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4、聖夜、暖炉に火は燃えて(☆)

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 暖炉であたたかな火が燃えている。

 クリスマスマーケット会場からいそいそと帰宅して、俺たちは二人だけの聖夜の中にいる。

 俺が誘われたのはシグさんの部屋だった。
 人柄を表すみたいに綺麗で清潔感のある空間は、暖かくもある。

「今日は、しらふだね」
「……あ、あれは、……わすれてください」
「可愛かったよ。あれ、すごかった」
 
 巣で身を寄せ合う雛みたいにぴったりと肌をくっつけあって、最初はぎこちなく触れ合ったりキスを交わしていた俺たちは、少しずつ色めいた空気を濃くしていく。

「ずっと、こうして触れたかったんだ」
 精悍な眉を寄せたシグさんが想いの丈を吐き出すように微笑む。
 愛しい、と呟く声の甘さと、欲情をうかがわせる熱の篭った獣のような眼差しの色気にあてられて、俺はくらくらした。
 
「このちょっと不安になる首筋も……鎖骨も……肩の骨の感じも……腕についた頑張り屋さんの筋肉も……脇は、触れるとくすぐったそうで、可愛いね……いじめたくなるよ」
 一か所一か所慈しむように、緩急をつけて、丹念に愛撫される。
 
 淫らな熱が煽りたてられるみたいに身のうちで渦巻いて、全身がじっとりじんじん、熱くなる。

「シグさん、シグさん……」
 甘えるみたいな、泣きそうな声が自分じゃないみたいで、恥ずかしい。みっともない。

「ああ、可愛い。幸せだ。ありがとう、イオス君。ありがとう……」
 掠れた吐息が、耳に当たって揺れる。

 尖って期待する胸の突起を可愛がるみたいに、焦らすみたいに乳輪の縁をくるくるとなぞられる。
「……っ」 
 甘い痺れ、電流が上半身を震わせて、下半身まで熱を持つ。じれったく、もどかしく、切なく、肚がきゅうきゅうとする。

「イオス君は、声を出すのが恥ずかしいのかな」
 シグさんが優しく言って、ふっつりと勃っていた乳首を摘まむ。
「あ、そこ……っ」
 びりびりと強い快感が奔って、俺は動揺をあらわに甘い声を洩らした。

「ここ、気持ちいいね? イオス君」
「あ、ひぁ……っ」
 
 普段は意識しない場所が、段々と快感に溺れていく。

「あ、あ、お、俺、そんな……っ、ん、んっ」
「乳首、くりくりされると感じるんだ? イイ声が出てる。気持ちいいね、イオス君。気持ちいいね」

 気持ちいいのを認めさせようとするかのように、受け入れさせようとするかのように甘い声がかけられる。
 
「ぁ、や――はぅっ!」 
 柔らかく爪先で先端をひっかかれると、思わず鳥肌を立ててのけぞって痙攣してしまった。
 股座では興奮した雄の証が勃起している。言い訳できないくらい、感じていた。
 
「ちょっと刺激がつよくてびっくりしちゃったかな……ごめんね」
 
 宥めるような、あやすような声に、物欲しそうに腰が揺れてしまう。
 身体が素直だ。正直だ。欲しがっているのが、バレバレだ。
 
「……ここも触ってほしい? よし、よし」
「あ……っ」
 欲を煽る指先の動きが、甘やかすようにペニスを撫でた。

「いっぱい気持ちよくなろうね。イきたくなったらいつでもイっていいからね」
 しゅ、しゅと扱く手付きは容赦ない。
「んぅっ、あ、あぁ、んっ……、あ、っ……!」
 抗えない気持ち良さの中、あっさりと俺は精を放っていた。

 下腹部と脚と、シーツをしとどに濡らした俺を労わるように背が撫でられて、目尻に浮いた涙を啄むように舐められると、満たされた気持ちが胸に湧く。

「挿入したいから、準備をしよっか……しても、いい?」
 紳士的に請う声に――こくこくと必死に頷くことしか、もうできない。

 浄化の魔法で綺麗にされて、潤滑油の甘い香りがふわりと鼻腔をつく。

 受け入れるようにはできていない後ろの窄まりに、指が感じられる。

「――っ、ぅ……」
 どうやりすごしたらいいかわからない、異物感。
 それが、耐えている間にどんどん強くなる。
 
 内部をひたひたに濡らされて、やわらかくほぐされて――やがて、ビリリっと強い感覚に襲われる。
「ひぁ!!」
 ビクッと大きく全身が反応して、高い声が出た。

「ん。ここ、気持ちいーね?」
 とろりと潤滑油を足して、指が増やされる。悦いところをコリュコリュと執拗に刺激されて、俺は身を捩って善がった。
「あ、あぁ、……っ、ぁ、ん、や、や、そこばっか……っ」
「ここ、こうされるの好きだね? イオス君?」
 
