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鳳未来斗
魔法少女
しおりを挟む魔法少女になる未来斗の話
何となく真冬もいます
ーーー
(未来斗side)
「もう疲れた、未来斗…ちょっといい?」
何やら疲れた様子の海斗に呼ばれて、行ってみたら謎の杖を渡された。
「海斗?…なにこれ、魔法のステッキみたいな?」
なんなんだろうと暗い赤のような色で作られたステッキを見つめる。
先端には細い金具で作られたようなハート、その付け根あたりには真ん中にガーネットがつけられた大きな赤いリボン。
雑貨屋に売っていそうな、細かい装飾の施されたステッキ。
「それ、ちょっと可愛い感じで振ってくれないか?『まじかるじゅえりー まじかるガーネット』って唱えて」
「え、やだ、」
何その売れない魔法少女漫画みたいな呪文………
「なんでっ、なんでっお願いっお願いお願いっ」
「っが多いな………」
とりあえず海斗が勉強疲れしてるのはよく分かる。
(疲れすぎて壊れるとこうなるんだよな………)
出来れば海斗のお願いは聞いてあげたい、けど、
「だって海斗さ……この前も俺にプリミュアのコスプレ(かわいい生き物達)させたじゃん………また魔法少女系のコスチューム増やすつもりかよ………」
「何個あってもいいだろ別に、可愛いし!!」
「レパートリーが多いと定着しないしパロディでどれ描けばいいか分かんないじゃん!!」
なんてよく分からない言い争いはさておき、
「……だめ、?」
「っ……!」
いつも通り甘えた海斗が可愛くて堕ちました(茶番)
「ま……まじかるじゅえりー…まじかるガーネットッッ!!!」
また精一杯の高くて可愛い声を出した。
「……、これでいい?」
「うん……流石兄さんお手製の魔法ステッキ……可愛い、似合ってる」
「あ、これ海斗のお兄さんが作ったんだ……」
呪文を唱えて、少ししてから、
「……もうやらないか……、……ら?」
途端にステッキの先端部分が光った。
「え……!?なにこれ、」
風のような光が眩しくて思わず目を瞑った。
包まれるような、温かい感じ。
目を閉じて、数秒経ってようやく目を開く事が出来た。
「……ん、」
足がスースーする感覚、腰に髪の毛のような何かが当たっている感覚。
ゆっくりと目を開くと、自分の容姿が変わっていた。
「…………へ?」
腰まで伸びたロングツインテール、ツーサイドアップに見えなくもないボブカット。
セーラー襟についた大きな赤いリボンに、ふわふわなスカート、袖に大きなフリルのついたオフショルダーのトップス。
背中についた二重の大きなリボン、靴は茶色いブーツ。
「なに……これ、」
女体化……?してた。
「おぉ……ちゃんと変身できる仕様に……!」
「えっえっえっなにこれ」
シンプルに恥ずかしい。
「か……海斗!!何したんだよ戻せ!!」
「それ作った兄さんがもうイギリス帰っちゃったしなぁ……」
「電話でも何でもすればいいじゃん……、」
嫌すぎるこんな格好…………!!
「でも可愛いな!女体化…?一応体型は女の子らしくなってるけど……」
「あ…えっと、……それはそうなんだけど……ちょっと失礼」
海斗に背を向けてスカートをたくしあげた。
そしてパニエの中を覗くと、
「……あ、やっぱりツイてる」
……ここは男だった。
「何ついてるの気になる見せて」
「ちょっとうるさい……、…でもこれ魔法少女ってやつだよな……平和なこの街に必要ないだろ」
なんて思っていたらフラグのように何か現れた。
「んー…あ、未来斗、外見て外」
「外?」
海斗の部屋の窓から外を見ると、
「なにあれ」
ゴ〇ラみたいなのいる…………
「きゃぁぁぁ!!!」
「ゴ〇ラだ!!逃げろぉぉぉぉ」
...
「ゴリラ……?」
「海斗違うそれじゃない、…もしかしてあれ、俺が倒すの?」
皮肉にも出来そうな気がしてしまう今の格好が苦しい。
「そうだな!可愛い感じで技名叫んでぶっ飛ばせ!!」
「やだよぉ~……もう家帰りたいよぉ………」
すると突然怪物の近くに1人、誰か立っていることに気づいた。
「あれ……あの子逃げないな、大丈夫かな」
「とりあえず現場に行こう、これは勉強どころじゃない一大事だな!」
海斗なんか楽しそう………
ーーー
現場まで普通に走って、さっき立っていた子の後ろ姿を見つけた。
俺と同じように細いステッキを持った短パンの…………
「あれ……真冬?」
後ろ姿でもよく分かる、あの綺麗な白髪は真冬だ。
名前を呼んだ途端その子は振り向いてこっちを見た。
「……!」
顔を見て確信する、本当にこの子は真冬だ。
「………離れて」
「それはこっちの台詞……!こいつは俺に任せて「…未来斗先輩?」」
……あ、そういえば俺見た目違うんだった。
「よ、よく分かったな……」
「………斬新な格好」
「え、そうかな?」テレッ
別に照れるやつでもないけど。
「……真冬さん、なんでここに…?」
怪物の足元ということもあって風がすごい、あと炎が上がってて熱い。
「……そこにいて」
説明する時間が無いのか、真冬は俺達に向けてステッキの先端を向けた。
「「…!」」
途端、なにか唱えるような唇の動きが見えて、俺と海斗の間を半透明な枠が囲った。
「なに……?」
「……バリケード」
…なるほど
「って、真冬!俺は戦えるぞ!!って出られない…!!」
このバリケード強い…………
出ようとバリケードを内側から叩いているうちに、真冬は怪物の頭くらいの高さまで飛んで杖を向けた。
「え、高……下着見えないかな…………」
「そんなこと言ってないで海斗も手伝えよ!!」
「ーーー。」
真冬を見て、杖を向けて何か唱えると魔法が出る事に気づいた。
(じゃあ…俺もきっと……!)
