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外伝、冷血な魔教の君は令和の倫理とハピエン主義に目覚められたようで

7、お、俺は快楽堕ちなんてしないからな!(★)

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 なんだこれは。
 優しくゆるりとぬるま湯で蕩けさせられるような、愛撫。
 こんなの、サンじゃない――……俺は夢をみてるんだ……。

 

イク、お前の肌はきれいだな」
 
 ちゅっ、ちゅ、と音を立てながら軽いキスが続く。
 優しく撫でるように体の線がたどられて、性的欲求が芽吹く気配を己の内側に感じはじめる――身体が疼く。どうしようもなく。
 
「ふ、ンぅ……?」 
 唇の隙間から、ぬるりと舌が入り込んでくる。
「……ふ、ぅ……っ」
 鼻にかかったみたいな甘ったるい吐息交じりの声が零れて、恥ずかしくなる。
 
 舌を絡められて、唾液がとろとろに混ざり合う感覚にジワッとした高揚感が溢れてくる。
 脳が蕩けさせられるよう。そんな快感だ。
 まるで舌単体が独立した生き物みたいで、すこし怖い――蛇のように舌をじゅるじゅると擽り、舌の裏側から顎の裏を蹂躙して、歯列をなぞって――いちいち呼び起こされる甘くビリビリした刺激は、下半身に熱を集めていくようだ。

「さ、サン――ッな、なにを……お、おま、神仙」 

「私もあの世界で知識を得た。ゆえに、今日は優しくしよう」
「な、な、なに言ってる……っ!?」

 ――清らかなはずの神仙がとんでもないことを言ってる気がするぞ!?
 音彧オンイクは震えた。

 その唇が、またキスで吐息を奪われる。
 唇を割って入ってきた熱い舌は、生々しかった。
 異世界帰りの脳で考えても夢オチとか神仙感とかが全くない、「これは現実で、相手はリアルな人間だな」って感じの感触だった。

 絡みついてくる舌は、明確に音彧オンイクを快楽の渦に追いやって溺れさせようとする動きだった。

 逃げる舌を許さず執拗に想いを塗り込むように愛撫して、しつこい。しつこい。かなりねちっこくて、気持ちよくされてしまう……。
 
 同時に、肩がすりすりとさすられて何か陶然とした気が高められて煽られ、育てられるようだった。
 絶対、妙な術を使っている。
 そう思ってしまうくらい、ふわふわと煽られて高まっていく。

「っ、うぅ……さ、サンン、そ、それ、イヤだ……だめ、」
「気持ちがいいな」
 口が解放されたタイミングで必死に訴えれば、ふわりと頬に軽いキスがされて、尻尾をさぐるような手つきでもふられる。

「あ、あァっ!? そ、そこはや、ぅ!」
「ああ、イクはここも愛でて欲しいのだな」
 
 ふっつりと乳首をたてて震えていた胸元へ、指が寄せられる。

「あっ、ばか、そうじゃな、ぃ!」
 指先でするすると乳輪をくすぐられて、じれったく吐息を吹きかけられると、音彧オンイクの太ももがびくびくと震えた。

 顔は熟れた林檎のように火照って、目尻には涙が浮いている。
 そんな音彧オンイクを微笑ましい小動物でもみるような眼で見つめて、明散メイサンは人が変わったような柔らかな微笑みを浮かべた。

「可愛がってやる、私のイク
「お、おかしい。お前ヘン、あ、んんッ!」
 乳首をふにふにと揉みしだかれ、あられのない声をあげて音彧オンイクは高く啼いた。
 それを「可愛いな」と労うようにして、明散メイサンが舌をちろちろと使って飴を転がすように乳首を愛でる。
 
 ――舐められた箇所から快楽の電流がぴりぴり流されるようで、善がる声が止まらなくなってしまう。
 
「ひゃんっ、ぁ、ぅあ!」 
「気持ちよさそうだな、イク……」
「っ、」
 
 刺激が気持ち良くて、恥ずかしい。
 もっと欲しい――まるでそう訴えるように胸が反りかえって、ピンと勃って濡らされた乳首をアピールするみたいな恰好になってしまう。

「こんなに赤くして、唾液に濡れててらてらしている……もっとしてほしいのか、イク? ふふ、可愛いな」
「~~ッ!!」 

(お、お、お、お前はどうしちゃったんだ、サン!? そんなキャラじゃなかっただろっ!?)
 
