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お茶会幕間3
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「アーサーの考えている通りバロック家とや協会お抱えの浄化魔法を会得している人員を投入し、アレンス家の金融機関の関係者全員に事情聴取及び浄化が施されました。」
「それによって漸く不当な利子や、暴力沙汰が公の場に出たんだな。そこからは暴力を受けた市民や無駄に金を巻き上げられた貴族を中心に袋叩き……っていう流れだ。顔色が随分と悪い、少しお茶でもどうだ?」
「わ、悪ぃ……。」
普段ガサツさが表に出ているレンフレッドが店員にいつの間にか注文をしてくれていたらしく、香り高い暖かい紅茶を差し出してくれた。
ひと口嚥下する。
色んなことを一気に耳にしてしまったからか、随分と紅茶を口にしたことでその暖かさが身に染みて、解れていくのがわかった。
「すまんなアーサー。少し性急すぎたかもな。」
「あ、いや気にしなくて良いんだニコラス。ここまで来たのは俺自身が選んだことだし、アレンスさんの事を知りたいと思ったのも事実だからさ。」
「そんなにもアレンス嬢がきになるの?変わってるのねアーサーは。少し妬けちゃうわ。」
「そ、そういうつもりじゃない!その……学校での態度からなんでそこまで俺の事に突っかかって来るのか気になったんだ。あと……。」
「あと?」
「……勝手なイメージで申し訳ないが、凄く、悪い人ではないように思えて。」
「……あ、アーサーは、お人好し。」
「えぇ?!」
「それは否定出来ないな。」
「そーね。」
三人はそう言って緩く微笑んでいた。
そんなにもおかしい事をいったのか?だけど、本当に悪い人ならば嘗て家が悪い事をしたとしても名声を回復する為に態々自分よりも低いレベルのお茶会に参加するだなんて、あそこまで頑張るだろうか。
「アーサーに突っかかっるのはきっと、僕のせいでありますね。」
「あー……まぁ、そうかもな。」
「「「「???」」」」
ランドルフが俺の両手を包み、ギュッと少し強めに握ってきた。突然の事でちょっとビックリである。緋色の瞳が……申し訳なさそうな、縋るようなそんな風に訴えかけてきている。
「まだ、公にはしていないのです。僕としても両親や兄も気にするなと、そう言ってくれているのですが……。」
「ランドルフ?」
「その……なんと言いますか。あぁ、ダメですね。いつかもう少し落ち着いた時に伝えるつもりだったのに……情けない。」
「?」
隣に腰かけるレンフレッドから苦笑が漏れていた。そんなにも重要な何かを抱えていたらしい。
「……大変申し上げにくいのですが。彼女は僕の婚約者候補の一人なのです。」
「え゛っ!?!?!?!?!?!」
「あー……そりゃ、そうか。居ないわけはないか。」
「……ご令嬢達でそんな会話が出てこなかったけれど、やっぱりあったのね。」
「すごい、隠してたんだね。」
「その通りです。僕としても殆ど知らない方と結婚するつもりもなかったですし、家族も無理にする必要は無いと……そう言ってくれたのですが。周りの貴族の方々はせめて候補として名前だけでも、と。」
……すごい、胸の奥が変な感じだ。モヤモヤと言うよりも、喉に押し上げられそうな何か突っかかりが出てきそうな。
自分でもよく分からない。なんだろ。
「アーサー?」
「ん、平気。」
「平気じゃないだろ、その顔は。」
「……よく分からなくて。」
「何が?」
「そのぉ……ランドルフの話を聞いてから胸の奥が、苦しい?気がするだけなんだ。心配かけて悪い………って、大丈夫かランドルフ?!?!?!」
「ふぃふぁないふぇくだふぁい……。(気にしないでください)」
両手で顔面を覆って仰向けに倒れていた。ちゃっかり床に落ちないように他の椅子を使っている所が実に彼らしい。
「ずりぃーランドルフお坊ちゃま。」
「私もそう思われたい!!!!」
