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7話 商人ギルドへ登録しよう!
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夕方にはコイル村に着くことが出来た。
門で少し揉めたようですが、何とかキース隊長のおかげで入門することが出来た。
ランクス副隊長がすぐに、私達が泊まる宿を探してくれた。
「他の者にも宿を探してあげてください。」
と言うと、
「大丈夫ですよ。皆、勝手にしますから。」
の、笑顔の一言で済ませた。
私とネネは一部屋ずつ取ってくれた。私は別にネネと一緒でも構わなかったのだけれど、
「姫様と同室なんてとんでもない!」
と言い、断固として受け入れなかった。
ただ続き部屋で取ってくれたので、呼んだらすぐにきてくれることになっている。
因みに追加料金払ってピューマも一緒の部屋で寝泊まりできることになった。
その日の夜は、ネネと私は宿の食堂で夕食を食べた。
何故か私達は注目されていて·····。
「ねえ、ネネ。何か私達凄く見られている気がするんだけれど····。」
ネネは無表情で相づちを打ち言った。
「ええ。かなり注目されてますよ。全て熱い視線はアリア様に注がれてますけどね!」
「え?私?」
ネネは食事していた手を止め、ふうとため息をつき
「アリア様は自分の容姿を自覚した方がよろしいですわ。その美貌、12才とはいえ、その辺の女性より綺麗ですし。しかも白銀色の髪がなおさら引き立てます。····私なんて誰もみてないし···」
最後に何かボソッと言ってますが、私は自分が注目をされているのに驚いて聞こえなかった。
だって、王城では常に注目を浴びていたのは上の兄妹達だったから····。
確かに白銀色の髪は珍しい。この国では白銀色の髪は女神の象徴とされている。その為、白銀色の髪の人間が産まれたり、見つかったりしたら教会で保護されている。
私は王家の人間なのでそのまま王城にいるけれど。
産まれた当初は、教会の者が保護すると言ってきたらしいが、国王であるお父様が拒否したのだ。
ありがとう!お父様!
因みに平民だったお母様は農民出身だったが、実家は辺境の近くのしかもかなりの田舎所だったらしい。お母様が産まれた時には村の皆で隠したらしい。辺鄙な所だからめったに教会の人も来なかったことが良かったみたいで見つかることはなかった。一才くらいから茶色に髪の毛を染めたという。
たまたまお母様が15才の時に行った街で、王城の使用人の公募がされていて、それに応募して見事受かった。それから二年はお食事を運ぶ係とお掃除をメインに仕事していた。その時にはまだサマヌーンの皇太子であったお父様に見初められ、お手つきになり私を身籠り側妃となった。お母様の白銀色の髪の毛がバレたのはたまたまで、いつもなら一人でお風呂に入っていた時にお父様がいきなり入ってきたらしい。
·······お父様·······
そこでも教会と一悶着あったけど、既に国王の側妃になっていたのでお母様は教会行きが免れたそう。
ともあれその為、国民はめったに白銀色の髪の人間と会うことはないので珍しいのかもしれない。
かなりじろじろと見られて、食事がしにくいったらありゃしないわ。
私達はその視線から早く逃れるべく、食事のスピードをあげる。
その時に男性に声をかけられた。
「あの····」
私は振り向き
「なんでしょう?」
笑顔で応えた。
相手の男性は20才くらいの若者だった。
「君、凄く可愛いね。」
男性は頬を赤らめながら容姿を褒めてきた。
いきなり、何なのですの····。
「ありがとうございます。」
とりあえず素直にお礼を言った。
すると、男性は指である方向を指しながら
「良かったらあっちで一緒に食事をしない?」
またもやいきなり食事のお誘いをしてきた。
指す方向を見ると、男性一人が座っていてこちらを見ていた。
「結構ですので!」
ネネが断りを言ってくれたが、
「そんなこと言わずにさ!」
男性は諦めず、いきなり私の腕を取り連れて行こうとした。
「え!?」
私は驚いたが、私が立ち上がることはなかった。
「嫌がっているだろ?その方は私の連れだ。」
キース隊長が現れて相手の手を払ってくれたのだ。
キース隊長は相手の男性を睨み付けて
「分かったら、さっさっと元の場所に戻るんだな。」
顎をクイっと、動かした。
男性は、キース隊長の気迫に圧されたようで、そそくさと元の場所へ戻っていった。
キース隊長が男性がちゃんと席に戻ったのを確認してからこちらへ向いた。
「アリア様、大丈夫ですか?」
「ええ····ありがとう。さっきの方は何だったのでしょう。いきなり食事を誘ってくるなんて····。」
「「······。」」
ネネとキース隊長は『そんなことも分からないのか』って感じの顔で私を見てます。
「アリア様、さっきのは軟派と言うんですよ。」
キース隊長の後ろからランクス副隊長が現れた。
あれが噂の軟派だったの!?
