上 下
23 / 29

23話 マリンベール学園④

しおりを挟む
前書き

12話を加筆修正しました。

英雄五人→英雄五人+一人に変更しています。




本文

 なんかモヤモヤしたまま私達は騎士部とやってきました。

 少ししてからダン様もやってきました。

 そして何故かケージーお兄様が率いる私達のクラスの人と合流。


 勿論、ダン様を見た女子の皆さんから黄色声がでましたよ?




 騎士部がこの学園では生徒が一番多いそうです。ここでは優秀な平民も入れますし、就職先には困らないので人気だそうです。


 それに全学部の中で一番学費がお安いのも人気の秘密だそうです。

 国からの補助があるとは言え、医学部などはかなり高い学費です。かなり優秀であれば学費半額の制度もあるらしいのですが、審査は厳しいらしくなかなか受けることができないとの事。


 ケージーお兄様は本当は医学部に行きたかったのですが、ルカーサー家は裕福ではないので騎士部へと入学したのです。ですが、ケージーお兄様は補助や先の戦争で国から頂いたお金もあったので医学部に入れたと思うのですが、領地が広がり、その領地と領民の復興の為に使ったのです。

 それでもまだ少しあるそうですが、


「今後の為に取って置く」


 と......。


 ですから私達の暮らしはあまり変わっておりません。自分達で出来ることはする!という家訓を今も守り続けいて、メイドも最低限しか雇ってないのです。強いて言うとならば少し前より良くなったかな?って感じです。


 そんな家事いえごとはさておき、騎士部は授業も鍛練だけではなく、歴史から攻略などを学んだりしているそうです。

 騎士部の方は予想通り男性のみしか居ません。


 私達は今、剣術授業を見学していて、ムチムチ筋肉の方から細身の方まで様々な方がいらっしゃって、二人組になり木刀で打ち合いをしています。私達見学者は、その様子をキラキラと瞳を輝かせて見ていました。


「ウォー!!」

「ドリャー!!」


 カッ!カッ!カッ!

 ビュン!ビュン!カッ!


 木刀とはいえ、打ち合いには皆様真剣にされてて迫力が凄いです。


 ですが、その風景を見ていたケージーお兄様は呆れたような顔で言った。


「変にテンション高いな」


 え?そうですか?真剣そのもので頑張ってるようにか見えませんが?



「可愛い女の子が沢山見てるから張り切ってるのかな?」


 アーサー様がクックックと可笑しそうに笑っています。


 ダン様は無言で見てます。そしてさりげなく私の腰に手を回しています。何故に?


 あっ、そう言えばちょっと疑問に思っていたことをアーサー様に聞いてみました。


「ジューデス様やラドラベル様、カールマイヤー様はいらっしゃらないのですか?」


「ああ、あいつらは各自任務があって学園には来てないんだよ。それに皆揃っていると見学ところじゃなくて大騒ぎなってもいけないしね。」


 アーサー様はそう言って軽くウィンクをする。


 その仕草に周りの女の子達は「キャー」と小さな悲鳴を挙げる。

 美形は何の仕草でも様になりますわ。

 でも絶大な人気を誇る六人が揃っていないのは残念ですわ。皆もそれを楽しみに来ていたと思いますし。

 案の定、その会話を聞いていた周りの方達は残念そうな顔をしていました。


 そんな周りのことは気にした様子もなく、ケージーお兄様はアーサー様に向いてポンと肩に手を置いた。



「そういえばアーサー、お前何故まだここにいる?」


「え?」


「そうだな、私が帰ってきたらもういいぞ。」


 急かさずダン様もケージーお兄様に便乗し、アーサー様の顔を見ずに冷たい言葉を発した。でも何が可笑しいのかアーサー様は「私だって!プッ!」と言って笑っています。ですが、すぐ様ケージーお兄様はアーサー様に向かってシッシッと手を振った。


「うん。そうだな。もう用無しだ!帰っていいぞ!」


「え?え?、用無しってそれってひどくない!?」


「お前の大好きな女性が待っている。」


 ケージーお兄様、今、最高の笑顔ですわ......。


「いや、待ってないから!!」


「じゃあ、ご婦人が待っている!」


「ご婦人は待って.....ってないから!なんなのさ!ひどいぞ!ケージー!」


 アーサー様はケージーお兄様の言葉にプンプンと怒っている。


「いつもお前『女性が待ってるから早くいかなくちゃ!』って言ってるだろ?安心しろ!お前の役目は終わった!」


 アーサー様はいやいやと頭を左右に振り、地団駄ふんだ。


「仲間はずれは禁止!例え女の子が待っていようとここにいる!」


「仲間はずれって.....お前は子供か!」


「子供で結構!」


 低次元の言い合いのような気がしますが、アーサー様はケージーお兄様にあっかんべーをして、気を取り直したように私の方にやって来た。


「僕もミチルダちゃんと回る!」


 アーサー様が私の手を握ろうしたけれど、ダン様がバシっとその手をはたいた。


「痛っ!」


 アーサー様は若干涙目で手をさすっている。


「気安く触るな。」


 ダン様が不機嫌そうに言ったと思ったら、今度は私の後ろの方でまたもやバシッ!と何かを叩く音が......。


「お前もな!」


 いつの間にかケージーお兄様が私の後ろに立っていて、どうやら私の腰に置いてたダン様の手をケージーお兄様がはたいたようだ。


 ダン様は眉間にシワを寄せてケージーお兄様を睨んでます。アーサー様は「ダン、ざまあだな!」と、ケラケラ笑いながお腹を押さえている。


 そして「だいたい、お前らはな!」ケージーお兄様の説教が始まりました。


 ハッと視線を感じて周りを見たら、騎士部の方やクラスメイト達がこちらをポカーンとした顔で見ていた。


 はっ、恥ずかしいですわ!助けを求めにフローラ達の方を見たら、フローラ、マリア共に生暖かい目で私を見ていた。


 そしてフローラが一言。


「うん....学園だけじゃなく貴族の間にも嵐が起こりそうね.....。」


 マリアは首を大きく上下に振ってウン!と頷いている。

 それを見た私は何故か絶望的になり青い顔になっていた。


 その後ろではまだケージーお兄様の説教が続いていた。





 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 それからしばらくして、ケージーお兄様が我に返り、無事騎士部の見学が終わろうとしていた時だった。

 校舎の方でワーワーと騒さわがしい声が聞こえた。


 ドタドタと数人の足音と声が近づいてくる。


「お待ちください!」


「うるさいわね!」


 ヒステリックな女性の声と焦ったような男性の声が聞こえた。


「まだ授業中でございます!中等部の者もおります!もう少し....」


「そうなの?でもわたくしには関係ないわ!わたくしはアンドリエ公爵に用事があるのです!こちらにいらっしゃるのよね!?」


 女性も焦っている感じだ。


「姫様!お待ちください!」


 姫様?

  アンドリエ公爵ってダン様のことよね?


 私とフローラ、そしてマリアとお互いに交互に目を合わせる。


 そしてその足音は徐々に近づいているのか大きくなり、ついに私達の前に現れた。


「ダン様!!」


 目の前に現れたのはこの国の王女エンジェレ様だった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

義兄様に弄ばれる私は溺愛され、その愛に堕ちる

一ノ瀬 彩音
恋愛
国王である義兄様に弄ばれる悪役令嬢の私は彼に溺れていく。 そして彼から与えられる快楽と愛情で心も身体も満たされていく……。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

【完結】お義父様と義弟の溺愛が凄すぎる件

百合蝶
恋愛
お母様の再婚でロバーニ・サクチュアリ伯爵の義娘になったアリサ(8歳)。 そこには2歳年下のアレク(6歳)がいた。 いつもツンツンしていて、愛想が悪いが(実話・・・アリサをーーー。) それに引き替え、ロバーニ義父様はとても、いや異常にアリサに構いたがる! いいんだけど触りすぎ。 お母様も呆れからの憎しみも・・・ 溺愛義父様とツンツンアレクに愛されるアリサ。 デビュタントからアリサを気になる、アイザック殿下が現れーーーーー。 アリサはの気持ちは・・・。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

王太子殿下の執着が怖いので、とりあえず寝ます。【完結】

霙アルカ。
恋愛
王太子殿下がところ構わず愛を囁いてくるので困ってます。 辞めてと言っても辞めてくれないので、とりあえず寝ます。 王太子アスランは愛しいルディリアナに執着し、彼女を部屋に閉じ込めるが、アスランには他の女がいて、ルディリアナの心は壊れていく。 8月4日 完結しました。

処理中です...