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第17夜 ブラック企業
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数年前まで、私はブラック企業に勤めていました。
サービス残業は当たり前、上司からのパワハラもあり、心身共に疲れ果てていました。
ある年、とてもやる気のある若い新人S君が新卒採用で入社してきました。
毎日誰よりも早く出社して、一番最後まで残って仕事をしており、会社に寝泊まりしているんじゃないかという噂もあるほどでした。
彼が入社して2年目の12月の寒い朝のことでした。
昼までに県外のクライアントのもとへ出張に向かう予定だった私は、大切な資料を会社に忘れていたため始発で会社に向かいました。
朝の5時半だったので、まだ誰もいないだろうと思っていましたが、オフィスの鍵が開いていることに気が付きました。
明かりのついていないオフィスの中を覗くと、パソコンが1台起動していて、そこだけぼんやりと明るくなっていました。
パソコンの前にはS君が座っており、ぼーっとパソコンの画面を見つめていました。
「S君、こんな時間にどうしたの?大丈夫?」
と声をかけましたが、S君は顔を上げることすらせず、無反応でした。
相当疲れているのかなと思いましたが、新幹線の時間が迫っていたので
「あんまり無理すんなよ。何かあったら相談に乗るぞ」
と声をかけ、オフィスを後にしました。
その日の夜、出張先から会社に戻ると、S君が亡くなったと聞かされました。
S君は自宅近くの踏切で電車の前に飛び込み、即死だったそうです。
私はS君の死を教えてくれた同僚に
「今朝、S君と会社で会ったんだけど、様子が少しおかしかったんだよ。あの時もっとちゃんと声をかけておけば……」
と言いました。
すると同僚は驚いた顔で、
「何言ってんだよ。S君、昨日の夜、終電に飛び込んだんだぜ?」
私はそれからすぐに会社を辞めましたが、元同僚の話では、たまにS君が座っていた席のパソコンが勝手に起動しているそうです。
サービス残業は当たり前、上司からのパワハラもあり、心身共に疲れ果てていました。
ある年、とてもやる気のある若い新人S君が新卒採用で入社してきました。
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彼が入社して2年目の12月の寒い朝のことでした。
昼までに県外のクライアントのもとへ出張に向かう予定だった私は、大切な資料を会社に忘れていたため始発で会社に向かいました。
朝の5時半だったので、まだ誰もいないだろうと思っていましたが、オフィスの鍵が開いていることに気が付きました。
明かりのついていないオフィスの中を覗くと、パソコンが1台起動していて、そこだけぼんやりと明るくなっていました。
パソコンの前にはS君が座っており、ぼーっとパソコンの画面を見つめていました。
「S君、こんな時間にどうしたの?大丈夫?」
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