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学校に着いてからは、散々というか。
やはりこうなるのだなと実感せざる負えないというかなんというか。
昨日の段階で席順は、ちゃんと生徒がいるか確認する為にアルファベット順だったが本日からは自由席である。
教室内には重厚な長机が十数個あり、一緒に講義を受けたい者と共にいる。
俺達もそれに習い三人で座るようにしているが、後ろの方を陣取っているにも関わらず前方向からの圧が凄まじい。最早呪詛を受けているのではないかと錯覚してしまう。
「はぁ…視線が痛すぎる。」
「こればっかりは仕方が無いだろ、傍に俺たちいるんだし気にしない用にするしかねぇって。」
「これも自分を強くする訓練だと思いましょう。」
「…物は考えようか。」
きっとそれはランドルフも普段からそうしている、のかもしれないな。常に注目の的だからこそその考え方を心掛けているのだろう。
馬車から降りて昇降口に行くまでに大分取り巻きが集っていたもんな。基本的には彼に対して好意的な生徒しかいないが、内面では少しでもお近付きになりたいという下心ありきだろうから、一概に嬉しいとは捉えられないのだろう。
だがランドルフはそれも承知の上で殿下として、笑顔を振舞っていた。本当にすごいことだと思う。
レンフレッドだって負けず劣らず大人気だったし。男女共にモテモテで表向きは爽やか優良児だし。純粋に恋心を抱いている生徒も多いのだろうと思う。皆頬を赤く染めていたからよく分かる。
俺はそんな二人の様子をド真ん中で両手を繋がれた状態で観ていた。
馬車を降りた時からずっと彼等に両手を捕縛された状態で、一身に皆からの嫉妬の眼差しを受けていたのである。
『え?何あいつ、何でランドルフ殿下の馬車から出てきてるのです?』
『手も繋いで貰ってるし!どういう事なんだ!?』
本当にごもっともだと俺は思いますよ、はい。俺もこうなるなんて思ってなかったよ。
そのままの状態で教室に入り今に至るわけだけども。少し早めに到着したからか、まだ一限目の教員は来ておらず時間を持て余している最中だ。
「少々、よろしいでしょうか。」
「あぁ、おはようございますアレンスさん。」
「えぇ、お二人とも本日もお元気そうで何よりですわ。そこの、ベルガー…と仰いましたかしら。彼をお借りしても宜しいでしょうか。」
わぁ、来ちゃったよ。アレンスさん。
足音を決して無駄に立てず優雅に歩いてきていたようだから全然気づかなかった。
今日も縦巻きロールは健在だけど横髪だけで、後ろは上げてしまっているからまた違う可憐さがある。美人はどんな髪型も似合うから特だよなぁ。
「俺に、なにか御用ですか?」
「えぇ。二人だけでお話をしたいの。今来て下さる?」
「なんで俺達はダメなんだ?」
「それは…個人的な事で彼に聞きたい事がございますの。ですから、お借りしてもよろしいでしょうか?」
アレンスさんの語気が強くなってきた。
イラつき始めている様で、白雪のような頬が赤くなってきている。
「昨日の一件については覚えていらっしゃいますよね。その上でアーサーを渡すなんて普通に考えて無理ですよ。」
「昨日の件は教材の確認をしただけだと…!」
「…そんな嘘が通じるかよ。」
普段であればレンフレッドはにこやかに
他の生徒へ対応をしていたが、普段よりもワントーン低い声を発していた。明らかに瞳も鋭くなっており間違いなく怒っている。
「レンフレッド?」
「アーサーと話がしたいんなら俺かランドルフは絶対だ。それが無理ならばこの話は無しだ。」
「個人的な話だと申し上げてますのに!!!」
「アーサー、何かアレンスと個人的なやり取りはしてたのか?昨日今日で。」
「え?いや、特には。」
「だってよ。」
「~~~っ!!!!もういいです!!結構です!!」
俺のことなのに自分だけ完全に置いてけぼりで終わってしまったのだが。
それにしても凄い気迫だった。これが貴族同士の闘いなのか。いや、なんか違う気がするけど。
俺に用があったらしいアレンスさんは、足音強く鳴らしながら元いた席に戻って行った。戻ったら戻ったで周りにいる令嬢達とコソコソ話し合っている。
俺を睨みながら。
「良かった、のか?」
「良いんですよ、あのままアーサー渡していたら間違いなく酷い事を言われていたでしょうし。」
「え、そういう…。」
「気づいてなかったのか…こりゃもっとちゃんと囲わねぇとな。」
「全くです。」
囲わないとって、もっと疎まれそうな発言をされている。
と言うよりも、彼女からのお誘いはそういう事だったのかと唖然である。これは本格的に敵視されている事間違い無しだ。前回では彼女は出てこなかったのだが、クラスDでも似た様なリーダー的存在はいた。どこにでも居るのだと…残念だなと一人で思ってしまった。
あのクラスよりかは階級が上の人達ばかりなのだろうから、そういったねちっこいやり方の人は居ないだろうと勝手に想像していたが、想像はあくまでも想像でしか無かったわけだ。
「はぁ…。」
「そんなに落ち込むなよ、俺達がいるだろ。」
「ん…。レンフレッドはもう怒ってないか?」
「!!おう、もう平気だ。」
「そっか、ならいいや。」
「僕の心配はしてくれないんですか?」
