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王国の闇
第800話 抹殺対象
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――モモから煌魔石に魔力を送り込んで貰った後、ナイは全ての装備を整えると白猫亭を出た。外にはビャクが待っているはずなのだが、何故か街道には傷ついた男達が倒れており、それを見たナイは驚く。
「なっ……だ、大丈夫ですか!?」
「ううっ……」
「ぐぅうっ……」
「がはぁっ……」
倒れている男達を見て最初は一般人が襲われたのかと思ったナイだが、男達の傍には何故か武器が落ちており、それを確認したナイは驚く。どうやらこの男達は只の一般人ではなく、一般人に化けた盗賊だとナイは悟る。
すぐにナイは周囲を振り返ると、そこには全身に矢を受けた状態で倒れているビャクの姿を発見し、それを見たナイは血の気が引いてビャクの元へ向かう。
「ビャク!!無事か!?」
「ウォンッ?」
「ひいいっ……た、助けてくれぇっ!?」
ナイが声をかけるとビャクは不思議そうに首を向け、彼は前脚で盗賊を取り押さえており、その顔を見たナイは王都に来たばかりの頃に自分達を罠に嵌めようとした男だと思い出す。
「お前はあの時の……ビャク、こいつを捕まえたのか?」
「ウォンッ!!」
「ぐへぇっ!?」
ビャクは力を込めると男は悲鳴を上げ、苦痛の表情を浮かべる。そんな男の態度にナイは苦笑いするが、ビャクが無事だった事に安堵する。
全身に矢を受けているように見えたが、どうやら毛皮に阻まれて矢は肉体まで届かなかったらしく、彼が身体を震わせると矢は簡単に落ちてしまう。その様子を確認してナイは安堵するが、改めて盗賊に顔を向けて睨みつける。
「お前等、また性懲りもなくうちのビャクを狙ったのか?」
「ゆ、許してくれぇっ……」
「グルルルッ……!!」
大切な家族を狙われたと知ってナイは盗賊に対して一切の同情心は抱かず、それでもビャクに人殺しをさせる事は忍びないと思い、彼に離す様に促す。
「ビャク、そいつを離して」
「ウォンッ……」
「はあ、はあっ……た、助かった……うぐぅっ!?」
「助かってないよ」
ナイは盗賊の男の首根っこを掴むと、片腕だけで持ち上げる。盗賊は自分を軽々と持ち上げたナイに驚愕し、以前に遭遇した時よりもナイがずっと大きく見えた。
(な、何だこのガキ……あれからそんなに経っていないのに、こんなに大きく……!?)
自分を片腕だけで持ち上げ、異様な威圧感を発するナイに対して盗賊は震え上がり、そんな彼に対してナイは率直に質問を行う。
「どうしてこんな時にうちの子を狙ってきた?誰かに指示されたのか?」
「がはっ……そ、そうだ!!シャドウの奴がお前等を仕留めれば……一生遊べるだけの金を渡すと言ってきたんだよ……!!」
「シャドウ!?」
盗賊からシャドウという名前が出てきた事にナイは驚き、すぐに彼は盗賊を手放すと、盗賊の男から話を聞く――
――先ほど、王都に存在する闇ギルドに所属する人間全員に対して通達が届く。その内容というのがシャドウからの伝言であり、彼が指定した人物を殺害すれば高額の報酬を渡すという内容だった。
これまでにシャドウは滅多に他の人間の暗殺者を雇う事はなかったが、これまでに彼は自分から持ち込んだ取引を一度も破った事はなく、しかも気前がいい事に連絡を送った全員に金貨一枚送り込んできた。
前金代わりの金貨を受け取った闇ギルドの盗賊や暗殺者は大金に目が眩み、シャドウの依頼をあっさりと引き受ける。現在の状況では彼等は王都から逃げ出す事もできず、どうせ捕まるのかもしれないのならばシャドウに協力し、彼に恩を売るのが得策だと考える。
シャドウに恩を売れば彼が助けてくれるかもしれず、闇ギルドの代表であったオロカを失った今となっては彼等が頼れるのはシャドウだけであった。そのため、王都内に存在する闇ギルドの盗賊や暗殺者達はシャドウが指定した人間の抹殺のために向かう。
「あ、あんたも、その狼も抹殺対象なんだよ……あんたら一人を殺すだけでも金貨100枚も支払われる事になっている。だ、だからここへ来たんだ……あんた等がこの宿に世話になっている事は事前につきとめてからな」
「抹殺対象……他に誰が対象になっている!?」
「ひいっ!?こ、これを見れば分かるよ……」
ナイの気迫に男は悲鳴を上げ、震えた腕で羊皮紙を差し出す。ナイは羊皮紙を奪い取ると、そこに記されている名前の中にはナイの知り合いほぼ全員が書き込まれており、最悪な事に「モモ」や「ヒナ」までも記されていた。
闇ギルドを利用して自分の知り合い全員の命を狙うシャドウのやり方にナイは怒りを抱き、同時にこのまま離れればモモとヒナの身が危ない。そこでナイはビャクに振り返り、彼に頼み込む。
「ビャク……白猫亭の事は任せたぞ」
「ウォンッ!?」
「ビャクにしか頼めないんだ、だから……皆を守ってね」
「クゥ~ンッ……」
