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第55夜 エアコン
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僕は若い頃、俳優を目指しており、とても貧乏だったので、家賃の安い部屋を探していました。
そんな時、同じ劇団に入っていた仲間から
「事故物件がいいぞ」
と教えてもらいました。
僕は幽霊など全く信じていなかったので、早速不動産屋に行き、事故物件を紹介してもらいました。
その部屋は同じアパートの別の部屋と比べて明らかに値段が安く、理由を聞いたところ、
「前の住人の方が室内で病死されています」
とのことでした。
自殺だったら少し気持ち悪いと思っていましたが、病死ならと思ってその部屋に住むことを決めました。
部屋は6畳の1Kで、きれいにリフォームされていて、新品のエアコンまで付いていました。
嫌な感じが全くしないその部屋を気に入り、私はラッキーだったと思っていました。
しかし、異変は起こります。
ある夏の日、帰宅すると、エアコンが起動していることに気が付きました。
節約の為に本当に暑くて耐えられない時にしかエアコンは使用しておらず、その時は何かの誤作動かなとしか思いませんでした。
ところが、同じようなことが何度も続くのです。
僕は、電気代もかかるので、家を出る時にはコンセントからプラグを抜くようになりました。
これでもう大丈夫だろうと思った矢先、いつものように家に帰ると、ドアを開けた瞬間にとても涼しい空気を感じました。
まさかと思ってエアコンを見ると、コンセントにプラグが刺さり、エアコンが起動していたのです。
僕はすぐに大家さんと警察に連絡し、調べてもらいましたが、部屋に侵入された形跡はなく、エアコンのプラグからも僕以外の指紋は出ませんでした。
またおかしなことがあったらすぐ連絡するようにと言って警察の人たちが帰った後、部屋に2人きりになった時に大家さんに言われました。
「前の住人の方がこの部屋で亡くなっているのは知ってるよね?」
僕が
「はい。病死だったと聞いてますけど」
と答えると、大家さんは
「病死って言ってもね、死因は熱中症なのよ。この部屋のエアコン、新品でしょ?あんなことがあったから、あなたが入る前に取り付けたの。きっと、あなたのこと心配してるのね。自分と同じ道を歩まないように」
と言いました。
その時、
「ピッ」
と音がして、切っていたはずのエアコンが起動しました。
僕と大家さんはエアコンの前で手を合わせ、前の住人の方のご冥福をお祈りし、それからは勝手にエアコンが起動することはなくなりました。
そんな時、同じ劇団に入っていた仲間から
「事故物件がいいぞ」
と教えてもらいました。
僕は幽霊など全く信じていなかったので、早速不動産屋に行き、事故物件を紹介してもらいました。
その部屋は同じアパートの別の部屋と比べて明らかに値段が安く、理由を聞いたところ、
「前の住人の方が室内で病死されています」
とのことでした。
自殺だったら少し気持ち悪いと思っていましたが、病死ならと思ってその部屋に住むことを決めました。
部屋は6畳の1Kで、きれいにリフォームされていて、新品のエアコンまで付いていました。
嫌な感じが全くしないその部屋を気に入り、私はラッキーだったと思っていました。
しかし、異変は起こります。
ある夏の日、帰宅すると、エアコンが起動していることに気が付きました。
節約の為に本当に暑くて耐えられない時にしかエアコンは使用しておらず、その時は何かの誤作動かなとしか思いませんでした。
ところが、同じようなことが何度も続くのです。
僕は、電気代もかかるので、家を出る時にはコンセントからプラグを抜くようになりました。
これでもう大丈夫だろうと思った矢先、いつものように家に帰ると、ドアを開けた瞬間にとても涼しい空気を感じました。
まさかと思ってエアコンを見ると、コンセントにプラグが刺さり、エアコンが起動していたのです。
僕はすぐに大家さんと警察に連絡し、調べてもらいましたが、部屋に侵入された形跡はなく、エアコンのプラグからも僕以外の指紋は出ませんでした。
またおかしなことがあったらすぐ連絡するようにと言って警察の人たちが帰った後、部屋に2人きりになった時に大家さんに言われました。
「前の住人の方がこの部屋で亡くなっているのは知ってるよね?」
僕が
「はい。病死だったと聞いてますけど」
と答えると、大家さんは
「病死って言ってもね、死因は熱中症なのよ。この部屋のエアコン、新品でしょ?あんなことがあったから、あなたが入る前に取り付けたの。きっと、あなたのこと心配してるのね。自分と同じ道を歩まないように」
と言いました。
その時、
「ピッ」
と音がして、切っていたはずのエアコンが起動しました。
僕と大家さんはエアコンの前で手を合わせ、前の住人の方のご冥福をお祈りし、それからは勝手にエアコンが起動することはなくなりました。
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