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廃墟編
廃墟の調査
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――イリスの話によると彼女は元々は男性冒険者3人と女性冒険者1人と共に行動していたらしい。イリスは彼等の回復要員として雇われたらしく、今回だけ組んだだけで別に仲間という訳ではないらしい。この5人がファストの街に調査に赴いたのは彼等が所属している「冒険者ギルド」という組織からの命令であり、調査内容は現在のファストの街の状況を調べるだけの簡単な任務のはずだった。
この街には何故かゴブリンしか住み着かず、今までの調査ではゴブリン以外の存在は発見されていなかった。ゴブリンは魔物の中では比較的に知能が高く、人間のように武器や防具を使用する事も出来るが、力は弱いので油断しなければ新人の冒険者でも十分に対応できる相手である。更に今回の調査に招集された冒険者はイリスを除けば確かな魔物の討伐の実績を持つ熟練の冒険者揃いであり、本来ならば何の危険もない仕事なのだ。
だが、この街に訪れる際に利用した馬車がゴブリンに強襲を受けた辺りから雲行きが怪しくなり、ゴブリンの撃退には成功したが、移動手段を失ったイリス達は仕方なく先に調査の為に街に入り込む。ここで徒歩であろうと引き返して置けば他の人間も生き残る事は出来たかもしれないが、力の弱いゴブリンしか存在しない街という情報が災いし、特に警戒もせずに一行は調査を始めてしまう。
最初の被害者は前衛で敵の注意を引きつける役割を担う「盾騎士(ゲームで例えるなら壁役)」と呼ばれる職業の冒険者が唐突に現れたゴブリン達の餌食となる。普段の彼は重装備を身に付けて行動しているのだが、今回は調査のために動きやすさを重視して軽装備に変更していた事が仇となり、防具に関しては盾と革製の鎧しか身に付けていなかった。そのために街道を移動中に唐突に現れたゴブリンメイジとホブゴブリンのタッグに奇襲され、顔面を焼かれて胴体を蹴り飛ばされて絶命してしまう。
ゴブリンの中でもホブゴブリンとゴブリンメイジは別格であり、一流の冒険者でも油断すれば命はない強敵の登場にイリス達は完全に混乱してしまい、相手の注意を引きつけるはずの盾騎士の男性冒険者が最初に破られた事で今度は彼等が狙われる。反撃の体勢を整える暇もなく、今度は剣士の男性がホブゴブリンに捕まり、イリス以外の唯一の女性の魔術師もゴブリンメイジに杖を奪われ、頭部を叩きつけられて死亡した。
生き残ったイリスとレアが遭遇したと思われる騎士の職業の男性は必死に逃げ出したが、その際に男性の方はゴブリンメイジの魔法を受けて足を負傷してしまい、レアの目の前でゴブリンの群れに襲われて死亡した。そして最後に生き残ったイリスはホブゴブリンに襲われていた所を彼に救われた事になり、他の4人の同行者は結局は全員が殺されてしまったらしい。
「なるほど……そういう事だったのか」
「いや、本当に助かりましたよ。私一人だと戦う事すら出来ないのであのままだとゴブリンに貞操を奪われる所でした。ありがとうございます」
「いや、気にしないでいいよ。でも他の4人は可哀想だな」
「まあ、確かにそうですけどこれが冒険者という職業です。彼等も魔物を殺した時から殺される覚悟は出来ていたと思います。助けられなかった、なんて気負わない方が良いですよ?」
「そうか……」
レアの心情を読み取ったようにイリスは慰めるように言葉を掛け、彼女の言葉通りに「仮に」や「もしも」という事を考えても仕方がない。結果的にはレアは一人の命を救い出す事には成功しており、救えなかった人間の事を考えても仕方がない。
「それよりもレアさんの事を教えてくださいよ……あ、そういえば記憶喪失と言ってましたね。でも、記憶を失った時からここに居たんですか?」
「えっと……そういう事になるかな。気付いたらこの街に居た」
「ふむ……見た事もない服を着ていますね。この地方では見かけない服装ですが、この衣服も最初から来てたんですか?」
