔力を一気に解放する。
「ぷはっ!」
それは一瞬のこと過ぎて、最初なにが起こったのかわからなかった。聖気になった魔力が竜巻のようにグルグルと回り始め、そして一気に空に飛んでいく。
「あ、ヤバい!」
「これは……!」
大きな塊になった虹色の玉がまるで彗星のように線を描き、一直線に結界に向かって飛んでいっている。キラキラと光の粒を撒き散らし登っていくその光景を、私とカイルはなすすべもなく呆然と見ていた。
手で包み込むように蓋を開け、ゆっくりと自分の体に魔力を取り込んでいく。カイルに魔力を流された時とはまったく違う熱い魔力が、私の体をビクリと震わせた。
(なにこれ……すごい!)
まるで全身が心臓になってしまったみたいだ。ドクドクと激しく鼓動し、急激に増えた魔力がまるでマグマのように体中を暴れまわっている。
「う……うう」
「カイル、もう少し、だから……まって、て……」
(苦しい……! でもあと少し。あと少しで魔力を流せる……!)
必死に体の奥から湧き出てくる魔力を受け止めていると、少しずつ流れが穏やかになってきた。私はそれをゆっくりと手のひらに集めていき、そして一気にカイルの体に流していった。
「うあ……っ!」
私の魔力が熱いのだろう。カイルは身をよじらせながら苦しそうに叫んでいる。でもこれしか方法はない。私はつらそうな彼を抑え込むように、魔力を流していく。
「カイル、頑張って……!」
流した魔力がカイルの体を満たしていき、やがて頭の天辺から足の指先まで届いた。彼の体は薄く虹色に光り始め、みるみるうちに顔色が良くなっていく。荒かった呼吸も少しずつ穏やかになっていった。
(さっきまであんなに青白かったのに……良かった!)
「サ、サクラ……」
「カイル! ラクになった?」
カイルが薄く目を開け私を見つめている。汗をぐっしょりかいてまだつらそうなのに、彼はよろよろと起き上がった。あわてて背中を支え近くの木に寄りかからせると、カイルはふうっと大きく息を吐きほほ笑んだ。
「……かなり良くなった。ありがとう。サクラのおかげだ」
「それは違うよ! カイルのおかげなの。カイルが持っていたネックレスに私の魔力が入ってて……」
「サクラの魔力? あの小瓶に入っていたのか? いや、その前にサクラ! さっきからずっと君の魔力が体からあふれていいるが、大丈夫なのか?」
「えっ? ああ! 本当だ! なにこれ!」
あわてて自分の体を見てみると、魔力が勝手にあふれ出していた。私の体全体が虹色にキラキラと光り、浄化もしていないのに「聖気」になって空に飛んでいっている。
「わああ! これどうしたらいいの?」
「止めることはできるか? サクラは魔力がなくても平気みたいだが、これは異常すぎる」
「わかった! やってみるね!」
たしかに体調が悪くなることはないけど、ここまで魔力があふれると何か起こりそうで怖い。
(でも魔力ってどうやって止めるの? やったことないんだけど……)
しかたなく私は水道の栓を締めるイメージで、あふれる魔力を抑え込もうとした。
「少し収まってきたぞ」
「でも、カイル。これ、ちょっと無理かも……」
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「これは……!」
大きな塊になった虹色の玉がまるで彗星のように線を描き、一直線に結界に向かって飛んでいっている。キラキラと光の粒を撒き散らし登っていくその光景を、私とカイルはなすすべもなく呆然と見ていた。
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