 しかも、肉体がおかしなほど敏感になっていて、どこを触れられても感じまくってしまう。
 そんなところでこんなに感じるのか、と動揺するほど、ありえないほど気持ちよくなって、やばい。

「お、お、おかしぃ。俺もお前も、おかしいっ、な、なぁ。なんだこれ、なんだこれ」
 音彧オンイクは恐怖すら感じて喘いだ。
「そんなにされると、俺――」
 
 涙が目の端からつうっと零れて、零れ落ちる。

「怖いか」
「う、……う、」
「ちゃんとしてやる。
 
 腕の中に閉じ込められて、怖いのに不思議な安心感みたいなものを感じてしまう。
 それが、危険だ。
 まるで本当に、明散メイサンの女か何かに成り果てたような気分だ。

「お、俺、どうなっちゃったんだ……っ?」
「ふふ……」
「お、お、おまえも、どうなっちゃったんだよぉ!!」 

 応える気配なく首筋をねっとりと舐められて、唇で吸い付かれ、音をたてて所有の証みたいな痕をつけられていく。

「ん、は、はぅ……」
 痕をつけられるたび、チリチリと腰にもどかしさが溜まっていく感じがして、音彧オンイクは戸惑ってしまう。

「いい子だ、イク。私に触れて貰えてうれしいのだな」
「ふ、ふざけ……」

 前髪をかきわけるように手で撫でられて、露出した額に優しくキスが落とされる。
 そんな風にされるのがおかしい。
 別人だ。明散メイサンがいきなり別人みたいになった……、そんな戸惑いが胸いっぱいにあふれて、同時に快感や戸惑いの中で処女のように身を震わせて乱れる自分が無性に恥ずかしくなってきた。
 
「ハァッ……ほ、ほんとに、おかしい。やばい……」
「我慢しなくてもいいぞ。好きなだけ出すといい」
 明散メイサンが陰茎に手を伸ばし、先走りの透明な滴りを慈しむように指先ですくいとり、ぺろりと舐めた。

イク。お前は可愛い」
 ふっと微笑む明散メイサンの顔は、やっぱり別人のよう。
 いきなり変わりすぎだろう、お前――そんな音彧オンイクの想いを他所に、陰茎がゆるゆると扱かれる。

 それが、恐ろしいほど気持ちいい。

「は、あ、あ、あん。も、あ、やめ、ああ」
「ああ、その顔だ。その顔がいい」
「み、みるな、ばか、ああ……っ!!」   
 上下に、射精の感を高めるように。
 涙を流すような透明な先走りのぬちゅぬちゅと濡れた音が耳まで犯すよう。

「あっああ、んァ……ッ! ~~ッ!!」
 身体を突き抜ける快感に、音彧オンイクはなすすべもなく放ってしまった。
 
「出せたな。よし、よし。可愛かったぞ」
 下腹をしとどに濡らした白濁の液をうっとりとみて、明散メイサンが下生えの流れを整えるように指を滑らせる。
 
(ああ~っ、なにこれぇ、介護でもされている気分だ。なんだこれぇええ)
 音彧オンイクはぜぇぜぇと息を乱しながら涙目であった。

「後ろを浄化してやろう。ちゃんと濡らして、ほぐしてから今日はしよう」

 今日は、というのは恐らく、以前音彧オンイクが無理やり襲った時と比べているのだ。
 それに気づいて、音彧オンイクは何も言えなくなった。

 ――ああ、あの時は『発情した猿が私の上で何かやってる』みたいな温度感だったのに。
 
 今は――、

(や、やる気満々だな明散メイサン……!! それでいいのか神仙!?)
 
 音彧オンイクの疑念を他所に、一本、また一本と指が増やされていく。
 明散メイサンが優しい声であやすように問いかけてくる。
 
「気持ちいいか、イク?」
「ぅ――よ、……ょく、なぃい!」
「ふっ……そうか。では、よくなるように努めよう」

(なんだよそれぇ!! 意地でも、イイなんて言うもんか!) 
 音彧オンイクは必死に声をこらえようと自分の唇を自分の手でふさいだ。
 
「お前は大胆なのか奥ゆかしいのかよくわからないな、イク――さてはシャイでツンデレか」
 異世界用語を乱発しながら明散メイサンが妖しい微笑みを浮かべている。

 ああ、異世界かぶれ!
 この淫蕩エロ神仙!!

 音彧オンイクは睨みつけようとして――「あ、アッ!」ちょうどその瞬間、指が中の弱いところをコリコリと刺激して、目の奥がちかちかと星を散らすような強い快感が湧きあがった。

「その声はいいな。煽られるというのは、こんな感覚か」
 明散メイサンが覚えたての単語を噛みしめるように言っている。
 そして、音彧オンイクの陰茎が再び頭を持ち上げているのを見てうっとりと目を細めた。
 
「先程精を放ったばかりなのに……ああ、後ろも甘えるようにひくひくして」
 
 指でほぐされた窄みは、指が抜かれるのを惜しんで欲しがるように入り口を収斂させている。
 濡らされた蕾がしっとりとしながらひくつく光景は淫靡で、明散メイサンは欲情をそそられたように喉を鳴らした。
 
「そろそろいいか? 挿入したいのだが?」
「え、……えろ仙人……」
「いいのだな」
「いいなんて言ってない、……あっ」

 高揚と興奮をちらりと感じさせる吐息をついて、明散メイサンが自身の興奮の証をあてがってくる。

 凶悪なサイズだ。でかい。
 そうだ、以前襲った時も、音彧オンイクは襲った相手のイチモツを見て「こ、これデカくねぇか……?」とビビったのだった。

(あれが、俺の中に――)
 一度つっこんだことは、ある。
 あの時はなかなかつらかった――、

イク、気を散らすな。何を考えている?」 
「あ!」
 ぬぷりとそれが中に先端を埋めて、ぐいぐいと押し入ってくる。
(って、覚悟する時間くらいくれよエロ明散メイサン!) 

「く、ッ! ぅ、う……」
 ゆっくりと中に侵入してくる質量がすさまじくて、音彧オンイクは息をつめた。

 
「――奥まで入った」

「あ、ふっ、……く、くぅ」

「お前の中は絡みついて甘えてくるようだな。ぐちょぐちょだ」

 明散メイサンは嬉しそうに破廉恥なことを言い、怒張の形を覚えさせるように腰を揺らした。

「あ、ぁ、ァ!」

「私を感じるか……?」

 品のある顔立ちが、切なそうな余裕のなさそうな感情をあらわにして音彧オンイクを見つめている。
 薄い唇が欲に濡れていて、言葉を紡ぐ舌が赤い。
 言葉以上に、その肌で、吐息で、瞳に浮かぶ熱で、想いが伝わる気がして、音彧オンイクは心がぐちゃぐちゃになってどうにかなってしまいそうだった。

「いい顔をしているな。匂いもいい……」
 あの明散メイサンが、うっとりとそんな事を呟く。そんな現実が目の前にあるのだ。
 
 ――求められている。

 ――この清らかで冷ややかな男が、俺を求めてる。俺に欲情してる!

(なんだこの現実。なんだこの現実ぅ……?) 

「ひっく、う、ぐ、う、うう、ふぁ、あ、ああ」
 滾った灼熱の楔で奥を穿たれるたび、ぱちゅん、ばちゅんと音がする。
 激しい行為は獣のように淫らで、心も体もめちゃくちゃになって砕けてしまいそうだ。

 
「私に愛されろ。私が愛す――私の腕の中で美しく鳴け、私のイク。いつまでも、いつまでも」

 
 まるで、呪縛。
 そんな睦言だ。
 
「ふ、あ、ああ、ああ~~っ……♡」
 ――声が甘く悦ぶみたいじゃないか。これは、俺の声なのか。

「ああ、あ、あ……――」

 ぐちゅぐちゅとはしたない音がする。
 止まらない。抽挿が止まらない。

イク、もっと気持ちいい声をきかせろ」
「あ、や、だ、っくぅ」
 律動は恐ろしく緩慢で、様子を窺うように動いたり止めたりをされる。
イク……」
「あ、あっ♡ ッ!? う、うそだ、ち、ちがう、ァ……っ」

 中をきゅうきゅうと締め付けて喘ぐ。
 熱くて、苦しくて、もっと欲しくなる。

 腰を引っ掴まれ、荒く叩きつけるように中を突き上げられると、結腸に届くノックが信じられないほどの快感で脳を揺らした。

 腰が痙攣して、口からは悲鳴のような嬌声が響く。

「さ、サン。サンん、」
 身体がもっと、もっとと必死に求めてしまう。
 より激しい快感を甘受しようと、自ら腰を揺らしてしまう。
 深く突いて、強く揺さぶってほしい。ほしい、ほしい。気持ちいい――

「ああ、やるぞ。いい子だ、いい子だイク
「ああ、ああっ、んあああ!」 
 
 心を読んだように激しい律動がされる。
 深部を剛直が蹂躙し、最奥を穿たれる。

「気持ちいいな、イク
「い、い、いいっ、いいぃ、~~ッ、ひっ、あ、あ、ああ、ああぁ!」
 
 逃がさないとばかりに腰を掴まれ、ぐ、ぐ、と押し込むようにされて、肌をぞわぞわと粟立たせて音彧オンイクはのけ反り、泣いた。
 中を味わうように腰をまわされてからガツガツと穿たれると、勝手に腰が揺れて快感を高めるように動いてしまう。

「あ、あ、あ、あ、あ」
「いい子だな、自分でも腰を揺らして。気持ちいいな」
「や、や、あ……とま、とまらない、これ、ああ!! ぃ、やだぁア!」

 
 なんだこれ。なんだこれ――悦すぎて、こわい!
 音彧オンイクはまともに言葉も紡ぐことができなくなって、首をふるふると振って悶えた。
 

「あ、やぁッ、んはっ、あ、――く、くる……ッ」

 びくびくと悶えて、すすり泣くようにして必死で音彧オンイクは目の前の明散メイサンの身体に縋りついた。

 恐怖すら覚えるすさまじい波が、大波が、全身にやってくる。
 怖い。やばい。気持ちいい――!!

「あああんっ、い、いいイく、イくぅ、さん、サンン!」
「ああ――いいぞ」

 津波の前兆みたいに腰が引かれて、内壁が持って行かれそうになる。
 引き攣った悲鳴をあげてホロホロと涙を零して息を吸いかけた瞬間に、不意打ちみたいに一気に激しく奥まで突き上げられた。
 
「っあぁぁああッ!!!」

 あまりの快感に、音彧オンイクは目を見開いて絶叫した。
 足先がびくびくと跳ねて、後孔が激しく収斂して快感をさらに強めてしまう。

 視界が白くスパークして、何も考えられなくなる――、

「イけ」
 低く甘く命じられて、追い打ちのように陰茎が扱かれる。

 強烈な快感が、背筋を一気に駆け上がる。
 沸騰した頭が、絶頂の信号を明滅させている。

「や、あああああああッ!!」
「くっ――」
 
 びゅくびゅくと音彧オンイクの白濁の蜜が噴出して、激しく後ろが締め付けられる中、奥へと熱いものが注がれる。

 ――二人分の荒い呼吸音が、濃厚な情交の香り充ちる桃源郷の空気を震わせた。

(あ、ああ……やばい、これ、……)
 あまりの快感の余韻にぶるぶると身を震わせ、呼吸する頬にキスが落とされる。

「よかった。可愛かったぞ、イク
 明散メイサンが愛し気に鼓膜を震わせて、艶っぽい声で名前を呼ぶ。
 
 ……それが、何故か音彧オンイクをふわふわした気持ちにさせるのだ。
 
(あ、ああ……本当に、なんだこれ。か、……快楽堕ちってやつ……?) 
 つながったまま、優しく気を落ち着かせるように緩やかな愛撫をされると、変な気分がどんどん昂ってくる。
 自ら身を寄せて、もっと撫でて欲しいと甘えたくなる――、

「お、お……俺は、よくなかったぁああ……っ」
 涙目で泣きじゃくるように言えば、目尻についばむようなキスが落とされる。
「では、お前がよいというまでやろうか」


「……はぁあああっ!?」

 ――こうして音彧オンイクは神仙の巣でぐずぐずに蕩けさせられるのであった。
 
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