こんな子供を軟派するなんて····女性不足なのかしら?
私が聞くと、ネネとキース隊長は呆れた顔になり、ランクス副隊長はクックと笑った。
どうしてよー!
私はムッとしてしばらく拗ねてたけど、キース隊長とランクス副隊長が話があるからと、私の部屋へと移動した。
話の内容は、商人ギルドについてのことだっだ。
「明日、商人ギルドに登録をするのですが、実名を使うのはあまり好ましくないと思いますので偽名で登録したらどうかと思いまして。」
と、キース隊長が提案をしてきた。やはり王族の者が商人ギルドに登録するのは、周りの影響を考えて辞めた方がいいというものだった。
「そうね····偽名····どうしたらいいでしょう?」
いきなり偽名と言われても思いつかないですわ。
「そうですね····」
皆で考えるが、思いつかない。
するとランクス副隊長が提案してきた。
「では私の名前を使ってください。」
「ランクス副隊長の名前で登録するということですか?」
ランクス副隊長は首を振り
「違います。私の家名を使ったらどうかと。」
ランクス副隊長の家名を借りるということですね。
それはいいかも!
そう思い、了承しようと思ったらキース隊長が顎を触りながら指摘してきた。
「ランクス副隊長の家名を使うと、公爵家の者と思われ警戒されるかもしれませんね。」
「そうなの?」
「はい。ランクス副隊長の家名、グルブルスは我が国では有力な公爵家の家名だと国民は認識しています。ましてやここコイル村はグルブルス家の領地でありませんので、コイル村を領地している、サンリッタ男爵が良からぬ予想をするかもしせん。それで変な要らぬ火種に成りかねないかと。」
····確かにそうよね····
なら!
「でしたら、キース隊長の家名を貸してくださる?」
キース隊長は目を見開いて驚いている。
キース隊長の実家は商人で我が国でも、一位、二位を争う商会を経営している。あらゆる国へ商隊を派遣していた。
「決めたわ!私は今からアリア·ルーブスと名乗ることにするわ!」
私が宣言すると、ランクス副隊長は納得してない顔をし、
「キース隊長と夫婦と勘違いされたらどうするんですか!?」
怒ったように言ってきた。
「「!!!」」
ふっ、夫婦って!
その言葉に驚いて、キース隊長と私は固まってしまった。
キース隊長はどんどんと顔を赤くしている。
そこにネネが一言。
「別に従妹で良くないですか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「チュンチュン」
鳥の鳴き声で目が覚めた。
そしてドアをノックする音が聞こえる。
「アリア様、起きられましたか?」
「起きたわ。」
私の言葉でネネが部屋に入ってきた。
「アリア様、早く朝食をお召し上がりになり、出かける用意をしなくてはなりません。」
「分かったわ。」
私は素早くベッドから起き上がり、服の着替えを始めた。
昨夜の話し合いで朝一で商人ギルドに行き、その後はなるべく早くコイル村を出発しようってことになりました。
全ての支度が済み宿を出ると、すでにキース隊長とランクス副隊長が待っていた。
馬車で移動を·····と言われたが歩いて行ける距離みたいなので歩いて行くことになった。
やはりめったに外に出られないので、観光もしてみたかったからというのもある。
昨日は目立ってたようだから、今回はツバの大きいな帽子を被りました!
