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7-2 ※
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秘部に触れるように、加賀の先端がくち、と押し当てられる。そのままぬちぬちと上下に動かされて、冬里は小さく息を詰めた。
欲しい。加賀が、欲しくて、たまらなかった。ただ、それを口に出すと、自分の全てが端から壊れていきそうで、怖い。
冬里は震える。そうして、必死になって首を振った。
「か……加賀くん、加賀くん、お願い、やめて。おかしい、こんなの……こんなの、違うよ」
「何が?」
「加賀くんは――加賀くんは、私が……っ、私が、優しくしたから、私のことを、好きなだけで」
もし違う人が加賀の手を引いていたら。もし、この村の人達が、加賀にお礼をしていたら。
きっと、こんな風に、一人の人間におかしなほど執着することはなかっただろう。
加賀のやっていることは、好きな相手にすることではない。
――ただ、甘えたくて、仕方無い、だけで。そのやり方を、彼は酷く、間違えているのだ。
冬里は小さく息を飲む。
ずっと騙され続けてきた加賀に、今更、何と言えばいいのかわからなかった。冬里は必死に息を飲む。そうしてから、加賀を見つめた。黒い瞳が見返す。
自身の向けた、僅かな優しさの欠片が、まさか相手にとって千万の価値を持つことになるとは、思いも寄らなかったのだ。そして、その相手に、その欠片は一切の価値がない、と突きつけることが、冬里には出来ない。
喉が震える。冬里は加賀に手を伸ばした。そうして、黒髪をそろ、と撫でると、加賀が泣きそうな顔で、笑う。
「冬里……?」
一人はきっと、寂しかったんだろう。いや、きっと、ではなく。
精神を歪ませるくらいには、寂しかったのだ。加賀は、甘え方を知らない子どものようなものなのだろう。
ただひたすらに、口づけを重ね、体を合わせることしか、知らない、子ども。
「……加賀くん……」
泣きそうな声が零れる。加賀が瞬いて、それからゆっくりと頭を振った。柔らかく笑みを零し、どうしたの、と甘えるように言葉を続ける。
「冬里の手、あたたかくて……好き。――ねえ、冬里、大好き。中にいれて……」
加賀が口づけてくる。舌先に絡む舌に、少しだけ反応を返すと、瞬間、加賀が小さく吐息を零した。そうして、先ほどよりも丹念に、優しく、口内を愛撫される。その度に快楽が増幅して行くのがわかった。喉の奥が震える。ずっと気持ち良くて、どうしようもなく、怖い。
「あ、んんっ、なか、は、だめ、おかしくなる、おかしくなる、絶対……っ」
「おかしくなってもいいよ。そうしたら、僕がずっと、甘やかして、育ててあげるから」
「あ、あ、こわ、こわい、こわい……っ」
ひ、ひ、と興奮と恐怖で息が浅くなる。加賀が小さく笑って、秘部を愛撫する指先をゆっくりと引き抜いて、腰を押し当てる。熱が、ゆっくり、中に押し入ってくるのがわかった。加賀によって開かれ、解かれた体は、加賀の熱を安易に受け入れてしまう。
ちゅぷん、と先端の部分が内部に埋まった。冬里の体を駆け上るように快楽が爆ぜて、腰が逃げそうになる。すぐに加賀の手が伸びて、冬里の腰を掴んだ。そのまま、内部を探るように熱が埋め込まれていく。
「あ、イう、イく、イって、る、なか、中、おかひ、おかしいぃっ、きもちい、ひぁ、あ……っ」
「――ふふ、中、きゅうきゅうって締め付けてくる。気持ち良いなら、良かった」
奥までぐうっと押し込んで、そうして加賀は小さく息を吐いた。なじませるように腰を緩く上下に揺らし、冬里にキスをする。舌先が伸びて、冬里の舌と絡まった。じゅう、と吸い付かれる。胸元を愛撫する指先が、ゆっくり、下腹部に下りて、そうしてちょうど加賀の熱が埋まっている部分をなぞるように動いた。
「冬里の――中、きもち、いい……はぁっ、ずっと、入りたかった、ここに……」
陶酔したような声だった。湿り気を帯びた声をこぼし、加賀はゆっくりと腰を動かす。大きな熱が、内部を引き抜くように動いて、冬里の体は強く軋んだ。加賀の、段差の部分が、気持ち良いところを抉るように動く。太ももが痙攣する。
「あ、あ、っ、ひ、イ、ぅう、んんっ、きもち、い、きもちいい、きもちいい、よぉ……っ」
快楽の雪崩によって、感情が壊れてしまったかのように、冬里の眦から涙がこぼれ落ちた。ぽろぽろと頬を伝うそれを、加賀が舐め取る。そうして、嬉しそうに息を零した。
「可愛い。僕のお嫁さん……、冬里、ずっとずっと、幸せにしてあげる。大事にしてあげるからね……」
繋がった部分がぐちぐち、と音を立てる。次第に早くなる律動に、冬里はついていけない。逃げようとしても加賀がそれを許さない。ほとんど床に押さえつけられたまま、腰を強く打ち付けられる。
喘ぎながら悶えることしか出来ず、冬里はぼろぼろと涙を零した。加賀がその度に冬里の涙を舌で拭う。冬里を見る目は、肉食獣が獲物を見るようなものに似ていた。
ばちゅ、ばちゅ、と水音を立てながら打ち付けられていた腰が、不意に大きくグラインドする。奥、子宮口にぐうっと加賀の陰部が押しつけられて、ついで、それが膨らむのがわかった。内部に熱いものが吐き出される。
「あ、あ、うそ、うそ……っ」
「ふふ。嘘じゃないよ。冬里の子宮の中、僕の精子で、一杯になってる」
愛おしそうに加賀が腰を動かす。冬里の脳裏がぱちぱちと弾けた。これで、――これで、終わり、なのだろうか。
終わって欲しい。許して欲しい。冬里が浅く呼吸を繰り返していると、加賀が目を細めた。魔性の瞳が、冬里を見つめる。
「沢山、孕んで、冬里……」
「ぅあ! あっ……? あ、あ、な、なんでっ、なんれぇっ……」
ばちゅん、ともう一度強く腰を打ち付けられたと思ったら、また律動が開始する。接合部から溢れてきた白い液体が、泡立ちながら玄関の床へ落ちていく。
「だって一回だと不安だよ。足りない。もっと、――もっと、沢山、出さないと」
「ん、んあ、ああ、――んっ、あ、ァ、まって、まって、おかし、おかし……っ、孕んだ、はらん、だ、から、ごちゅごちゅ、されると、も、えっちな声しか、出なくなる……からぁっ……」
冬里は必死に言いつのるが、加賀は駄目だよ、と囁く。まだ出さないと。もっと一杯にしないと。
確実に孕むまで離さないとでも言いたげな声だった。律動が再開する。冬里は呻くような声を零しながら、加賀の動きを受け入れている内に、もう泣き声のようなものしか出なくなってくる。気持ち良くて、それがどうしようもなく怖くて、たまらない。
これ以上、自分の声を響かせたくなくて、手の甲で口元を押さえるが、加賀がすぐにその手を握り絞め、押しつけてしまう。呼吸の隙間、僅かに気を抜く瞬間を狙い澄ましたように加賀の熱が内部を刺激して、中がうねる。
「あ、あ、ひ、んぅっ、おく、おくだめ、おく、あ、あ、っ」
「ふふ。ちゅ、ちゅ、って押しつける度に吸い付いてくる。まるでキスしてるみたい……」
冬里の手が、縋る場所を探すように力を込める。加賀が細く息を吐いて、そのまま体を酷く抱きしめてきた。体同士が密着する。まるで一つになろうとするように、ぎゅうっと腰を押しつけながら、首元にキスをされる。ちゅ、と痕をつけるような音を立てながら、加賀が腰を揺さぶる。
何度達したのか、もうわからなくなってきた。涙や汗で冬里の顔が濡れる。先ほど出したばかりの精液を掻き出すように加賀の熱が動き、そうしてまた奥へ出される。終わりが見えない。
蛇の交尾は数時間以上かけてすると聞く。加賀もそれくらい、冬里と体を重ねるつもりなのだろうか。そうなってしまったら、本当に壊れてしまう。
「こわれ、る、あたまおかし、くなる、から、も、もう、あ、あ、ご、め、ごめなひゃ……っゆるひ、やめ、やめてぇ……っ」
必死になって頭を振るが、加賀は答えない。ただ貪るように冬里の名前を、何度も何度も呼びかける。
