7 / 49
冗談ではないと言われました
しおりを挟む
(おかしい…もしかして…罰ゲームとか?)
小林のマンションで過ごした日曜日の夜、美緒は自分の安アパートで浴槽にお湯を張って浸かっていた。夏は暑いしお湯代がもったいないと基本的にはシャワーだけで済ますのだが、この日は何だかとても疲れた気がしたため、ゆっくりお湯につかる事にしたのだ。ちなみに小林のマンションの無駄に広かったお風呂とは違い、美緒のアパートのそれは足を伸ばすだけの広さはなかったが、それでもお湯に浸かるのは不思議と美緒の気持ちを解してくれた。
ほう…と大きく息を吐きだしたが、頭に浮かぶのは小林の事だった。
あの後美緒は、小林のマンションで過ごす羽目になった。美緒は疲れたから今日は帰りたいと主張したが、小林は首を縦に振る筈もなかった。出かけるか、ここで映画でも見て過ごすかの二択を迫られた美緒だったが、どちらを選らんでも美緒にとってはデメリットしかなかった。
もし外で会社の人に見られた場合、美緒の立場は一層悪くなるだけだった。今は嫌味や舌打ちで済んでいるが、もし休日を一緒に過ごしていたと知れたらトイレに呼び出されるのは確実だろうし、仕事の邪魔をされる可能性もある。今以上に針の筵になるのは確実だった。
一方、小林マンションで小林と過ごすのも安全とは言い難かった。壁ドンされて気が付いたが、体格差だけでなく力の差もあり、仮に小林がその気になったら逃げようがないのは明白だった。ましてや相手は百戦錬磨の女ったらしで、経験値が違い過ぎるのだ。逆立ちしたって勝てる気がしなかった。
どっちに転んでも危機的状況だったが、結局美緒はマンションで映画を見て過ごす方を選らんだ。他人の行動をコントロール出来るはずもなく、見つかれば社会的な死が待っているが、ここで過ごす分にはせいぜい我が身一つで済むと思ったからだった。
だが美緒の予想に反して、小林は紳士的な態度に始終した。警戒心丸出しの美緒に苦笑を浮かべていたが、さすがに同意なしで事に及ぶのは自分のポリシーじゃないと断言され、今は何もしないと約束したのだ。
ただ、全く触れられないと我慢が利かなくなるから、手を繋くなどの軽いスキンシップは許して欲しいとの条件付きだった。そんなもん知るか!と心の中で憤った美緒だったが、さすがに襲われるのは勘弁して欲しかったため、渋々ながらもそれくらいなら…と認めるしかなかった。既に水族館では手を繋いで歩いたのもあり、今更だったからだ。
また、美緒の気持ちがハッキリするまで、会社では今まで通りに過ごす事も約束してくれた。ただし、嫌がらせなどはその都度報告する事もセットで。美緒は面倒に思ったが、今後美緒以外の者に交代した時の事も考えなきゃいけないだろうと言われてしまうと、納得せざるを得なかった。
そんなこんなで、一応美緒にとっては辛うじて受け入れられる状況にはなったが、それでも小林が自分を好きだと本気で言っているとは信じられなかった。相手はイケメンで仕事も出来て、しかも社長の次男、未来の副社長様なのだ。
一方の自分はと言うと、両親は離婚している上サラリーマン家庭で、美人でも特に仕事が出来る訳ではない。しかも小林に対しての態度はかなりきつかったと思う。それで好きだと言われても、信じる方がおかしいだろう…と思うのだ。
そうなれば、可能性として思いつくのはいたずらだった。例えば仲間内で美緒を落とせるか賭けをしているとか、賭けに負けた罰ゲームで告白させられた…など。学生時代に飲み会などでそんな事をしている男子がいただけに、美緒としてはその可能性は酷く納得出来るものだった。
手を出さないのも、会社で内緒にするのも、賭けや罰ゲームなら納得だった。あまり派手にやれば美緒だけでなく小林にもダメージがあるからだ。会社の次男としてそれなりに行動が求められるのは明らかだし、社長は温厚な人だが筋の通らない事を嫌うと聞いている。そして、そういう事ならその内この話もなかった事になるかもしれない、と美緒は思っていた。
その考えに思い至った美緒は、何だ、そうか…と妙に納得した。本気で我が身を心配したが、そういう事なら程なくしてお役御免になるだろう。別に美緒は彼氏が欲しいとも思っていないので、小林に振られたと噂が立っても暫く我慢すれば済む話だ。それに、紛い物でもあの顔で告白されただけでもいい思い出になる。そう納得した美緒は早々に悩む事を手放した。
翌月曜日のランチタイム、美緒は朱里と一緒に会社近くのカフェに来ていた。ここのサラダランチは二人のお気に入りで、時間が合うとよく来ていた。幸い月曜日だが急ぎの仕事もなく、美緒は朱里に誘われるままこの店に来ていた。少し早めに会社を出られたせいか、今日は奥の個室っぽくなっている席に座る事が出来たのはラッキーとしか言いようがない。
