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1章、悪役は覆水を盆に返したい。
番外編 師匠の矜持~晨星落落・音繰視点
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これは、音繰が異世界の価値観に出会わなかった時の世界線。
異世界小説に綴られた未来をそのまま辿った時の――最期の一幕。
尚山が、燃えている。
【黒道の魔教主『音繰』を討て!】
自分を討てと叫ぶ正義が集い、希望の燈火とやらを燃やしている。
「魔教主、か」
――その響きは禍々しくて冷たく感じられて、なかなかいい。
少し前まで、魔教には『香主』という称号があった。『教主』と意味は同じであるが、少し気取っていて、雅やかに飾った称号だ。
父からその座を譲られた音繰は、『香主』を『教主』に改めた。
理由は単なる気紛れであったが、ただ一文字変えただけでも、周囲は『音繰らしい』との感想を抱いたようで、「情緒を理解しない」やら「伝統を軽んじる」やらあれこれと好き放題囀っていたものだった。
けれど、そんな囀りは音繰にとってどうでもよかった。
自分の地位を脅かしていた『天才』憂炎に、後継ぎの座を奪われなかった。
元々の予定通り、自分が後を継いだ。
その事実が音繰にとっては大切だった。
(気に入らない奴ではあるが、自分の地位を脅かさないのであれば――忠実な手下といえるならば、その実力は頼もしい)
ゆえに、音繰は弟子への態度を軟化させ、可愛がってやろうと思ったものだった。
だが、弟子は恋などにうつつを抜かしていて、なにやら態度を一変させてしまっていた。
それも、相手は正派の道士だと……。
「恋人とやらは、師よりも大事なものなのか」
音繰はその感情を理解することができなかった。
「憂炎は私が拾ったのだぞ。私が名を付けてやり、私が育てたのだ」
実際のところ、『育てた』という言い分には疑問しかなかったが、音繰は言いようのない不快さを感じながら空を視た。
「……出会って数か月の正派道士が、なぜ私より大切な存在になる? 私には、理解できない……」
黒玻璃の天穹に、白く星が煌めいている。
地上の諍い事など全く興味がなさそうに輝く月は、美しく冷ややかだ。
自分は冷血などと言われるが、感情の波風が無いわけではない。波が小さいのかもしれないが、ないわけではない。
冷たいなどといい、あの月に例えて『凍月の君』などと呼ばれるが、月とは異なる生き物だ。
手を伸ばせば届くし、互いに想いを響かせ合うことだってできる――きっと。
――ただ、そんな風に己を他者に響かせよう、と思った経験がないだけで。
水鏡から顔をあげると、弟子がいる。
長身で、骨格からして恵まれていて、それに胡坐をかかずに鍛え抜いた肉体は多しく美しい。
厳つい手は武器の扱いに慣れていて、それ自体が凶器のようだ。
男の色香を感じさせる精悍な顔つきは拾ったばかりの頃の面影を残しつつも、全然違う生き物に成長したようなどきりとする魅力に溢れている。
匂い立つような気品は――その身に纏う道士服は……正派のものだ。
「師よ……魔人よ。魔教の主よ。私の悲願が達成される時が来たようだ」
眼差しは、炯々とした焔のようだった。
「音繰……私は、かつて魔教に滅ぼされた緋家の生き残りだ。今日この瞬間のために魔教に身を置き、貴方の弟子でいたのだ」
天地が覆るような衝撃が全神経を犯して――けれど、音繰は無表情を貫いた。
無言のまま、動揺を表には出さなかった。
脳裏では、この弟子を拾った時が思い出されている。
……美しい夕日色だ。
音繰は憂炎の瞳を視て、そう思ったのだった。
そこには、音繰が持たない熱が煌めいていたのだった。
どうしようもなく無力で、弱い。
世の中の理不尽にかなわない。
ただ、負けることしかできない。
このまま、なすすべもなく死んで、終わる。
それに強く憤り、死ぬもんかと己を奮い立たせて現実に反抗する――そんな魂が、あの時感じられたのだった。
それが痛々しくて、美しくて、音繰は魅了されたのだ。
心を動かされたのだ。
――怒り。
それは、魔教に向けられていたのだ。
ずっと、ずっと。
……あんな小さな子供が、たった一人、敵の只中で身を潜め、牙と爪を研いでこの時まで機を窺っていたのだ!
