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最終章
第1016話 初代飛行船
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――魔物使いのアンが和国の旧領地に辿り着く前に妖刀の回収を行うため、王都の戦力を集結させて誰が向かうのか選抜を行う。選抜の間にも飛行船を発進させる準備が行われたが、ここで問題が発生した。
「飛行船を動かせ!?そいつは無理ですぜ、前回の時に色々と無理をし過ぎたせいで一度点検しないといけやせんから……」
「例の白鼠どものせいで飛行船のあちこちで故障が発見したんですよ。ほら、見て下さい。ここが抉れてるでしょ?あの鼠共、所かまわず噛みついてるんですよ」
「壊れた箇所を修復するにしても時間が掛かりますし、最低でも整備に二週間はかかりますね」
ナイ達がこれまで使用していた飛行船スカイシャーク号に関しては、白鼠達が船の至る箇所に傷を与えていたらしく、整備するにも時間が掛かる事が発覚した。例えわずかな傷だとしても空を移動する際に飛行船には大きな負荷が掛かり、ほんのわずかな損傷が原因で飛行船が墜落する可能性もある。
一応は飛行船の素材に利用されている木材は王国で調達できる最高の木材なのだが、白鼠の牙は鼠型の魔獣の中でも一番の切れ味を誇り、正に「シロアリ」の如く飛行船のあちこちは抉られていた。
「飛行船が完全に直るまではどうしても一週間は掛かります。けど……もう一つの飛行船だったらすぐにでも出発できますぜ」
ハマーンの弟子達によればこれまでナイ達が使っていた新型の飛行船はすぐに飛ばせないが、旧式の飛行船「フライングシャーク号」に関しては整備も定期的に行われていたので飛ばす事ができるという。
旧式の飛行船は新型の飛行船と比べると性能は落ちるが、それでも地上を移動するアンよりも早くに和国の旧領地へ先に辿り着ける。運転方法も新型と同じのため、アルトも旧式の飛行船は動かせた。
問題があるとすれば旧式の飛行船は兵器は搭載されておらず、地上への着地はできない。しかし、運がいい事に旧和国の領地にも飛行船が着水できる湖は存在し、急遽旧式の飛行船を利用する事になった。
「アルト王子……いや、アルトさん。本当に親方の代わりに飛行船を運転するつもりですか?」
「僕以外に運転できる者はいないだろう……大丈夫さ、いざとなったら君達もいる」
「へへっ、頼りにしてください」
飛行船にはこれまで通りにハマーンの弟子達も乗り合わせ、飛行船に不備が起きた場合は彼等に何とかしてもらうしかない。ハマーンは亡くなったが、彼の弟子達がハマーンの代わりにアルトを支える。
アルトは旧式の飛行船に乗り込んで運転手順を確認し、新型の飛行船と全く同じである事を確認する。ハマーンは新型の飛行船を作り出す時はこの旧式の飛行船を参考にしており、これならば運転に支障はない。問題があるとすればアルトは新型の飛行船で運転した事はあるが、この旧式の飛行船を動かすのは初めてという事である。
「出発前に一応は運転しておきたい。すぐに動かす事はできるかい?」
「えっ!?今すぐにですか!?」
「ああ……僕は湖で飛行船を着水した事はない。今のうちに感覚を掴んでおきたいんだ」
新型の飛行船は地上に着地する事もできたが、旧式の飛行船ではその方法は真似できない。そのためにアルトは王都近くの湖に飛行船を向かわせ、着水の練習を行う必要があった。
飛行船が目的地に辿り着くまでに進行方向に存在する湖に何度か着水せねばならず、そのためにはアルトはぶっつけ本番で湖に着水するのは避けたい。だからこそ彼は和国の旧領地に向かう部隊が決まる前に、飛行船を動かす練習を行うつもりだった。
「だ、大丈夫ですか?勝手に船を動かして……」
「大丈夫ではないけど、僕が責任を取る。父上には怒られるかもしれないが……僕以外にこの飛行船を運転できる人間はいない。きっと許してくれるさ」
「ほ、本当でしょうね……まあ、俺達は怒られてもアルト王子に従っただけだと言いますよ」
「それでいいさ……さあ、発進の準備をしてくれ」
ハマーンの弟子達はアルトの指示通りに動き、急遽旧式の飛行船の離陸準備を行う。アルトは緊張しながらも操縦席にて舵を取る。
「よし……良いぞ!!」
「どうなっても知りませんからね……発進準備完了!!」
「飛行船、離陸します!!」
アルトの指示通りにハマーンの弟子達は飛行船の動力源を作動させると、飛行船に取り付けられた風属性の魔石が反応して浮上する。その後、飛行船に搭載された動力源が動き出し、船の後部に取り付けられた噴射機から火属性の魔力が放出される。
これによって飛行船は遂に空を飛び、王都の上空へ移動を行う。この時に城下町の民衆は驚愕の表情を浮かべ、事前の告知も無しに飛行船を飛ぶ事は初めてだった。
(凄い揺れだ……師匠はこれに耐えて運転していたのか!?)
