17 / 28
信じると言う強さ
今世の意味
しおりを挟む
「おおー、大日如来ってやっぱり派手だよなあ」
ふと気づくと、隣にタカトが立っていた。
——幸野谷の子孫って、大日如来の子孫ってこと?
そうだとしたら、タカトは大日如来の子孫だということになる。ただ、宇宙の理を人格化したとされる方の子孫だとしたら、タカトは人間ではなく、宇宙の理そのものということになる。
——え、どういうことだろう……。
考えれば考えるほど、話が難しくなっていく。ただ、あまりその辺りをはっきりさせることを、貴人様は勧めていない。それに倣って、綾人はこれ以上深く考えるのはやめておくことにした。
「綾人、待って」
先へ進もうと一歩踏み出そうとしたところで、タカトがその行く手を遮った。そして、綾人の前髪を手でかきあげたかと思うと、何かを見つけたようで、目を丸くしながら「やっぱり」と呟いた。
「綾人、これどうしたんだ?」
鼻先が触れそうなくらいの距離まで顔を近づけられ、綾人の額をじろじろと見ている。タカトは時々、こうやって綾人の顔をじっと見つめる癖がある。
眉間に何かを見つけたようで、それを見るために前髪を梳き上げられる。その腕が動くたびに、綾人の目の前でタカトの香りがふわりと舞った。それを吸い込むたびに動悸がして、その中に飛び込みたくなってしまう。
「なに? なんかついてる?」
観光地で人がたくさんいるため、出来るだけ何でもないふりをしようと綾人は必死だった。それでも、タカトがあまりに近づいたままじっとしているので、ランチの時のことを思い出し、またキスをされるのかと思って身構えてしまう。
ただ、タカトは近づいて前髪を上げただけで、それ以上は何もしなかった。綾人は自分が勘違いをしたことに気がつき、恥ずかしさのあまりその場で頭を抱えて悶絶した。バレないようにと視線を落としてやり過ごそうとしたが、それがタカトにバレないわけが無い。
「あ、キスしようとしたわけじゃないから。期待したの? ごめんごめん」
揶揄うように返されてムッとした綾人は、「もう! うっさい!」とタカトの手を振り払った。綾人のその様子に、タカトはケラケラと笑っていた。
ふと、そのやりとりを遠くから見ていた陽太が、口を開けて固まっているのが見えた。そして、なにやら慌ててバッグから鏡を取り出すと、綾人の方へバタバタと走り寄って来る。近くへ来ると、慌てながらも徐に「はい」とそれを渡してきた。
「ん? なに? なんか変なところあんの、俺」
鏡を受け取りながら陽太へ訊くと、目を丸くした陽太が、自分の眉間を必死に指差しながら叫んだ。
「桂くん、眉間に違和感ないの? なんかデッカイあざ出来てるけど!」
驚きすぎているのか、陽太の指は、ぐるぐると自分の眉間を擦り続けている。綾人は陽太のその指の動きを真似して、自分の眉間を指でくるくると回しながら、そこを確認してみた。
「えっ、ここ? さっき頭痛かったけど、でもぶつけたわけじゃ無いし、痛くは無……」
そして、陽太から借りた鏡を覗いてみると、確かに眉間に目玉程度のあざが出来ていた。縦長の楕円形で、長さは3センチほどもあった。
「え、何この目玉みたいなあざ! こわ……」
違和感など何も無かったが、かなり目立つあざがそこにはあった。これはちょっと恥ずかしい。額をスリスリと触って確かめたてみるが、やっぱり痛みは無いようだった。
でも、ここでこれが現れたということは、目の前の像と関係があるのだろう。金剛夜叉明王にも、眉間に目がある。
「これ消えないのかな……結構恥ずかしいんだけど」
ブツブツ呟きながら、再び鏡を見た。すると、奥の方にキラッと光るものが見えた。何かが反射したような光だった。なんだろうと気になり、そちらが見えるように鏡を動かしてみる。
しかし、いくら角度を変えてみても、特におかしなものは映らない。気のせいだったのだろうと思い、お礼を言って陽太に鏡を返した。
「そういうのって、よく第三の目とか言うよね」
「あー、第六チャクラとか心の眼ってやつね……。 いくら凄いことが出来たとしても、このままじゃ恥ずかしいな」
そう言ってまたそこをさすりながら、金剛夜叉明王の額にある目を見ていた。
——俺は、きっとあなたと関わりがあるんですよね?