「あ、これは……」
イリスに対して記憶喪失と誤魔化していたレアは今更自分の事情を話す事が出来ず、彼の話を信じたイリスは彼の格好から手掛かりを探そうとするが、こちらの世界には存在しない衣服に彼女は興味を抱く。
「ちょっと失礼します。ふむふむ……変わった布を使っていますね。腰に巻き付けているのは革のベルトですか?」
「うわ、何処触ってるんだよ……いやんっ」
「変な声を出さないでくださいよ。妙な気分になるじゃないですか……おや、これは一体?」
学生服を調べていたリリスはレアのポケットに何かが入っている事に気付き、レアはポケットに手を伸ばして中身を取り出すと、何故か自分の「スマートフォン」が入っている事に気付いた。
「あれ?何でこれがここに……あ、そうか。そういえば目覚まし時計を壊した時に作ってたんだっけ」
「作った?」
朝目覚めた時にレアは間違って目覚まし時計を破壊してしまい、仕方なく文字変換の能力を利用してスマートフォンを作り出していた事を思い出す。寝ぼけている間に作り出したので今の今までポケットに入れていた事を忘れていたが、偶然なのかそれともレアの願望が反映されたのか地球に居た頃に彼が使用していた物と同じ機種のスマートフォンを作り出せた。
「何ですかそれ?なんか物凄く精巧な道具に見えるんですけど……」
「只の目覚まし時計です」
「嘘ですよね?絶対に嘘ですよね!?」
スマートフォンを興味深そうに覗き込むイリスを適当に誤魔化し、レアは試しに解析のスキルを発動させ、スマートフォンの状態を調べる。現実世界の物でも鑑定の能力は発生する事は確認済みであり、視界に画面が表示される。
『スマートフォン――異世界の技術で作り出された通信端末 状態:電池切れ』
「良かった。壊れてはいないか。それなら……」
『スマートフォン――異世界の技術で作り出された通信端末 状態:充電完了』
文字変換の能力を発動させてレアは状態の項目の文字を変更させ、スマートフォンを起動させる。無事に「充電完了」の状態に変化されているらしく、電池が充電された状態に戻っていた。
「これでよし、まあ……電波は当然通じないか」
「デンパ?」
電池は回復しても電波が通っていなければ機能に制限が掛かり、当然だがこの世界では電話もネットに繋ぐ事も出来ない。それでも事前に最初から存在する昨日として時計や電卓、ライトやカメラ等は使用できる。
「時計代わりに作ってたのを忘れてた。というか、この世界の基準に時計が設定されてるのかな」
「あの……さっきから気になってるんですけど何ですかこれ?それにこれらの道具は一体何処から持ってきたんですか?」
イリスは教会内に存在するペットボトルや懐中電灯を持ち上げながら疑問を抱き、どれもこちらの世界に存在しない道具なのか彼女は不思議そうにレアに問い質す。一から説明すると長くなるのでレアは適当に誤魔化す事にした。
「これは……俺の能力で作り出した道具だよ」
「能力?生産職の方だったんですか?」
「生産職?」
「回復薬を作り出す「薬師」武器や防具を作り出す「鍛冶職人」のような職業の総称ですよ。そういえばレアさんの職業を聞いていませんでしたね。何の職業に就いてるんですか?」
イリスの質問にレアは自分のステータス画面に表示されている職業の項目に視線を向け、画面に表示された「剣士」という文字に眉をしかめる。元々は「無職」という職業を文字変換で変化させただけであり、どう考えても剣士が生産職とは思えない。そのため、レアは適当に自分が遊んでいたゲームの知識の中に存在する職業を口にした。
「俺は……えっと、錬金術師かな」
「錬金術師?珍しい職業ですね。なるほど、だからこんな道具を作り出せるんですね」
「そ、そうそう」
この世界に錬金術師という職業があるのかは分からなかったが、イリスの反応からこちらにも実在する職業だと判明し、上手く誤魔化せたらしい。
「でも、どうやってこんな何もない場所で作り出したんですか?開発用の研究器具も持っているんですか?」