食べられている、という形容が一番近いのかもしれない。冬里の中で、加賀の熱が膨らむ。吐き出されたものが、体の中に染みこんでいくような心地を覚えながら、冬里は意識を手放した。
欲しい。加賀が、欲しくて、たまらなかった。ただ、それを口に出すと、自分の全てが端から壊れていきそうで、怖い。
冬里は震える。そうして、必死になって首を振った。
「か……加賀くん、加賀くん、お願い、やめて。おかしい、こんなの……こんなの、違うよ」
「何が?」
「加賀くんは――加賀くんは、私が……っ、私が、優しくしたから、私のことを、好きなだけで」
もし違う人が加賀の手を引いていたら。もし、この村の人達が、加賀にお礼をしていたら。
きっと、こんな風に、一人の人間におかしなほど執着することはなかっただろう。
加賀のやっていることは、好きな相手にすることではない。
――ただ、甘えたくて、仕方無い、だけで。そのやり方を、彼は酷く、間違えているのだ。
冬里は小さく息を飲む。
ずっと騙され続けてきた加賀に、今更、何と言えばいいのかわからなかった。冬里は必死に息を飲む。そうしてから、加賀を見つめた。黒い瞳が見返す。
自身の向けた、僅かな優しさの欠片が、まさか相手にとって千万の価値を持つことになるとは、思いも寄らなかったのだ。そして、その相手に、その欠片は一切の価値がない、と突きつけることが、冬里には出来ない。
喉が震える。冬里は加賀に手を伸ばした。そうして、黒髪をそろ、と撫でると、加賀が泣きそうな顔で、笑う。
「冬里……?」
一人はきっと、寂しかったんだろう。いや、きっと、ではなく。
精神を歪ませるくらいには、寂しかったのだ。加賀は、甘え方を知らない子どものようなものなのだろう。
ただひたすらに、口づけを重ね、体を合わせることしか、知らない、子ども。
「……加賀くん……」
泣きそうな声が零れる。加賀が瞬いて、それからゆっくりと頭を振った。柔らかく笑みを零し、どうしたの、と甘えるように言葉を続ける。
「冬里の手、あたたかくて……好き。――ねえ、冬里、大好き。中にいれて……」
加賀が口づけてくる。舌先に絡む舌に、少しだけ反応を返すと、瞬間、加賀が小さく吐息を零した。そうして、先ほどよりも丹念に、優しく、口内を愛撫される。その度に快楽が増幅して行くのがわかった。喉の奥が震える。ずっと気持ち良くて、どうしようもなく、怖い。
「あ、んんっ、なか、は、だめ、おかしくなる、おかしくなる、絶対……っ」
「おかしくなってもいいよ。そうしたら、僕がずっと、甘やかして、育ててあげるから」
「あ、あ、こわ、こわい、こわい……っ」
ひ、ひ、と興奮と恐怖で息が浅くなる。加賀が小さく笑って、秘部を愛撫する指先をゆっくりと引き抜いて、腰を押し当てる。熱が、ゆっくり、中に押し入ってくるのがわかった。加賀によって開かれ、解かれた体は、加賀の熱を安易に受け入れてしまう。
ちゅぷん、と先端の部分が内部に埋まった。冬里の体を駆け上るように快楽が爆ぜて、腰が逃げそうになる。すぐに加賀の手が伸びて、冬里の腰を掴んだ。そのまま、内部を探るように熱が埋め込まれていく。
「あ、イう、イく、イって、る、なか、中、おかひ、おかしいぃっ、きもちい、ひぁ、あ……っ」
「――ふふ、中、きゅうきゅうって締め付けてくる。気持ち良いなら、良かった」
奥までぐうっと押し込んで、そうして加賀は小さく息を吐いた。なじませるように腰を緩く上下に揺らし、冬里にキスをする。舌先が伸びて、冬里の舌と絡まった。じゅう、と吸い付かれる。胸元を愛撫する指先が、ゆっくり、下腹部に下りて、そうしてちょうど加賀の熱が埋まっている部分をなぞるように動いた。
「冬里の――中、きもち、いい……はぁっ、ずっと、入りたかった、ここに……」
陶酔したような声だった。湿り気を帯びた声をこぼし、加賀はゆっくりと腰を動かす。大きな熱が、内部を引き抜くように動いて、冬里の体は強く軋んだ。加賀の、段差の部分が、気持ち良いところを抉るように動く。太ももが痙攣する。