期待しながら持っていたハートとリボンのステッキをバリケードに向ける。
「……ば、バリケード壊れろ!!」
………………ッ
………………………………
「…出来ない……」
そもそもなんて言えばいいのか分からなくて、唱えるにも難しい。
「「あ」」
そんなことしてる間にも真冬は怪物を倒したようだった。
地面に着地すると同時に俺たちを囲っていたバリケードも解けた。
「……」
「真冬…!大丈夫?!怪我はないか!!?」
真冬の元に駆け寄って怪我をしていないか確認する。
「……」コク
「大丈夫…じゃないだろ足切れてるぞ」
短パンとニーハイの間に切り傷が出来ていた。
「大丈夫?真冬さん」
「……平気」
…というか、
「真冬…その格好は?真冬も魔法少女なのか?」
色々と聞きたいことがある。
怪物が消えたのを確認して、真冬は疲れたのか近くのベンチに座ってメモ帳を取り出した。
「あぁ筆談か、無理に喋らせてごめんな……」
「……」
スラスラと文字を書いていく、書き終わって俺達に見せてくれた。
『僕は魔法少年 先輩は魔法少女
目的はさっきの怪物 通称ガイストを倒すこと』
……、
「なんで真冬が少年で俺が少女…?ていうか俺ツイてるけど」
『それはわからない 僕達が出来るのはそれくらい』
...、
「なんでこんな事に………」
「そういえばなんで真冬さんも杖貰ってるの?未来斗のは俺の兄さんの手作りなんだけど」
『なんか届いた Amizonから』
その辺の設定手抜きしてるな…………
「…真冬は魔法が使えるんだな、服も可愛い!」
真冬の格好は黒のシャツに結び目に宝石のついたリボン、その上に白のパーカーを着ていて下は太ももに余裕のある短パンとガーターニーハイだった。
「なんでそんなにエロいのか」
「……」引
ちなみに、
「俺の宝石…これなんだろ」
「それはガーネットだよ、さっき唱えた時も言っただろ?あと…真冬さんのはあれかな、アクアマリン」
「……」コク
イメージカラーから取ってるらしい。
『先輩は魔法使えますか』
……そういえば、
「まだ使ってないな!真冬、なんて唱えればいいんだ?」
「ぇ…えっと………『李世への気持ちを口に出すと上手くいく』」
…つまり、好きな人とか大事な人に話す感じ……?
「じゃあ……えっと、海斗、言うね?」
「当たり前のように言うな……、…う、うん」
海斗に言いたいこと、
「毎回毎回エロ親父みたいな発言するのやめてください!!!」
...
「……駄目だ何もならない」
「俺のメンタルは傷付けられたけどな」
思ってたのと違かったらしい。
「……未来斗先輩、…魔法、使えない?」
「え、あ、いやそんなわけ、俺魔法少女だし……えいっ、えいえいえいっ、」
いくら唱えても何も起こらなかった。
「うそ……」
「鬱展開魔法少女あるある、技使えない」
「え、そうなの?」
知らない………
「……」
「あ、待って真冬そんな不安そうな顔しないで、あぁぁ、」
魔法が使えないとあの怪物とも戦えない。
「そもそもあの怪物、一体どこから………」
そう呟いた瞬間、
「グォォォ!!!」
「「「!」」」
なんとまた………怪物が現れた。
「またガイスト…?!あれ、でもさっきとは見た目が………」
「沢山いる……、………っ」
真冬は先に行ってしまった。
「あ、真冬!俺も…、…飛べるかな」
とりあえずジャンプ……、
「……っ、…、わ、~~~~ッ!!!」
いつもの感覚でジャンプしてみると、体が軽くなる感覚がした。
そして………地面が見えなくなる。
「…!すご、すごい!飛べた!」
「……」パチパチ
真冬と同じくらいの高さまで飛ぶ事は出来た。
「よ、よし…!行くぞ……!」
この調子で………!!
