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王国の闇
第849話 復活の火竜
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――グガァアアアアッ!!
シャドウの手によって古代の火竜の経験石を吸収した火竜は、急速的な速度で肉体が成長を始める。しかし、急激な成長の影響で火竜は全身に激痛が走り、あまりの痛みに耐え切れずに暴れ狂う。
火竜は影の触手の拘束から逃れると、翼を広げて上空へと飛び立つ。既にグマグ火山に生息していた火竜《ちち》の半分程度の大きさは誇り、胸元を光り輝かせると火炎の塊を放つ。
「アガァアアアッ!!」
城下町に目掛けて火竜は次々と火炎の吐息を行い、放たれた火炎の塊は建物を吹き飛ばす。まだ父親と比べると威力は弱いが、それでも建物を崩壊させるには十分すぎるほどの破壊力を誇る。
「ひいいっ!?」
「か、火竜だ!!火竜が現れたぞ!?」
「嘘だろ!?おい、早く逃げろっ!!」
街道に出ていた兵士達は火竜の姿を目撃して悲鳴を上げ、我先にと逃げ出してしまう。騒ぎ立てる彼等に気付いた火竜は狙いを定めると、滑空して兵士の元へ向かう。
「グアアッ!!」
「うぎゃあっ!?」
「た、助けっ……ぎゃああっ!?」
「止めろ、近づくな……うわぁあああっ!?」
火竜は逃げ惑う兵士に喰らいつくと、次々と丸呑みする。火竜は基本的には滅多に他の生物を食さないが、傷を負った時やあるいは肉体を成長させるために他の生物を喰らう。
十数人の警備兵を喰らうと火竜の肉体は更に成長し、より強大な存在へと変貌する。しかし、そんな火竜に対して躊躇なく駆けつける存在が居た。
『ふははははっ!!こいつは大物だな、マリン!!』
『笑っている場合じゃない』
火竜の後方から駆けつけてきたのはマリンを肩に抱えたゴウカであり、二人は火竜に目掛けて一直線に近付いていた。ゴウカからすればまさか竜種とこんな場所で巡り合うとは思わず、心底嬉しそうな表情を浮かべる。
その一方でマリンの方は仮面越しに火竜の様子を伺い、彼女は何かを察したように杖を構える。すると火竜は近づいてくる二人に気付き、口元を開くと火炎の吐息を放つ。
「アガァッ!!」
『ぬおっ!?』
「っ……!!」
迫りくる火炎の塊に対してマリンは事前に杖を構えていたため、即座に火属性の砲撃魔法「ファイアボール」で迎撃を行う。火炎の塊と火球が衝突すると、空中で凄まじい爆発が起きた。
ゴウカは爆発に巻き込まれないようにマリンを地上に下ろすと、彼女を庇うように前に立つ。火竜の方は自分の攻撃を誘爆させた二人に対し、苛立ちの表情を浮かべながら口元から火炎を迸らせる。
「グガァッ……!!」
『ははっ!!こいつはいい、噂通りに凄まじい奴だ!!』
『喜んでいる場合じゃない。本当にこんな奴、何とかできるの?』
『うむ!!それは分からん!!だが、やるしかないだろう!!』
火竜を前にしたゴウカは憧れの存在を前にした子供のように目元を輝かせ、ドラゴンスレイヤーを構えた。それに対して火竜はゴウカのドラゴンスレイヤーを見つめると、何故だか不快な気分を覚える。
ゴウカのドラゴンスレイヤーは元々は火竜の素材を利用して作り出された代物であり、それが原因なのか火竜はゴウカを見た時から不快感を覚えた。しかし、ゴウカが膨大な聖属性の魔力の持ち主である事を悟り、自分の餌として喰らう事で火竜は更なる力を得ようとした。
「グガァアアアアッ!!」
『マリン、下がっていろ!!』
マリンはゴウカの言葉を聞いて即座に離れると、ゴウカは火竜と向き合い、ドラゴンスレイヤーを構えた。逃げもせずに堂々と正面に立つゴウカに対して火竜は容赦せず、再び口元から火炎の塊を放つ。
「アガァッ!!」
『ぬぅんっ!!』
迫りくる炎塊に対してゴウカは大剣を振り払い、その剣圧のみで炎塊を切り裂く。切り裂かれた炎塊は左右に分かれてゴウカの横を素通りして吹き飛ぶ。
仮にも黄金級冒険者のマリンが放った砲撃魔法と互角の威力を誇る炎塊を、ゴウカは恐るべきことに純粋な腕力から繰り出した剣圧で吹き飛ばす。その光景を見た火竜は少し驚いた様子だが、すぐに攻撃を切り替えて、今度は尻尾を振り払う。
「グガァアアッ!!」
『ふんっ!!』
近くの建物を崩壊させるほどの威力を誇る尻尾の攻撃に対して、ゴウカはドラゴンスレイヤーで受け止めるが、いくら怪力の彼でも抑えきれずに力負けして吹き飛ばされる。
『ぐはぁっ!?』
「っ……!?」
「ガアアッ!?」
ゴウカは吹き飛ばされたのを見てマリンは驚愕するが、同時に火竜もドラゴンスレイヤーが当たった箇所に血飛沫が舞い上がり、悲鳴を上げて尻尾を戻す。火竜の素材で構成されたドラゴンスレイヤーならば、本物の火竜の鱗を切り裂き、損傷を与えられる事が判明した。
『ぐぐぐっ……は、ははっ!!』
建物に吹き飛ばされたゴウカは街道に戻ると、自分が力負けしたという事実に笑い声をあげてしまう。大型の魔物が相手でもゴウカは力負けをした経験などなく、それにも関わらずに火竜の攻撃によって自分が呆気なく吹き飛んだことに彼は笑わずにはいられなかった。