「どういえばいいかな……えっと、魔法で物体を別の物体に変換させると言えばいいのかな。だから道具は持ってないよ」
「物体を変換……?」
「こんな感じ」
レアはポケットから拳銃の弾丸を取り出し、解析のスキルを発動させ、視界に現れた詳細画面に「文字変換」の能力を発動させる。今回は弾丸を食べ物のパンに変換させると、イリスは自分の目の前で弾丸が光り輝いてパンに変化する光景に目を丸くする。
「こ、これは……!?もしかして「物質変換」という能力じゃないですか!?だけど、金属を食物に変えるなんて……信じられない!!」
「錬金術師?そういう職業もあるのか」
「他には!?他の者に変化させる事は出来ないんですか?(もぐもぐっ)」
「いや、勝手に食べないでくれない?」
能力で作り出したパンを食べながらイリスが次々と質問を行うが、レアは怪しまれない程度に彼女の質問に答えながら自分の能力を説明する。
「俺の能力はその「物質変換」という能力と……似たような能力なんだよ。物体を変化させるという点は同じだけど、何でも作り出せる訳じゃない(多分)」
「ほほう、それは興味深いですね。じゃあ、これらの道具もルノさんが作り出したんですか?」
「そういう事になるかな。あ、そういえばお腹が空いているなら食料が幾らか余ってるけど、食べる?」
「食べます!!正直、ずっと何も食べていなかったので助かります!!」
レアの提案にイリスは激しく首を縦に頷き、事前にレアが作り出して置いた食料を分けて貰う。この廃墟の街に訪れてからずっと何も食べていなかったらしく、彼女は感動したように涙ぐむ。
「ううっ……まさかこんな場所でこんなにおいしい食べ物にありつけるとは思いませんでした。心無しか力が沸き上がる気がします」
「そんなに飢えていたのか……たんとお食べ」
「いや、でも本当に美味しいですねこれ。私が持ってきたパンはパサパサで食えたもんじゃないんですけど、このパンは出来立てのように柔らかいですね」
「まあ、ある意味出来立てほやほやだからね」
イリスが食事を終えるまでの間、今度はレアの方から色々と質問を行う。彼女が冒険者という職業の人間でこの街に訪れた理由は分かったが、ここから肝心なのは街の脱出手段であり、この廃墟から抜け出した後に何処に向かえば人が存在する街に辿り着けるのかを尋ねる。
この街には何故かゴブリンしか住み着かず、今までの調査ではゴブリン以外の存在は発見されていなかった。ゴブリンは魔物の中では比較的に知能が高く、人間のように武器や防具を使用する事も出来るが、力は弱いので油断しなければ新人の冒険者でも十分に対応できる相手である。更に今回の調査に招集された冒険者はイリスを除けば確かな魔物の討伐の実績を持つ熟練の冒険者揃いであり、本来ならば何の危険もない仕事なのだ。
だが、この街に訪れる際に利用した馬車がゴブリンに強襲を受けた辺りから雲行きが怪しくなり、ゴブリンの撃退には成功したが、移動手段を失ったイリス達は仕方なく先に調査の為に街に入り込む。ここで徒歩であろうと引き返して置けば他の人間も生き残る事は出来たかもしれないが、力の弱いゴブリンしか存在しない街という情報が災いし、特に警戒もせずに一行は調査を始めてしまう。
最初の被害者は前衛で敵の注意を引きつける役割を担う「盾騎士(ゲームで例えるなら壁役)」と呼ばれる職業の冒険者が唐突に現れたゴブリン達の餌食となる。普段の彼は重装備を身に付けて行動しているのだが、今回は調査のために動きやすさを重視して軽装備に変更していた事が仇となり、防具に関しては盾と革製の鎧しか身に付けていなかった。そのために街道を移動中に唐突に現れたゴブリンメイジとホブゴブリンのタッグに奇襲され、顔面を焼かれて胴体を蹴り飛ばされて絶命してしまう。
ゴブリンの中でもホブゴブリンとゴブリンメイジは別格であり、一流の冒険者でも油断すれば命はない強敵の登場にイリス達は完全に混乱してしまい、相手の注意を引きつけるはずの盾騎士の男性冒険者が最初に破られた事で今度は彼等が狙われる。反撃の体勢を整える暇もなく、今度は剣士の男性がホブゴブリンに捕まり、イリス以外の唯一の女性の魔術師もゴブリンメイジに杖を奪われ、頭部を叩きつけられて死亡した。
生き残ったイリスとレアが遭遇したと思われる騎士の職業の男性は必死に逃げ出したが、その際に男性の方はゴブリンメイジの魔法を受けて足を負傷してしまい、レアの目の前でゴブリンの群れに襲われて死亡した。そして最後に生き残ったイリスはホブゴブリンに襲われていた所を彼に救われた事になり、他の4人の同行者は結局は全員が殺されてしまったらしい。
「なるほど……そういう事だったのか」
「いや、本当に助かりましたよ。私一人だと戦う事すら出来ないのであのままだとゴブリンに貞操を奪われる所でした。ありがとうございます」
「いや、気にしないでいいよ。でも他の4人は可哀想だな」
「まあ、確かにそうですけどこれが冒険者という職業です。彼等も魔物を殺した時から殺される覚悟は出来ていたと思います。助けられなかった、なんて気負わない方が良いですよ?」
「そうか……」
レアの心情を読み取ったようにイリスは慰めるように言葉を掛け、彼女の言葉通りに「仮に」や「もしも」という事を考えても仕方がない。結果的にはレアは一人の命を救い出す事には成功しており、救えなかった人間の事を考えても仕方がない。
「それよりもレアさんの事を教えてくださいよ……あ、そういえば記憶喪失と言ってましたね。でも、記憶を失った時からここに居たんですか?」
「えっと……そういう事になるかな。気付いたらこの街に居た」
「ふむ……見た事もない服を着ていますね。この地方では見かけない服装ですが、この衣服も最初から来てたんですか?」
「あ、これは……」
イリスに対して記憶喪失と誤魔化していたレアは今更自分の事情を話す事が出来ず、彼の話を信じたイリスは彼の格好から手掛かりを探そうとするが、こちらの世界には存在しない衣服に彼女は興味を抱く。
「ちょっと失礼します。ふむふむ……変わった布を使っていますね。腰に巻き付けているのは革のベルトですか?」
「うわ、何処触ってるんだよ……いやんっ」
「変な声を出さないでくださいよ。妙な気分になるじゃないですか……おや、これは一体?」
学生服を調べていたリリスはレアのポケットに何かが入っている事に気付き、レアはポケットに手を伸ばして中身を取り出すと、何故か自分の「スマートフォン」が入っている事に気付いた。
「あれ?何でこれがここに……あ、そうか。そういえば目覚まし時計を壊した時に作ってたんだっけ」
「作った?」
朝目覚めた時にレアは間違って目覚まし時計を破壊してしまい、仕方なく文字変換の能力を利用してスマートフォンを作り出していた事を思い出す。寝ぼけている間に作り出したので今の今までポケットに入れていた事を忘れていたが、偶然なのかそれともレアの願望が反映されたのか地球に居た頃に彼が使用していた物と同じ機種のスマートフォンを作り出せた。
「何ですかそれ?なんか物凄く精巧な道具に見えるんですけど……」
「只の目覚まし時計です」
「嘘ですよね?絶対に嘘ですよね!?」
スマートフォンを興味深そうに覗き込むイリスを適当に誤魔化し、レアは試しに解析のスキルを発動させ、スマートフォンの状態を調べる。現実世界の物でも鑑定の能力は発生する事は確認済みであり、視界に画面が表示される。
『スマートフォン――異世界の技術で作り出された通信端末 状態:電池切れ』
「良かった。壊れてはいないか。それなら……」
『スマートフォン――異世界の技術で作り出された通信端末 状態:充電完了』
文字変換の能力を発動させてレアは状態の項目の文字を変更させ、スマートフォンを起動させる。無事に「充電完了」の状態に変化されているらしく、電池が充電された状態に戻っていた。
「これでよし、まあ……電波は当然通じないか」
「デンパ?」
電池は回復しても電波が通っていなければ機能に制限が掛かり、当然だがこの世界では電話もネットに繋ぐ事も出来ない。それでも事前に最初から存在する昨日として時計や電卓、ライトやカメラ等は使用できる。
「時計代わりに作ってたのを忘れてた。というか、この世界の基準に時計が設定されてるのかな」
「あの……さっきから気になってるんですけど何ですかこれ?それにこれらの道具は一体何処から持ってきたんですか?」
イリスは教会内に存在するペットボトルや懐中電灯を持ち上げながら疑問を抱き、どれもこちらの世界に存在しない道具なのか彼女は不思議そうにレアに問い質す。一から説明すると長くなるのでレアは適当に誤魔化す事にした。
「これは……俺の能力で作り出した道具だよ」
「能力?生産職の方だったんですか?」
「生産職?」
「回復薬を作り出す「薬師」武器や防具を作り出す「鍛冶職人」のような職業の総称ですよ。そういえばレアさんの職業を聞いていませんでしたね。何の職業に就いてるんですか?」
イリスの質問にレアは自分のステータス画面に表示されている職業の項目に視線を向け、画面に表示された「剣士」という文字に眉をしかめる。元々は「無職」という職業を文字変換で変化させただけであり、どう考えても剣士が生産職とは思えない。そのため、レアは適当に自分が遊んでいたゲームの知識の中に存在する職業を口にした。
「俺は……えっと、錬金術師かな」
「錬金術師?珍しい職業ですね。なるほど、だからこんな道具を作り出せるんですね」
「そ、そうそう」
この世界に錬金術師という職業があるのかは分からなかったが、イリスの反応からこちらにも実在する職業だと判明し、上手く誤魔化せたらしい。
「でも、どうやってこんな何もない場所で作り出したんですか?開発用の研究器具も持っているんですか?」
「どういえばいいかな……えっと、魔法で物体を別の物体に変換させると言えばいいのかな。だから道具は持ってないよ」
「物体を変換……?」
「こんな感じ」
レアはポケットから拳銃の弾丸を取り出し、解析のスキルを発動させ、視界に現れた詳細画面に「文字変換」の能力を発動させる。今回は弾丸を食べ物のパンに変換させると、イリスは自分の目の前で弾丸が光り輝いてパンに変化する光景に目を丸くする。
「こ、これは……!?もしかして「物質変換」という能力じゃないですか!?だけど、金属を食物に変えるなんて……信じられない!!」
「錬金術師?そういう職業もあるのか」
「他には!?他の者に変化させる事は出来ないんですか?(もぐもぐっ)」
「いや、勝手に食べないでくれない?」
能力で作り出したパンを食べながらイリスが次々と質問を行うが、レアは怪しまれない程度に彼女の質問に答えながら自分の能力を説明する。
「俺の能力はその「物質変換」という能力と……似たような能力なんだよ。物体を変化させるという点は同じだけど、何でも作り出せる訳じゃない(多分)」
「ほほう、それは興味深いですね。じゃあ、これらの道具もルノさんが作り出したんですか?」
「そういう事になるかな。あ、そういえばお腹が空いているなら食料が幾らか余ってるけど、食べる?」
「食べます!!正直、ずっと何も食べていなかったので助かります!!」
レアの提案にイリスは激しく首を縦に頷き、事前にレアが作り出して置いた食料を分けて貰う。この廃墟の街に訪れてからずっと何も食べていなかったらしく、彼女は感動したように涙ぐむ。
「ううっ……まさかこんな場所でこんなにおいしい食べ物にありつけるとは思いませんでした。心無しか力が沸き上がる気がします」
「そんなに飢えていたのか……たんとお食べ」
「いや、でも本当に美味しいですねこれ。私が持ってきたパンはパサパサで食えたもんじゃないんですけど、このパンは出来立てのように柔らかいですね」
「まあ、ある意味出来立てほやほやだからね」
イリスが食事を終えるまでの間、今度はレアの方から色々と質問を行う。彼女が冒険者という職業の人間でこの街に訪れた理由は分かったが、ここから肝心なのは街の脱出手段であり、この廃墟から抜け出した後に何処に向かえば人が存在する街に辿り着けるのかを尋ねる。
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