アルトは飛行船の舵を取りながら自分の身体に加わる揺れを感じ、新型の飛行船と比べて旧式の飛行船は操縦者の負荷が大きい事を改めて思い知る。しかし、アルトは決して手を離さずに亡きハマーンの事を思い浮かべながら運転に集中する。
(見ていてください、師匠!!)
こうしてアルトは飛行船を浮上させ、王都の近くの湖へと向かう。彼は無事に湖に飛行船を着水させる事に成功し、旧式の飛行船の運転方法を掴んだ――
――飛行船が帰還後、勝手に飛行船を動かした事でアルトは国王を始めに他の者たちも説教を受けた。しかし、当の本人は勝手に船を動かした事は謝罪したが、それでも必要な事だったとはっきりと告げる。
「心配かけた事は謝ります。ですが、これで僕も自信が付きました。飛行船を僕以外に運転できる人間はいません」
今までにない真剣な表情を浮かべてアルトは自分以外に飛行船を動かせる人間がいない事を語ると、他の者たちは彼の迫力に気圧されてそれ以上は何も言えなかった。アルトの行為は決して褒められる事ではないが、自信が付いた事は悪い事ではない。
アルトは旧式の飛行船でも問題なく動かせる事を証明し、和国の旧領地へ向かう部隊の厳選を行う。前回のグマグ火山の時は王都の戦力を割きすぎたせいで王城に侵入を許す事になってしまい、今回はあまりに過剰に戦力を避けないように注意する。
「国王陛下、今回の場合は無暗に人数を連れて行くのを避け、少数精鋭で向かうのが得策かと思います。無暗に人手を増やすよりも実力確かな者達を厳選し、挑むのが最適かと……」
「ふむ、それも一理あるのう。ならば厳選の方法はお主に任せるぞ」
「はっ!!」
ロランの提案で今回の遠征部隊は実力者だけを集い、そのために試験が行われた。集められたのは王国騎士だけではなく、冒険者ギルドからも銀級以上の冒険者達が集められ、ロランの指示の元で厳しい試験が彼等に課せられる。
「ここに集まった者達の中で部隊に参加できる人間は20名のみだ!!試験に落ちた者は即刻退場してもらう、それと冒険者の参加者には試験を合格した暁には高額の報酬を約束しよう!!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
今回集められた冒険者はロランの話を聞いて歓喜し、これまで作戦に参加できたのは黄金級冒険者だけだった。しかし、今回は銀級と白銀級の冒険者を集められたのは理由が二つある。
まずは黄金級冒険者以外の冒険者にも実力者も多く、彼等の中には将来的に黄金級冒険者に成れる逸材もいるかもしれないために試験に参加させた。そしてもう一つの理由は王国騎士に危機感を抱かせるためである。
これまでの作戦では各騎士団の団長や副団長以外の王国騎士達も無条件で参加していたが、最近の王国騎士は質が落ちているとロランは考えた。そこでロランは敢えて黄金級ではない冒険者を呼び集め、彼等と共に試験を受けさせる事で競争心を高めさせせる。
「うおりゃあっ!!王国騎士が何だってんだ!!」
「冒険者の根性を舐めるな!!」
「何を言うか!!我等王国騎士こそがこの国を守るのだ!!」
「冒険者如きに後れを取るか!!」
試験の際中は王国騎士と冒険者は自分達こそが上だと証明するために全力で尽くし、その光景を見てロランは試験を行わせたのは正解だと判断した。王国騎士も冒険者もお互いに絶対に負けないという気概で全力で試験に挑む。