シャドウの手によって古代の火竜の経験石を吸収した火竜は、急速的な速度で肉体が成長を始める。しかし、急激な成長の影響で火竜は全身に激痛が走り、あまりの痛みに耐え切れずに暴れ狂う。
火竜は影の触手の拘束から逃れると、翼を広げて上空へと飛び立つ。既にグマグ火山に生息していた火竜《ちち》の半分程度の大きさは誇り、胸元を光り輝かせると火炎の塊を放つ。
「アガァアアアッ!!」
城下町に目掛けて火竜は次々と火炎の吐息を行い、放たれた火炎の塊は建物を吹き飛ばす。まだ父親と比べると威力は弱いが、それでも建物を崩壊させるには十分すぎるほどの破壊力を誇る。
「ひいいっ!?」
「か、火竜だ!!火竜が現れたぞ!?」
「嘘だろ!?おい、早く逃げろっ!!」
街道に出ていた兵士達は火竜の姿を目撃して悲鳴を上げ、我先にと逃げ出してしまう。騒ぎ立てる彼等に気付いた火竜は狙いを定めると、滑空して兵士の元へ向かう。
「グアアッ!!」
「うぎゃあっ!?」
「た、助けっ……ぎゃああっ!?」
「止めろ、近づくな……うわぁあああっ!?」
火竜は逃げ惑う兵士に喰らいつくと、次々と丸呑みする。火竜は基本的には滅多に他の生物を食さないが、傷を負った時やあるいは肉体を成長させるために他の生物を喰らう。
十数人の警備兵を喰らうと火竜の肉体は更に成長し、より強大な存在へと変貌する。しかし、そんな火竜に対して躊躇なく駆けつける存在が居た。
『ふははははっ!!こいつは大物だな、マリン!!』
『笑っている場合じゃない』
火竜の後方から駆けつけてきたのはマリンを肩に抱えたゴウカであり、二人は火竜に目掛けて一直線に近付いていた。ゴウカからすればまさか竜種とこんな場所で巡り合うとは思わず、心底嬉しそうな表情を浮かべる。
その一方でマリンの方は仮面越しに火竜の様子を伺い、彼女は何かを察したように杖を構える。すると火竜は近づいてくる二人に気付き、口元を開くと火炎の吐息を放つ。
「アガァッ!!」
『ぬおっ!?』
「っ……!!」
迫りくる火炎の塊に対してマリンは事前に杖を構えていたため、即座に火属性の砲撃魔法「ファイアボール」で迎撃を行う。火炎の塊と火球が衝突すると、空中で凄まじい爆発が起きた。
ゴウカは爆発に巻き込まれないようにマリンを地上に下ろすと、彼女を庇うように前に立つ。火竜の方は自分の攻撃を誘爆させた二人に対し、苛立ちの表情を浮かべながら口元から火炎を迸らせる。
「グガァッ……!!」
『ははっ!!こいつはいい、噂通りに凄まじい奴だ!!』
『喜んでいる場合じゃない。本当にこんな奴、何とかできるの?』
『うむ!!それは分からん!!だが、やるしかないだろう!!』
火竜を前にしたゴウカは憧れの存在を前にした子供のように目元を輝かせ、ドラゴンスレイヤーを構えた。それに対して火竜はゴウカのドラゴンスレイヤーを見つめると、何故だか不快な気分を覚える。
ゴウカのドラゴンスレイヤーは元々は火竜の素材を利用して作り出された代物であり、それが原因なのか火竜はゴウカを見た時から不快感を覚えた。しかし、ゴウカが膨大な聖属性の魔力の持ち主である事を悟り、自分の餌として喰らう事で火竜は更なる力を得ようとした。
「グガァアアアアッ!!」
『マリン、下がっていろ!!』
マリンはゴウカの言葉を聞いて即座に離れると、ゴウカは火竜と向き合い、ドラゴンスレイヤーを構えた。逃げもせずに堂々と正面に立つゴウカに対して火竜は容赦せず、再び口元から火炎の塊を放つ。
「アガァッ!!」
『ぬぅんっ!!』
迫りくる炎塊に対してゴウカは大剣を振り払い、その剣圧のみで炎塊を切り裂く。切り裂かれた炎塊は左右に分かれてゴウカの横を素通りして吹き飛ぶ。
仮にも黄金級冒険者のマリンが放った砲撃魔法と互角の威力を誇る炎塊を、ゴウカは恐るべきことに純粋な腕力から繰り出した剣圧で吹き飛ばす。その光景を見た火竜は少し驚いた様子だが、すぐに攻撃を切り替えて、今度は尻尾を振り払う。
「グガァアアッ!!」
『ふんっ!!』
近くの建物を崩壊させるほどの威力を誇る尻尾の攻撃に対して、ゴウカはドラゴンスレイヤーで受け止めるが、いくら怪力の彼でも抑えきれずに力負けして吹き飛ばされる。
『ぐはぁっ!?』
「っ……!?」
「ガアアッ!?」
ゴウカは吹き飛ばされたのを見てマリンは驚愕するが、同時に火竜もドラゴンスレイヤーが当たった箇所に血飛沫が舞い上がり、悲鳴を上げて尻尾を戻す。火竜の素材で構成されたドラゴンスレイヤーならば、本物の火竜の鱗を切り裂き、損傷を与えられる事が判明した。
『ぐぐぐっ……は、ははっ!!』
建物に吹き飛ばされたゴウカは街道に戻ると、自分が力負けしたという事実に笑い声をあげてしまう。大型の魔物が相手でもゴウカは力負けをした経験などなく、それにも関わらずに火竜の攻撃によって自分が呆気なく吹き飛んだことに彼は笑わずにはいられなかった。
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