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検証終了

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 石ころ1つないエリアに誘導され不利を悟ったのか、オークは慌てて後ろへと走り出した。

(え、判断はやっ)

 おそらく、来た道を戻って石を拾うつもりなのだろう。オークの判断が早すぎて一瞬出遅れたが、急いで飛行しオークを追う。

 次のオークを誘き寄せるのはしんどいし、せっかくここまで連れてきたのだから絶対に逃すわけにはいかないのだ。

 それに、石を拾われたらこちらの命が危ない。

【操血】

 バスケットボールサイズの血を生成し、オークの右足にぶつける。
 すると、足に衝撃を受けたオークはバランスを崩して少しよろけた。

 今の一撃で手応えを感じたので、オークの両足に同時に血のバスケットボールをぶつけてみると……見事にオークを転倒させることに成功した。

(よし! 流石の神エイムだぜ!)

 操血の練習の成果を実感しつつも、しっかりとすべきことは忘れない。
 オークが起き上がる前に先回りして、退路を塞いでおく。

「ブモォォ……」

 転倒した際にうまく受け身を取れなかったのか、右腕を庇いながら立ち上がるオーク。
 どうやら、自身の体重で右腕を潰してしまったようだった。

(ラッキー! そんじゃ、始めますか)

 投擲武器も無く、片腕を負傷している。
 
 もはや戦闘力がゴブリン並に引き下げられたオークに対抗する手段は無く、じっくりと検証が進められて行った。


◇◇◇

(やっぱ、ゴブリンの血よりはこっちのが美味いな)

 検証終了後。今日5匹目になるオークの血を吸血しながら、魔物による血の質の違いについて改めて実感していた。

(味はオークの方が美味いけど、ゴブリン血の方がドロっとしてて操作しやすいな……それに、破壊力もゴブリンの方が上かな?)

 味はオークの方が美味い。しかし、強い魔物の血の方が全てにおいて優れているというわけではなさそうだった。

 オークの血はゴブリンの血よりも粘度が低くさらっとしているせいか、少し攻撃力に欠けているし、操作が少しやりずらい。

 まあ操作性やらに関しては慣れの差かもしれないし、そもそも比較するにはサンプルが少なすぎてなんとも言えない。

 ただ、それぞれ魔物によって血の特性があるのは明らだ。より多くの魔物を倒せるようになったら、その辺の検証もしたいところである。

(とりあえずそれは置いといて……)

 結局5匹のオークを利用して実施された今回の検証についてだが、まとめると下記のような結果になった。


【オーク5匹を対象にした検証】
※攻撃は血塊によるものであるとする

結果
・オークは攻撃を避けない
・オークに奇襲は効かない
・オーク戦闘から逃げない(例外あり)
・オークもゴブリンと同じように武器などに個体差がある
・オークの血はゴブリンの血よりは美味しい
・オークの血はゴブリンの血より栄養価が高い(より少量の血で同等のエネルギーを回復できた)
・オークの血はゴブリンの血より粘度が低い

 まず一つ目の『オークは攻撃を避けない』について説明していこう。

 
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