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王国の闇
第804話 シャドウの居所は……
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「ヒール」
「ぐふぅっ……あ、あんた……!?」
「シャドウの居場所を教えてください」
ナイは回復魔法を発動させてグシャの治療を行うと、彼女は悔し気な表情を浮かべるが、やがて観念したかのようにオロカから教わった情報を告げる。
「……シャドウの奴は地下にいるわ」
「地下?」
「オロカ様は下水道に白面の拠点があると言っていたわ。この地下には奴等の隠している施設が幾つもあるとか……」
「下水道……」
「あいつに会いに行くのなら覚悟する事ね……シャドウは闇に愛された男よ」
「闇?」
グシャの言葉にナイはどういう意味なのかと思ったが、彼女はこれ以上話すつもりないのか黙り込む。ナイはそれを見て仕方なく彼女の首元に手刀を叩き込み、一瞬で気絶させて地上まで連れて行く――
――シャドウの居場所をグシャから聞き出した後、ナイは警備兵に気絶した彼女を引き渡した後、情報を他の人間にも伝えるように頼む。しばらくすると王都の下水道で大規模の探索が開始された。クーノでも地下の下水道に白面の地下施設があった例もあり、この王都にも白面が拠点にしている施設があるらしい。
イリアやイシは白面を制御するための解毒薬を完成させており、彼等は捕縛した白面を捕まえて解毒薬を渡す代わりに彼等の拠点まで案内する様に伝える。しかし、白面によると王都に存在する施設は複数あり、そのどれにシャドウが隠れているのかは分からないらしい。
「これを見てください、現在判明した地下施設の場所は五つ存在します。東西南北に一つずつ、そして王都の中心地にもあります」
「なるほど……つまり、この5つの施設のどれかにシャドウが隠れているという事か?」
「そういう事になりますね。ですけど、敵も私達の事を待ち構えているはずです。油断はしないでください」
「分かっている。だが、五つの施設か……どのように分けるのかが問題だな」
「ちょうど王国騎士団の数と同じだね、各騎士団同士で別れるのはどうだい?」
「待て、それだと白狼騎士団の戦力は少なすぎるぞ」
「それなら俺達冒険者も一緒に行ってやるよ」
王都の地図上に表記された施設の位置を確認し、それぞれが話し合ってどのように攻めるべきか相談する。その結果、各騎士団が同時に施設を攻める事が決まった。
銀狼騎士団は北、金狼騎士団は東、聖女騎士団は西、白狼騎士団は南、そして最大勢力を誇る猛虎騎士団は中央の施設の捜索を行う事が決定した。この際に数が少ない白狼騎士団の方には黄金級冒険者も同行し、ガオウとリーナとハマーンが名乗り上げた。
「白狼騎士団には俺達が付いて行ってやるよ」
「よろしくね、皆!!」
「は、はい!!頼りにしています!!」
「黄金級冒険者が一緒なら心強い」
「ナイ、あんたも一緒に行くのかい?」
「それは……」
「いや、その少年は我々と一緒に来てもらう」
「ロラン大将軍!?」
ナイは白狼騎士団に同行しようとした時、意外な事にロランが自分の部隊にナイを連れて行く事を提案した。彼の発言には誰もが驚き、各騎士団の中で最も勢力が多いはずの猛虎騎士団にナイを加えるのは戦力過多に思えるが、ロランは本気だった。
「異論はあるか?」
「い、いえ……大将軍が言うのならば私達は別に」
「しかし、どうしてナイさんをロラン大将軍の部隊に?」
「ナイは他の騎士団とは交流があります。常日頃から行動を共にしていた騎士の方が連携が取れやすいと思いますが……」
「分かっている、だがこれはあくまでも勘だが……この中央に奴はいる」
「シャドウ、ですか?」
「ああ、根拠という程ではないが……この中央には父の屋敷がある」
ロランによると彼の父親であるシンの屋敷が中央に存在し、位置的には富豪区の隅の方に存在するという。シンが白面を管理していた事を考えると彼の屋敷に地下施設に繋がる秘密の通路がある可能性も否定できず、そして大将軍としての勘が中央の施設が本命だと見抜く。
「恐らくだが、奴はこの中央の施設に待ち構えているはずだ。そしてシャドウの事に関しては俺も名前は知っているが、実際には見た事すらない。しかし、その少年は聞くところによると闇属性の使い手と何度か戦った事があるそうだな」
「まあ、一応は……」
「俺も闇属性の使い手と戦った経験は一度もない。だからこそ一緒に同行して警戒して貰いたい。無論、その腕に期待しているのも事実だ」
「は、はい。分かりました」
ナイとしてはロランに頼まれれば断る事は出来ず、なにしろ相手はこの国の大将軍なのだ。ナイはロランと同行する事が決まると、この時に不安を抱いたのは他の騎士団の人間だった。
(ロラン大将軍が味方になってくれたのは心強いですけど……)
(何処まで信用できるかだな……)
(もしも猛虎騎士団がまた敵の勢力に寝返ったとしたら、状況は一変する)
(ど、どうすれば……)
ロランはこの国の大将軍ではあるが、同時にあのシンの実の息子であり、完全に信用しろというのは難しい話だった。昔から彼の事を知っているドリス達でさえもロランが本当に味方になってくれたのか不安があり、ナイの身を心配する。
「ぐふぅっ……あ、あんた……!?」
「シャドウの居場所を教えてください」
ナイは回復魔法を発動させてグシャの治療を行うと、彼女は悔し気な表情を浮かべるが、やがて観念したかのようにオロカから教わった情報を告げる。
「……シャドウの奴は地下にいるわ」
「地下?」
「オロカ様は下水道に白面の拠点があると言っていたわ。この地下には奴等の隠している施設が幾つもあるとか……」
「下水道……」
「あいつに会いに行くのなら覚悟する事ね……シャドウは闇に愛された男よ」
「闇?」
グシャの言葉にナイはどういう意味なのかと思ったが、彼女はこれ以上話すつもりないのか黙り込む。ナイはそれを見て仕方なく彼女の首元に手刀を叩き込み、一瞬で気絶させて地上まで連れて行く――
――シャドウの居場所をグシャから聞き出した後、ナイは警備兵に気絶した彼女を引き渡した後、情報を他の人間にも伝えるように頼む。しばらくすると王都の下水道で大規模の探索が開始された。クーノでも地下の下水道に白面の地下施設があった例もあり、この王都にも白面が拠点にしている施設があるらしい。
イリアやイシは白面を制御するための解毒薬を完成させており、彼等は捕縛した白面を捕まえて解毒薬を渡す代わりに彼等の拠点まで案内する様に伝える。しかし、白面によると王都に存在する施設は複数あり、そのどれにシャドウが隠れているのかは分からないらしい。
「これを見てください、現在判明した地下施設の場所は五つ存在します。東西南北に一つずつ、そして王都の中心地にもあります」
「なるほど……つまり、この5つの施設のどれかにシャドウが隠れているという事か?」
「そういう事になりますね。ですけど、敵も私達の事を待ち構えているはずです。油断はしないでください」
「分かっている。だが、五つの施設か……どのように分けるのかが問題だな」
「ちょうど王国騎士団の数と同じだね、各騎士団同士で別れるのはどうだい?」
「待て、それだと白狼騎士団の戦力は少なすぎるぞ」
「それなら俺達冒険者も一緒に行ってやるよ」
王都の地図上に表記された施設の位置を確認し、それぞれが話し合ってどのように攻めるべきか相談する。その結果、各騎士団が同時に施設を攻める事が決まった。
銀狼騎士団は北、金狼騎士団は東、聖女騎士団は西、白狼騎士団は南、そして最大勢力を誇る猛虎騎士団は中央の施設の捜索を行う事が決定した。この際に数が少ない白狼騎士団の方には黄金級冒険者も同行し、ガオウとリーナとハマーンが名乗り上げた。
「白狼騎士団には俺達が付いて行ってやるよ」
「よろしくね、皆!!」
「は、はい!!頼りにしています!!」
「黄金級冒険者が一緒なら心強い」
「ナイ、あんたも一緒に行くのかい?」
「それは……」
「いや、その少年は我々と一緒に来てもらう」
「ロラン大将軍!?」
ナイは白狼騎士団に同行しようとした時、意外な事にロランが自分の部隊にナイを連れて行く事を提案した。彼の発言には誰もが驚き、各騎士団の中で最も勢力が多いはずの猛虎騎士団にナイを加えるのは戦力過多に思えるが、ロランは本気だった。
「異論はあるか?」
「い、いえ……大将軍が言うのならば私達は別に」
「しかし、どうしてナイさんをロラン大将軍の部隊に?」
「ナイは他の騎士団とは交流があります。常日頃から行動を共にしていた騎士の方が連携が取れやすいと思いますが……」
「分かっている、だがこれはあくまでも勘だが……この中央に奴はいる」
「シャドウ、ですか?」
「ああ、根拠という程ではないが……この中央には父の屋敷がある」
ロランによると彼の父親であるシンの屋敷が中央に存在し、位置的には富豪区の隅の方に存在するという。シンが白面を管理していた事を考えると彼の屋敷に地下施設に繋がる秘密の通路がある可能性も否定できず、そして大将軍としての勘が中央の施設が本命だと見抜く。
「恐らくだが、奴はこの中央の施設に待ち構えているはずだ。そしてシャドウの事に関しては俺も名前は知っているが、実際には見た事すらない。しかし、その少年は聞くところによると闇属性の使い手と何度か戦った事があるそうだな」
「まあ、一応は……」
「俺も闇属性の使い手と戦った経験は一度もない。だからこそ一緒に同行して警戒して貰いたい。無論、その腕に期待しているのも事実だ」
「は、はい。分かりました」
ナイとしてはロランに頼まれれば断る事は出来ず、なにしろ相手はこの国の大将軍なのだ。ナイはロランと同行する事が決まると、この時に不安を抱いたのは他の騎士団の人間だった。
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(何処まで信用できるかだな……)
(もしも猛虎騎士団がまた敵の勢力に寝返ったとしたら、状況は一変する)
(ど、どうすれば……)
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