「……あ、」
ステッキをしっかりと持った次の瞬間、ガイストの大きすぎる手に体を掴まれた。
「…!先輩、」
「あ、待ってやだ身動き取れな……っ、…ぇ”うッ!!」
胸の辺りから太ももくらいまでをガイストの手で拘束されて、力も強くなっていって息が出来なかった。
「…~~~。」
真冬が何か唱えるとその手は離れた。
「……っけほ、ありがと……真冬」
「……」フルフル
首を横に振って、また何か唱えてはステッキの先端をガイストの頭に向けた。
「グォオ!!!」
「わ…すごい、効いてる」
真冬は本当にすごい。
俺も、技が使えればいいのに…………
「…とどめ」
弱っているガイストに真冬が最後の一髪をお見舞いしようとした、その時だった。
「はーい、もうやめてねー、僕の子をあんまりいじめないでくれる?」
少年の声がして、真冬の動きが一瞬止まる。
ガイストの足元に1人の少年が立っていた。
「…ね?これでおしまい」
赤髪の…………見た事ない、男の子。
「……誰」
とりあえず地面に一度着地して、その男と目を合わせた。
「こんにちは、僕、御法川有都って言います!」
……知らない名前。
「番宣……?」
「何者だ!!」
「何者かー……、番宣みたいなぁ?」
「あ、やっぱり番宣………」
...
「なんだっけこの…ガイスト…は、貴方が作ったんですか?」
それは気になる。
「それはネタバレになっちゃうから……」
「そんなはぐらかし方しなくていいから」
「いやいや、そんなことより僕は魔法少女達を殺す為に来たんだー」
……殺す…?
「目的は果たさせてもらうよ?…ガイスト、あの子壊して」
有都が指さしたのは真冬だった。
「……っ、」
真冬も負けないと言わんばかりにステッキを強く握って相手を睨みつける。
ガイストの手が真冬に伸びて、それは一瞬とも言えるくらい速く見えなかった。
「……ッあ”?!」
その狙いは、真冬が持っていたステッキ。
それを奪い取って、ただ手が大きいので真冬の腕ごと持っていってしまいそうだった。
「は……離せ、」
「真冬…!あぁもう……!なんで使えないんだよ………」
俺に力があれば、助けられるのに
「お願い!!お願いだから、真冬を助けて………」
何度も何度もステッキを振ったけど、魔法なんて出てくれなかった。
「お願いします…お願いします」
………そして、
「………あ、」
大きくブチ、と言う音が鳴って、真冬の腕が抜かれた。
「…真冬………」
肩の辺りから抜かれた腕と持っていたステッキはガイストの手の中で、ステッキだけが有都の手元にわたった。
「ふぅ……これがあると厄介なんだよねぇ、あ、腕は義肢付けてあげるから、安心して?」
そう言うとガイストは真冬の腕を口の中に入れて、飲み込んだ。
「……嘘だろ………」
あまりに唐突な展開に海斗が目を見開いて、真冬も抜かれた瞬間驚いたような表情を見せたあと、すぐに叫んだ。
「ぁ、あぁあぁ”ぁ”あぁ”………ッ!!!」
痛い、助けて、なんて叫んで、でも俺は助けるどころが体が動かなくて、
本当なら気絶してもおかしくない状況で、真冬は気絶も出来ずに痛みに叫んでいた。
「あ、そう言えば魔法少年少女って痛くても気絶出来ないんだったね、…大丈夫だよ!俺が真冬を解放してあげる!」
そう言って有都はまたガイストに指示を出した。
言われた通りにガイストは真冬に向けてまた手を伸ばす。
ガイストの手は大きく、拳だけでも小さな体の真冬を飲み込むくらいの大きさで、その大きさで全身を何度の何度も殴られていた。
「……なぁ、…なんで、なんで」
どうして俺は魔法が使えないんだろう。
真冬を救えるのは俺しかいないのに
「お願いだから………もう、」
壊れて欲しくないのに、
「真冬を助けて……………」
何度も何度もステッキを振った、呪文を唱えた。
でも何も変わらなかった。
そのうち真冬のいる地面は大きく窪み、真冬からは血が何度も吹き出していて、
段々、真冬の声が聞こえなくなった。
「…よし、こんなもんかな~まだ意識あるみたいだね、ガイスト、連れてくよ」
ガイストは動かなくなった真冬を手に乗せた。
「ふふ、じゃあまたねー、また会おうね、未来斗」
結局俺は何も出来なくて、
消えていく真冬達を見て、絶望しているだけだった。
ーーー
前編後編で分けるのでここまでです
後編は書けるかわかりませんが…洗脳真冬に壊される未来斗です
未来斗が魔法を使えないのはそういう展開が萌えるからです(´>∀<`)ゝ
ちなみに魔法少年少女はステッキを奪われると何も出来ません、唯一背中に小さい羽がついてるので飛べます。
初めは普通に書いてましたが後半くらいに「あ、これついでに作品宣伝出来ない…?」と思い、えてるなざいと という作品の宣伝になりました。なお序盤すぎて有都君はまだ全く出ておりませんがお気に入りです。
続くといいな………
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