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月
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掴まれた両手首。
月が眩しい。
さっき、笑った男の口元。
同じ形で笑っている。
切れ長の目が見えた。
わたしを見ている。
しばらく見ていた。
その時間だけ、わたしの心は平静側にぶれた。
「やめて」
「黙れ」
「やめたほうがいい」
頬にビンタ。
卑怯な奴。
口が笑った。
目も笑った。
その口と目が真っ黒になった。
閉じた?
いや、迫ってきた。
わたしの首筋を噛んできた。
「いったあああああ」
「馬鹿、そんなに噛んでねえよ」
男の手が離れた。
逃げる。
ビンタ。
これは、本当に痛かった。
コートのファスナーを開けられた。脱がされるとき、手首のところで手間取る男を見て、もう一度抗おうかと思ってやめた。
上気した体は火照っていて、コートを脱がされても寒くはなかった。だけど、その下のニットをインナーごと脱がされたとき、初めて寒気が走った。
ニットは手首で止まらずに、きつめのはずのインナーは、ただ乱暴に簡単に脱がされた。
ブラを上げられる。
乳首に吸い付かれた。
男は何度も乳首を軽く噛んだ。長くねぶっては噛み、ねぶっては噛むを繰り返した。
何度目かに噛まれたとき、高原の一陣の秋風が背中を通り抜け、身震いした。
「感じたな」
「風が吹いて寒かっただけ」
男が笑った。
下を脱がされるとき、もう一度だけ抗ったけど、ビンタは飛んでこなかった。
男はわたしの腹の上に向こう向きに座り、淡々とわたしのファスナーを下した。男が腹の上にいて、上半身を上げることができない。足をばたつかせると男の動きは止まった。疲れてこちらが止まると、また男が動いた。
「手が空いてるよ。叩いて来いよ」
思いっ切りぶん殴った。だけど体勢が死んでいて、力にならなかった。
背中越しに、男が笑った気がした。
最後の抵抗で、ショーツがひどく伸びた。
ブラも外され、わたしは完全な全裸だった。
腹の上で、男が上半身を脱いだ。
どういう姿勢でそうできるのか、腹に掛かった体重を一度も軽くさせることなく、男は下半身まで脱いだ。
気づけば恐怖は消えている。
諦めの気持ちが強く、逃げたいという思いもない。
「君、濡れてるよ」
さっきより、ずっと遠くになった薄を眺めていると、男が言った。
濡れてなくてもそういう男はいる。こいつもそうだろう。相手にしなかった。
「ほら」
そう言いながら、男は、下から上へ、そっとわたしの膣を撫でた。
クリに当たった瞬間、ぞくっとするものが来て、わたしは何かに落ちそうになる自分を戒めた。
強く戒めた。
もう一度撫でる手に対し、今度は理性を前面に出して、無感情を勝ち取った。
勝ち取ったはずが、乳首を吸われた。
さきほどの、ぞくっとするものがまたやって来た。記憶に付けられた轍をそのままに、もう一度の感覚が轣轆として腰の内部を駆けた。
立て続けに、男の手が膣を撫でた。
この時、男が興覚めをするような間抜けな台詞を吐いてくれたらどんなに良かったか。
男は黙っていた。
ただ黙って、笑っていた。
死んでも認めたくないが、その笑いが嫌ではなかった。
あっけなく挿入をされた。
挿入の時、焦らす男が何人もいた。
あれをやってくれたら、わたしは、どんどん冷めたはずなのに。
男はすぐに犯してきた。
焦らしは愛があってこそのもの。
唐突の挿入は、意外に子宮の奥の温度を高めたが、感じるほどではなかった。
ゆっくりと男は動きを続ける。
動きの中で耳を噛まれたとき、奥の方に今まで起こらなかった熱を感じた。
なにかしら察したのか、男が小刻みに耳を噛んできた。
精神が瞬間ふっと飛び、そこにできた小さな穴へ、直接的な肉感が無神経に入り込み、戻ってきた精神と小さく結びつく。
小刻みに男が噛むたびに精神が小さく飛び、数を増やした穴は、肉感の心地良さを呼び込み、また精神と結びつく。
男が動きを止めた。
動きを止めつつも深く挿入したものを抜かず、軽く首を噛んできた。
「あの奇声は上げないの」
「ビンタしていい?」
「俺はビンビン。君はグショグショ。もうビンタは必要ないね」
そう言いながら、男は強く挿してきた。
「んぁ」
「おや、今度は風は吹いてないね」
もう一度、深く来た。
「んん」
湿った吐息が漏れる。
今度は浅く来た。
浅く膣の入り口を。
浅くこする。
浅くこする。
浅くこする。
(それじゃない)
浅く。
浅く。
( 深いのちょうだい )
浅い。
浅い。
ねえ、ちょうだいよ
「ねえ!!」
わたしは、腰をうねらせ、呼び込むように自ら深く突き挿した。
これ、、
くねっては挿し、くねっては挿し、、
取り返しがつかない。
軽い痙攣。
薄がまだ近かった、あの恐怖の時のものとは違ったもの。
呼応して、男が深く来た。
痙攣。
深かったものが、入り口を探る。
転じて浅く。
浅く。
浅く。
( また )
浅く。
( んん )
突然、子宮の奥に響くほどの深いものが来た。
瞬間。
男は硬くて太いそれを、一瞬のうちに、わたしの中から抜き出した。
走り出る恍惚。
擦れた余韻の恍惚。
一度収縮し、開く肛門。
その恍惚を、叫び出すように、洗い出すように、放出するために。
――― わたしは、失禁をしていた。
月が眩しい。
ああ。
月が眩しい。
§ Fin §
月が眩しい。
さっき、笑った男の口元。
同じ形で笑っている。
切れ長の目が見えた。
わたしを見ている。
しばらく見ていた。
その時間だけ、わたしの心は平静側にぶれた。
「やめて」
「黙れ」
「やめたほうがいい」
頬にビンタ。
卑怯な奴。
口が笑った。
目も笑った。
その口と目が真っ黒になった。
閉じた?
