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指先で皮膚をつ、と押すようにされる。奏の体を探るような指先の動きに、背筋がぞわ、と震える。
秘所に熱を押しつけられながら、胸の先端を愛撫されると、体が逃げそうになる。腰が引けそうになり、それを押しとどめるようにフェリクスの片手が奏の腰を掴んだ。
太ももの間を行き来する熱が、奏の体にも伝染するかのように広がっていく。ぬちぬちと淫靡な音が耳朶を打ち、それにどうしようもない羞恥心を抱いた。
下着は既に下着の体をなしていない。濡れた布が、フェリクスの動きと共に奏の秘所をずりずりと擦り上げる。
その度に胎の奥が疼いて、内部からとろりとした液体が溢れてくるのがわかった。水分を吸い取りきれなくなった下着から、液体が太ももに垂れていくのがわかる。
「奏……」
耳元で囁く声がした。熱を帯びた声は、脳を直接揺らすように響く。ちゅ、と耳の形を辿るようにキスをされて、奏は息を詰まらせる。
胸元を愛撫していた指先が、先端を軽く押しつぶすように動く。指の腹で優しく掻くようにされると、我慢出来ずに声が零れていく。
「あっ、……ん、うぅ、それ、さわり、かた……っ」
「うん、何?」
荒い呼吸の合間、抗議するように声を上げると、フェリクスが笑った。吐息が肌を掠めて、それにすら背筋が粟立つ。
奏が気持ち良く感じる部分をゆっくりと開いていくような丁寧さで、フェリクスは奏の体を愛撫しながら腰を打ち付けてくる。
「ひっ、あ……! あ、も、んんう……ッ」
「気持ち良さそうな声してる。ねえ、こういう触られ方、好き? 教えて、奏、僕にだけ。僕がキミのこと、気持ち良く出来るように躾けてよ」
「なに、なにいってぇ……っ」
「は、ねえ、僕はすっごく気持ち良い……、こすりつけているだけなのに、ゾクゾクして……。奏の中を暴きたくなってくる。好きな人と体を重ねることが出来るなんて、思ってもみなかったから」
幸福に満ちた声音に、奏は瞬く。好き、好き、とフェリクスが繰り返す言葉の全てに、恐らくとんでもない質量の感情が詰め込まれていることが、聞いているだけで分かる。こんなにも優しくて、甘い声音で、何度も好きと言われると、切なさのようなものが胸の奥から零れてくる。
「好き、奏、……っ、は、きもちい、……、出そう、腰、止まらない……ッ」
フェリクスの声が上ずる。硬い熱が、秘所を擦り上げていく。フェリクスの腰の動きが速くなって、不意にぐ、と奥に押しつけるように大きなグラインドをした。太ももの間の熱がびくびくと震えて、射精する。
フェリクスは息を飲み込んで、直ぐに大きくそれを吐き出しながら、奏、と奏の体をぎゅうっと抱きしめてくる。
「――絶対に離れたくない……」
紡がれた言葉に奏は小さく笑う。後ろ手に手を伸ばし、そっとフェリクスの頭を撫でた。
「離れません、絶対に」
「……ありがとう。僕はキミに甘えてばかりだね」
「私も甘えてるから、お互い様です」
囁いて、奏はフェリクスと軽いキスをする。奏の体を愛撫していた指が、僅かな痙攣の後に動き出した。下腹部に触れていた指先が、そのまま濡れそぼった秘所に触れて、ふにふにと感触を確かめるように動く。
「んっ、あ、あ、フェリクス……? な、んで」
「奏のイくところが見たい。駄目?」
「――っ」
掠れた声で囁かれて、奏の体がびく、と震える。芽の形をしたそこに、フェリクスの指が布越しに触れる。すりすり、と撫でるようにされると、それだけで気持ちよさに声が止まらなくなる。
「んぅ、――ッ、ぁっ、あっ、――ッ、っ、は……ッ、ふ……、や、は、ずか、しい……っ」
「ふ。あは。ねえ、ここ、凄いひくひくってしてる……、可愛い、奏。すりすり撫でると太ももびくって震えて、気持ち良いって僕に教えてくれてるみたい」