髪の毛がなるべく見えないように、ネネが髪の毛を結ってくれた。
道行く人は早朝だからか、まだまばらしか歩いてなかった。
それでも注目を浴びながら商人ギルドへ向かった。
私とネネを真ん中で、両端をキース隊長とランクス副隊長ががっちりガードしてくれたので、話かけてはこられなかった。
商人ギルドに到着し、建物の中へ入った。
建物の中は思ったより小さく、閑散としていた。朝が早いからか人も居ない。
ふと見ると中央に大きな掲示板があった。
私はそこへ行き掲示板を見た。
「エメラルドの宝石買い取ります!」
「パーティー用ドレスを求めてます!詳細は···」
等々、書かれている紙が貼られてあった。
私がじっと見ていると話かけられた。
「お嬢さんは商人に興味あるのかな?」
振り向くと50代くらいの口ひげを生やしたおじ様が立っていた。
「はい。登録をしにきました。」
「そうか、なら受付はあちらだよ。」
そのおじ様が指した方向を見ると、女性が一人がちょこんと座っていた。
「アリア様、行きましょう。」
キース隊長が耳打ちをしてきて、私をそこまでエスコートをしてくれた。
「いらっしゃませ~!」
きゃぴっとした感じの女性が元気よく挨拶をしてくれた。
「あの····登録をしたいのですが。」
「はーい!何歳ですかあ?」
この方は語尾を凄く伸ばす方ですわね····。
「12才になります。」
私が答えると、受付の女性は一瞬驚いた顔をして
「12才!?12才に見えない~!マジで~!?」
ずいっと身を乗り出してきた。
「はっ、はい。12才です。」
私はどもりながら、帽子を取った。
帽子を取った瞬間に髪の毛がサラリと落ちてきた。
受付の女性は目をぱちくりさせている。
「白銀!?」
髪の毛の色にますます驚いているようだった。
「手続きを進めて欲しい。」
キース隊長が受付の女性を促した。
「あっ!すみませーん。ではこちらの用紙に記入をお願いしまーす。分かる所まででいいですよー。」
一枚の紙を渡された。
「字は書けますかー?書けなかったら代筆しますよー。」
「ありがとうございます。字は書けますので大丈夫です。」
その用紙に名前を昨日決まった、アリア・ルーブス、12才と記入し、個人で販売か、どこかの商会に入るのかとか書いてあって、とりあえず個人に丸をした。
「書きました。」
私は受付の女性の方に用紙を渡した。
女性はその用紙を受け取り、確認する。
「え?ルーブスって、あのルーブス商会の親戚の方ですかあ?あっ!そちらのがっちりとした体格の人はもしやキース・ルーブス様ですか!?」
受付の女性はキース隊長を見て目の色を変えた。
「え···ええ」
キース隊長はちょっと困った顔をした。
「やっぱり!後で握手してください!」
握手!?
「キース様はルーブス商会の跡取りなのに~、騎士になられてとても活躍してるとお聞きしてますぅ!そんな有名人に会えるなんて~!」
受付の女性は両手を胸に当てて感動しているようでした。
「い、いや···それよりも手続きを!」
キース隊長はこの場を何とかすべく、受付の女性に仕事を促した。
「そうだぞ。仕事をサボるな。エナーリ。」
先ほどのおじ様が注意をしながらこちらへやってきた。
エナーリと呼ばれた受付の女性は直立不動になり
「ギルドマスター!すみません!」
机に頭をぶつけそうなくらいお辞儀をし謝った。
そしてやっと手続きを進めた。
まず、商人ギルドに登録するためには入会をしなければならず、その際に入会料銀貨五枚、年間費銀貨二枚かかる。銀貨二枚は初年度だけで、二年目からは銀貨一枚を支払わなければならない。
一年ごとに近くにある商人ギルドで更新しなければならない。
更新を怠ったり、忘れたりしたらまた最初から入会になるとのこと。
結構厳しいです。
注意事項も色々と教えてくれた。
それを了承したら、こちらがサインをして手続きが終了となる。
「これで手続きが終了となりますぅ。これが商人ギルドカードになりますぅ。これも無くされたら再発行となり、手数料がかかりますぅ。その際に銀貨一枚かかりますので、取り扱いにはご注意くださいねぇ。」
そして商人ギルドカードを渡された。
銀のプレートで、商人ギルド承認、個人店アリア・ルーブスを証明する。
と書かれていた。
何かすごーい!