そう問いかけたところで、もちろん答えは返って来ない。ただ、答えの代わりに像の周りに、ゆらりと何かが蠢くのが見えただけだった。
「そろそろ出よっかー。この後は清水寺に行くんだよね?」
のんびりと仏像を見物していた桃花たちが、綾人たちの方へとやって来た。神様や自分についての気づきを得ていた綾人とは対照的に、ほのぼのとした雰囲気で、純粋に旅を楽しめているようだ。
——もし本当に過去の自分が悪鬼だったとしたら、この光景をどう思うんだろうな。
それを思うと、今世の人生を与えてくれた貴人様に感謝の気持ちが湧いてきた。例え今の人生の終わりが決められていたとしても、元々歩んでいた人生についての記憶が戻るにつれ、その選択の正しさを理解して行った。
悪鬼のまま殺されていたら、今の幸せは知らなかった。貴人様が転生させてくれたからこそ、この時間がある。これを知っているかいないかで、自分の魂が「生きている間」の価値が決まるような気がしていた。
何度転生しても夢見ていた、仲間と過ごす楽しい時間。空腹に苦しまない生活。愛する人との生活。それが、今はちゃんとある。
「清水寺に行ってからはどうするんだったっけ?」
「えっとね、清水寺へ行ってからは……」
綾人は、この旅行中に起きる全てのことを、しっかり目に焼き付けておこうと改めて思っていた。そう心に留めながらだと、予定の確認をすることさえ、すごく楽しく貴重なものとなっていた。
——ちょっとしたことも、全部覚えておくんだ。忘れるのかもしれないけれど、それでも。
◇◆◇
東寺を出た後は、ゆっくり散策しながら清水寺へ行き、宝ヶ池方面でホテルに泊まる予定になっている。その後も、早めに夕食をとり、貴船神社へライトアップを見に行こうという計画になっていた。
「桜の季節とか紅葉の季節とかは割と来るんだけど、夏のライトアップってあんまり行った事がないから、行ってみたいの!」
女性陣からの要望で、初日の夜は割とバタバタすることになっていた。しかも、明日は朝イチで法金剛院に観蓮会にも行きたいと言っている。早寝早起は必須になりそうだ。
瀬川は陽太と二人部屋に泊まる予定なので、正直早寝は避けたかったらしく、かなり不服そうにしている。
数百年の間探し続けた夫が見つかり、その男に記憶が無いにしろ、現世でも相思相愛で旅行中とあれば、そう思っても致し方ないだろうとは男性陣は理解していた。それでも、凛華の押しに勝てる者がいなかったので、一日目の夜は早く寝ると言う約束をしたのだった。
「突っ込める場所があるのに突っ込めない。辛い」
瀬川は、綾人の目の前でそう言いながらしくしく泣いている。綾人としては、そんなことを平気で言えるような奴は、正直一生泣いていればいいという気持ちではあった。ただ、隣で同じ顔をしているタカトを見ていると、何とも言えずにただ困ってしまう。
「お前なあ……気持ちはわかるけど、頼むから外で突っ込むの突っ込まないのって口に出して言うな……」
言いながら真っ赤になる綾人を見て、瀬川は嬉しそうな顔をした。いいおもちゃを見つけたとばかりに、ニヤニヤと下品な笑いを浮かべて揶揄って来る。
「なんだよ、お前。そのくらいで赤くなるなよなー!」
「うるっせえ! お前みたいな軽いやつと一緒にすんな! 俺は純粋なんだよ!」
「俺だって純粋です。一途だもんね」
「はあ!? あ、まあそうなのか……でも、なんか納得いかねえ」
二人ででギャーギャーと騒いでいると、そのパートナー達が妬き始め、四人でややこしい言い合いが始まった。
「ちょっと、瀬川! 綾人に触りすぎ! 手ー離せよ!」
「えー、こんなのいつものことじゃんかー。なあ、綾人ー」
「え、岳斗いつもそんなに触るの? なんか嫌なんだけど……」
「え? なになになに、それは『綾人じゃなくて俺をもっと触って欲しい』ってこと? 誘うじゃん、陽太ー」
「瀬川、お前声でかいんだってば!」
誰かが誰かに手を伸ばしては、それを他の人が払い落とすというように、もみくちゃになりながら言い争いをした。それは歩道に出てからも続いていて、周囲の通行人に迷惑をかけているにもかかわらず、四人は全く気が付いていない。
いつか誰かにぶつかってしまうだろうと、水町が心配して声をかけようとしていたが、案の定、陽太がドンっと思いっきり人にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさ……」
謝りかけた陽太の襟をガッと掴んで、ぶつかった相手の真っ赤なカーリーヘアが逆立っていった。
「いい加減にしろ! この色ぼけボーイズ! 食堂に行って写経でもして来い!」
仁王立ちで一喝した凛華は、まるでさっき見た迦楼羅炎を背負った不動明王のようだ。大学生にもなって周りが見えずにはしゃぎ回る男たちを、怒りの炎を撒き散らかしてしっかりと叱り飛ばしてくれていた。
ふと気づくと、隣にタカトが立っていた。
——幸野谷の子孫って、大日如来の子孫ってこと?