ナイの言葉にビャクは彼の顔に擦り寄り、仕方なく白猫亭の警護を引き受ける。この場所にビャクが居る限りはヒナとモモは大丈夫だと判断し、その一方でナイは盗賊の男を締め上げてシャドウの居場所を尋ねる。
「なっ……だ、大丈夫ですか!?」
「ううっ……」
「ぐぅうっ……」
「がはぁっ……」
倒れている男達を見て最初は一般人が襲われたのかと思ったナイだが、男達の傍には何故か武器が落ちており、それを確認したナイは驚く。どうやらこの男達は只の一般人ではなく、一般人に化けた盗賊だとナイは悟る。
すぐにナイは周囲を振り返ると、そこには全身に矢を受けた状態で倒れているビャクの姿を発見し、それを見たナイは血の気が引いてビャクの元へ向かう。
「ビャク!!無事か!?」
「ウォンッ?」
「ひいいっ……た、助けてくれぇっ!?」
ナイが声をかけるとビャクは不思議そうに首を向け、彼は前脚で盗賊を取り押さえており、その顔を見たナイは王都に来たばかりの頃に自分達を罠に嵌めようとした男だと思い出す。
「お前はあの時の……ビャク、こいつを捕まえたのか?」
「ウォンッ!!」
「ぐへぇっ!?」
ビャクは力を込めると男は悲鳴を上げ、苦痛の表情を浮かべる。そんな男の態度にナイは苦笑いするが、ビャクが無事だった事に安堵する。
全身に矢を受けているように見えたが、どうやら毛皮に阻まれて矢は肉体まで届かなかったらしく、彼が身体を震わせると矢は簡単に落ちてしまう。その様子を確認してナイは安堵するが、改めて盗賊に顔を向けて睨みつける。
「お前等、また性懲りもなくうちのビャクを狙ったのか?」
「ゆ、許してくれぇっ……」
「グルルルッ……!!」
大切な家族を狙われたと知ってナイは盗賊に対して一切の同情心は抱かず、それでもビャクに人殺しをさせる事は忍びないと思い、彼に離す様に促す。
「ビャク、そいつを離して」
「ウォンッ……」
「はあ、はあっ……た、助かった……うぐぅっ!?」
「助かってないよ」
ナイは盗賊の男の首根っこを掴むと、片腕だけで持ち上げる。盗賊は自分を軽々と持ち上げたナイに驚愕し、以前に遭遇した時よりもナイがずっと大きく見えた。
(な、何だこのガキ……あれからそんなに経っていないのに、こんなに大きく……!?)
自分を片腕だけで持ち上げ、異様な威圧感を発するナイに対して盗賊は震え上がり、そんな彼に対してナイは率直に質問を行う。
「どうしてこんな時にうちの子を狙ってきた?誰かに指示されたのか?」
「がはっ……そ、そうだ!!シャドウの奴がお前等を仕留めれば……一生遊べるだけの金を渡すと言ってきたんだよ……!!」
「シャドウ!?」
盗賊からシャドウという名前が出てきた事にナイは驚き、すぐに彼は盗賊を手放すと、盗賊の男から話を聞く――
――先ほど、王都に存在する闇ギルドに所属する人間全員に対して通達が届く。その内容というのがシャドウからの伝言であり、彼が指定した人物を殺害すれば高額の報酬を渡すという内容だった。
これまでにシャドウは滅多に他の人間の暗殺者を雇う事はなかったが、これまでに彼は自分から持ち込んだ取引を一度も破った事はなく、しかも気前がいい事に連絡を送った全員に金貨一枚送り込んできた。
前金代わりの金貨を受け取った闇ギルドの盗賊や暗殺者は大金に目が眩み、シャドウの依頼をあっさりと引き受ける。現在の状況では彼等は王都から逃げ出す事もできず、どうせ捕まるのかもしれないのならばシャドウに協力し、彼に恩を売るのが得策だと考える。
シャドウに恩を売れば彼が助けてくれるかもしれず、闇ギルドの代表であったオロカを失った今となっては彼等が頼れるのはシャドウだけであった。そのため、王都内に存在する闇ギルドの盗賊や暗殺者達はシャドウが指定した人間の抹殺のために向かう。
「あ、あんたも、その狼も抹殺対象なんだよ……あんたら一人を殺すだけでも金貨100枚も支払われる事になっている。だ、だからここへ来たんだ……あんた等がこの宿に世話になっている事は事前につきとめてからな」
「抹殺対象……他に誰が対象になっている!?」
「ひいっ!?こ、これを見れば分かるよ……」
ナイの気迫に男は悲鳴を上げ、震えた腕で羊皮紙を差し出す。ナイは羊皮紙を奪い取ると、そこに記されている名前の中にはナイの知り合いほぼ全員が書き込まれており、最悪な事に「モモ」や「ヒナ」までも記されていた。
闇ギルドを利用して自分の知り合い全員の命を狙うシャドウのやり方にナイは怒りを抱き、同時にこのまま離れればモモとヒナの身が危ない。そこでナイはビャクに振り返り、彼に頼み込む。
「ビャク……白猫亭の事は任せたぞ」
「ウォンッ!?」
「ビャクにしか頼めないんだ、だから……皆を守ってね」
「クゥ~ンッ……」
ナイの言葉にビャクは彼の顔に擦り寄り、仕方なく白猫亭の警護を引き受ける。この場所にビャクが居る限りはヒナとモモは大丈夫だと判断し、その一方でナイは盗賊の男を締め上げてシャドウの居場所を尋ねる。
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