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【番外編】猫と牛(1)
しおりを挟む「何があった!?」
沈着冷静なロジェが、クリスティーヌを見て立ち止まり、形のいい銀色の眉を吊り上げ、目を見開いている。
日付が変わるころようやく帰宅するのが常の、夫が目の前にいる。
(こんなに早く帰って来るなんて聞いてないわ!!)
太陽の光が、四つん這いになったクリスティーヌを容赦なく照らす。
陽にさらすことのないクリスティーヌの柔らかな白い脚が、ドロワーズの下から伸びている。シュミーズから伸びた細く頼りない腕はプルプル震え、四つん這いの体をようやく支えていた。
ベッドの下で丸まっているであろうデイドレスが恨めしい。
ロジェはクリスティーヌの淫らな格好に驚き、薄い唇をポカンと開けて、手に持っていた書類の束を床にまき散らした。彼を動揺させるほどの醜態を晒している自覚はある。
ドロワーズはかろうじて履いているが、クリスティーヌのお尻はロジェに向けて突き出されている。
夫のいない時間に、こんな破廉恥な姿をさらしているなんて、どう思われるのだろう――
クリスティーヌは足の間から、茫然とロジェを見続けることしかできなかった。
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