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第76夜 心霊CD

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学生の頃、あるインディーズバンドのCDに霊の声が入っていると話題になりました。
そのCDには、声が入っているものと入っていないものがあり、私が買ったものには入っていませんでしたが、クラスメイトのIちゃんは、CDに声が入っていたと得意げに話していました。
どんな声が入っていたのか、Iちゃんに訊くと
「曲の最後に女の声で『許さない』って入ってた」
と教えてくれました。
IちゃんはそのCDを学校に持ってきていたので、その日の放課後に皆で聴いてみることにしました。

放課後、教室のCDラジカセにCDをセットし、先生にバレないように小さな音で流してみました。
最初は私が持っているCDと同じ曲だったのですが、だんだんと曲調がゆっくりになっていき、ボーカルの声がまるでお経のように低くなっていきました。
すると、Iちゃんが急に泣き出しました。
「家で聴いたのと全然違う……。こんなじゃなかった!怖いからもう止めよ!」
Iちゃんは泣きながら停止ボタンを押しました。
しかし、何度停止ボタンを押しても曲は止まりません。
それどころか、小さめの音で聴いていたはずなのに、いつの間にか音は教室中に響き渡るほど大きくなっていました。
「いや!」
Iちゃんは叫んで、CDラジカセのコードを引き抜きました。
しかし、電源の付いていないCDラジカセからは音が鳴り続けます。
Iちゃんは泣き叫びながら、CDラジカセを床に叩き付けました。
ガシャーン!!と凄い音がして、衝撃でCDラジカセからCDが飛び出し、音楽は止まりました。
皆がその場に固まっていると、叩き付けられて少し凹んだCDラジカセのスピーカーから声が聞こえました。

『許さない』
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