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「浮気男の末路って、ダサくなるの。ほんと不思議よね」
「そーゆう奴は、女にモテたことで謎の全能感を得てるタイプだな」
「あぁ!」

 ポンと手を叩いた理子は、この男とは気が合いそうだと思いながら頷いていた。

 さすがに次の日とはならなかったが、ニコルとカルロスの婚約は一か月後、つつがなく結ばれた。

 フェリクスはマリーナとの結婚をフェリクスの父、バレロン伯爵に命じられ、父もそれを了承したようだった。令嬢の純潔を奪うというのは、本来そういうことなのだ。

 婚約者と既にいたしており、上手いこと火遊びを楽しんでいた令嬢たちとは違う。マリーナが純潔だったかどうかは、定かではないが。

 義母はマリーナの素行を詫びて、父に離婚を願ったようだが、父はそれには了承しなかった。
 さすがにニコルと一緒に暮らすのは気まずいらしく、義母は領地へ行ったきり王都には帰らなくなった。

 そんな義母に会うために父は領地へ赴くので、きっとそこには愛があるのだろう。意外と情熱的なんだなぁと思い、理子はこそばゆくなった。

 カルロスは婚約してからも甘い言葉を囁くことはなかったが、宣言通り浮気することなく、想像以上によく働き、結婚して子どもができると子煩悩な父親になった。理子もまた、カルロスが経営する店舗に赴いては前世の知識を生かして貴族婦人と商談をし、売り上げに貢献している。


 わかりやすく『可愛い』という顔をして我が子を慈しむカルロスと幸せに暮らすは、大きいお腹をさすりながら二人を見つめていた。



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