上 下
10 / 111

配信モチベ爆発!

しおりを挟む
「今日は何の魔物を狩ろうかな~」

 朝起きて朝食等のルーティーンを終えたので、配信について少し考える。誰かに見てもらえるということは本当に嬉しくて楽しくて、モチベーション爆発中なのだ。夢でも配信をしてるくらい。

 次の配信は何人来てくれるか、何の能力を使って何を倒そうか、始まりの挨拶は何にしようか。そんなありきたりなことを考えているだけで、いつのまにか30分が経過していた。恐ろしい……。

「ん~。もう始めちゃうか」

  配信のことを考えていると、早く配信がしたくてうずうずしてくる。まだ朝早いので視聴者は少なくなるかもしれないが、始めちゃおう!

「0人だけは勘弁してくれ……」

 そんな俺の願いに応えるかのように、配信を始めると早速いくつかコメントがついた。

『おはよー』
『朝早いね~』
『眠いけど見たいから来ちゃった』
『アラームより有能で草』

「あーあー。聞こえてますか?」

 早朝から配信を見てくれたことに感謝の言葉を述べたいところだが、まずはマイクテストから始める。

 稀に、本当にごく稀に配信の不具合で声が入らない時があるんだよな。配信は魔力の難しいシステムで出来ているそうなので、魔力の多い魔物が暴れた地帯とかで配信をするとたまに不具合が起きるらしい。

 それに気づかずに話している配信者を何人か見たことがあるが、見ている分には結構面白かった。自分がそうなったら恥ずかしいので嫌だが。

『聞こえてる!』
『聞こえてますよ~』
『くぅ~。朝からイケボが沁みるわ』
『良い休日の始まりやでぇ~』
『↑お前仕事してないだろ』
『は?』

 よし、ちゃんと聞こえているようだな。

 思った以上にコメントがついたが……みんな早起きで健康的だなぁ。
 
「はい、みなさんコメントありがとうございます! まだまだ早朝ですが、早速配信を始めていきたいとおもいます!」

『楽しみ』
『期待』
『今日はなにするの?』
『今どこにいるんですか?』
『顔出しして欲しい!』

「改めましてみなさんおはようございます、ヴァリアンと申します。
 さて、今日も魔物狩りをしようかなと考えております!
 何を狩るのかはまだ決めていないので、戦って欲しい魔物や使って欲しい能力をコメントにて募集したいと思います!」

 もしかしたら新規の視聴者がいるかもしれないので、まずは挨拶から。名前を覚えてもらうのって本当に大事らしいからな。

 そして、今日の配信内容は視聴者によるリクエストの中から決めることにした。

 これにより視聴者の趣味趣向を知ることができるし、より見ていて面白い配信となることだろう。

 それから、みんなの意見をもとに配信をしていくことで親近感や一体感を覚えさせることができると考えている。

 リクエストが採用された者は、喜びや少しの優越感に浸るだろう。そして、またその感情に浸るために俺の配信を観に来るようになる。

 俺の想像の中では完璧なプランだ。

『リクエストか~珍しいね』
『んね、なんか考えるの楽しいかも』
『んー。トレントの大群燃やしてみた! とか?』
『小竜と空中戦してみて!』
『オークの集落をマグマ漬けにしてほしい。』

 すると、早速リクエストがいくつか寄せられた。

 んー。結構エグくて笑えるなwww

 トレントは炎が木に燃え移って山火事を起こすのが心配だし、魔界の小竜はちょっと手に負えないかなぁ。

 オークのマグマ漬けに関してはなんというか、かなり『女騎士』の意識を感じた。クッ、殺せ!

「『オークをオークで倒して欲しい』ですか。結構楽しそうな企画ではありますが、ちょっと今日オークになるのは遠慮しておきたいと思います。」

 オークに殺意を抱く女騎士(勝手な推測)が配信を観にきているからな。俺までオークになってしまったとしたら、あまりの地獄絵図に泣き叫ぶだろう。クッ! 殺せぇ!

 その後もいくつかコメント拾ってコミュニケーションをとっていく。

 すると、視聴者数の稼げそうないい感じのコメントを発見した

「お、『昨日見つけたゴブリンの集落でゴブリンキングと戦ってほしい。』これいいですね! ゴブリンキングはBランクの魔物なので少し厳しい戦いになると思いますが、頑張りたいと思います!」

『クッ……ゴブリンか。命拾いしたなオークどもめ』
『お!ゴブリンキング!かっこいいから好きなんだよなぁー』
『いや、Bランクって……危なくね?主Eランクよ?』
『確かに。楽しませてくれようとするのは嬉しいけど、無茶は良くないよ』
『小竜勧めてたやつがなんか言ってて草』

 俺の身を心配してくれるコメントがいくつか送られてくる。確かにいきなりBランクに挑むのは結構危なく見えるだろう。

 しかし、ゴブリンキングならば倒せる自信がある。ゴブリンキングに対して俺は相性が良いので、人間界にいた頃もゴブリンキングは何体も狩ってきた。

「『流石にゴブリンキングは危ない』……心配してくださりありがとうございます! 
 確かにBランクはあまりにも格上ですが、ゴブリンキングなら絶対に勝てる作戦があります!
 ですので、どうか楽しんでご覧ください!」

『まあ、そう言われたら黙って見守るしかないよね』
『結構自信ありそうだね』
『楽しみー!』
『クッ!』

「それでは、早速ゴブリンの集落に向かいたいと思います!」

 なんとかみんな納得してくれたようなので、早速ゴブリンの集落へ向かう。

 適当に雑談しながら進むと、10分ほどでゴブリンの集落へ到着した。

 さて、早速ゴブリンキングと戦いたいところだが、ゴブリンキングには面倒な特性があるんだよな。

 それは『部下が全滅してから出現する』と言う特性である。割と強いモンスターやダンジョンボスにありがちな性質だけど、普通に面倒なんだよな。雑魚処理に時間がかかるし。

 しかし、今回は数は多かれたかがゴブリンであるサクッと倒していこう。

..................................................................

ゴブリンメイジやゴブリンナイトなどの上位種も出現したが、1時間ほどでモブを全て倒し終えることが出来た。

「おそらくゴブリンを全員倒し終えました! 
 そろそろゴブリンキングが出てくると思いますので、ここからはコメントが拾えません。応援よろしくお願いします!」

『もう倒し終えたのかww』
『ガチでEランクには見えん』
『頑張え~』
『いのちだいじに!』

 最後にチラッとコメントを確認すると、沢山の応援コメントが書き込まれていた。キモチィ~。

「ふぅ……」

 さて、気持ちを切り替えよう。

 おそらくゴブリンキングが出てくるであろう豪華な扉に警戒を巡らせ、いつ戦闘が始まっても良いように備えておく。

ドン、ドン、ドン!

 予想通りの場所から、足音を響かせたゴブリンキングが登場した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~

草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★ 男性向けHOTランキングトップ10入り感謝! 王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。 だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。 周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。 そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。 しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。 そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。 しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。 あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。 自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

処理中です...