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01話 優良物件、契約します?
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「この辺だと家賃は7、8万はしそうだな。でも交通は便利だし、コンビニもスーパーもすぐ近くだし。私は一応女だからマンションの最上階がいい気がする。安全第一。お風呂もそれなりに広いといいな。でも、確実に予算分布オーバー、8万で済むわけないよね。そもそも物件あるとは思えないけど」
私は駅前の不動産に向かっているところ。ちょっと理想を言ってみただけです。
丁度駅前に不動産があったので、一応外の売り出し中の看板をを見てみる事にする。
「どれどれ」
一番最初に目についた張り紙を見て驚いた。
「ええ? 条件ピッタリのうえ角部屋で、システムキッチン、エアコン付きでエレベーターありの築5年? ペットも可。それなのに家賃は1万円ですと?? しかも敷金礼金がいらないって?」
思わず私は周りを見回した。そしてもう一度その張り紙を見てみる。目をこすってみたが、見間違えではない。ゼロの数ももう一度確認。
他の物件を見ると駅から遠かったり、アパートの1Ꮶだったり、家賃が馬鹿高かったり。
「家賃が1万円……」
私は躊躇無く不動産に飛び込んで、店員を捕まえた。
「あ、あの、外の看板の物件、埋まってないですよね」
「はい、掘り出し物ばかりです。気になる物件がありましたか」とお約束の営業スマイル。
「あ、あの家賃1万円の、あれもですか」
そう聞くと何故か店員の顔が青ざめた様な気がする。
「あれですか……勿論空いていますけども」
何故か店員の口調が変な気がする。気のせいか。
「……あの、ひとつ条件があるのですが。入居後3年は引っ越ししないというという」
携帯ショップの2年縛りか、と思わず突っ込みたくなる。
「長く住むつもりですし、3年で引っ越すつもりは無いですよ。空いているならすぐ住みます。いや、ここで今すぐ契約しましょう」思わず飛びついてしまった。
「後悔しませんか? こちらとしては有り難いのですが」
「後悔? もしかして事故物件とか」
「そ、そんな事は無いですよ?」
私はそんな事は気にしないから、さっさと手続きしろ。
「他の誰かに取られる前に契約します。今すぐ早く」
「あの、下見はしないので? 一応抑えておきましすが……」
「抑えてくれる? じゃあ行きます。見に行きます」
我ながら変な客だと思うのだが、これを見逃すのは勿体無い。
連れてこられたその物件はさらに予想以上だった。
「こんなにピカピカで? クローゼットもついてるし、ベランダも広いし、洗濯機も家の中に置けるし、これでホントに家賃1万円?」
店員は何故か玄関から部屋に入らないまま「も、勿論です」と答えてくる。今すぐ帰りたいみたいというような。
「決定です。早く契約したいです」
「……後悔しませんか」何故かまた念押ししてくる。
「なんですそれ。する訳ないでしょう」
と言ったら部屋が揺れた気がする。地震かな。
「……それでは決まりと言うことで。いきなり引っこすとかは駄目ですよ。3年契約ですから」
「勿論です。はい、即契約」
私はここがとても気にいった。そして不動産屋に戻り手続きをする。
「名前は依代魅矢子っと。はい、決定。引っ越し業者も頼めますか」
「も、勿論です。見積もりもお安くできますよ」
最後まで変な店員だなと思いつつ、私は新たな棲家を手に入れた。
儲けたな、と思ったらまた部屋が揺れた。
私は駅前の不動産に向かっているところ。ちょっと理想を言ってみただけです。
丁度駅前に不動産があったので、一応外の売り出し中の看板をを見てみる事にする。
「どれどれ」
一番最初に目についた張り紙を見て驚いた。
「ええ? 条件ピッタリのうえ角部屋で、システムキッチン、エアコン付きでエレベーターありの築5年? ペットも可。それなのに家賃は1万円ですと?? しかも敷金礼金がいらないって?」
思わず私は周りを見回した。そしてもう一度その張り紙を見てみる。目をこすってみたが、見間違えではない。ゼロの数ももう一度確認。
他の物件を見ると駅から遠かったり、アパートの1Ꮶだったり、家賃が馬鹿高かったり。
「家賃が1万円……」
私は躊躇無く不動産に飛び込んで、店員を捕まえた。
「あ、あの、外の看板の物件、埋まってないですよね」
「はい、掘り出し物ばかりです。気になる物件がありましたか」とお約束の営業スマイル。
「あ、あの家賃1万円の、あれもですか」
そう聞くと何故か店員の顔が青ざめた様な気がする。
「あれですか……勿論空いていますけども」
何故か店員の口調が変な気がする。気のせいか。
「……あの、ひとつ条件があるのですが。入居後3年は引っ越ししないというという」
携帯ショップの2年縛りか、と思わず突っ込みたくなる。
「長く住むつもりですし、3年で引っ越すつもりは無いですよ。空いているならすぐ住みます。いや、ここで今すぐ契約しましょう」思わず飛びついてしまった。
「後悔しませんか? こちらとしては有り難いのですが」
「後悔? もしかして事故物件とか」
「そ、そんな事は無いですよ?」
私はそんな事は気にしないから、さっさと手続きしろ。
「他の誰かに取られる前に契約します。今すぐ早く」
「あの、下見はしないので? 一応抑えておきましすが……」
「抑えてくれる? じゃあ行きます。見に行きます」
我ながら変な客だと思うのだが、これを見逃すのは勿体無い。
連れてこられたその物件はさらに予想以上だった。
「こんなにピカピカで? クローゼットもついてるし、ベランダも広いし、洗濯機も家の中に置けるし、これでホントに家賃1万円?」
店員は何故か玄関から部屋に入らないまま「も、勿論です」と答えてくる。今すぐ帰りたいみたいというような。
「決定です。早く契約したいです」
「……後悔しませんか」何故かまた念押ししてくる。
「なんですそれ。する訳ないでしょう」
と言ったら部屋が揺れた気がする。地震かな。
「……それでは決まりと言うことで。いきなり引っこすとかは駄目ですよ。3年契約ですから」
「勿論です。はい、即契約」
私はここがとても気にいった。そして不動産屋に戻り手続きをする。
「名前は依代魅矢子っと。はい、決定。引っ越し業者も頼めますか」
「も、勿論です。見積もりもお安くできますよ」
最後まで変な店員だなと思いつつ、私は新たな棲家を手に入れた。
儲けたな、と思ったらまた部屋が揺れた。
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