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公務・都市開発部 瀬良弘一
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佳奈子とのそもそもの約束の時間は七時だったが、それを瀬良に伝えると
「僕はもっと早くても良いですよ・・・何だったら二人で先に六時半から始めちゃいますか」
と、この流れになった。
瀬良弘一は入行が東郷の三年後輩だった。
東郷たちは飲み始めるや否や、このようにまずはお互いの大学キャンパスに近かったラーメン屋談議で盛り上がった。
瀬良は早稲田出身だった。
大学時代はゴルフ同好会に所属していた。
同好会と言っても、彼の組織は準体育会と言われるくらい、男子も女子も上級者が集まっている有名クラブだった。もちろん大学公認の団体。よって、他大学との試合の時は大学名を語って実施することができていた。
彼の叔父さんがゴルフ練習場を経営していた関係から、瀬良は高校の時すでに本格的にこのスポーツに取り組んだ。さらにその時はもう競技会を意識していたらしく、高校三年では六回もスコア80を切っていた。
一般入試を突破して、この実績を持って入学した学生ゴルファーは、早稲田全体を見渡してもそう多くはなかった。
本人いわく、「大学時に、あと平均で3つスコアを縮めていたら『関東アマ選手権』にも出場できていましたよ」と。
ゼミにもちゃんと入り、学問との文武両道を実践していた彼には
「けどそれは無理でした・・ははは」ということだった。
そして銀行入社後は、東郷が勤務していた高谷支店の隣の新庄支店に配属されたことから、二人は合同会議やゴルフ会などで懇親を深めた間柄であった。
「じゃあ、東郷さんは味噌ラーメンがイチ押しなんですね」
「ん・・・でも実はそうじゃないんだな。喜多方ラーメンだよ、あの醤油ベースの」
「なんですかそれって?九州人失格っすよ」
そう言って笑った。彰司もつられて(そうかもしれないな)と大笑いした。
しばらくして話は仕事のことに移った。
「お互い新規の融資案件を必死で追っかけていたな、五年前は。毎月末になると、目標数字に届かなくて胃がきりきり痛んだものだ」
「東郷さんは、今は本部の広報部だからいいですけど、同じ本部組織でも私がいる部署は数字を背中にしょって動いているので、その苦しみからはまだ逃れられませんよ」さらに、
「そう言やあの支店当時は、癖のある上司たちに結構悩まされていたなぁ・・・今はそれが無い分ずっと楽ですけど、はは・・」
つらい駆け出し当時の思い出のはずだろうが、瀬良は結構明るくそう言ってのけた。
そう言う彼は現在、本店の公務・都市開発部に所属して、県や市・町が絡む案件を専門に担当していた。
瀬良の言う数字というのは、例えば、都市再開発などに絡んで福岡市が設立し実務を行う第三セクターの情報をいち早く収集し、そこが金融機関から調達する事業資金を西都銀行が他銀行に先んじて融資すること、また一方で、市や大きな町レベルでは西都銀が「指定金融機関」のステイタスを取得し、公金取引(税の収納業務)のパイプをどれだけ増やせるかなどが勝負どころであった。
「あの時の新庄支店には誰がいたっけ、そんな癖のある上司って」
「色々いたけれど、筆頭は飯塚さんですよ、当時は副支店長をやってた・・・」
「飯塚さん?・・ああ、あの人か」
「僕はもっと早くても良いですよ・・・何だったら二人で先に六時半から始めちゃいますか」
と、この流れになった。
瀬良弘一は入行が東郷の三年後輩だった。
東郷たちは飲み始めるや否や、このようにまずはお互いの大学キャンパスに近かったラーメン屋談議で盛り上がった。
瀬良は早稲田出身だった。
大学時代はゴルフ同好会に所属していた。
同好会と言っても、彼の組織は準体育会と言われるくらい、男子も女子も上級者が集まっている有名クラブだった。もちろん大学公認の団体。よって、他大学との試合の時は大学名を語って実施することができていた。
彼の叔父さんがゴルフ練習場を経営していた関係から、瀬良は高校の時すでに本格的にこのスポーツに取り組んだ。さらにその時はもう競技会を意識していたらしく、高校三年では六回もスコア80を切っていた。
一般入試を突破して、この実績を持って入学した学生ゴルファーは、早稲田全体を見渡してもそう多くはなかった。
本人いわく、「大学時に、あと平均で3つスコアを縮めていたら『関東アマ選手権』にも出場できていましたよ」と。
ゼミにもちゃんと入り、学問との文武両道を実践していた彼には
「けどそれは無理でした・・ははは」ということだった。
そして銀行入社後は、東郷が勤務していた高谷支店の隣の新庄支店に配属されたことから、二人は合同会議やゴルフ会などで懇親を深めた間柄であった。
「じゃあ、東郷さんは味噌ラーメンがイチ押しなんですね」
「ん・・・でも実はそうじゃないんだな。喜多方ラーメンだよ、あの醤油ベースの」
「なんですかそれって?九州人失格っすよ」
そう言って笑った。彰司もつられて(そうかもしれないな)と大笑いした。
しばらくして話は仕事のことに移った。
「お互い新規の融資案件を必死で追っかけていたな、五年前は。毎月末になると、目標数字に届かなくて胃がきりきり痛んだものだ」
「東郷さんは、今は本部の広報部だからいいですけど、同じ本部組織でも私がいる部署は数字を背中にしょって動いているので、その苦しみからはまだ逃れられませんよ」さらに、
「そう言やあの支店当時は、癖のある上司たちに結構悩まされていたなぁ・・・今はそれが無い分ずっと楽ですけど、はは・・」
つらい駆け出し当時の思い出のはずだろうが、瀬良は結構明るくそう言ってのけた。
そう言う彼は現在、本店の公務・都市開発部に所属して、県や市・町が絡む案件を専門に担当していた。
瀬良の言う数字というのは、例えば、都市再開発などに絡んで福岡市が設立し実務を行う第三セクターの情報をいち早く収集し、そこが金融機関から調達する事業資金を西都銀行が他銀行に先んじて融資すること、また一方で、市や大きな町レベルでは西都銀が「指定金融機関」のステイタスを取得し、公金取引(税の収納業務)のパイプをどれだけ増やせるかなどが勝負どころであった。
「あの時の新庄支店には誰がいたっけ、そんな癖のある上司って」
「色々いたけれど、筆頭は飯塚さんですよ、当時は副支店長をやってた・・・」
「飯塚さん?・・ああ、あの人か」
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