そうだとしたら、タカトは大日如来の子孫だということになる。ただ、宇宙の理を人格化したとされる方の子孫だとしたら、タカトは人間ではなく、宇宙の理そのものということになる。
——え、どういうことだろう……。
考えれば考えるほど、話が難しくなっていく。ただ、あまりその辺りをはっきりさせることを、貴人様は勧めていない。それに倣って、綾人はこれ以上深く考えるのはやめておくことにした。
「綾人、待って」
先へ進もうと一歩踏み出そうとしたところで、タカトがその行く手を遮った。そして、綾人の前髪を手でかきあげたかと思うと、何かを見つけたようで、目を丸くしながら「やっぱり」と呟いた。
「綾人、これどうしたんだ?」
鼻先が触れそうなくらいの距離まで顔を近づけられ、綾人の額をじろじろと見ている。タカトは時々、こうやって綾人の顔をじっと見つめる癖がある。
眉間に何かを見つけたようで、それを見るために前髪を梳き上げられる。その腕が動くたびに、綾人の目の前でタカトの香りがふわりと舞った。それを吸い込むたびに動悸がして、その中に飛び込みたくなってしまう。
「なに? なんかついてる?」
観光地で人がたくさんいるため、出来るだけ何でもないふりをしようと綾人は必死だった。それでも、タカトがあまりに近づいたままじっとしているので、ランチの時のことを思い出し、またキスをされるのかと思って身構えてしまう。
ただ、タカトは近づいて前髪を上げただけで、それ以上は何もしなかった。綾人は自分が勘違いをしたことに気がつき、恥ずかしさのあまりその場で頭を抱えて悶絶した。バレないようにと視線を落としてやり過ごそうとしたが、それがタカトにバレないわけが無い。
「あ、キスしようとしたわけじゃないから。期待したの? ごめんごめん」
揶揄うように返されてムッとした綾人は、「もう! うっさい!」とタカトの手を振り払った。綾人のその様子に、タカトはケラケラと笑っていた。
ふと、そのやりとりを遠くから見ていた陽太が、口を開けて固まっているのが見えた。そして、なにやら慌ててバッグから鏡を取り出すと、綾人の方へバタバタと走り寄って来る。近くへ来ると、慌てながらも徐に「はい」とそれを渡してきた。
「ん? なに? なんか変なところあんの、俺」
鏡を受け取りながら陽太へ訊くと、目を丸くした陽太が、自分の眉間を必死に指差しながら叫んだ。
「桂くん、眉間に違和感ないの? なんかデッカイあざ出来てるけど!」
驚きすぎているのか、陽太の指は、ぐるぐると自分の眉間を擦り続けている。綾人は陽太のその指の動きを真似して、自分の眉間を指でくるくると回しながら、そこを確認してみた。
「えっ、ここ? さっき頭痛かったけど、でもぶつけたわけじゃ無いし、痛くは無……」
そして、陽太から借りた鏡を覗いてみると、確かに眉間に目玉程度のあざが出来ていた。縦長の楕円形で、長さは3センチほどもあった。
「え、何この目玉みたいなあざ! こわ……」
違和感など何も無かったが、かなり目立つあざがそこにはあった。これはちょっと恥ずかしい。額をスリスリと触って確かめたてみるが、やっぱり痛みは無いようだった。
でも、ここでこれが現れたということは、目の前の像と関係があるのだろう。金剛夜叉明王にも、眉間に目がある。
「これ消えないのかな……結構恥ずかしいんだけど」
ブツブツ呟きながら、再び鏡を見た。すると、奥の方にキラッと光るものが見えた。何かが反射したような光だった。なんだろうと気になり、そちらが見えるように鏡を動かしてみる。
しかし、いくら角度を変えてみても、特におかしなものは映らない。気のせいだったのだろうと思い、お礼を言って陽太に鏡を返した。
「そういうのって、よく第三の目とか言うよね」
「あー、第六チャクラとか心の眼ってやつね……。 いくら凄いことが出来たとしても、このままじゃ恥ずかしいな」
そう言ってまたそこをさすりながら、金剛夜叉明王の額にある目を見ていた。
——俺は、きっとあなたと関わりがあるんですよね?