「行くぞゴンザレス!!王国騎士なんかに負けるなよ!!」
「うおおおおっ!!」
冒険者の中にはマホの弟子のガロとゴンザレスも含まれ、この二人は参加した冒険者の中でも頭一つ抜けていた。そして見事にこの二人は合格を果たし、残念ながら他の冒険者は落ちて残りの合格者は王国騎士だけとなった。
「試験はここまでだ!!合格者20名は我々と共に明日から訓練を受けてもらう!!飛行船の点検が終了次第、我々は出発する!!何時でも出発できるように準備は整えておけ!!」
「「「おおっ!!」」」
厳しい試験を突破して選ばれた20名の実力者が加わり、これで部隊の人員は整った。今回の作戦は不用意に大人数では動かず、あくまでも「少数精鋭」を重視してロランは必要以上の人員を用意はしない。
飛行船に乗り込むのは船の運転と整備のためにアルトとハマーンの弟子達は必ず乗り、今回行われた試験の合格者20名、他には各騎士団の副団長と大将軍のロランは乗る事は確定していた。当然ながらに黄金級冒険者やナイもこれに含まれ、部隊は整った。
「アッシュよ、我々の留守の間は王都はお前に任せるぞ」
「うむ、任せろ。お前の代わりに王城に侵入を許した腑抜けた兵士達の指導を行おう」
「ふっ……後の事は任せるぞ」
王都の警備に関してはリーナの父親にして王国貴族の中では武闘派で名前が知られている「アッシュ」に託し、彼はロランの代わりに王城の兵士や試験に落ちた王国騎士達の指導を行う。二人の話を聞いた兵士と騎士達は顔色を青ざめるが、アンの侵入を許した彼等をロランは同情しない。
ここで問題があるとすればバッシュ王子とリノ王女だった。二人はアルトが出向くのであれば自分達も向かう事を進言する。大切な弟を一人だけ危地に送り込むことなど出来ず、自分達も同行したいことを伝えるがロランは頑なに拒否した。
「飛行船を動かせ!?そいつは無理ですぜ、前回の時に色々と無理をし過ぎたせいで一度点検しないといけやせんから……」
「例の白鼠どものせいで飛行船のあちこちで故障が発見したんですよ。ほら、見て下さい。ここが抉れてるでしょ?あの鼠共、所かまわず噛みついてるんですよ」
「壊れた箇所を修復するにしても時間が掛かりますし、最低でも整備に二週間はかかりますね」
ナイ達がこれまで使用していた飛行船スカイシャーク号に関しては、白鼠達が船の至る箇所に傷を与えていたらしく、整備するにも時間が掛かる事が発覚した。例えわずかな傷だとしても空を移動する際に飛行船には大きな負荷が掛かり、ほんのわずかな損傷が原因で飛行船が墜落する可能性もある。
一応は飛行船の素材に利用されている木材は王国で調達できる最高の木材なのだが、白鼠の牙は鼠型の魔獣の中でも一番の切れ味を誇り、正に「シロアリ」の如く飛行船のあちこちは抉られていた。
「飛行船が完全に直るまではどうしても一週間は掛かります。けど……もう一つの飛行船だったらすぐにでも出発できますぜ」
ハマーンの弟子達によればこれまでナイ達が使っていた新型の飛行船はすぐに飛ばせないが、旧式の飛行船「フライングシャーク号」に関しては整備も定期的に行われていたので飛ばす事ができるという。