「はいはい、フォローしてくれてありがと。」
「ふふん、当然です。」
やはりこうなるのだなと実感せざる負えないというかなんというか。
昨日の段階で席順は、ちゃんと生徒がいるか確認する為にアルファベット順だったが本日からは自由席である。
教室内には重厚な長机が十数個あり、一緒に講義を受けたい者と共にいる。
俺達もそれに習い三人で座るようにしているが、後ろの方を陣取っているにも関わらず前方向からの圧が凄まじい。最早呪詛を受けているのではないかと錯覚してしまう。
「はぁ…視線が痛すぎる。」
「こればっかりは仕方が無いだろ、傍に俺たちいるんだし気にしない用にするしかねぇって。」
「これも自分を強くする訓練だと思いましょう。」
「…物は考えようか。」
きっとそれはランドルフも普段からそうしている、のかもしれないな。常に注目の的だからこそその考え方を心掛けているのだろう。
馬車から降りて昇降口に行くまでに大分取り巻きが集っていたもんな。基本的には彼に対して好意的な生徒しかいないが、内面では少しでもお近付きになりたいという下心ありきだろうから、一概に嬉しいとは捉えられないのだろう。
だがランドルフはそれも承知の上で殿下として、笑顔を振舞っていた。本当にすごいことだと思う。
レンフレッドだって負けず劣らず大人気だったし。男女共にモテモテで表向きは爽やか優良児だし。純粋に恋心を抱いている生徒も多いのだろうと思う。皆頬を赤く染めていたからよく分かる。
俺はそんな二人の様子をド真ん中で両手を繋がれた状態で観ていた。
馬車を降りた時からずっと彼等に両手を捕縛された状態で、一身に皆からの嫉妬の眼差しを受けていたのである。
『え?何あいつ、何でランドルフ殿下の馬車から出てきてるのです?』
『手も繋いで貰ってるし!どういう事なんだ!?』
本当にごもっともだと俺は思いますよ、はい。俺もこうなるなんて思ってなかったよ。
そのままの状態で教室に入り今に至るわけだけども。少し早めに到着したからか、まだ一限目の教員は来ておらず時間を持て余している最中だ。
「少々、よろしいでしょうか。」
「あぁ、おはようございますアレンスさん。」
「えぇ、お二人とも本日もお元気そうで何よりですわ。そこの、ベルガー…と仰いましたかしら。彼をお借りしても宜しいでしょうか。」
わぁ、来ちゃったよ。アレンスさん。
足音を決して無駄に立てず優雅に歩いてきていたようだから全然気づかなかった。
今日も縦巻きロールは健在だけど横髪だけで、後ろは上げてしまっているからまた違う可憐さがある。美人はどんな髪型も似合うから特だよなぁ。
「俺に、なにか御用ですか?」
「えぇ。二人だけでお話をしたいの。今来て下さる?」
「なんで俺達はダメなんだ?」
「それは…個人的な事で彼に聞きたい事がございますの。ですから、お借りしてもよろしいでしょうか?」
アレンスさんの語気が強くなってきた。
イラつき始めている様で、白雪のような頬が赤くなってきている。
「昨日の一件については覚えていらっしゃいますよね。その上でアーサーを渡すなんて普通に考えて無理ですよ。」
「昨日の件は教材の確認をしただけだと…!」
「…そんな嘘が通じるかよ。」
普段であればレンフレッドはにこやかに
他の生徒へ対応をしていたが、普段よりもワントーン低い声を発していた。明らかに瞳も鋭くなっており間違いなく怒っている。
「レンフレッド?」
「アーサーと話がしたいんなら俺かランドルフは絶対だ。それが無理ならばこの話は無しだ。」
「個人的な話だと申し上げてますのに!!!」
「アーサー、何かアレンスと個人的なやり取りはしてたのか?昨日今日で。」
「え?いや、特には。」
「だってよ。」
「~~~っ!!!!もういいです!!結構です!!」
俺のことなのに自分だけ完全に置いてけぼりで終わってしまったのだが。
それにしても凄い気迫だった。これが貴族同士の闘いなのか。いや、なんか違う気がするけど。
俺に用があったらしいアレンスさんは、足音強く鳴らしながら元いた席に戻って行った。戻ったら戻ったで周りにいる令嬢達とコソコソ話し合っている。
俺を睨みながら。
「良かった、のか?」
「良いんですよ、あのままアーサー渡していたら間違いなく酷い事を言われていたでしょうし。」
「え、そういう…。」
「気づいてなかったのか…こりゃもっとちゃんと囲わねぇとな。」
「全くです。」
囲わないとって、もっと疎まれそうな発言をされている。
と言うよりも、彼女からのお誘いはそういう事だったのかと唖然である。これは本格的に敵視されている事間違い無しだ。前回では彼女は出てこなかったのだが、クラスDでも似た様なリーダー的存在はいた。どこにでも居るのだと…残念だなと一人で思ってしまった。
あのクラスよりかは階級が上の人達ばかりなのだろうから、そういったねちっこいやり方の人は居ないだろうと勝手に想像していたが、想像はあくまでも想像でしか無かったわけだ。
「はぁ…。」
「そんなに落ち込むなよ、俺達がいるだろ。」
「ん…。レンフレッドはもう怒ってないか?」
「!!おう、もう平気だ。」
「そっか、ならいいや。」
「僕の心配はしてくれないんですか?」
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