私はドキドキしながらカードを眺めた。
「では改めてましてぇ!ようこそぅ!商人ギルドへ!私は受付しているエナーリですぅ!宜しくねぇ!」
エナーリは、お茶目にウィンクしてきた。
そして、そばに立っていたおじ様を紹介してくれた。
「この方はこの商人ギルドのマスターでボルボシュアです。」
エナーリに紹介されたボルボシュアはニッコリして。
「この商人ギルドのマスターをしているボルボシュアです。宜しく頼む。」
「こちらこそ宜しくお願いいたします。」
私はお辞儀をしたら、ホッホッホとボルボシュアが笑った。
「育ちがいいのかな?礼儀がなっている。この方はキース様の奥方かな?」
「「いいえ!違います!」」
そう答えたのは、私達ではなく、ネネとランクス副隊長だった。
その後は、エナーリがキース隊長に握手を求めたり、食事に誘ったりと積極的に攻めていて、キース隊長はタジタシ状態だった。
私達はしばらくその光景を呆然と見ていたが、ギルドマスターに一喝されエナーリが大人しくなったのを見かはからって、商人ギルドを後にした。
ともあれ、何とか無事に登録でき、午前中にはコイル村を出発した。
門で少し揉めたようですが、何とかキース隊長のおかげで入門することが出来た。
ランクス副隊長がすぐに、私達が泊まる宿を探してくれた。
「他の者にも宿を探してあげてください。」
と言うと、
「大丈夫ですよ。皆、勝手にしますから。」
の、笑顔の一言で済ませた。
私とネネは一部屋ずつ取ってくれた。私は別にネネと一緒でも構わなかったのだけれど、
「姫様と同室なんてとんでもない!」
と言い、断固として受け入れなかった。
ただ続き部屋で取ってくれたので、呼んだらすぐにきてくれることになっている。
因みに追加料金払ってピューマも一緒の部屋で寝泊まりできることになった。
その日の夜は、ネネと私は宿の食堂で夕食を食べた。
何故か私達は注目されていて·····。
「ねえ、ネネ。何か私達凄く見られている気がするんだけれど····。」
ネネは無表情で相づちを打ち言った。
「ええ。かなり注目されてますよ。全て熱い視線はアリア様に注がれてますけどね!」
「え?私?」
ネネは食事していた手を止め、ふうとため息をつき
「アリア様は自分の容姿を自覚した方がよろしいですわ。その美貌、12才とはいえ、その辺の女性より綺麗ですし。しかも白銀色の髪がなおさら引き立てます。····私なんて誰もみてないし···」
最後に何かボソッと言ってますが、私は自分が注目をされているのに驚いて聞こえなかった。
だって、王城では常に注目を浴びていたのは上の兄妹達だったから····。
確かに白銀色の髪は珍しい。この国では白銀色の髪は女神の象徴とされている。その為、白銀色の髪の人間が産まれたり、見つかったりしたら教会で保護されている。
私は王家の人間なのでそのまま王城にいるけれど。
産まれた当初は、教会の者が保護すると言ってきたらしいが、国王であるお父様が拒否したのだ。
ありがとう!お父様!