そう問いかけたところで、もちろん答えは返って来ない。ただ、答えの代わりに像の周りに、ゆらりと何かが蠢くのが見えただけだった。
「そろそろ出よっかー。この後は清水寺に行くんだよね?」
のんびりと仏像を見物していた桃花たちが、綾人たちの方へとやって来た。神様や自分についての気づきを得ていた綾人とは対照的に、ほのぼのとした雰囲気で、純粋に旅を楽しめているようだ。
——もし本当に過去の自分が悪鬼だったとしたら、この光景をどう思うんだろうな。
それを思うと、今世の人生を与えてくれた貴人様に感謝の気持ちが湧いてきた。例え今の人生の終わりが決められていたとしても、元々歩んでいた人生についての記憶が戻るにつれ、その選択の正しさを理解して行った。
悪鬼のまま殺されていたら、今の幸せは知らなかった。貴人様が転生させてくれたからこそ、この時間がある。これを知っているかいないかで、自分の魂が「生きている間」の価値が決まるような気がしていた。
何度転生しても夢見ていた、仲間と過ごす楽しい時間。空腹に苦しまない生活。愛する人との生活。それが、今はちゃんとある。
「清水寺に行ってからはどうするんだったっけ?」
「えっとね、清水寺へ行ってからは……」
綾人は、この旅行中に起きる全てのことを、しっかり目に焼き付けておこうと改めて思っていた。そう心に留めながらだと、予定の確認をすることさえ、すごく楽しく貴重なものとなっていた。
——ちょっとしたことも、全部覚えておくんだ。忘れるのかもしれないけれど、それでも。
◇◆◇
東寺を出た後は、ゆっくり散策しながら清水寺へ行き、宝ヶ池方面でホテルに泊まる予定になっている。その後も、早めに夕食をとり、貴船神社へライトアップを見に行こうという計画になっていた。
「桜の季節とか紅葉の季節とかは割と来るんだけど、夏のライトアップってあんまり行った事がないから、行ってみたいの!」
女性陣からの要望で、初日の夜は割とバタバタすることになっていた。しかも、明日は朝イチで法金剛院に観蓮会にも行きたいと言っている。早寝早起は必須になりそうだ。
瀬川は陽太と二人部屋に泊まる予定なので、正直早寝は避けたかったらしく、かなり不服そうにしている。
数百年の間探し続けた夫が見つかり、その男に記憶が無いにしろ、現世でも相思相愛で旅行中とあれば、そう思っても致し方ないだろうとは男性陣は理解していた。それでも、凛華の押しに勝てる者がいなかったので、一日目の夜は早く寝ると言う約束をしたのだった。
「突っ込める場所があるのに突っ込めない。辛い」
瀬川は、綾人の目の前でそう言いながらしくしく泣いている。綾人としては、そんなことを平気で言えるような奴は、正直一生泣いていればいいという気持ちではあった。ただ、隣で同じ顔をしているタカトを見ていると、何とも言えずにただ困ってしまう。
「お前なあ……気持ちはわかるけど、頼むから外で突っ込むの突っ込まないのって口に出して言うな……」
言いながら真っ赤になる綾人を見て、瀬川は嬉しそうな顔をした。いいおもちゃを見つけたとばかりに、ニヤニヤと下品な笑いを浮かべて揶揄って来る。
「なんだよ、お前。そのくらいで赤くなるなよなー!」
「うるっせえ! お前みたいな軽いやつと一緒にすんな! 俺は純粋なんだよ!」
「俺だって純粋です。一途だもんね」
「はあ!? あ、まあそうなのか……でも、なんか納得いかねえ」
二人ででギャーギャーと騒いでいると、そのパートナー達が妬き始め、四人でややこしい言い合いが始まった。
「ちょっと、瀬川! 綾人に触りすぎ! 手ー離せよ!」
「えー、こんなのいつものことじゃんかー。なあ、綾人ー」
「え、岳斗いつもそんなに触るの? なんか嫌なんだけど……」
「え? なになになに、それは『綾人じゃなくて俺をもっと触って欲しい』ってこと? 誘うじゃん、陽太ー」
「瀬川、お前声でかいんだってば!」
誰かが誰かに手を伸ばしては、それを他の人が払い落とすというように、もみくちゃになりながら言い争いをした。それは歩道に出てからも続いていて、周囲の通行人に迷惑をかけているにもかかわらず、四人は全く気が付いていない。
いつか誰かにぶつかってしまうだろうと、水町が心配して声をかけようとしていたが、案の定、陽太がドンっと思いっきり人にぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさ……」
謝りかけた陽太の襟をガッと掴んで、ぶつかった相手の真っ赤なカーリーヘアが逆立っていった。
「いい加減にしろ! この色ぼけボーイズ! 食堂に行って写経でもして来い!」
仁王立ちで一喝した凛華は、まるでさっき見た迦楼羅炎を背負った不動明王のようだ。大学生にもなって周りが見えずにはしゃぎ回る男たちを、怒りの炎を撒き散らかしてしっかりと叱り飛ばしてくれていた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話
岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ!