「そんっ、な、ことぉ……っ、ん、ぅ、いわない、でぇ……っ」
「ここも――」
花芽の部分から降りて、布の上から秘所を開くようにされる。とろとろと零れる液体を掬い上げ、そのまま塗り込めるようにフェリクスの指が動いた。
「くぱくぱって開いて、……欲しいって、言ってるみたい、僕のを、中に、って」
フェリクスが一瞬息を飲んで、そのまま下着の隙間から手を差し込める。直接敏感な部分を優しく撫でられて、奏は必死に首を振った。快楽から逃げようと体を動かそうとするが、それを止めるようにフェリクスの足が奏の足に絡みつく。そのまま片膝を立てるような格好をされて、奏は顔を赤くした。羞恥心と気持ちよさで視界が潤み、瞬きの度に涙がこぼれ落ちそうになる。
「や、やだ、この格好、だめ、はずかし……」
「大丈夫、可愛いよ」
「か、可愛くな――ふあっ、あ……ッ! そこ、敏感、だから、駄目、駄目」
指がばらばらに動いて、奏の秘所を愛撫していく。花芽を軽く押しつぶすようにくりくりと撫でられて、息が止まりそうになる。意識していないと呼吸すら出来なくなってしまいそうな快楽の中で、奏はフェリクスの名前を呼んだ。
「ん、んっ、あ、あ、フェリクス、フェリクス」
「気持ち良い? 教えて、ね……、奏」
「あっ! あ、あ、こちゅこちゅ扱かないで……っ、おかしく、なる、体……っ」
「ふ。あは。おかしくなればいいのに。僕の指と、声と、僕だけで感じるように、おかしくなってよ」
思考がままならなくなる。与えられる刺激で脳裏が埋め尽くされて、フェリクスの言葉に上手く返答が出来ない。悶えるような吐息だけが零れていく。
不随意的に体に力が入り始める。そろそろ達してしまうかもしれない。そもそも、キスの時点からずっと優しく開かれていた体が、直接的な刺激に少しも耐えられるはずがない。
「ん、あ、ひうっ、あ……っ、あっ、ふ、待って、おねがい……っ」
「ふふ、ねえ、奏の体、すごく熱い……。イく時、声、聞かせてね」
「ん、うぅ、いじわる、ぅ……っ」
「知らなかったの?」
フェリクスが楽しげに言葉を弾ませる。性格悪い、ひどい、と色々な罵詈が奏の頭の中を巡るが、それらもフェリクスの手の動きによって快楽に上塗りされていく。お腹の奥でぐるぐると熱が巡っているような心地がして、息が詰まる。
「ひ、う、イ、きそ、イく、イっちゃう、からぁ……っ」
「――うん、イって、ねえ、奏……僕の手で、気持ち良くなって」
「あ、あっ、んぅ、イく、来ちゃう、ふ、あッ、あ……!」
きゅ、と指の間で軽く挟まれるようにされて、奏の体がびくりと震えた。甘えるような声が喉の奥から零れて、体内がびくびくと震える。フェリクスの手に自身の秘所を押しつけるようになって、不意に力が抜けた。とろとろとした液体が中から溢れていく。フェリクスの手がそれを掬うようにして、ゆっくりと離れていった。
「ふ、僕の手、凄い濡れてる。奏ので、……」
ちゅ、と吸い付くような音が聞こえて、奏はびくりと震えた。恐る恐るフェリクスの方へ視線を向けると、濡れそぼった指を舌が舐めているのが見えた。
「な、何、何して……!」
「何って……、何か駄目だった?」
「駄目、駄目に決まってる!」
「どうして。――今日は、これだけで済ませるけれど、婚約披露をした後、僕は我慢するつもりもないからね」
フェリクスが囁く。濡れた指先がそろ、と奏の腹部に触れた。
「奏の気持ち良い所を沢山僕が可愛がって、この中に熱を埋めて、一生離れられないようにするつもりなんだから」
「――、も、もう、恥ずかしい、……」
「ふふ。うん。沢山恥ずかしがって。その姿も、表情も、全部僕だけに見せて。――僕だけに、奏のえっちなところ、全部見せて」
すり、とフェリクスが奏の体に密着してくる。――硬いものが、太ももにすり寄せられて、奏は僅かに息を詰まらせた。