因みに平民だったお母様は農民出身だったが、実家は辺境の近くのしかもかなりの田舎所だったらしい。お母様が産まれた時には村の皆で隠したらしい。辺鄙な所だからめったに教会の人も来なかったことが良かったみたいで見つかることはなかった。一才くらいから茶色に髪の毛を染めたという。
たまたまお母様が15才の時に行った街で、王城の使用人の公募がされていて、それに応募して見事受かった。それから二年はお食事を運ぶ係とお掃除をメインに仕事していた。その時にはまだサマヌーンの皇太子であったお父様に見初められ、お手つきになり私を身籠り側妃となった。お母様の白銀色の髪の毛がバレたのはたまたまで、いつもなら一人でお風呂に入っていた時にお父様がいきなり入ってきたらしい。
·······お父様·······
そこでも教会と一悶着あったけど、既に国王の側妃になっていたのでお母様は教会行きが免れたそう。
ともあれその為、国民はめったに白銀色の髪の人間と会うことはないので珍しいのかもしれない。
かなりじろじろと見られて、食事がしにくいったらありゃしないわ。
私達はその視線から早く逃れるべく、食事のスピードをあげる。
その時に男性に声をかけられた。
「あの····」
私は振り向き
「なんでしょう?」
笑顔で応えた。
相手の男性は20才くらいの若者だった。
「君、凄く可愛いね。」
男性は頬を赤らめながら容姿を褒めてきた。
いきなり、何なのですの····。
「ありがとうございます。」
とりあえず素直にお礼を言った。
すると、男性は指である方向を指しながら
「良かったらあっちで一緒に食事をしない?」
またもやいきなり食事のお誘いをしてきた。
指す方向を見ると、男性一人が座っていてこちらを見ていた。
「結構ですので!」
ネネが断りを言ってくれたが、
「そんなこと言わずにさ!」
男性は諦めず、いきなり私の腕を取り連れて行こうとした。
「え!?」
私は驚いたが、私が立ち上がることはなかった。
「嫌がっているだろ?その方は私の連れだ。」
キース隊長が現れて相手の手を払ってくれたのだ。
キース隊長は相手の男性を睨み付けて
「分かったら、さっさっと元の場所に戻るんだな。」
顎をクイっと、動かした。
男性は、キース隊長の気迫に圧されたようで、そそくさと元の場所へ戻っていった。
キース隊長が男性がちゃんと席に戻ったのを確認してからこちらへ向いた。
「アリア様、大丈夫ですか?」
「ええ····ありがとう。さっきの方は何だったのでしょう。いきなり食事を誘ってくるなんて····。」
「「······。」」
ネネとキース隊長は『そんなことも分からないのか』って感じの顔で私を見てます。
「アリア様、さっきのは軟派と言うんですよ。」
キース隊長の後ろからランクス副隊長が現れた。
あれが噂の軟派だったの!?
こんな子供を軟派するなんて····女性不足なのかしら?
私が聞くと、ネネとキース隊長は呆れた顔になり、ランクス副隊長はクックと笑った。
どうしてよー!
私はムッとしてしばらく拗ねてたけど、キース隊長とランクス副隊長が話があるからと、私の部屋へと移動した。
話の内容は、商人ギルドについてのことだっだ。
「明日、商人ギルドに登録をするのですが、実名を使うのはあまり好ましくないと思いますので偽名で登録したらどうかと思いまして。」
と、キース隊長が提案をしてきた。やはり王族の者が商人ギルドに登録するのは、周りの影響を考えて辞めた方がいいというものだった。
「そうね····偽名····どうしたらいいでしょう?」
いきなり偽名と言われても思いつかないですわ。
「そうですね····」
皆で考えるが、思いつかない。
するとランクス副隊長が提案してきた。
「では私の名前を使ってください。」
「ランクス副隊長の名前で登録するということですか?」
ランクス副隊長は首を振り
「違います。私の家名を使ったらどうかと。」
ランクス副隊長の家名を借りるということですね。
それはいいかも!