旧式の飛行船は新型の飛行船と比べると性能は落ちるが、それでも地上を移動するアンよりも早くに和国の旧領地へ先に辿り着ける。運転方法も新型と同じのため、アルトも旧式の飛行船は動かせた。
問題があるとすれば旧式の飛行船は兵器は搭載されておらず、地上への着地はできない。しかし、運がいい事に旧和国の領地にも飛行船が着水できる湖は存在し、急遽旧式の飛行船を利用する事になった。
「アルト王子……いや、アルトさん。本当に親方の代わりに飛行船を運転するつもりですか?」
「僕以外に運転できる者はいないだろう……大丈夫さ、いざとなったら君達もいる」
「へへっ、頼りにしてください」
飛行船にはこれまで通りにハマーンの弟子達も乗り合わせ、飛行船に不備が起きた場合は彼等に何とかしてもらうしかない。ハマーンは亡くなったが、彼の弟子達がハマーンの代わりにアルトを支える。
アルトは旧式の飛行船に乗り込んで運転手順を確認し、新型の飛行船と全く同じである事を確認する。ハマーンは新型の飛行船を作り出す時はこの旧式の飛行船を参考にしており、これならば運転に支障はない。問題があるとすればアルトは新型の飛行船で運転した事はあるが、この旧式の飛行船を動かすのは初めてという事である。
「出発前に一応は運転しておきたい。すぐに動かす事はできるかい?」
「えっ!?今すぐにですか!?」
「ああ……僕は湖で飛行船を着水した事はない。今のうちに感覚を掴んでおきたいんだ」
新型の飛行船は地上に着地する事もできたが、旧式の飛行船ではその方法は真似できない。そのためにアルトは王都近くの湖に飛行船を向かわせ、着水の練習を行う必要があった。
飛行船が目的地に辿り着くまでに進行方向に存在する湖に何度か着水せねばならず、そのためにはアルトはぶっつけ本番で湖に着水するのは避けたい。だからこそ彼は和国の旧領地に向かう部隊が決まる前に、飛行船を動かす練習を行うつもりだった。
「だ、大丈夫ですか?勝手に船を動かして……」
「大丈夫ではないけど、僕が責任を取る。父上には怒られるかもしれないが……僕以外にこの飛行船を運転できる人間はいない。きっと許してくれるさ」
「ほ、本当でしょうね……まあ、俺達は怒られてもアルト王子に従っただけだと言いますよ」
「それでいいさ……さあ、発進の準備をしてくれ」
ハマーンの弟子達はアルトの指示通りに動き、急遽旧式の飛行船の離陸準備を行う。アルトは緊張しながらも操縦席にて舵を取る。
「よし……良いぞ!!」
「どうなっても知りませんからね……発進準備完了!!」
「飛行船、離陸します!!」
アルトの指示通りにハマーンの弟子達は飛行船の動力源を作動させると、飛行船に取り付けられた風属性の魔石が反応して浮上する。その後、飛行船に搭載された動力源が動き出し、船の後部に取り付けられた噴射機から火属性の魔力が放出される。
これによって飛行船は遂に空を飛び、王都の上空へ移動を行う。この時に城下町の民衆は驚愕の表情を浮かべ、事前の告知も無しに飛行船を飛ぶ事は初めてだった。
(凄い揺れだ……師匠はこれに耐えて運転していたのか!?)
アルトは飛行船の舵を取りながら自分の身体に加わる揺れを感じ、新型の飛行船と比べて旧式の飛行船は操縦者の負荷が大きい事を改めて思い知る。しかし、アルトは決して手を離さずに亡きハマーンの事を思い浮かべながら運転に集中する。
(見ていてください、師匠!!)