「……か、かたくなってる」
「それはそうでしょ。好きな子の甘い声とか、自分の名前を必死に呼ぶ姿とか、可愛がれば可愛がるほどに反応してくれる所見て、勃たない男はいないよ」
フェリクスは囁く。に、二回戦が始まってしまう、と奏が慌てると同時に、フェリクスが小さく笑った。
「……これ以上は、しないから。大丈夫、頭の中で兄上の顔でも思い浮かべていたら萎えていくと思うし」
「……とんでもないアレウス様の使い方をしますね……」
「こういうときに役に立って貰わないと」
まさかアレウスも自分が弟にそんな使われ方しているとは思わないだろうな、なんて考えて奏は笑う。
フェリクスが同じように笑って、奏の体を強く抱きしめてきた。
「ねえ、奏、――婚約披露をした後は、時間を取って、一日一緒に過ごそう」
「……フェリクス」
「その時は、……キミの中に入りたい。駄目?」
直接的なお誘いだった。心臓が早くなるのがわかる。
最後までしたい、と言われているのだ。今日のように中へ入れずに済ませるような形ではなく、奏の奥まで触れたい、と、そう言外に滲ませている。
奏は僅かに考えた後、寝返りを打ってフェリクスと真正面から向き合う。フェリクスは奏の行動に一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、直ぐに相好を崩して嬉しそうにする。
甘い感情で濡れた瞳は、奏への好意を隠さない。
「……駄目、じゃないです、私も、フェリクスと、一緒になりたいです」
「……良かった。今日、色々してしまったから断られたらどうしようかと思って」
「そうですね。もう明日からは一人で寝れますよね。怖くなさそうですし」
「待って。ごめん。本当に許して欲しい。調子に乗ったことは謝るから。でも好きな子から一緒に寝ようって言われた時の僕の気持ちもなんとなく察して欲しい。奏相手だとどうしても我慢が効かなくなってきて……ごめん、これは責任をなすりつけているね」
フェリクスは早口に言葉を続ける。はあ、と大きく吐息を零した後、「どうしようもなく、……触れたくて」とだけ続ける。
「不安なのは本当だし、朝に居なくなっているかもしれないと思うのも、嘘じゃない。ただ、……キミの傍に居ると、これまでずっと押さえつけていた気持ちが溢れてしまうんだ」
「そんなに気持ちを押さえつける場面ありましたっけ……」
「あったよ。何度もね。……キミのことを考えて夜を過ごしたことだって何度もあるくらいなのに」
フェリクスは拗ねたように言葉を続ける。ちょっと意地悪だったかもしれない。
結局の所、奏だってフェリクスに触れたいと思うし、触れて欲しいと思う。そうであるから、フェリクスの不安を拭いたくて共に寝るように誘ったのだ。
相手をガラス細工のように大事にしたい気持ちと、相手に触れたくて仕方無くなる気持ちが同居してしまっている。多分、これは奏だけではなく、フェリクスも同様なのだろう。
奏は手を伸ばし、フェリクスの頬に触れる。むに、と軽く摘まんでから離し、目を細めた。
「許しました」
「……良かったよ。キミに嫌われてしまったら生きていけないかもしれない」
「そこまでですか?」
「そこまで、だよ。僕はもうキミと出会う前の生活を思い出せないくらいなんだから」
フェリクスは囁くと、奏の肩口に額を寄せる。ぐりぐりとこすりつけるようにした後、笑い声を吐息と共に落とした。
今、幸せであると、――そう、口に出さずとも、表情と声音、そして行動が全てを語っている。奏はフェリクスの背に手を伸ばして、そっと指先を動かした。
「……これからの時間はずっと、フェリクスの為に使いますから。安心してください」
「ふ。なら、僕のこれからも、キミのために使い続けないといけないね。――奏」
フェリクスが笑う。好きだよ、という声に、どちらからともなく唇を重ねた。
秘所に熱を押しつけられながら、胸の先端を愛撫されると、体が逃げそうになる。腰が引けそうになり、それを押しとどめるようにフェリクスの片手が奏の腰を掴んだ。
太ももの間を行き来する熱が、奏の体にも伝染するかのように広がっていく。ぬちぬちと淫靡な音が耳朶を打ち、それにどうしようもない羞恥心を抱いた。
下着は既に下着の体をなしていない。濡れた布が、フェリクスの動きと共に奏の秘所をずりずりと擦り上げる。
その度に胎の奥が疼いて、内部からとろりとした液体が溢れてくるのがわかった。水分を吸い取りきれなくなった下着から、液体が太ももに垂れていくのがわかる。
「奏……」
耳元で囁く声がした。熱を帯びた声は、脳を直接揺らすように響く。ちゅ、と耳の形を辿るようにキスをされて、奏は息を詰まらせる。
胸元を愛撫していた指先が、先端を軽く押しつぶすように動く。指の腹で優しく掻くようにされると、我慢出来ずに声が零れていく。
「あっ、……ん、うぅ、それ、さわり、かた……っ」
「うん、何?」
荒い呼吸の合間、抗議するように声を上げると、フェリクスが笑った。吐息が肌を掠めて、それにすら背筋が粟立つ。
奏が気持ち良く感じる部分をゆっくりと開いていくような丁寧さで、フェリクスは奏の体を愛撫しながら腰を打ち付けてくる。
「ひっ、あ……! あ、も、んんう……ッ」
「気持ち良さそうな声してる。ねえ、こういう触られ方、好き? 教えて、奏、僕にだけ。僕がキミのこと、気持ち良く出来るように躾けてよ」
「なに、なにいってぇ……っ」
「は、ねえ、僕はすっごく気持ち良い……、こすりつけているだけなのに、ゾクゾクして……。奏の中を暴きたくなってくる。好きな人と体を重ねることが出来るなんて、思ってもみなかったから」
幸福に満ちた声音に、奏は瞬く。好き、好き、とフェリクスが繰り返す言葉の全てに、恐らくとんでもない質量の感情が詰め込まれていることが、聞いているだけで分かる。こんなにも優しくて、甘い声音で、何度も好きと言われると、切なさのようなものが胸の奥から零れてくる。
「好き、奏、……っ、は、きもちい、……、出そう、腰、止まらない……ッ」
フェリクスの声が上ずる。硬い熱が、秘所を擦り上げていく。フェリクスの腰の動きが速くなって、不意にぐ、と奥に押しつけるように大きなグラインドをした。太ももの間の熱がびくびくと震えて、射精する。
フェリクスは息を飲み込んで、直ぐに大きくそれを吐き出しながら、奏、と奏の体をぎゅうっと抱きしめてくる。
「――絶対に離れたくない……」
紡がれた言葉に奏は小さく笑う。後ろ手に手を伸ばし、そっとフェリクスの頭を撫でた。
「離れません、絶対に」
「……ありがとう。僕はキミに甘えてばかりだね」
「私も甘えてるから、お互い様です」
囁いて、奏はフェリクスと軽いキスをする。奏の体を愛撫していた指が、僅かな痙攣の後に動き出した。下腹部に触れていた指先が、そのまま濡れそぼった秘所に触れて、ふにふにと感触を確かめるように動く。
「んっ、あ、あ、フェリクス……? な、んで」
「奏のイくところが見たい。駄目?」
「――っ」
掠れた声で囁かれて、奏の体がびく、と震える。芽の形をしたそこに、フェリクスの指が布越しに触れる。すりすり、と撫でるようにされると、それだけで気持ちよさに声が止まらなくなる。
「んぅ、――ッ、ぁっ、あっ、――ッ、っ、は……ッ、ふ……、や、は、ずか、しい……っ」
「ふ。あは。ねえ、ここ、凄いひくひくってしてる……、可愛い、奏。すりすり撫でると太ももびくって震えて、気持ち良いって僕に教えてくれてるみたい」
「そんっ、な、ことぉ……っ、ん、ぅ、いわない、でぇ……っ」
「ここも――」