「あ、あ、っ、ひ、イ、ぅう、んんっ、きもち、い、きもちいい、きもちいい、よぉ……っ」
快楽の雪崩によって、感情が壊れてしまったかのように、冬里の眦から涙がこぼれ落ちた。ぽろぽろと頬を伝うそれを、加賀が舐め取る。そうして、嬉しそうに息を零した。
「可愛い。僕のお嫁さん……、冬里、ずっとずっと、幸せにしてあげる。大事にしてあげるからね……」
繋がった部分がぐちぐち、と音を立てる。次第に早くなる律動に、冬里はついていけない。逃げようとしても加賀がそれを許さない。ほとんど床に押さえつけられたまま、腰を強く打ち付けられる。
喘ぎながら悶えることしか出来ず、冬里はぼろぼろと涙を零した。加賀がその度に冬里の涙を舌で拭う。冬里を見る目は、肉食獣が獲物を見るようなものに似ていた。
ばちゅ、ばちゅ、と水音を立てながら打ち付けられていた腰が、不意に大きくグラインドする。奥、子宮口にぐうっと加賀の陰部が押しつけられて、ついで、それが膨らむのがわかった。内部に熱いものが吐き出される。
「あ、あ、うそ、うそ……っ」
「ふふ。嘘じゃないよ。冬里の子宮の中、僕の精子で、一杯になってる」
愛おしそうに加賀が腰を動かす。冬里の脳裏がぱちぱちと弾けた。これで、――これで、終わり、なのだろうか。
終わって欲しい。許して欲しい。冬里が浅く呼吸を繰り返していると、加賀が目を細めた。魔性の瞳が、冬里を見つめる。
「沢山、孕んで、冬里……」
「ぅあ! あっ……? あ、あ、な、なんでっ、なんれぇっ……」
ばちゅん、ともう一度強く腰を打ち付けられたと思ったら、また律動が開始する。接合部から溢れてきた白い液体が、泡立ちながら玄関の床へ落ちていく。
「だって一回だと不安だよ。足りない。もっと、――もっと、沢山、出さないと」
「ん、んあ、ああ、――んっ、あ、ァ、まって、まって、おかし、おかし……っ、孕んだ、はらん、だ、から、ごちゅごちゅ、されると、も、えっちな声しか、出なくなる……からぁっ……」
冬里は必死に言いつのるが、加賀は駄目だよ、と囁く。まだ出さないと。もっと一杯にしないと。
確実に孕むまで離さないとでも言いたげな声だった。律動が再開する。冬里は呻くような声を零しながら、加賀の動きを受け入れている内に、もう泣き声のようなものしか出なくなってくる。気持ち良くて、それがどうしようもなく怖くて、たまらない。
これ以上、自分の声を響かせたくなくて、手の甲で口元を押さえるが、加賀がすぐにその手を握り絞め、押しつけてしまう。呼吸の隙間、僅かに気を抜く瞬間を狙い澄ましたように加賀の熱が内部を刺激して、中がうねる。
「あ、あ、ひ、んぅっ、おく、おくだめ、おく、あ、あ、っ」
「ふふ。ちゅ、ちゅ、って押しつける度に吸い付いてくる。まるでキスしてるみたい……」
冬里の手が、縋る場所を探すように力を込める。加賀が細く息を吐いて、そのまま体を酷く抱きしめてきた。体同士が密着する。まるで一つになろうとするように、ぎゅうっと腰を押しつけながら、首元にキスをされる。ちゅ、と痕をつけるような音を立てながら、加賀が腰を揺さぶる。
何度達したのか、もうわからなくなってきた。涙や汗で冬里の顔が濡れる。先ほど出したばかりの精液を掻き出すように加賀の熱が動き、そうしてまた奥へ出される。終わりが見えない。
蛇の交尾は数時間以上かけてすると聞く。加賀もそれくらい、冬里と体を重ねるつもりなのだろうか。そうなってしまったら、本当に壊れてしまう。
「こわれ、る、あたまおかし、くなる、から、も、もう、あ、あ、ご、め、ごめなひゃ……っゆるひ、やめ、やめてぇ……っ」
必死になって頭を振るが、加賀は答えない。ただ貪るように冬里の名前を、何度も何度も呼びかける。
食べられている、という形容が一番近いのかもしれない。冬里の中で、加賀の熱が膨らむ。吐き出されたものが、体の中に染みこんでいくような心地を覚えながら、冬里は意識を手放した。
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