知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。
突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。
※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。
えっと、幼馴染が私の婚約者と朝チュンしました。ドン引きなんですけど……
百谷シカ
恋愛
カメロン侯爵家で開かれた舞踏会。
楽しい夜が明けて、うららかな朝、幼馴染モイラの部屋を訪ねたら……
「えっ!?」
「え?」
「あ」
モイラのベッドに、私の婚約者レニー・ストックウィンが寝ていた。
ふたりとも裸で、衣服が散乱している酷い状態。
「どういう事なの!?」
楽しかった舞踏会も台無し。
しかも、モイラの部屋で泣き喚く私を、モイラとレニーが宥める始末。
「触らないで! 気持ち悪い!!」
その瞬間、私は幼馴染と婚約者を失ったのだと気づいた。
愛していたはずのふたりは、裏切り者だ。
私は部屋を飛び出した。
そして、少し頭を冷やそうと散歩に出て、美しい橋でたそがれていた時。
「待て待て待てぇッ!!」
人生を悲観し絶望のあまり人生の幕を引こうとしている……と勘違いされたらしい。
髪を振り乱し突進してくるのは、恋多き貴公子と噂の麗しいアスター伯爵だった。
「早まるな! オリヴィア・レンフィールド!!」
「!?」
私は、とりあえず猛ダッシュで逃げた。
だって、失恋したばかりの私には、刺激が強すぎる人だったから……
♡内気な傷心令嬢とフェロモン伯爵の優しいラブストーリー♡
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?
naturalsoft
恋愛
私の前世は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者だった。しかし、光魔法の使える男爵令嬢に汚名を着せられて、婚約破棄された挙げ句、処刑された。
私は最後の瞬間に一族の秘術を使い過去に戻る事に成功した。
しかし、イレギュラーが起きた。
何故か宿敵である男爵令嬢として過去に戻ってしまっていたのだ。
皇太子から愛されない名ばかりの婚約者と蔑まれる公爵令嬢、いい加減面倒臭くなって皇太子から意図的に距離をとったらあっちから迫ってきた。なんで?
下菊みこと
恋愛
つれない婚約者と距離を置いたら、今度は縋られたお話。
主人公は、婚約者との関係に長年悩んでいた。そしてようやく諦めがついて距離を置く。彼女と婚約者のこれからはどうなっていくのだろうか。
小説家になろう様でも投稿しています。
侯爵様と婚約したと自慢する幼馴染にうんざりしていたら、幸せが舞い込んできた。
和泉鷹央
恋愛
「私、ロアン侯爵様と婚約したのよ。貴方のような無能で下賤な女にはこんな良縁来ないわよね、残念ー!」
同じ十七歳。もう、結婚をしていい年齢だった。
幼馴染のユーリアはそう言ってアグネスのことを蔑み、憐れみを込めた目で見下して自分の婚約を報告してきた。
外見の良さにプロポーションの対比も、それぞれの実家の爵位も天と地ほどの差があってユーリアには、いくつもの高得点が挙げられる。
しかし、中身の汚さ、性格の悪さときたらそれは正反対になるかもしれない。
人間、似た物同士が夫婦になるという。
その通り、ユーリアとオランは似た物同士だった。その家族や親せきも。
ただ一つ違うところといえば、彼の従兄弟になるレスターは外見よりも中身を愛する人だったということだ。
そして、外見にばかりこだわるユーリアたちは転落人生を迎えることになる。
一方、アグネスにはレスターとの婚約という幸せが舞い込んでくるのだった。
他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる