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王国の闇
第825話 ホットミルク
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「ウォンッ!!」
「ん?ここは……ナイが手紙で書いていた宿屋か!?」
「おおっ、本当だ!!という事はナイもここに……いや、それはないか」
白猫亭を見つけたドルトン達は喜ぶが、王都がこんな事態に陥っている時にビャクだけが待機しているのを見て、残念ながらナイは不在だと悟る。しかし、ビャクがこの場所を示したという事は、白猫亭に避難するように促しているのだと二人は悟った。
「ふむ、扉はしまっておるが……すまん、誰かおらんか?」
『え、どちら様ですか?』
扉がしまっているのでドルトンが声をかけると、すぐに扉が開かれてモモが顔を出す。この時に彼女はドルトンとイーシャンの傍にいるビャクに気付き、彼女は驚いた声を上げる。
「わあっ!?ビャクちゃん、こんな時なのにお客さんを連れてきたの!?困ったな、もう部屋はいっぱいなんだけど……」
「ウォンッ?」
「あ、いや……儂等は客じゃなくて、ナイに会いに来たのだが……」
「えっ!?ナイ君?お爺さんはナイ君の事を知ってるの?」
「モモ、何を騒いで……え、誰?」
ナイの知り合いだと話すとモモは驚き、彼女の声を聞きつけてヒナが訪れると、ドルトンとイーシャンを見て不思議に思う――
――とりあえずは外は危険という事でドルトンとイーシャンは宿屋の中に案内されると、地下の酒場にてモモにホットミルクを出してもらう。一応は酒の類はあるが、こういう状況では酒に酔っ払う事もできず、二人は有難く受け取る。
二人ともここまで来るのに大分疲れていたため、温かいホットミルクを飲んだ事で安心すると、一気に疲労感が襲ってきた。二人とも決して若いとは言えない年齢であり、ドルトンは先ほど痛めた腕をモモに回復してもらう。
「はんどぱわぁっ!!」
「お、おおっ……これは凄いな、しかし今の言葉は呪文か?」
「えっと、気にしないでください……うちの子、ちょっと変わってるので」
「むう、ひどいよヒナちゃん!!この言葉を口にすると凄くやる気が起きるのに……」
「本当に変わった嬢ちゃんだな……だけど、助かったぜ。俺も薬を切らしていたからな……」
ドルトンの治療を終えると、モモとヒナは改めて向かい合う。酒場には今は誰もおらず、避難してきた人たちも上の部屋で休んでいる。もう食材も切れており、クロネの方も休ませている。
「何処かで見た事があると思ったら、お主等も前にイチノに来た者達か。すまんな、あの時は色々とあって忘れておった」
「そういえばそうだな、確かにイチノで見かけたな」
「まあ……仕方ないですよ。私達もあの時は色々とお手伝いをさせられてたのでゆっくり話す暇もなくて……」
「ドルトンさんとイーシャンさんの事はナイ君から聞いてたよ~お爺ちゃんみたいな人達だって」
「お爺ちゃんって……俺の方はまだそんな年齢じゃないぞ!?」
高齢のドルトンはともかく、イーシャンの方はまだ老人という年齢ではないが、ナイからすれば二人ともアルと同じように大切な人たちだった。家族と友人を失ったナイからすれば家族と呼べるのはビャクとこの二人だけである。
ホットミルクを味わいながらも四人は話し込み、やっと落ち着いたのでドルトンとイーシャンも本題に入る。二人はナイのためにここまで来たのだが、そのナイが何処にいるのかを問う。
「実は儂等はナイに会いに来たのだが……今はどうしているのか知らんのか?」
「ごめんなさい、私達も詳しい事は……」
「え?でも、ヒナちゃん……」
「モモ、ちょっとこっちに来なさい!!」
モモはヒナの言葉を聞いて不思議そうに首を傾げ、ナイがこれからどのように行動するのかは二人とも知っている。しかし、その事をモモが伝える前にヒナが彼女を連れて耳元に囁く。
(いい?何があってもナイ君の事を教えたら駄目よ?)
(え?ど、どうして?)
(この二人はナイ君の保護者みたいなものよ。そんな二人にナイ君が悪い人たちと戦っているなんて教えたら心配するでしょうが!!しかも相手がこの国の中でも一腕悪い悪党なんて知ったら卒倒するわよ!!)
(う、う~んっ……そうかもしれないけど)
ヒナはわざわざナイに会うためにここまできた二人組に対して余計な心配をかけさせないようにモモに注意を行い、二人を騙す事に対してモモはあまり乗り気ではないが、これもナイのためだと言われると反対できない。
(大丈夫よ、ナイ君は必ずここへ戻ってくるわ。だからこの二人には心配させないようにここで引き留めるわよ。いいわね、それがナイ君のためよ)
(ナイ君のため……う、うん、分かったよ)
話し込む二人に対してドルトンとイーシャンは訝し気な表情を浮かべ、この二人もひそひそと話し合う。
(おい、急にどうしたんだあの娘達……)
(分からん……話しを聞く限りではナイと親しい間柄のようじゃが)
(どうにも怪しいな……といっても悪人に見えないが)
ドルトンとイーシャンは二人の行動に怪しく思うが、ここまでの対応と二人の話を聞いて悪人には思えない。ナイと親しい間柄というのも嘘ではないと思うが、それだけに自分達に隠れて話し合う二人を怪しむ――
「ん?ここは……ナイが手紙で書いていた宿屋か!?」
「おおっ、本当だ!!という事はナイもここに……いや、それはないか」
白猫亭を見つけたドルトン達は喜ぶが、王都がこんな事態に陥っている時にビャクだけが待機しているのを見て、残念ながらナイは不在だと悟る。しかし、ビャクがこの場所を示したという事は、白猫亭に避難するように促しているのだと二人は悟った。
「ふむ、扉はしまっておるが……すまん、誰かおらんか?」
『え、どちら様ですか?』
扉がしまっているのでドルトンが声をかけると、すぐに扉が開かれてモモが顔を出す。この時に彼女はドルトンとイーシャンの傍にいるビャクに気付き、彼女は驚いた声を上げる。
「わあっ!?ビャクちゃん、こんな時なのにお客さんを連れてきたの!?困ったな、もう部屋はいっぱいなんだけど……」
「ウォンッ?」
「あ、いや……儂等は客じゃなくて、ナイに会いに来たのだが……」
「えっ!?ナイ君?お爺さんはナイ君の事を知ってるの?」
「モモ、何を騒いで……え、誰?」
ナイの知り合いだと話すとモモは驚き、彼女の声を聞きつけてヒナが訪れると、ドルトンとイーシャンを見て不思議に思う――
――とりあえずは外は危険という事でドルトンとイーシャンは宿屋の中に案内されると、地下の酒場にてモモにホットミルクを出してもらう。一応は酒の類はあるが、こういう状況では酒に酔っ払う事もできず、二人は有難く受け取る。
二人ともここまで来るのに大分疲れていたため、温かいホットミルクを飲んだ事で安心すると、一気に疲労感が襲ってきた。二人とも決して若いとは言えない年齢であり、ドルトンは先ほど痛めた腕をモモに回復してもらう。
「はんどぱわぁっ!!」
「お、おおっ……これは凄いな、しかし今の言葉は呪文か?」
「えっと、気にしないでください……うちの子、ちょっと変わってるので」
「むう、ひどいよヒナちゃん!!この言葉を口にすると凄くやる気が起きるのに……」
「本当に変わった嬢ちゃんだな……だけど、助かったぜ。俺も薬を切らしていたからな……」
ドルトンの治療を終えると、モモとヒナは改めて向かい合う。酒場には今は誰もおらず、避難してきた人たちも上の部屋で休んでいる。もう食材も切れており、クロネの方も休ませている。
「何処かで見た事があると思ったら、お主等も前にイチノに来た者達か。すまんな、あの時は色々とあって忘れておった」
「そういえばそうだな、確かにイチノで見かけたな」
「まあ……仕方ないですよ。私達もあの時は色々とお手伝いをさせられてたのでゆっくり話す暇もなくて……」
「ドルトンさんとイーシャンさんの事はナイ君から聞いてたよ~お爺ちゃんみたいな人達だって」
「お爺ちゃんって……俺の方はまだそんな年齢じゃないぞ!?」
高齢のドルトンはともかく、イーシャンの方はまだ老人という年齢ではないが、ナイからすれば二人ともアルと同じように大切な人たちだった。家族と友人を失ったナイからすれば家族と呼べるのはビャクとこの二人だけである。
ホットミルクを味わいながらも四人は話し込み、やっと落ち着いたのでドルトンとイーシャンも本題に入る。二人はナイのためにここまで来たのだが、そのナイが何処にいるのかを問う。
「実は儂等はナイに会いに来たのだが……今はどうしているのか知らんのか?」
「ごめんなさい、私達も詳しい事は……」
「え?でも、ヒナちゃん……」
「モモ、ちょっとこっちに来なさい!!」
モモはヒナの言葉を聞いて不思議そうに首を傾げ、ナイがこれからどのように行動するのかは二人とも知っている。しかし、その事をモモが伝える前にヒナが彼女を連れて耳元に囁く。
(いい?何があってもナイ君の事を教えたら駄目よ?)
(え?ど、どうして?)
(この二人はナイ君の保護者みたいなものよ。そんな二人にナイ君が悪い人たちと戦っているなんて教えたら心配するでしょうが!!しかも相手がこの国の中でも一腕悪い悪党なんて知ったら卒倒するわよ!!)
(う、う~んっ……そうかもしれないけど)
ヒナはわざわざナイに会うためにここまできた二人組に対して余計な心配をかけさせないようにモモに注意を行い、二人を騙す事に対してモモはあまり乗り気ではないが、これもナイのためだと言われると反対できない。
(大丈夫よ、ナイ君は必ずここへ戻ってくるわ。だからこの二人には心配させないようにここで引き留めるわよ。いいわね、それがナイ君のためよ)
(ナイ君のため……う、うん、分かったよ)
話し込む二人に対してドルトンとイーシャンは訝し気な表情を浮かべ、この二人もひそひそと話し合う。
(おい、急にどうしたんだあの娘達……)
(分からん……話しを聞く限りではナイと親しい間柄のようじゃが)
(どうにも怪しいな……といっても悪人に見えないが)
ドルトンとイーシャンは二人の行動に怪しく思うが、ここまでの対応と二人の話を聞いて悪人には思えない。ナイと親しい間柄というのも嘘ではないと思うが、それだけに自分達に隠れて話し合う二人を怪しむ――
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