「ほんとよね!!アレンスさんとそのまま結婚でもしちゃえばいいわ。」
「背中押してやろうか???」
「辞めてください!!!」
元気は元気みたいで何よりだ。
「それによって漸く不当な利子や、暴力沙汰が公の場に出たんだな。そこからは暴力を受けた市民や無駄に金を巻き上げられた貴族を中心に袋叩き……っていう流れだ。顔色が随分と悪い、少しお茶でもどうだ?」
「わ、悪ぃ……。」
普段ガサツさが表に出ているレンフレッドが店員にいつの間にか注文をしてくれていたらしく、香り高い暖かい紅茶を差し出してくれた。
ひと口嚥下する。
色んなことを一気に耳にしてしまったからか、随分と紅茶を口にしたことでその暖かさが身に染みて、解れていくのがわかった。
「すまんなアーサー。少し性急すぎたかもな。」
「あ、いや気にしなくて良いんだニコラス。ここまで来たのは俺自身が選んだことだし、アレンスさんの事を知りたいと思ったのも事実だからさ。」
「そんなにもアレンス嬢がきになるの?変わってるのねアーサーは。少し妬けちゃうわ。」
「そ、そういうつもりじゃない!その……学校での態度からなんでそこまで俺の事に突っかかって来るのか気になったんだ。あと……。」
「あと?」
「……勝手なイメージで申し訳ないが、凄く、悪い人ではないように思えて。」
「……あ、アーサーは、お人好し。」
「えぇ?!」
「それは否定出来ないな。」
「そーね。」
三人はそう言って緩く微笑んでいた。
そんなにもおかしい事をいったのか?だけど、本当に悪い人ならば嘗て家が悪い事をしたとしても名声を回復する為に態々自分よりも低いレベルのお茶会に参加するだなんて、あそこまで頑張るだろうか。
「アーサーに突っかかっるのはきっと、僕のせいでありますね。」
「あー……まぁ、そうかもな。」
「「「「???」」」」
ランドルフが俺の両手を包み、ギュッと少し強めに握ってきた。突然の事でちょっとビックリである。緋色の瞳が……申し訳なさそうな、縋るようなそんな風に訴えかけてきている。
「まだ、公にはしていないのです。僕としても両親や兄も気にするなと、そう言ってくれているのですが……。」
「ランドルフ?」
「その……なんと言いますか。あぁ、ダメですね。いつかもう少し落ち着いた時に伝えるつもりだったのに……情けない。」
「?」
隣に腰かけるレンフレッドから苦笑が漏れていた。そんなにも重要な何かを抱えていたらしい。
「……大変申し上げにくいのですが。彼女は僕の婚約者候補の一人なのです。」
「え゛っ!?!?!?!?!?!」
「あー……そりゃ、そうか。居ないわけはないか。」
「……ご令嬢達でそんな会話が出てこなかったけれど、やっぱりあったのね。」
「すごい、隠してたんだね。」
「その通りです。僕としても殆ど知らない方と結婚するつもりもなかったですし、家族も無理にする必要は無いと……そう言ってくれたのですが。周りの貴族の方々はせめて候補として名前だけでも、と。」
……すごい、胸の奥が変な感じだ。モヤモヤと言うよりも、喉に押し上げられそうな何か突っかかりが出てきそうな。
自分でもよく分からない。なんだろ。
「アーサー?」
「ん、平気。」
「平気じゃないだろ、その顔は。」
「……よく分からなくて。」
「何が?」
「そのぉ……ランドルフの話を聞いてから胸の奥が、苦しい?気がするだけなんだ。心配かけて悪い………って、大丈夫かランドルフ?!?!?!」
「ふぃふぁないふぇくだふぁい……。(気にしないでください)」
両手で顔面を覆って仰向けに倒れていた。ちゃっかり床に落ちないように他の椅子を使っている所が実に彼らしい。
「ずりぃーランドルフお坊ちゃま。」
「私もそう思われたい!!!!」
「ほんとよね!!アレンスさんとそのまま結婚でもしちゃえばいいわ。」
「背中押してやろうか???」
「辞めてください!!!」
元気は元気みたいで何よりだ。
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