こうしてアルトは飛行船を浮上させ、王都の近くの湖へと向かう。彼は無事に湖に飛行船を着水させる事に成功し、旧式の飛行船の運転方法を掴んだ――
――飛行船が帰還後、勝手に飛行船を動かした事でアルトは国王を始めに他の者たちも説教を受けた。しかし、当の本人は勝手に船を動かした事は謝罪したが、それでも必要な事だったとはっきりと告げる。
「心配かけた事は謝ります。ですが、これで僕も自信が付きました。飛行船を僕以外に運転できる人間はいません」
今までにない真剣な表情を浮かべてアルトは自分以外に飛行船を動かせる人間がいない事を語ると、他の者たちは彼の迫力に気圧されてそれ以上は何も言えなかった。アルトの行為は決して褒められる事ではないが、自信が付いた事は悪い事ではない。
アルトは旧式の飛行船でも問題なく動かせる事を証明し、和国の旧領地へ向かう部隊の厳選を行う。前回のグマグ火山の時は王都の戦力を割きすぎたせいで王城に侵入を許す事になってしまい、今回はあまりに過剰に戦力を避けないように注意する。
「国王陛下、今回の場合は無暗に人数を連れて行くのを避け、少数精鋭で向かうのが得策かと思います。無暗に人手を増やすよりも実力確かな者達を厳選し、挑むのが最適かと……」
「ふむ、それも一理あるのう。ならば厳選の方法はお主に任せるぞ」
「はっ!!」
ロランの提案で今回の遠征部隊は実力者だけを集い、そのために試験が行われた。集められたのは王国騎士だけではなく、冒険者ギルドからも銀級以上の冒険者達が集められ、ロランの指示の元で厳しい試験が彼等に課せられる。
「ここに集まった者達の中で部隊に参加できる人間は20名のみだ!!試験に落ちた者は即刻退場してもらう、それと冒険者の参加者には試験を合格した暁には高額の報酬を約束しよう!!」
「「「うおおおおおっ!!」」」
今回集められた冒険者はロランの話を聞いて歓喜し、これまで作戦に参加できたのは黄金級冒険者だけだった。しかし、今回は銀級と白銀級の冒険者を集められたのは理由が二つある。
まずは黄金級冒険者以外の冒険者にも実力者も多く、彼等の中には将来的に黄金級冒険者に成れる逸材もいるかもしれないために試験に参加させた。そしてもう一つの理由は王国騎士に危機感を抱かせるためである。
これまでの作戦では各騎士団の団長や副団長以外の王国騎士達も無条件で参加していたが、最近の王国騎士は質が落ちているとロランは考えた。そこでロランは敢えて黄金級ではない冒険者を呼び集め、彼等と共に試験を受けさせる事で競争心を高めさせせる。
「うおりゃあっ!!王国騎士が何だってんだ!!」
「冒険者の根性を舐めるな!!」
「何を言うか!!我等王国騎士こそがこの国を守るのだ!!」
「冒険者如きに後れを取るか!!」
試験の際中は王国騎士と冒険者は自分達こそが上だと証明するために全力で尽くし、その光景を見てロランは試験を行わせたのは正解だと判断した。王国騎士も冒険者もお互いに絶対に負けないという気概で全力で試験に挑む。
「行くぞゴンザレス!!王国騎士なんかに負けるなよ!!」
「うおおおおっ!!」
冒険者の中にはマホの弟子のガロとゴンザレスも含まれ、この二人は参加した冒険者の中でも頭一つ抜けていた。そして見事にこの二人は合格を果たし、残念ながら他の冒険者は落ちて残りの合格者は王国騎士だけとなった。
「試験はここまでだ!!合格者20名は我々と共に明日から訓練を受けてもらう!!飛行船の点検が終了次第、我々は出発する!!何時でも出発できるように準備は整えておけ!!」
「「「おおっ!!」」」
厳しい試験を突破して選ばれた20名の実力者が加わり、これで部隊の人員は整った。今回の作戦は不用意に大人数では動かず、あくまでも「少数精鋭」を重視してロランは必要以上の人員を用意はしない。
飛行船に乗り込むのは船の運転と整備のためにアルトとハマーンの弟子達は必ず乗り、今回行われた試験の合格者20名、他には各騎士団の副団長と大将軍のロランは乗る事は確定していた。当然ながらに黄金級冒険者やナイもこれに含まれ、部隊は整った。
「アッシュよ、我々の留守の間は王都はお前に任せるぞ」
「うむ、任せろ。お前の代わりに王城に侵入を許した腑抜けた兵士達の指導を行おう」
「ふっ……後の事は任せるぞ」
王都の警備に関してはリーナの父親にして王国貴族の中では武闘派で名前が知られている「アッシュ」に託し、彼はロランの代わりに王城の兵士や試験に落ちた王国騎士達の指導を行う。二人の話を聞いた兵士と騎士達は顔色を青ざめるが、アンの侵入を許した彼等をロランは同情しない。
ここで問題があるとすればバッシュ王子とリノ王女だった。二人はアルトが出向くのであれば自分達も向かう事を進言する。大切な弟を一人だけ危地に送り込むことなど出来ず、自分達も同行したいことを伝えるがロランは頑なに拒否した。
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