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21話 不可解な行動。

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恐怖の日から数日経ちました。

 あの日は、ローラン様が夕方に家に来られました。
私は疲れ切って寝ていました。起こしにお母様が来てくれましたが、今は調子悪いから会えないと伝えてもらいました。ローラン様は凄く心配してくれたみたいです。お母様も心配してくれて、何回も様子を見に来てくれました。

次の日もローラン様はお見舞いに来てくれましたが、今は会いたくないとお断りしてもらいました。
彼は、私が会わないと聞くとショックを受けていた感じだったそう。一目だけでもと、食い下がってきたみたいですが、その日はシャベールお兄様が居て、「今日は帰れ」と言ってくれたようでした。

 家族皆で心配してくれて、代わる代わる様子を見に来てくれました。
アンナ御姉様や、ギオレットお兄様はデートをキャンセルしてまで、家に居て下さいました。
私は家族に愛されてると実感させてくれました。

 その次の日は、ローラン様が辺境へ帰られる日。前の日の家族の優しさで、少し浮上したので、学校を休んで見送りに行くことにしました。

 私が行くまでもなく、ローラン様は出発する前に、私の屋敷に来てくれました。
 ローラン様は、私の姿を見ると駆け寄ってきて、力強く抱きしめた。

「フレア、パーティーで何かあったのかい?」

 彼は心配そうに聞いてきた。
「いいえ。ちょっと体調悪くなりましたの。ローラン様には、申し訳ないと思いましたが帰らせてもらいましたわ。」

「···そうか。でも言って欲しかったよ。一緒に帰ったのに。アルフレッドに聞いてびっくりしたよ···もしかして、エメルダが何かしたのかと思った。何もされてないかい?」

されましたわ!···とは言いません。女同士のことですもの。

「大丈夫ですわ。もうお時間でなくて?」

 もうお昼近くなってます。これ以上遅くなると、辺境に到着するのも遅れしまう。

「そうだね···」

ローラン様は、私を頬を撫でて、手にキスを落としてから、旅立って行った。


見送った後、ノーレン御姉様とアンナ御姉様が私の部屋にきた。

「フレア、ローランが言ってた、エメルダって誰です?」

「やっぱり、あの日、何かあったのね?」

二人に問い詰められました。
私は素直にその日のことを打ち明けました。

「そう···そんなことが···。エメルダって人は知ってるわ。確か伯爵家の方ね。礼儀がなってないわ。もう、振られたくせに醜いわね。」

ノーレン御姉様····

「て言うか、ローラン様が詰めが甘いのよ。ちゃんと別れてないってことでしょ。女癖の悪さはシャベールお兄様と匹敵するくらいなんだから、後始末はちゃんとして欲しいわよね。」

アンナ御姉様····

「まあ、アンドリエ家の可愛い末っ子を泣かせたんだから、覚悟してもらわないとね。」


ノーレン御姉様···私は泣いてませんわ。しかも悪どい顔してます···

「私は良く知らない人だけど、ちょっと調べて報復しとくわ。」

アンナ御姉様!怖いことをなさらないで下さい!

「ノーレン御姉様、アンナ御姉様、私はそんこと望んでおりませんわ。お気持ちだけで十分ですわ。」

「ダメよ!ほって置いたら、付け上がるわ!ちゃんと立場を考えて貰わないといけませんわ。」

「そうよ!私の可愛い妹が苛められて、黙っておけないわ!」

御姉様方、ありがとうございます!嬉しいですわ!でも本当に····

「「任せておきなさい!」」

····二人の御姉様がタッグを組ました。
この二人に、何をされるのか···エメルダの含む女性たちに合掌した。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ローラン様が旅立って数日経った金曜日。


 金曜日はお父様がいる日で、シャベールお兄様も仕事から帰ってきました。
久々の家族が揃った夕御飯を食べていたときに、不意にお母様がお父様に話かけた。

「ダン、明日ですが、お買い物に行きたいわ。一緒に行って欲しいんですの。」

「····明日はちょっと····明後日ではどうだ?」

「嫌よ。明日がどうしてもいいんですの。」

お父様は明日は何かあるのか、困った顔をしています。

「お母様、私たちが一緒に行きましょうか?」

ノーレン御姉様が言う。私も参加させて欲しいですわ!

「ノーレン、ありがとう。でも悪いけど、お父様と行きたいの。」

まあ、ラブラブですわね!

あっ!明日は妾の所に行く日でしたわね。でも、行くのは夕方でもいいと思いますが····。やはり用事でもあるんでしょうか。

「ちょっと、予定を調整してみる。」

お父様はそう言い、食べ始めた。

「ダン、明日よ。仕事があろうが、休んできて欲しいの。いつも仕事ばかりしてるんですもの。1日くらい大丈夫でしょう?」

お母様は念を押してました。

お母様にしては、珍しい我が儘です。

どうしたのでしょう?いつもなら、こんな我が儘は言わない人なのに。

私たち兄妹は目を合わせ、首を傾げた。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

次の日。

お父様が出掛けるようです。

お母様が、見送りをしております。

「ダン、昨日言った喫茶店で待ってますわ。」

「···行ってくる。」

お父様は出掛けていきました。


お母様は

「悪いけど、お昼ご飯はフレア、お願いね。」

「はい。お母様。」

お任せあれ!やる気満々ですわ!

