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暗躍3

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あの後研究所に戻り、ニコラスやバルリング先生達に盛大に心配されたがどうもそれに応える気力もなくそのまま家に帰らせてもらおうとした。
が。

「ならば、本日は家に泊まったらどうでしょう?このままお家に帰るのも疲れてままならないでしょうし…そもそも家の兵士達の不手際が大半ですから…。他の皆さんも宜しければ。」

今から父上に話をしてきますね、とランドルフが足速に研究所を後にした。サラッとトンデモ発言なんじゃ…とまで考えたが今はそれについて触れる事は辞めた。国王のお家にお泊まりとか…パワーワード過ぎてヤバい。語彙力が霧散する。

「あ、アーサー。」
「…レンフレッド。」

俺の肩にポンッと彼の頭が置かれた。不審者騎士団員の件からずっとしょんぼりしている。それもそうだ、俺が少しばかり怒ってしまったからだ。あの兵士は俺には特に何もしてこなかった…寧ろ無かったことにしようとしてくれていた位だ。事情はどうであれ、あの時には協力者であったのだ。その様な人を問答無用に暴力で押さえつけようとしていたレンフレッドに対し頭に血が上ってしまった。

正面に向き合い、数センチほど背の高い彼を真っ直ぐに見上げた。眉が申し訳なさそうに下がっていて、叱られてる大型犬の様だ。

「もう、怒ってねぇ?」
「ごめんなさいは?」
「え?」
「ごめんなさいは?」
「あの…でもよ。」
「ごめんなさいは?」
「………ごめんなさい。」
「ん。」

よく出来ました、と青みがかった髪をそっと撫でた。本来であればあの兵士に伝えて欲しいのだが、今はこれで良しとする。仕方なのない子だ。

「相変わらずレンフレッドは人をいじめるのが得意なんだな。」
「…アーサーが俺に意地悪だ。」
「ふひっ、そんな事ねぇよ。」
「ある。」
「あだっ、ほら、やっぱりいじめっ子だ。」
「ちげぇしーー。」

レンフレッドのご不満そうな顔が近づいてきたと思えば、ゴンッと良い音をさせて勢いよく頭突きを構された。一瞬ドキッとした自分に後悔をするが…、俺達らしくてつい笑ってしまった。

「…二人の機嫌が治った、という事でいいですか?」
「あ、ランドルフ。」

眉間に皺を寄せて、腕を組んでこちらを…主にレンフレッドを睨む形でそこに立っていた。

「あのさ、マジで泊まるのか俺達…。」
「今更正気に戻っても遅せぇよ。今回ばかりは王宮側にも問題があったんだからこれくらいのサービスは受けて当然だろ。」
「正気に戻りすぎじゃね??レンフレッド達はこういう事慣れてるかもだけど、俺一般庶民なんだが…。」
「父上も母上も兄さんも良いよーって言ってたので大丈夫ですよ。」
「随分とフランクな人達なんだなぁ。」
「おーい、戻ってこいアーサー。」

ランドルフにパッと手を取られそのまま引き摺られるかのように、王宮内へと連れていかれるのだった。
室内はやはりというか…それはそれは豪勢。昔読んだ絵本の中の世界そのものが拡がっていた。天井なんて高すぎて一階のここだけで家が覆い囲める。シャンデリアも壁面絵画も本当にあるんだなぁとかついついガン見してしまう。田舎モン丸出し過ぎて嫌になるけれど…見れる内に見ておかなければ…。きっと間違いなくどの物品物価値がある物なのだから。

「では、まずは僕の両親に簡易的なものとなってしまいますが、挨拶お願い出来ますか?」
「………え。」
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