 腰の奥が疼く。熱が腹の奥で跳ねている。そこの刺激に、腰が砕けて蕩けそう。
 濡れた音がくちゅくちゅと鳴って、恥ずかしい。気持ちいい――、

「ああ、あ、ああ、ん、んんっ、……」
「イオス君、すごく快楽に蕩けた顔してる。可愛い。可愛い……」

 恍惚としたシグさんの声がそう言って、はぁっと熱い吐息をこぼした。

「もう我慢できそうにない。これくらいでいいかな……はいるかな……」

 雄々しくそそり立ったシグさんの剛直は、大きくて太い。
 赤黒くて、そこだけ独立した別の生き物みたいに脈打っていて――みているだけで堪らなくなる。

「く――ください。シグさん……っ、い、いれて……っ」
 夢中でねだれば、シグさんはとても幸せそうに頷いた。

 後ろにあてがわれて、ぬるりずぷりと中に進まれたときは、何も考えられなかった。
 それは指とは比べ物にならない存在感で、質量で、熱くて、征服されていく感覚で頭がいっぱいになって、息が詰まった。
 
 身体の感覚がそこしかわからなくなったみたいに、意識が集中する。
 自分がどんな声を発して呻いているのかも、わからない。
 
「っ、熱……、もうちょっと――」
 シグさんの声がきこえて、意識がそちらに持っていかれる。
「は……っ、も、持って行かれそう……」

 肚奥に進まれて、感じる場所に押し込まれるとビクビクと体が痙攣して、動物的な本能で腰を逃がしそうになる。
 けれど、腰骨をぐっと掴まれて抑えられる。
 ぶわぶわと肌が粟だって、ふるふる震える俺の身体に、優しく愛撫が繰り返される。

 落ち着かせるように、安心させるように。
 身体に身体を馴染ませるように――時間を置かれて、呼吸を見守られる。
 柔らかに髪が撫でられて、それが離れてまた腰に行く――そして、ゆっくりと様子をみるような抽挿が始まった。
 
「う――動くね」
「ぁ……っ!」
 奥のあたりで軽く探るような動きに育てられるみたいに、ぞわぞわとした快感を感じた。
 それが、どんどん強くなる。

「い、いい……みたいだね」
 嬉しそうにシグさんが言って、腰の動きを大胆にしていく。
 慣らされて濡らされていた内部が、動きにあわせてぐちょぐちょと水音をいやらしく奏でる。
 内壁が擦れる感覚が、どんどん気持ちよくなっていく。

「あっ、あっ、あっ、あっ」
「イイね、イオス君、気持ち、イイね……っ!」
「あう、あ! あ、ああぁ!」
 
 強烈な感覚に声が発情することも、抑えることもかなわない。

「ぅあっ! ああっ! んあ、ああ、」 
「俺、幸せだよ。俺と一緒に感じてくれるのが、たまらない……っ!」

 泣きそうな顔で余裕なく言って、シグさんが動きを激しくしていく。 
 止め処なく襲い来る甘い熱の波が、すごい。
 
「こ、こんなの……っ、はじめて……っひァ!」
 泣きべそをかきながら情けない声で言えば、強く奥をぐっと突かれて悲鳴を導かれる。
 
「あ、あぅぁ! い、……」 
 ――イってしまいそう!

 涙目で頭を振り、首をのけぞらせてシーツに後頭部を擦って悶えていると、限界を悟ったらしいシグさんが欲情に濡れた吐息を紡いでぐりゅぐりゅっと奥をかき混ぜるみたいに動いた。
 
「んぁ、あ、ぁあ、あァ……っ!!」 
 ビクンビクンとみっともなく体が跳ねて、感電したようにあられもない声を続かせれば、ずりゅっと目いっぱい引き抜かれて、ぐぽっと奥まで一気に貫かれる。
「ッアあぁ!」
 目の前に白い火花が散るほどの強い快感に、涙がぶわっと溢れて悲鳴が出た。
 
 息をつく暇もなく、激しく腰を揺らされる。視界が揺れて、なすすべもなく目の前の相手にすがることしかできない。与えられる強い官能の極みに、ただ押し上げられて喘がされるだけになる。
「あ、あ、あ、ああ、ああ、あぁあ! ……」
 
 境目が失われて、ほんとうに溶け合っていくみたいだ。

 熱くて、苦しくて――わけがわからなくなる。

「イオス君、好き。好きだよ。好きだよ……」
 発情した声で繰り返されて、肌が粟立ちながら蕩けていってしまう。

「きもちひ……っ、し、シグさ……好き、ぃ……っ!」
 
「ああ……イオス君……っ!!」

 ぐ、ぐ、と奥を突かれて、強い快感がビリビリと走り抜けてぶわぶわっと多幸感が溢れて全身が包まれる。
 がつがつと激しく獣のように欲を叩きつけられて、一緒になって無我夢中で啼きながら喘いで腰を揺らして幾度も押し寄せる波に絶頂を導かれる。

 
「ぁ、ふぁ、いくっ、いっちゃう、も……っ、ぁ、あっ、は、あっ、ぁあ……っ!」
   
 ――頭がスパークする。
 
「あーっ……! も、イくっ、い、ってる……っ。あ、……あぁ……」

 びくびくと全身を激しく震わせ、背を弓のようにしならせて、指先から脳天まで快感が突き抜ける。
 前からはプシャアッと白濁が噴出して、後ろはひくんひくんと激しく収斂して快感をさらに搾り取るみたいで――止められない。

「っ、ぐっ……」
 低く呻くようにシグさんが腰を震わせて、中に熱い欲望をどぷどぷと放ったのがわかった。

「あ、ぁ……っ!」
 中に感じる灼熱の迸りに、鳥肌がぶわっと立つ。大きく見開いた眼からは涙が溢れて、もう、何も考えられない――、
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