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第6章 Side 小泉

第12話 キッチンでハプニング 後編 *

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その夜、俺は酷く濃厚でなまめかしい夢を見た。突然の地震による落下物から彼女を守ろうとして、俺は彼女を勢い余って押し倒してしまった。背中に感じる鈍い痛み、体全体に感じる彼女の柔らかさ。体を起こそうとするが、力が入らない。

「小泉さん、大丈夫?!」

「す、すまん……ちょっと動けない……」

ここまでは昼間と全く同じ展開だ。違うのはこの後から。彼女の体の感触をダイレクトに感じ、眠っていた俺の性欲が目覚めてしまった。

(ああ……!この胸と腿の感触、堪んねえ……!)

我慢できず、彼女の体に手を伸ばした。まず、ロングスカートのスリットの隙間に手を入れ、ふっくらした腿を撫で回した。

「ちょっ……!こ、小泉さん!動けないんじゃなかったの……なにやって……やぁん!」

俺の突然の愛撫に驚きつつも、彼女は体をよじって喘いだ。

「気づいたら体が動くようになってた。お前の体がエロいからじゃないか……?」

耳元でそう囁き、引き締まったヒップラインと両腿全体を優しく、時に激しく揉みしだきながら撫でた。

「そ、そんなこと……。んん……あぁん……っ」

彼女は頬を赤く染め、甘い吐息を絶えず漏らした。その表情が何とも艶めかしく、俺の気分はますます昂った。愛撫を続ける内に硬く閉じられた彼女の内腿や付け根が徐々に熱を帯びていくのが分かった。

「……ここ、触って欲しいって言ってるみたいだな」

下着の上から優しく撫でると彼女の体が震えた。その時、彼女と目が合った。熱く濡れた瞳。「早く触って」という懇願こんがんの眼差しだった。俺は口元を緩めると耳元に唇を寄せた。

「まだ駄目だ」

「な、何で?」

「俺がもっと楽しみたいからだ」

そう言うと、彼女は目を丸くした。その反応はとても可愛らしかった。俺は彼女の腰に手を掛けると、ニットをたくし上げた。そして、内側に手を突っ込み、下着の上から豊満な膨らみに触れた。柔らかくて何とも揉み心地が良い。堪らなくなり、Vネックから見える深い谷間に顔を埋めた。

「はぁん……!」

彼女は上擦った声を漏らしながら、俺の頭を両手でそっと撫でた。

「んん……小泉さん、イイよ……もっとアタシの胸、感じて?」

吐息交じりの可愛らしい声でそう言うと、俺の頭をぎゅっと抱き締めた。彼女の柔らかさに包まれ、俺は思い切り息を吸った。いつもの花の香り。何ともいえない幸福感が体全体に広がった。俺は彼女の肩に手を掛けると、ニットをはだけさせた。そっと顔を上げてみると、左肩と下着、深い胸の谷間を露にした彼女と目が合った。頬は赤く染まり、少し恥ずかしそうに上目遣いで俺を見上げるその姿はとても可愛らしく、また露になった肌が白く滑らかなせいか色気を醸し出しており、俺は思わず息を飲んだ。

(や、やばい……理性が……っ!)

その瞬間、俺は彼女の唇に自分の唇を重ねていた。舌先をじ込んで激しく彼女の唇をむさぼった。

「ふっ、んんっ……はぁっ……」

彼女は拒むことなく俺のキスを受け入れた。両腕を俺の首筋に回し、自身の舌先を俺の舌先に絡めた。濃厚なキスを繰り返しながら、俺は再び彼女のスリットに手を突っ込んだ。内腿に手を滑らせると……そこはもうぐちゃぐちゃに濡れていた。

「こんなに濡らして……お前、やっぱエロいな」

「だ、だって……こ、小泉さんが、いっぱい触るから……」

「なんだよ、俺のせいにすんのかよ。じゃあ、お仕置きだな」

「えっ?ちょ、ちょっと待っ……やぁん!」

彼女の言葉を最後まで聞かず、俺は下着に手を突っ込んだ。そして、熱く濡れそぼった彼女の花弁はなびらにそっと指を這わした――。


***


その時、俺は目を覚ました。途端に体全体に鋭い痛みを感じる。

「いってえ……!」

目の前にはリビングの天井。咄嗟に辺りを見回すと、すぐ隣にソファがあった。眠っている最中にどうやら落ちたようだった。彼女との濃厚で妖艶な時間が夢だと分かった瞬間、心底がっかりした。

「あともう少しだったのによ……」

項垂うなだれ、打ち付けた腰をさすりながら立ち上がった。時計を見ると深夜2時過ぎ。キッチンへ行き、冷蔵庫を開けると夕飯に彼女と作った肉じゃがの残りが目に留まった。

「肉じゃが、無傷で良かったな。結構揺れた気がするが……」

「そうだよね。ん~!味が染みててめっちゃ美味しい!今度自分で作ってみる!」

ホクホクしたじゃがいもを頬張りながら嬉しそうに彼女は言った。俺はいつか彼女が一人で作った肉じゃがを食べる日が来るんだろうか。そういえば、彼女とはこんな話もした。

「あの土鍋は井伏のオヤジの形見なんだ。居候している時から使ってて、よく二人で鍋をつついたもんだ」

「へえ~!じゃあ、思い出の土鍋なんだね」

「ああ。『もう二度と誰かと鍋をつつくことはないと思ってたから嬉しいなぁ』って言っててな。それが忘れられなくてずっと持ってる。だが、一人で使うには大きくてな。長い間使ってない」

「じゃあ、一緒に鍋やろうよ!」

「別に構わないが……季節外れじゃねえか?だいぶ気温も上がってきたしな」

「いいの!井伏さんもきっと喜んでくれるはずだよ!」

「そうか?じゃあ……今度な」

俺は彼女のその気持ちが嬉しかった。オヤジが死んでからこの世界で孤独に生きて来た俺の心を彼女が癒してくれているように感じた。最初は図々しくてウザい女だと思っていたのに……。何だか心が温かくなったような気がして俺は静かに笑みを零した。土鍋が直撃した背中はまだ少し傷むが、あまり気にならなかった。

昼間に作っておいた水出しの紅茶をグラスに注ぎ、一気に飲み干した後、用を足そうと廊下に出た。ふと寝室の扉に目をやる。扉の隙間から灯りが漏れていないところを見ると、眠っているのだろう。俺はしばらくその扉の前で立ち尽くした。ドアノブにそっと手を掛け、慌てて手を引っ込めた。

(いやいや……何やってんだ俺は。夜這いでもする気かよ)

「深夜のテンションは恐ろしい」とはよく言ったものだが、今の俺はまさにその状態のような気がした。必死に首を横に振って、よこしまで衝動的なその感情を俺は必死に振り払ったのだった。
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