音繰の脳髄に謎の感動が溢れて、背筋をぞくぞくと震わせた。
(そう。そうか。君は、そうだったのか)
師の眼差しの奥底には震えるような感動があった。情動があった。
けれど、悲願の決戦にのぞみ昂る弟子はそれに気付くことはなかった。
「師よ……魔人よ。魔教の主よ。私の悲願が達成される時が来たようだ」
「……」
音繰は、一瞬だけ抵抗するか迷った。
けれど、現実問題として――弟子はどう思っているか知らないが、すでに師弟の実力は逆転していて、真っ向から抗っても音繰に勝ち目は薄い。
水鏡で見たところ、味方魔人は悉く滅ぼされている。
あの賑やかだった弟弟子たちも、もういない。
頼りになると思っていた直弟子が、一番の敵として殺意を向けている。
不思議な冷静さを保つ思考が盤面を思い、投了を選ぶ。
(そう。押し付けられるのではなく、私が自主的に選ぶのだ。それが望ましい)
音繰は自身の鼓動を意識しながら、落ち着いて見えるようにと息を整えた。
自分を支持する魔人たちが誇りに思えるように、最期まで毅然として討たれるべきなのだ。
それは、上に立つ者としての矜持であった。
(『敵』の手にかかる前に、と介錯されるようなものだ。これは、それに近いではないか)
敵に追い詰められた貴人が、忠実な味方の手により黄泉に導かれるのはよくあることだ。
ただ少し、忠実な味方に「実は敵だった」と明かされただけで――この弟子の手にかかるなら、見知らぬ雑兵の手にかかるより断然よいではないか。
「貴方の首は他の者には渡さない……我が師、麗しの魔人の君、音繰。その御命、私が頂戴する」
響く弟子の声に執着めいたものを――独占欲に似た何かを感じ取り、音繰は「悪くない」と思った。
……ならば、自分は「許す」と言ってやろう。
「嫌だ、やめろ、助けてくれ」と逃げ惑いながら負け犬として惨めに終わるのではなく。
傲慢に顎をあげ、誇り高く胸を張り、「殺させてあげるよ」と言ってやるのだ。
自分の心を震わせた魂に、自分の心を響かせ、返す。
ああ、それがしたかったのだ――そんな想いが音繰の全身を包み込む。
――私を感じ取れ。この響きを魂に刻め。
ああ、この弟子の人生は、このあとも続くのだ。
復讐を果たし、きっと幸せで輝かしい未来がこの先に続くのだ。
「憂炎、君は復讐してもいい。私が許す」
――ここまで、頑張ったじゃないか。褒めてあげるよ。
負けを認めるのは、悔しかった。
その感情が弟子に対するものなのか、その恋人に対するものなのか、或いは両方なのかはわからないが、とても悔しかった。
一方で、自らを凶器で貫く弟子の昂る体温は近く熱く、「悪くない気分だ」とも思えるのだった。
そんな意識もすぐに溶けて、ほどけて、消えていく。
他の魔人たちと同じように、この地上に生きる全ての動植物と同じように、特別でもなんでもないひとつの生命は当然、果てるのだ。
早いか遅いかの違いでしかない。生まれた者は、みんな死ぬのだ。
死は平等で、誰にでも訪れる。
……今自分を討ったこの弟子とて――その恋人とて、いつかは果てるのだ。
音繰はそんな想いの中、冷血と謳われし魔人の心を永遠の闇に閉ざしたのだった。
異世界小説に綴られた未来をそのまま辿った時の――最期の一幕。
尚山が、燃えている。
【黒道の魔教主『音繰』を討て!】
自分を討てと叫ぶ正義が集い、希望の燈火とやらを燃やしている。
「魔教主、か」
――その響きは禍々しくて冷たく感じられて、なかなかいい。
少し前まで、魔教には『香主』という称号があった。『教主』と意味は同じであるが、少し気取っていて、雅やかに飾った称号だ。
父からその座を譲られた音繰は、『香主』を『教主』に改めた。
理由は単なる気紛れであったが、ただ一文字変えただけでも、周囲は『音繰らしい』との感想を抱いたようで、「情緒を理解しない」やら「伝統を軽んじる」やらあれこれと好き放題囀っていたものだった。
けれど、そんな囀りは音繰にとってどうでもよかった。
自分の地位を脅かしていた『天才』憂炎に、後継ぎの座を奪われなかった。
元々の予定通り、自分が後を継いだ。
その事実が音繰にとっては大切だった。
(気に入らない奴ではあるが、自分の地位を脅かさないのであれば――忠実な手下といえるならば、その実力は頼もしい)
ゆえに、音繰は弟子への態度を軟化させ、可愛がってやろうと思ったものだった。
だが、弟子は恋などにうつつを抜かしていて、なにやら態度を一変させてしまっていた。
それも、相手は正派の道士だと……。
「恋人とやらは、師よりも大事なものなのか」
音繰はその感情を理解することができなかった。
「憂炎は私が拾ったのだぞ。私が名を付けてやり、私が育てたのだ」
実際のところ、『育てた』という言い分には疑問しかなかったが、音繰は言いようのない不快さを感じながら空を視た。
「……出会って数か月の正派道士が、なぜ私より大切な存在になる? 私には、理解できない……」
黒玻璃の天穹に、白く星が煌めいている。
地上の諍い事など全く興味がなさそうに輝く月は、美しく冷ややかだ。
自分は冷血などと言われるが、感情の波風が無いわけではない。波が小さいのかもしれないが、ないわけではない。
冷たいなどといい、あの月に例えて『凍月の君』などと呼ばれるが、月とは異なる生き物だ。
手を伸ばせば届くし、互いに想いを響かせ合うことだってできる――きっと。
――ただ、そんな風に己を他者に響かせよう、と思った経験がないだけで。
水鏡から顔をあげると、弟子がいる。
長身で、骨格からして恵まれていて、それに胡坐をかかずに鍛え抜いた肉体は多しく美しい。
厳つい手は武器の扱いに慣れていて、それ自体が凶器のようだ。
男の色香を感じさせる精悍な顔つきは拾ったばかりの頃の面影を残しつつも、全然違う生き物に成長したようなどきりとする魅力に溢れている。
匂い立つような気品は――その身に纏う道士服は……正派のものだ。
「師よ……魔人よ。魔教の主よ。私の悲願が達成される時が来たようだ」
眼差しは、炯々とした焔のようだった。
「音繰……私は、かつて魔教に滅ぼされた緋家の生き残りだ。今日この瞬間のために魔教に身を置き、貴方の弟子でいたのだ」
天地が覆るような衝撃が全神経を犯して――けれど、音繰は無表情を貫いた。
無言のまま、動揺を表には出さなかった。
脳裏では、この弟子を拾った時が思い出されている。
……美しい夕日色だ。
音繰は憂炎の瞳を視て、そう思ったのだった。
そこには、音繰が持たない熱が煌めいていたのだった。
どうしようもなく無力で、弱い。
世の中の理不尽にかなわない。
ただ、負けることしかできない。
このまま、なすすべもなく死んで、終わる。
それに強く憤り、死ぬもんかと己を奮い立たせて現実に反抗する――そんな魂が、あの時感じられたのだった。
それが痛々しくて、美しくて、音繰は魅了されたのだ。
心を動かされたのだ。
――怒り。
それは、魔教に向けられていたのだ。
ずっと、ずっと。
……あんな小さな子供が、たった一人、敵の只中で身を潜め、牙と爪を研いでこの時まで機を窺っていたのだ!
音繰の脳髄に謎の感動が溢れて、背筋をぞくぞくと震わせた。
(そう。そうか。君は、そうだったのか)
師の眼差しの奥底には震えるような感動があった。情動があった。
けれど、悲願の決戦にのぞみ昂る弟子はそれに気付くことはなかった。
「師よ……魔人よ。魔教の主よ。私の悲願が達成される時が来たようだ」
「……」
音繰は、一瞬だけ抵抗するか迷った。
けれど、現実問題として――弟子はどう思っているか知らないが、すでに師弟の実力は逆転していて、真っ向から抗っても音繰に勝ち目は薄い。
水鏡で見たところ、味方魔人は悉く滅ぼされている。
あの賑やかだった弟弟子たちも、もういない。
頼りになると思っていた直弟子が、一番の敵として殺意を向けている。
不思議な冷静さを保つ思考が盤面を思い、投了を選ぶ。
(そう。押し付けられるのではなく、私が自主的に選ぶのだ。それが望ましい)
音繰は自身の鼓動を意識しながら、落ち着いて見えるようにと息を整えた。
自分を支持する魔人たちが誇りに思えるように、最期まで毅然として討たれるべきなのだ。
それは、上に立つ者としての矜持であった。
(『敵』の手にかかる前に、と介錯されるようなものだ。これは、それに近いではないか)
敵に追い詰められた貴人が、忠実な味方の手により黄泉に導かれるのはよくあることだ。
ただ少し、忠実な味方に「実は敵だった」と明かされただけで――この弟子の手にかかるなら、見知らぬ雑兵の手にかかるより断然よいではないか。
「貴方の首は他の者には渡さない……我が師、麗しの魔人の君、音繰。その御命、私が頂戴する」
響く弟子の声に執着めいたものを――独占欲に似た何かを感じ取り、音繰は「悪くない」と思った。
……ならば、自分は「許す」と言ってやろう。
「嫌だ、やめろ、助けてくれ」と逃げ惑いながら負け犬として惨めに終わるのではなく。
傲慢に顎をあげ、誇り高く胸を張り、「殺させてあげるよ」と言ってやるのだ。
自分の心を震わせた魂に、自分の心を響かせ、返す。
ああ、それがしたかったのだ――そんな想いが音繰の全身を包み込む。
――私を感じ取れ。この響きを魂に刻め。
ああ、この弟子の人生は、このあとも続くのだ。
復讐を果たし、きっと幸せで輝かしい未来がこの先に続くのだ。
「憂炎、君は復讐してもいい。私が許す」
――ここまで、頑張ったじゃないか。褒めてあげるよ。
負けを認めるのは、悔しかった。
その感情が弟子に対するものなのか、その恋人に対するものなのか、或いは両方なのかはわからないが、とても悔しかった。
一方で、自らを凶器で貫く弟子の昂る体温は近く熱く、「悪くない気分だ」とも思えるのだった。
そんな意識もすぐに溶けて、ほどけて、消えていく。
他の魔人たちと同じように、この地上に生きる全ての動植物と同じように、特別でもなんでもないひとつの生命は当然、果てるのだ。
早いか遅いかの違いでしかない。生まれた者は、みんな死ぬのだ。
死は平等で、誰にでも訪れる。
……今自分を討ったこの弟子とて――その恋人とて、いつかは果てるのだ。
音繰はそんな想いの中、冷血と謳われし魔人の心を永遠の闇に閉ざしたのだった。
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