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第41夜 人形
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その市松人形は同居していた祖母の部屋にありました。
祖母はその人形をとても可愛がっていて、毎日髪を櫛でとかしてあげて、手作りした着物を着せ替えてあげていました。
当時幼稚園児だった私は、人形を子ども役にしておままごとをして遊んでいたのを覚えています。
「この子は私の妹なんや。寂しがるから遊んであげてなぁ」
それが祖母の口癖でした。
ある日、いつものように人形で遊んでいると
「もしおばあちゃんが死んだら、その人形を棺に入れるんよ。ええな?」
と祖母に言われました。
おばあちゃん子だった私は
「死ぬなんて言わんでよ」
と言いましたが、
「ごめんなぁ。おばあちゃんもう年寄りやから。絶対入れてな。頼んだで」
と祖母は悲しそうな顔をするだけでした。
その数日後、祖母は心臓の病で入院し、手術も受けましたが、1ヶ月ほど後に帰らぬ人となりました。
お葬式の日、私は人形を抱いて、祖母の棺の前に立ちつくしていました。
棺に人形を入れてあげなければと思っていましたが、人形を祖母の形見のように感じ、入れるのを躊躇っていたのです。
すると、母に
「それ、おばあちゃんのお人形でしょ?」
と訊かれ、私は咄嗟に
「おばあちゃんが死んだら、このお人形を私にくれるって言ってたの」
と嘘をついてしまいました。
結局、人形は棺に入れることはなく、私のものとなりました。
約束を破ってしまい、申し訳ない気持ちになりましたが、人形があると祖母のいない寂しさが薄れていくようでした。
しかし、異変は起こります。
人形の髪が伸び始めたのです。
最初は気のせいだと思いましたが、肩までだった髪が腰まで伸びる頃には気味悪さを感じるようになりました。
私は両親に相談し、人形をお寺に預けることにしました。
人形を見た住職さんは
「これは人毛を使ってるね」
と言いました。
すると、父が
「はい。私の母の妹の遺髪を使っているそうです。たしか7歳で亡くなったと聞いたような……」
と答えました。
その時は「遺髪」の意味が分からず、家に帰る車の中で母に意味を聞いてゾッとしました。
祖母はその人形をとても可愛がっていて、毎日髪を櫛でとかしてあげて、手作りした着物を着せ替えてあげていました。
当時幼稚園児だった私は、人形を子ども役にしておままごとをして遊んでいたのを覚えています。
「この子は私の妹なんや。寂しがるから遊んであげてなぁ」
それが祖母の口癖でした。
ある日、いつものように人形で遊んでいると
「もしおばあちゃんが死んだら、その人形を棺に入れるんよ。ええな?」
と祖母に言われました。
おばあちゃん子だった私は
「死ぬなんて言わんでよ」
と言いましたが、
「ごめんなぁ。おばあちゃんもう年寄りやから。絶対入れてな。頼んだで」
と祖母は悲しそうな顔をするだけでした。
その数日後、祖母は心臓の病で入院し、手術も受けましたが、1ヶ月ほど後に帰らぬ人となりました。
お葬式の日、私は人形を抱いて、祖母の棺の前に立ちつくしていました。
棺に人形を入れてあげなければと思っていましたが、人形を祖母の形見のように感じ、入れるのを躊躇っていたのです。
すると、母に
「それ、おばあちゃんのお人形でしょ?」
と訊かれ、私は咄嗟に
「おばあちゃんが死んだら、このお人形を私にくれるって言ってたの」
と嘘をついてしまいました。
結局、人形は棺に入れることはなく、私のものとなりました。
約束を破ってしまい、申し訳ない気持ちになりましたが、人形があると祖母のいない寂しさが薄れていくようでした。
しかし、異変は起こります。
人形の髪が伸び始めたのです。
最初は気のせいだと思いましたが、肩までだった髪が腰まで伸びる頃には気味悪さを感じるようになりました。
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人形を見た住職さんは
「これは人毛を使ってるね」
と言いました。
すると、父が
「はい。私の母の妹の遺髪を使っているそうです。たしか7歳で亡くなったと聞いたような……」
と答えました。
その時は「遺髪」の意味が分からず、家に帰る車の中で母に意味を聞いてゾッとしました。
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