そう思い、了承しようと思ったらキース隊長が顎を触りながら指摘してきた。
「ランクス副隊長の家名を使うと、公爵家の者と思われ警戒されるかもしれませんね。」
「そうなの?」
「はい。ランクス副隊長の家名、グルブルスは我が国では有力な公爵家の家名だと国民は認識しています。ましてやここコイル村はグルブルス家の領地でありませんので、コイル村を領地している、サンリッタ男爵が良からぬ予想をするかもしせん。それで変な要らぬ火種に成りかねないかと。」
····確かにそうよね····
なら!
「でしたら、キース隊長の家名を貸してくださる?」
キース隊長は目を見開いて驚いている。
キース隊長の実家は商人で我が国でも、一位、二位を争う商会を経営している。あらゆる国へ商隊を派遣していた。
「決めたわ!私は今からアリア·ルーブスと名乗ることにするわ!」
私が宣言すると、ランクス副隊長は納得してない顔をし、
「キース隊長と夫婦と勘違いされたらどうするんですか!?」
怒ったように言ってきた。
「「!!!」」
ふっ、夫婦って!
その言葉に驚いて、キース隊長と私は固まってしまった。
キース隊長はどんどんと顔を赤くしている。
そこにネネが一言。
「別に従妹で良くないですか?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「チュンチュン」
鳥の鳴き声で目が覚めた。
そしてドアをノックする音が聞こえる。
「アリア様、起きられましたか?」
「起きたわ。」
私の言葉でネネが部屋に入ってきた。
「アリア様、早く朝食をお召し上がりになり、出かける用意をしなくてはなりません。」
「分かったわ。」
私は素早くベッドから起き上がり、服の着替えを始めた。
昨夜の話し合いで朝一で商人ギルドに行き、その後はなるべく早くコイル村を出発しようってことになりました。
全ての支度が済み宿を出ると、すでにキース隊長とランクス副隊長が待っていた。
馬車で移動を·····と言われたが歩いて行ける距離みたいなので歩いて行くことになった。
やはりめったに外に出られないので、観光もしてみたかったからというのもある。
昨日は目立ってたようだから、今回はツバの大きいな帽子を被りました!
髪の毛がなるべく見えないように、ネネが髪の毛を結ってくれた。
道行く人は早朝だからか、まだまばらしか歩いてなかった。
それでも注目を浴びながら商人ギルドへ向かった。
私とネネを真ん中で、両端をキース隊長とランクス副隊長ががっちりガードしてくれたので、話かけてはこられなかった。
商人ギルドに到着し、建物の中へ入った。
建物の中は思ったより小さく、閑散としていた。朝が早いからか人も居ない。
ふと見ると中央に大きな掲示板があった。
私はそこへ行き掲示板を見た。
「エメラルドの宝石買い取ります!」
「パーティー用ドレスを求めてます!詳細は···」
等々、書かれている紙が貼られてあった。
私がじっと見ていると話かけられた。
「お嬢さんは商人に興味あるのかな?」
振り向くと50代くらいの口ひげを生やしたおじ様が立っていた。
「はい。登録をしにきました。」
「そうか、なら受付はあちらだよ。」
そのおじ様が指した方向を見ると、女性が一人がちょこんと座っていた。
「アリア様、行きましょう。」
キース隊長が耳打ちをしてきて、私をそこまでエスコートをしてくれた。
「いらっしゃませ~!」
きゃぴっとした感じの女性が元気よく挨拶をしてくれた。
「あの····登録をしたいのですが。」
「はーい!何歳ですかあ?」
この方は語尾を凄く伸ばす方ですわね····。
「12才になります。」
私が答えると、受付の女性は一瞬驚いた顔をして
「12才!?12才に見えない~!マジで~!?」
ずいっと身を乗り出してきた。
「はっ、はい。12才です。」
私はどもりながら、帽子を取った。
帽子を取った瞬間に髪の毛がサラリと落ちてきた。
受付の女性は目をぱちくりさせている。
「白銀!?」
髪の毛の色にますます驚いているようだった。
「手続きを進めて欲しい。」
キース隊長が受付の女性を促した。
「あっ!すみませーん。ではこちらの用紙に記入をお願いしまーす。分かる所まででいいですよー。」
一枚の紙を渡された。
「字は書けますかー?書けなかったら代筆しますよー。」
「ありがとうございます。字は書けますので大丈夫です。」
その用紙に名前を昨日決まった、アリア・ルーブス、12才と記入し、個人で販売か、どこかの商会に入るのかとか書いてあって、とりあえず個人に丸をした。
「書きました。」
私は受付の女性の方に用紙を渡した。
女性はその用紙を受け取り、確認する。
「え?ルーブスって、あのルーブス商会の親戚の方ですかあ?あっ!そちらのがっちりとした体格の人はもしやキース・ルーブス様ですか!?」
受付の女性はキース隊長を見て目の色を変えた。
「え···ええ」
キース隊長はちょっと困った顔をした。
「やっぱり!後で握手してください!」
握手!?
