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自然の悪戯
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(木も意外と寝心地いいな……)
視覚と超音波で周囲を索敵しても敵が見当たらなかったので、足を引っ掛けられそうな細い木の枝を探してぶら下がってみることにした。
すると、天井より柔軟性があって柔らかいため、意外と寝心地が良かったのだ。久しぶりの自然だからか、太陽の光が心地よく空気がとても美味しい。
花の香りやしなる枝の動きも心地よく、つい目を瞑って身を任せてしまう。なんだか、このまま寝てしまいそうなくらい心地がいい。
(なんでだろ……そんな疲れてないはずなんだけどな……。だめだめ、新しい階層なんだから。どんな敵が居るのかわからないんだから……)
そう、ここは新階層であり未知の場所である。身の安全が確保できない以上、その辺の木にぶら下がって寝てしまうなんて言語道断である。
しかし、心地よい倦怠感に襲われ、瞼が重くなり……。
キャッキャッキャ……
眠りに落ちる寸前、まるで悪戯を成功させた子供のような笑い声が耳に届いた。
【血液支配】
(ーーっ! あっぶねえ!)
血球を自らの頭にぶつけることで意識を覚醒させ、一瞬で体全体を覆うように血のバリアを展開する。
(幻術とかデバフとかそっち系か?)
いまの眠気はおそらく魔物の攻撃によるものだろう。だとするとすぐ近くに魔物がいる可能性が高い。
しかし、目で見ても超音波にも引っかからないような敵である。幻術か何かを使ってどこかに姿を隠しているに違いない。
そのため、これ以上の奇襲を受けないように防御体制に入ったのだ。制御に全力を注ぎながら、ジッと敵からの攻撃を待つ。
(……こないな)
……さっきの眠気は、普通に自分が眠くなっただけなのではないかと少し疑心暗鬼になる。
眠気を魔物のせいだと勘違いしていたとしたら、先程から今までの一連の行動はだいぶ恥ずかしいのだが……確かに魔物の声が聞こえたような気がするのだ。
【自己強化・血】
勘違いだったらこれまた恥ずかしいが、自分を信じて念のため体全体を強化し、意を決してバリアを解除した。
(うおっ! びっくりしたあぁ!)
バリアを解除し、血で遮られていた視界が開けると同時、視界に恐ろしい光景が広がった。
ホラゲーに出てきそうな真っ白な肌に、塗りつぶしたような黒髪黒目。血だらけな口周りを大きく歪ませ、歯を剥き出しにして笑顔を浮かべるその女には、首から下が存在しなかった。
(おいおい、こんなホラゲーのお化けみたいな魔物もいんのかよ……ガチでビビった……。)
そこら辺のファンタジー作品では見たこともないくらい恐ろしい魔物である。明らかに登場ジャンルを間違えている。
呪術とか使いそうだし、どんな攻撃をされるのかわかったものではない。そのため、さっさと攻撃を仕掛けようとしたその瞬間。
「キイィィィィィィィィィヤアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ホラゲー生首が口をガバッと開いて白目を剥き、奇声を上げ始めた。
(っ! びっくりしたぁ! 冷たっ!)
奇声にびっくりして距離を取ろうと翼を動かすと、突然後ろから冷水をぶっかけられた。
またもや驚いて反射的に後ろを振り向くと、そこには拳一個分くらいの大きさの妖精が5匹ほど存在し、こちらを馬鹿にしたように指差しながらキャッキャと笑顔で騒いでいた。
◇◇◇
【ステータス】
名前 なし
種族 ハイ・ブラッドバット
レベル 24/30
体力 F
魔力 E
攻撃力 F
防御力 F
素早さ F
スキル
超音波:48
吸血:45
血牙5
自己回復・血:20
自己強化・血:23
血液支配:7
視覚と超音波で周囲を索敵しても敵が見当たらなかったので、足を引っ掛けられそうな細い木の枝を探してぶら下がってみることにした。
すると、天井より柔軟性があって柔らかいため、意外と寝心地が良かったのだ。久しぶりの自然だからか、太陽の光が心地よく空気がとても美味しい。
花の香りやしなる枝の動きも心地よく、つい目を瞑って身を任せてしまう。なんだか、このまま寝てしまいそうなくらい心地がいい。
(なんでだろ……そんな疲れてないはずなんだけどな……。だめだめ、新しい階層なんだから。どんな敵が居るのかわからないんだから……)
そう、ここは新階層であり未知の場所である。身の安全が確保できない以上、その辺の木にぶら下がって寝てしまうなんて言語道断である。
しかし、心地よい倦怠感に襲われ、瞼が重くなり……。
キャッキャッキャ……
眠りに落ちる寸前、まるで悪戯を成功させた子供のような笑い声が耳に届いた。
【血液支配】
(ーーっ! あっぶねえ!)
血球を自らの頭にぶつけることで意識を覚醒させ、一瞬で体全体を覆うように血のバリアを展開する。
(幻術とかデバフとかそっち系か?)
いまの眠気はおそらく魔物の攻撃によるものだろう。だとするとすぐ近くに魔物がいる可能性が高い。
しかし、目で見ても超音波にも引っかからないような敵である。幻術か何かを使ってどこかに姿を隠しているに違いない。
そのため、これ以上の奇襲を受けないように防御体制に入ったのだ。制御に全力を注ぎながら、ジッと敵からの攻撃を待つ。
(……こないな)
……さっきの眠気は、普通に自分が眠くなっただけなのではないかと少し疑心暗鬼になる。
眠気を魔物のせいだと勘違いしていたとしたら、先程から今までの一連の行動はだいぶ恥ずかしいのだが……確かに魔物の声が聞こえたような気がするのだ。
【自己強化・血】
勘違いだったらこれまた恥ずかしいが、自分を信じて念のため体全体を強化し、意を決してバリアを解除した。
(うおっ! びっくりしたあぁ!)
バリアを解除し、血で遮られていた視界が開けると同時、視界に恐ろしい光景が広がった。
ホラゲーに出てきそうな真っ白な肌に、塗りつぶしたような黒髪黒目。血だらけな口周りを大きく歪ませ、歯を剥き出しにして笑顔を浮かべるその女には、首から下が存在しなかった。
(おいおい、こんなホラゲーのお化けみたいな魔物もいんのかよ……ガチでビビった……。)
そこら辺のファンタジー作品では見たこともないくらい恐ろしい魔物である。明らかに登場ジャンルを間違えている。
呪術とか使いそうだし、どんな攻撃をされるのかわかったものではない。そのため、さっさと攻撃を仕掛けようとしたその瞬間。
「キイィィィィィィィィィヤアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ホラゲー生首が口をガバッと開いて白目を剥き、奇声を上げ始めた。
(っ! びっくりしたぁ! 冷たっ!)
奇声にびっくりして距離を取ろうと翼を動かすと、突然後ろから冷水をぶっかけられた。
またもや驚いて反射的に後ろを振り向くと、そこには拳一個分くらいの大きさの妖精が5匹ほど存在し、こちらを馬鹿にしたように指差しながらキャッキャと笑顔で騒いでいた。
◇◇◇
【ステータス】
名前 なし
種族 ハイ・ブラッドバット
レベル 24/30
体力 F
魔力 E
攻撃力 F
防御力 F
素早さ F
スキル
超音波:48
吸血:45
血牙5
自己回復・血:20
自己強化・血:23
血液支配:7
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