 今日は料理人が用事があるようで、夕方のみの出勤なのです。
なので、今日は私が料理することになったのです!
 今は我が家のサラダに欠かせない、マヨネーズ料理をする予定ですわ。

 お母様は、早々にお部屋に行き、出掛ける準備をした。

さて私も、もう少ししたら取り掛からないと!
と、思っていたら、リリアン御姉様に呼ばれました。
呼ばれ行った先にはノーレン御姉様もいた。ちなみにアンナ御姉様は、ランベルト王子様に会いに王城に行きました。

「ねえ、フレア。ちょっとお母様たちのデート見てみたいと思わない?」

まさしく、出刃亀をしに行こうとしてます。

「リリアン御姉様···それは所謂出刃亀では···?」

「出刃亀?何それ。亀って何かの動物?」

ああ、この世界には「出刃亀」と言う言葉がないんですね。

「いや、あのー、所謂覗き見をするのですか?」

「違うわよ。私たちは街にお買い物に行くの。だってお母様たちの待ち合わせ場所知らないもの。覗き見なんて出来ないわ。」

ノーレン御姉様····探すのですよね。

「取り敢えず、街に行くわよ。」

「分かりました。お昼ご飯食べてからですよね?」

用意しないと!

「何言ってんの!お昼は街で食べるわよ!お母様たちに遅れを取るじゃない!」

リリアン御姉様、やはり出刃亀目当てですわね。

お昼は街で食べるのですね。せっかく気合い入れていたのに残念ですわ。

私たちも急ぎ、お着替えをした。



「では、いってくるわね。」

「「「行ってらっしゃいませ。」」」

三人でお見送りしましたわ。

お母様の馬車が見えなくなるまで見送りをし、私たちもすぐさま馬車へ乗る。

「セバン!行ってくるわ。」

「行ってらっしゃいませ。お嬢様。」

執事のセバンに声をかけ、出発!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 私たちは街へ着き、食事するお店を探しながら、喫茶店の中を覗きお母様とお父様を探した。

 「いませんわ···。」
 「そうですわね。」

 二人の姉はキョロキョロしながら歩く。
 しかも、尾行···出はなく、出刃亀するのに、おもいっきり二人ともおしゃれしてますわ。
私は目立たないように地味なワンピースで来たのに···。顔も地味だから一般の方と居ても違和感ありませんが、御姉様方は顔も派手なので目立ちまくりですわ。

 すぐお父様たちに見つかりそうですわ···。

「見つけた!」

どうやらリリアン御姉様が見つけたようです。

 まだお母様一人のようです。あれから結構時間が経ってますが。
 私はバレないように、2つ後ろの席に座った。

 「お父様はまだみたいね。」

 取り敢えずお昼ご飯を注文しました。歩き周りお腹が空きました。
 暫くして、私たちの料理も来て食べてました。

 「まだお父様こないのかしら···。」

 本当です。遅すぎます。
 すると見覚えのある方が、お母様の所へ行った。お父様の部下のお一人ですわ。

 部下の方は、お母様の前に行き敬礼し、
 「失礼します!ミチルダ公爵婦人殿。ダン宰相様から伝言です!やはり本日は来られないとのことです!大変申し訳ないと申しておりました!後日、改めて行こうとのことです!」

 お父様、お仕事が大変なのですね。

 「いいえ。私は待ってると言ってくださる。必ず来て欲しいと。」

 えっ!?と、驚いて三人で顔を合わせた。

 「あの···ダン宰相様は··」

 「いいから、伝えてちょうだい。」

 「了解しました。···失礼します。」
 部下の方は下を向きながら去って行った。
 私たちは「どうする?」みたいに目を合わせて

 「なんか意外ですわ。あんな頑ななお母様初めてよ。」
 「本当に····。まさかお父様がこないって云うのもびっくりしたけど。」

 「なんかの記念日なのでしょうか?」

 「そうね···思いつかないけど。お母様は本当にこのまま待つのかしら。」

 うーん。と三人で悩む。
 その後、一時間も居ましたが、お母様は動く様子がなかった。
 このまま、私たちが居ても仕方ないと思ったので、出刃亀は諦めてお店を出ることにしました。



 私たちは、せっかく街まできたので、買い物でもしようと言う話なり、アクセサリー店や雑貨屋さんを見て回った。

 「あっ!あれってお父様じゃない?」

 リリアン御姉様が気付き叫ぶ。ノーレン御姉様と私はリリアン御姉様が指を指す方向を見る。

 あっ!お父様だ!それと、もう一人いた。

 「あれって妾のヴィアインじゃない?」

 えー!!お父様、何でヴィアインと一緒ですのー?

 私たち三人は、お父様とヴィアインが腕を組んで歩いているのを、呆然として見ていた。
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