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3-6.
しおりを挟む「レベル4なんて今まで現れたことないはずなのに!!」
学園の裏手にある魔獣の森にはその名の通り、魔獣が生息しており、そのほとんどがレベル1~2だといわれている。
しかも私が在学中、敷地内にレベル1の魔獣が現れたのは1度だけ。
学園と森の境は分厚い塀で区切られているが、生徒の魔獣討伐訓練のために門が作られている。
誰かが地面を掘ったのか、地面と門の間には隙間ができていて、魔獣はその隙間から侵入したらしい。
実はその頃私はゾイからダイエットしろと言われていて、見つかってはならないと森の近くで隠れてクッキーを食べていたのだ。
そのクッキーの匂いのせいか、迫りくる魔獣から全速力で逃げた。すぐに騎士団と教師が助けてくれたのだけれど。
あの時の魔獣は、一つ目の白熊のような魔獣でまだ子供だった。殺すのは可哀想だからと、騎士団が麻酔銃で眠らせたのを思い出す。
そう、私がその魔獣を、眠っている間に森まで背負って運んだんだっけ。
今はそんなことを思い出している場合ではない。あの時の魔獣とは比にならないレベルなのだ。
「シシルは詰所で待機!残りの総員は学園へ向かう!」
「嫌だ!私も行く!」
今学園は授業中のはず。きっとアンドリューや後輩たちが怯えているに違いない!
「駄目だ!いきなり現場なんて危険すぎる!」
「でも私の大事な学園が!」
「爆破したやつが何言ってる!!」
私が今にもついて行きそうだと判断したのか、レオハルトがポルト先生に私を監視するよう命じた。
「あなたは今日はまだ挨拶だけのはずだったでしょう?大人しく俺と詰所で待機していましょう。」
ポルト先生に連行されるように手首を掴まれた。レオハルトはそれぞれに指示を出し、騎乗してあっという間に見えなくなった。
詰所に連れてこられた私は先生に紅茶を出されたが、とても飲む気にはなれなかった。
私はレベル3以上の魔獣を見たことがない。レベルの高い魔獣は基本的に人を嫌うため、辺境地に生息しているのだ。
「レベル4となると飛ぶことのできる竜や鳥獣の可能性もあります。回避の訓練をつまないと連れ去られてしまうかもしれません。」
「それじゃあ学園の皆だって連れ去られる可能性があるじゃない!」
「建物の中にいれば安全なはずですよ。」
しかし10分後、詰所にまた新たな使い魔がやってきた。それは第1騎士団の使い魔で、足首に"1"と書かれたタグがつけられている。新たな伝達事項が書かれていた。
"相手は火竜であることが判明。水の魔力保持者は総員現場に迎え"
「第1騎士団団長からの伝令です!私は水属性ですので至急向かわなければ!」
「私も連れてって!!」
「それは無理です!レオの命令ですから!どうかここで大人しくしていて下さい!」
先生が詰所から出て行き、隣の馬小屋から白い馬を出す。馬に手綱とハミ、鞍をつけ颯爽と跨ると、駐屯地の門へ駆けて行ってしまった。
ふん、私を見くびらないでほしいわ。前世で何度あなたたちのアジトから脱走したと思っているの?
私も先生同様、1頭の馬を出そうと馬小屋に入ると、ダルタニアンに似た斑点模様の馬が1頭だけ残っていた。この馬はメスだ。大人のメス馬は非常に扱いが難しいと乗馬の授業で習った。
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