「それで…どうだった?」
「美緒のお陰で凄く楽しかったわ。あんな風に周りを気にせずデート出来たの、初めてかもしれない」
美緒が朱里に水族館の後の事を尋ねると、朱里は嬉しそうにそう答えた。美緒は朱里のために行ったので、朱里が楽しく過ごせたかが気になっていたのだ。頬を染めて答える朱里は最高に可愛らしかった。うん、眼福だなぁと美緒も自ずと笑顔になった。あの後朱里は大石と食事に行き、その後は大石のマンションに泊って日曜日も一緒に過ごしたのだという。
「そう?ならよかった。でも、ごめんね、なんか服まで買って貰っちゃって…」
「それはいいのよ。私がしたかったんだから。それよりも美緒は?巧とご飯行ったんでしょう?」
「え?」
すっかり小林の事を失念していた美緒は、急に聞かれて咄嗟に返す事が出来なかった。
「あ~うん、すっごく美味しかったよ。あんなお寿司食べたの、生まれて初めてだった」
あの後の事は朱里も知らないだろうと思い、美緒は連れていかれた店の話に始終した。あんな黒歴史、しかも悪戯目的での告白など、朱里の綺麗な耳に入れる必要はないと思ったのだ。
「そう、それならよかった。それで?」
「それで、って?」
「ヤダ、美緒ったら。巧と付き合う事になったんでしょう」
「は?…な…何で…それを…?」
驚きのあまり、美緒は一歩間違えば墳飯物の事態に陥ったが、辛うじてそこは堪えた。無理やり飲み込んで喉が詰まりそうだったが、そこも堪えた。いや待て、その前に何でそれを朱里が知っているのか…
「ふふっ。巧から聞いてるわよ。彼、やっと告白出来たみたいでよかったわ」
「はぁ?」
朱里が知っていたことも驚きだったが、朱里にあの小林が話をしていたのも想定外だった。恋人同士と言われていたくらいだから仲がいいとは思っていたが、小林がそんな事をペラペラ話すキャラだとは思わなかったからだ。
「ああ、心配しないで。私が問い詰めたのよ。どうなったのか、って」
「は?」
「彼ったら、前から美緒の事好きだったのに、全然誘えないんだもの。もう、じれったいったらなかったわ」
「…へ…」
「だから将梧さんと相談して、今回の水族館デートを計画したの。最初は余計なお世話だって渋ってたけど…上手くいったみたいね」
女性でも見ほれるほどの愛らしい顔でにっこり笑顔を浮かべた朱里だったが、今の美緒には何だか知らない人を見ている様な感覚に襲われた。てっきり悪ふざけだと思っていた美緒だったが、今の話が本当だとすると…
「えええー?あの…あれって…」
「落ち着いて、美緒。周りの人に聞こえちゃうわ」
「あ、ごめん…じゃなくて!あれって…冗談…」
「な訳ないわ。この上もなく本気よ、巧」
「え?あ…ちょっと待って…」
すっかり賭けか罰ゲームだという事にしていた美緒だったが、朱里から聞いた話にすっかり平静を失っていた。待て待て待て!どういう事だ!あれは罰ゲームじゃなかったのか。いや、本人からそう聞いたわけじゃないけど…
「美緒ったら…もしかして本気だって思ってなかった?」
「…思ってなかった…」
「やだ…巧ったら…ちゃんと伝わってないじゃない」
全くもう…ヘタレなんだから…と朱里がつぶやいているのを、美緒は遠い世界のように聞いていた。あれは本気だったのか?いやでも…と思うが、朱里が嘘を言っているとも思えず、美緒は益々混乱するしかなかった。
結局、その日は会社に戻っても、美緒の心はここにあらずだった。幸い小林は外回りで社内にいなかったのが幸いで、美緒は雑念を振り払うべく仕事に集中する事にしたが、思ったほどの成果は上がらなかった。
小林のマンションで過ごした日曜日の夜、美緒は自分の安アパートで浴槽にお湯を張って浸かっていた。夏は暑いしお湯代がもったいないと基本的にはシャワーだけで済ますのだが、この日は何だかとても疲れた気がしたため、ゆっくりお湯につかる事にしたのだ。ちなみに小林のマンションの無駄に広かったお風呂とは違い、美緒のアパートのそれは足を伸ばすだけの広さはなかったが、それでもお湯に浸かるのは不思議と美緒の気持ちを解してくれた。
ほう…と大きく息を吐きだしたが、頭に浮かぶのは小林の事だった。
あの後美緒は、小林のマンションで過ごす羽目になった。美緒は疲れたから今日は帰りたいと主張したが、小林は首を縦に振る筈もなかった。出かけるか、ここで映画でも見て過ごすかの二択を迫られた美緒だったが、どちらを選らんでも美緒にとってはデメリットしかなかった。
もし外で会社の人に見られた場合、美緒の立場は一層悪くなるだけだった。今は嫌味や舌打ちで済んでいるが、もし休日を一緒に過ごしていたと知れたらトイレに呼び出されるのは確実だろうし、仕事の邪魔をされる可能性もある。今以上に針の筵になるのは確実だった。