花芽の部分から降りて、布の上から秘所を開くようにされる。とろとろと零れる液体を掬い上げ、そのまま塗り込めるようにフェリクスの指が動いた。
「くぱくぱって開いて、……欲しいって、言ってるみたい、僕のを、中に、って」
フェリクスが一瞬息を飲んで、そのまま下着の隙間から手を差し込める。直接敏感な部分を優しく撫でられて、奏は必死に首を振った。快楽から逃げようと体を動かそうとするが、それを止めるようにフェリクスの足が奏の足に絡みつく。そのまま片膝を立てるような格好をされて、奏は顔を赤くした。羞恥心と気持ちよさで視界が潤み、瞬きの度に涙がこぼれ落ちそうになる。
「や、やだ、この格好、だめ、はずかし……」
「大丈夫、可愛いよ」
「か、可愛くな――ふあっ、あ……ッ! そこ、敏感、だから、駄目、駄目」
指がばらばらに動いて、奏の秘所を愛撫していく。花芽を軽く押しつぶすようにくりくりと撫でられて、息が止まりそうになる。意識していないと呼吸すら出来なくなってしまいそうな快楽の中で、奏はフェリクスの名前を呼んだ。
「ん、んっ、あ、あ、フェリクス、フェリクス」
「気持ち良い? 教えて、ね……、奏」
「あっ! あ、あ、こちゅこちゅ扱かないで……っ、おかしく、なる、体……っ」
「ふ。あは。おかしくなればいいのに。僕の指と、声と、僕だけで感じるように、おかしくなってよ」
思考がままならなくなる。与えられる刺激で脳裏が埋め尽くされて、フェリクスの言葉に上手く返答が出来ない。悶えるような吐息だけが零れていく。
不随意的に体に力が入り始める。そろそろ達してしまうかもしれない。そもそも、キスの時点からずっと優しく開かれていた体が、直接的な刺激に少しも耐えられるはずがない。
「ん、あ、ひうっ、あ……っ、あっ、ふ、待って、おねがい……っ」
「ふふ、ねえ、奏の体、すごく熱い……。イく時、声、聞かせてね」
「ん、うぅ、いじわる、ぅ……っ」
「知らなかったの?」
フェリクスが楽しげに言葉を弾ませる。性格悪い、ひどい、と色々な罵詈が奏の頭の中を巡るが、それらもフェリクスの手の動きによって快楽に上塗りされていく。お腹の奥でぐるぐると熱が巡っているような心地がして、息が詰まる。
「ひ、う、イ、きそ、イく、イっちゃう、からぁ……っ」
「――うん、イって、ねえ、奏……僕の手で、気持ち良くなって」
「あ、あっ、んぅ、イく、来ちゃう、ふ、あッ、あ……!」
きゅ、と指の間で軽く挟まれるようにされて、奏の体がびくりと震えた。甘えるような声が喉の奥から零れて、体内がびくびくと震える。フェリクスの手に自身の秘所を押しつけるようになって、不意に力が抜けた。とろとろとした液体が中から溢れていく。フェリクスの手がそれを掬うようにして、ゆっくりと離れていった。
「ふ、僕の手、凄い濡れてる。奏ので、……」
ちゅ、と吸い付くような音が聞こえて、奏はびくりと震えた。恐る恐るフェリクスの方へ視線を向けると、濡れそぼった指を舌が舐めているのが見えた。
「な、何、何して……!」
「何って……、何か駄目だった?」
「駄目、駄目に決まってる!」
「どうして。――今日は、これだけで済ませるけれど、婚約披露をした後、僕は我慢するつもりもないからね」
フェリクスが囁く。濡れた指先がそろ、と奏の腹部に触れた。
「奏の気持ち良い所を沢山僕が可愛がって、この中に熱を埋めて、一生離れられないようにするつもりなんだから」
「――、も、もう、恥ずかしい、……」
「ふふ。うん。沢山恥ずかしがって。その姿も、表情も、全部僕だけに見せて。――僕だけに、奏のえっちなところ、全部見せて」
すり、とフェリクスが奏の体に密着してくる。――硬いものが、太ももにすり寄せられて、奏は僅かに息を詰まらせた。
「……か、かたくなってる」
「それはそうでしょ。好きな子の甘い声とか、自分の名前を必死に呼ぶ姿とか、可愛がれば可愛がるほどに反応してくれる所見て、勃たない男はいないよ」