いや、迫ってきた。
わたしの首筋を噛んできた。
「いったあああああ」
「馬鹿、そんなに噛んでねえよ」
男の手が離れた。
逃げる。
ビンタ。
これは、本当に痛かった。
コートのファスナーを開けられた。脱がされるとき、手首のところで手間取る男を見て、もう一度抗おうかと思ってやめた。
上気した体は火照っていて、コートを脱がされても寒くはなかった。だけど、その下のニットをインナーごと脱がされたとき、初めて寒気が走った。
ニットは手首で止まらずに、きつめのはずのインナーは、ただ乱暴に簡単に脱がされた。
ブラを上げられる。
乳首に吸い付かれた。
男は何度も乳首を軽く噛んだ。長くねぶっては噛み、ねぶっては噛むを繰り返した。
何度目かに噛まれたとき、高原の一陣の秋風が背中を通り抜け、身震いした。
「感じたな」
「風が吹いて寒かっただけ」
男が笑った。
下を脱がされるとき、もう一度だけ抗ったけど、ビンタは飛んでこなかった。
男はわたしの腹の上に向こう向きに座り、淡々とわたしのファスナーを下した。男が腹の上にいて、上半身を上げることができない。足をばたつかせると男の動きは止まった。疲れてこちらが止まると、また男が動いた。
「手が空いてるよ。叩いて来いよ」
思いっ切りぶん殴った。だけど体勢が死んでいて、力にならなかった。
背中越しに、男が笑った気がした。
最後の抵抗で、ショーツがひどく伸びた。
ブラも外され、わたしは完全な全裸だった。
腹の上で、男が上半身を脱いだ。
どういう姿勢でそうできるのか、腹に掛かった体重を一度も軽くさせることなく、男は下半身まで脱いだ。
気づけば恐怖は消えている。
諦めの気持ちが強く、逃げたいという思いもない。
「君、濡れてるよ」
さっきより、ずっと遠くになった薄を眺めていると、男が言った。
濡れてなくてもそういう男はいる。こいつもそうだろう。相手にしなかった。
「ほら」
そう言いながら、男は、下から上へ、そっとわたしの膣を撫でた。
クリに当たった瞬間、ぞくっとするものが来て、わたしは何かに落ちそうになる自分を戒めた。
強く戒めた。
もう一度撫でる手に対し、今度は理性を前面に出して、無感情を勝ち取った。
勝ち取ったはずが、乳首を吸われた。
さきほどの、ぞくっとするものがまたやって来た。記憶に付けられた轍をそのままに、もう一度の感覚が轣轆として腰の内部を駆けた。
立て続けに、男の手が膣を撫でた。
この時、男が興覚めをするような間抜けな台詞を吐いてくれたらどんなに良かったか。
男は黙っていた。
ただ黙って、笑っていた。
死んでも認めたくないが、その笑いが嫌ではなかった。
あっけなく挿入をされた。
挿入の時、焦らす男が何人もいた。
あれをやってくれたら、わたしは、どんどん冷めたはずなのに。
男はすぐに犯してきた。
焦らしは愛があってこそのもの。
唐突の挿入は、意外に子宮の奥の温度を高めたが、感じるほどではなかった。
ゆっくりと男は動きを続ける。
動きの中で耳を噛まれたとき、奥の方に今まで起こらなかった熱を感じた。
なにかしら察したのか、男が小刻みに耳を噛んできた。
精神が瞬間ふっと飛び、そこにできた小さな穴へ、直接的な肉感が無神経に入り込み、戻ってきた精神と小さく結びつく。
小刻みに男が噛むたびに精神が小さく飛び、数を増やした穴は、肉感の心地良さを呼び込み、また精神と結びつく。
男が動きを止めた。
動きを止めつつも深く挿入したものを抜かず、軽く首を噛んできた。
「あの奇声は上げないの」
「ビンタしていい?」
「俺はビンビン。君はグショグショ。もうビンタは必要ないね」
そう言いながら、男は強く挿してきた。
「んぁ」
「おや、今度は風は吹いてないね」
もう一度、深く来た。
「んん」
湿った吐息が漏れる。
今度は浅く来た。
浅く膣の入り口を。
浅くこする。
浅くこする。
浅くこする。
(それじゃない)
浅く。
浅く。
( 深いのちょうだい )
浅い。
浅い。
ねえ、ちょうだいよ
「ねえ!!」
わたしは、腰をうねらせ、呼び込むように自ら深く突き挿した。
これ、、
くねっては挿し、くねっては挿し、、
取り返しがつかない。
軽い痙攣。
薄がまだ近かった、あの恐怖の時のものとは違ったもの。
呼応して、男が深く来た。
痙攣。
深かったものが、入り口を探る。
転じて浅く。
浅く。
浅く。
( また )
浅く。
( んん )
突然、子宮の奥に響くほどの深いものが来た。
瞬間。
男は硬くて太いそれを、一瞬のうちに、わたしの中から抜き出した。
走り出る恍惚。
擦れた余韻の恍惚。
一度収縮し、開く肛門。
その恍惚を、叫び出すように、洗い出すように、放出するために。
――― わたしは、失禁をしていた。
月が眩しい。
ああ。
月が眩しい。
§ Fin §
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