「キース様はルーブス商会の跡取りなのに~、騎士になられてとても活躍してるとお聞きしてますぅ!そんな有名人に会えるなんて~!」
受付の女性は両手を胸に当てて感動しているようでした。
「い、いや···それよりも手続きを!」
キース隊長はこの場を何とかすべく、受付の女性に仕事を促した。
「そうだぞ。仕事をサボるな。エナーリ。」
先ほどのおじ様が注意をしながらこちらへやってきた。
エナーリと呼ばれた受付の女性は直立不動になり
「ギルドマスター!すみません!」
机に頭をぶつけそうなくらいお辞儀をし謝った。
そしてやっと手続きを進めた。
まず、商人ギルドに登録するためには入会をしなければならず、その際に入会料銀貨五枚、年間費銀貨二枚かかる。銀貨二枚は初年度だけで、二年目からは銀貨一枚を支払わなければならない。
一年ごとに近くにある商人ギルドで更新しなければならない。
更新を怠ったり、忘れたりしたらまた最初から入会になるとのこと。
結構厳しいです。
注意事項も色々と教えてくれた。
それを了承したら、こちらがサインをして手続きが終了となる。
「これで手続きが終了となりますぅ。これが商人ギルドカードになりますぅ。これも無くされたら再発行となり、手数料がかかりますぅ。その際に銀貨一枚かかりますので、取り扱いにはご注意くださいねぇ。」
そして商人ギルドカードを渡された。
銀のプレートで、商人ギルド承認、個人店アリア・ルーブスを証明する。
と書かれていた。
何かすごーい!
私はドキドキしながらカードを眺めた。
「では改めてましてぇ!ようこそぅ!商人ギルドへ!私は受付しているエナーリですぅ!宜しくねぇ!」
エナーリは、お茶目にウィンクしてきた。
そして、そばに立っていたおじ様を紹介してくれた。
「この方はこの商人ギルドのマスターでボルボシュアです。」
エナーリに紹介されたボルボシュアはニッコリして。
「この商人ギルドのマスターをしているボルボシュアです。宜しく頼む。」
「こちらこそ宜しくお願いいたします。」
私はお辞儀をしたら、ホッホッホとボルボシュアが笑った。
「育ちがいいのかな?礼儀がなっている。この方はキース様の奥方かな?」
「「いいえ!違います!」」
そう答えたのは、私達ではなく、ネネとランクス副隊長だった。
その後は、エナーリがキース隊長に握手を求めたり、食事に誘ったりと積極的に攻めていて、キース隊長はタジタシ状態だった。
私達はしばらくその光景を呆然と見ていたが、ギルドマスターに一喝されエナーリが大人しくなったのを見かはからって、商人ギルドを後にした。
ともあれ、何とか無事に登録でき、午前中にはコイル村を出発した。
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※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
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筈だったのです······が?
◆◇◆
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拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
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◆◇◆
安心保障のR15設定。
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