フェリクスは囁く。に、二回戦が始まってしまう、と奏が慌てると同時に、フェリクスが小さく笑った。
「……これ以上は、しないから。大丈夫、頭の中で兄上の顔でも思い浮かべていたら萎えていくと思うし」
「……とんでもないアレウス様の使い方をしますね……」
「こういうときに役に立って貰わないと」
まさかアレウスも自分が弟にそんな使われ方しているとは思わないだろうな、なんて考えて奏は笑う。
フェリクスが同じように笑って、奏の体を強く抱きしめてきた。
「ねえ、奏、――婚約披露をした後は、時間を取って、一日一緒に過ごそう」
「……フェリクス」
「その時は、……キミの中に入りたい。駄目?」
直接的なお誘いだった。心臓が早くなるのがわかる。
最後までしたい、と言われているのだ。今日のように中へ入れずに済ませるような形ではなく、奏の奥まで触れたい、と、そう言外に滲ませている。
奏は僅かに考えた後、寝返りを打ってフェリクスと真正面から向き合う。フェリクスは奏の行動に一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、直ぐに相好を崩して嬉しそうにする。
甘い感情で濡れた瞳は、奏への好意を隠さない。
「……駄目、じゃないです、私も、フェリクスと、一緒になりたいです」
「……良かった。今日、色々してしまったから断られたらどうしようかと思って」
「そうですね。もう明日からは一人で寝れますよね。怖くなさそうですし」
「待って。ごめん。本当に許して欲しい。調子に乗ったことは謝るから。でも好きな子から一緒に寝ようって言われた時の僕の気持ちもなんとなく察して欲しい。奏相手だとどうしても我慢が効かなくなってきて……ごめん、これは責任をなすりつけているね」
フェリクスは早口に言葉を続ける。はあ、と大きく吐息を零した後、「どうしようもなく、……触れたくて」とだけ続ける。
「不安なのは本当だし、朝に居なくなっているかもしれないと思うのも、嘘じゃない。ただ、……キミの傍に居ると、これまでずっと押さえつけていた気持ちが溢れてしまうんだ」
「そんなに気持ちを押さえつける場面ありましたっけ……」
「あったよ。何度もね。……キミのことを考えて夜を過ごしたことだって何度もあるくらいなのに」
フェリクスは拗ねたように言葉を続ける。ちょっと意地悪だったかもしれない。
結局の所、奏だってフェリクスに触れたいと思うし、触れて欲しいと思う。そうであるから、フェリクスの不安を拭いたくて共に寝るように誘ったのだ。
相手をガラス細工のように大事にしたい気持ちと、相手に触れたくて仕方無くなる気持ちが同居してしまっている。多分、これは奏だけではなく、フェリクスも同様なのだろう。
奏は手を伸ばし、フェリクスの頬に触れる。むに、と軽く摘まんでから離し、目を細めた。
「許しました」
「……良かったよ。キミに嫌われてしまったら生きていけないかもしれない」
「そこまでですか?」
「そこまで、だよ。僕はもうキミと出会う前の生活を思い出せないくらいなんだから」
フェリクスは囁くと、奏の肩口に額を寄せる。ぐりぐりとこすりつけるようにした後、笑い声を吐息と共に落とした。
今、幸せであると、――そう、口に出さずとも、表情と声音、そして行動が全てを語っている。奏はフェリクスの背に手を伸ばして、そっと指先を動かした。
「……これからの時間はずっと、フェリクスの為に使いますから。安心してください」
「ふ。なら、僕のこれからも、キミのために使い続けないといけないね。――奏」
フェリクスが笑う。好きだよ、という声に、どちらからともなく唇を重ねた。
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