一方、小林マンションで小林と過ごすのも安全とは言い難かった。壁ドンされて気が付いたが、体格差だけでなく力の差もあり、仮に小林がその気になったら逃げようがないのは明白だった。ましてや相手は百戦錬磨の女ったらしで、経験値が違い過ぎるのだ。逆立ちしたって勝てる気がしなかった。
どっちに転んでも危機的状況だったが、結局美緒はマンションで映画を見て過ごす方を選らんだ。他人の行動をコントロール出来るはずもなく、見つかれば社会的な死が待っているが、ここで過ごす分にはせいぜい我が身一つで済むと思ったからだった。
だが美緒の予想に反して、小林は紳士的な態度に始終した。警戒心丸出しの美緒に苦笑を浮かべていたが、さすがに同意なしで事に及ぶのは自分のポリシーじゃないと断言され、今は何もしないと約束したのだ。
ただ、全く触れられないと我慢が利かなくなるから、手を繋くなどの軽いスキンシップは許して欲しいとの条件付きだった。そんなもん知るか!と心の中で憤った美緒だったが、さすがに襲われるのは勘弁して欲しかったため、渋々ながらもそれくらいなら…と認めるしかなかった。既に水族館では手を繋いで歩いたのもあり、今更だったからだ。
また、美緒の気持ちがハッキリするまで、会社では今まで通りに過ごす事も約束してくれた。ただし、嫌がらせなどはその都度報告する事もセットで。美緒は面倒に思ったが、今後美緒以外の者に交代した時の事も考えなきゃいけないだろうと言われてしまうと、納得せざるを得なかった。
そんなこんなで、一応美緒にとっては辛うじて受け入れられる状況にはなったが、それでも小林が自分を好きだと本気で言っているとは信じられなかった。相手はイケメンで仕事も出来て、しかも社長の次男、未来の副社長様なのだ。
一方の自分はと言うと、両親は離婚している上サラリーマン家庭で、美人でも特に仕事が出来る訳ではない。しかも小林に対しての態度はかなりきつかったと思う。それで好きだと言われても、信じる方がおかしいだろう…と思うのだ。
そうなれば、可能性として思いつくのはいたずらだった。例えば仲間内で美緒を落とせるか賭けをしているとか、賭けに負けた罰ゲームで告白させられた…など。学生時代に飲み会などでそんな事をしている男子がいただけに、美緒としてはその可能性は酷く納得出来るものだった。
手を出さないのも、会社で内緒にするのも、賭けや罰ゲームなら納得だった。あまり派手にやれば美緒だけでなく小林にもダメージがあるからだ。会社の次男としてそれなりに行動が求められるのは明らかだし、社長は温厚な人だが筋の通らない事を嫌うと聞いている。そして、そういう事ならその内この話もなかった事になるかもしれない、と美緒は思っていた。
その考えに思い至った美緒は、何だ、そうか…と妙に納得した。本気で我が身を心配したが、そういう事なら程なくしてお役御免になるだろう。別に美緒は彼氏が欲しいとも思っていないので、小林に振られたと噂が立っても暫く我慢すれば済む話だ。それに、紛い物でもあの顔で告白されただけでもいい思い出になる。そう納得した美緒は早々に悩む事を手放した。
翌月曜日のランチタイム、美緒は朱里と一緒に会社近くのカフェに来ていた。ここのサラダランチは二人のお気に入りで、時間が合うとよく来ていた。幸い月曜日だが急ぎの仕事もなく、美緒は朱里に誘われるままこの店に来ていた。少し早めに会社を出られたせいか、今日は奥の個室っぽくなっている席に座る事が出来たのはラッキーとしか言いようがない。
「それで…どうだった?」
「美緒のお陰で凄く楽しかったわ。あんな風に周りを気にせずデート出来たの、初めてかもしれない」
美緒が朱里に水族館の後の事を尋ねると、朱里は嬉しそうにそう答えた。美緒は朱里のために行ったので、朱里が楽しく過ごせたかが気になっていたのだ。頬を染めて答える朱里は最高に可愛らしかった。うん、眼福だなぁと美緒も自ずと笑顔になった。あの後朱里は大石と食事に行き、その後は大石のマンションに泊って日曜日も一緒に過ごしたのだという。
「そう?ならよかった。でも、ごめんね、なんか服まで買って貰っちゃって…」
「それはいいのよ。私がしたかったんだから。それよりも美緒は?巧とご飯行ったんでしょう?」
「え?」
すっかり小林の事を失念していた美緒は、急に聞かれて咄嗟に返す事が出来なかった。
「あ~うん、すっごく美味しかったよ。あんなお寿司食べたの、生まれて初めてだった」
あの後の事は朱里も知らないだろうと思い、美緒は連れていかれた店の話に始終した。あんな黒歴史、しかも悪戯目的での告白など、朱里の綺麗な耳に入れる必要はないと思ったのだ。
「そう、それならよかった。それで?」
「それで、って?」
「ヤダ、美緒ったら。巧と付き合う事になったんでしょう」
「は?…な…何で…それを…?」
驚きのあまり、美緒は一歩間違えば墳飯物の事態に陥ったが、辛うじてそこは堪えた。無理やり飲み込んで喉が詰まりそうだったが、そこも堪えた。いや待て、その前に何でそれを朱里が知っているのか…
「ふふっ。巧から聞いてるわよ。彼、やっと告白出来たみたいでよかったわ」
「はぁ?」
朱里が知っていたことも驚きだったが、朱里にあの小林が話をしていたのも想定外だった。恋人同士と言われていたくらいだから仲がいいとは思っていたが、小林がそんな事をペラペラ話すキャラだとは思わなかったからだ。
「ああ、心配しないで。私が問い詰めたのよ。どうなったのか、って」
「は?」
「彼ったら、前から美緒の事好きだったのに、全然誘えないんだもの。もう、じれったいったらなかったわ」
「…へ…」
「だから将梧さんと相談して、今回の水族館デートを計画したの。最初は余計なお世話だって渋ってたけど…上手くいったみたいね」
女性でも見ほれるほどの愛らしい顔でにっこり笑顔を浮かべた朱里だったが、今の美緒には何だか知らない人を見ている様な感覚に襲われた。てっきり悪ふざけだと思っていた美緒だったが、今の話が本当だとすると…
「えええー?あの…あれって…」
「落ち着いて、美緒。周りの人に聞こえちゃうわ」
「あ、ごめん…じゃなくて!あれって…冗談…」
「な訳ないわ。この上もなく本気よ、巧」
「え?あ…ちょっと待って…」
すっかり賭けか罰ゲームだという事にしていた美緒だったが、朱里から聞いた話にすっかり平静を失っていた。待て待て待て!どういう事だ!あれは罰ゲームじゃなかったのか。いや、本人からそう聞いたわけじゃないけど…
「美緒ったら…もしかして本気だって思ってなかった?」
「…思ってなかった…」
「やだ…巧ったら…ちゃんと伝わってないじゃない」
全くもう…ヘタレなんだから…と朱里がつぶやいているのを、美緒は遠い世界のように聞いていた。あれは本気だったのか?いやでも…と思うが、朱里が嘘を言っているとも思えず、美緒は益々混乱するしかなかった。
結局、その日は会社に戻っても、美緒の心はここにあらずだった。幸い小林は外回りで社内にいなかったのが幸いで、美緒は雑念を振り払うべく仕事に集中する事にしたが、思ったほどの成果は上がらなかった。
10
お気に入りに追加
584
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる?
「年下上司なんてありえない!」
「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」
思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった!
人材業界へと転職した高井綾香。
そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。
綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。
ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……?
「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」
「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」
「はあ!?誘惑!?」
「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」
ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました
瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。
花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 奨励賞受賞
皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。
ありがとうございます。
今好きな人がいます。
相手は殿上人の千秋柾哉先生。
仕事上の関係で気まずくなるぐらいなら眺めているままでよかった。
それなのに千秋先生からまさかの告白…?!
「俺と付き合ってくれませんか」
どうしよう。うそ。え?本当に?
「結構はじめから可愛いなあって思ってた」
「なんとか自分のものにできないかなって」
「果穂。名前で呼んで」
「今日から俺のもの、ね?」
福原果穂26歳:OL:人事労務部
×
千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる