809 / 1,110
王国の闇
第793話 大将軍の実力
しおりを挟む
王国騎士の中でも最強と謳われ、聖女騎士団の初代団長ジャンヌと渡り合う実力を持つと呼ばれた男、それがロランである。ロランは目の前に現れたナイに対してその力を見計らうため、自分の魔剣「双紅刃」を取り出す。
ナイは初めて見る魔剣に戸惑い、柄の両端に刃が取り付けられた武器など今までに見た事がない。だが、すぐに彼は考えを切り替えて旋斧と岩砕剣を構える。
(この人に下手な小細工は通じない……やるしかない!!)
もう戦闘は避けられる雰囲気ではなく、ナイは旋斧と岩砕剣を構えると、ロランは笑みを消して真剣な表情を浮かべる。二人の迫力に周囲の人間は慌てて距離を取り、リノも吹き飛ばされたルナを担いで距離を取る。
「ルナさん、離れましょう!!」
「う、う~んっ……」
気絶したルナをリノは急いで運び込み、改めてナイはロランと向かい合うと、まずは最初に仕掛けたのは彼の方だった。
「やああっ!!」
「ふんっ!!」
『うおっ!?』
両手の大剣を同時に振り下ろしてきたナイに対し、ロランは正面から受け止めた。激しい金属音と軽い衝撃波が周囲に広がり、冒険者、警備兵、騎士達は驚愕の表情を浮かべた。
ナイは全力の一撃を叩き付けたにも関わらず、ロランはそれを正面から受け止めた事に驚く。これまでに人間の剣士の中でナイの攻撃を正面から受け止める者などテンやルナ以外にはいなかった。しかも今のナイは二人よりも遥かに力を増しており、それにも関わらずにロランは正面から受ける。
(この人、強い!?)
(何という「剛力」だ……!!)
剛力を発動させた自分攻撃を受け止めたロランにナイは驚くが、その一方でロランも冷や汗を流す。ナイの腕力は素の状態でも巨人族に匹敵、あるいはそれ以上の力を誇り、ロランは咄嗟にナイの腹に蹴りを放つ。
「離れろっ!!」
「ぐふっ!?」
ロランに蹴り込まれたナイは距離を取り、ミスリルの鎖帷子が壊れていたので生身の状態で受けてしまった。だが、耐え切れない程ではないのでナイは両手の大剣を今度は交互に繰り出す。
「やああっ!!」
「ふんっ!!」
旋斧と岩砕剣の連続攻撃に対してロランは手元で双紅刃を振り回し、彼の攻撃を弾き返す。その攻防を見ていた者達は呆気にとられ、あまりの二人の激しい動きに目で追いつくのがやっとだった。
大剣の攻撃を受ける度にロランは手元が痺れ、ナイの予想以上の腕力に驚くが、それでも彼は一歩も引かない。一方でナイの方はどんな攻撃を繰り出しても弾き返すロランに対して焦りを抱く。
(この人、強い……多分、今まで戦った誰よりも!!)
流石に大将軍というだけはあり、その実力はナイがこれまでに戦ってきたどんな武人よりも技量は高く、圧倒的な強さを誇る。下手をしたらゴウカにも匹敵する力を持っているかもしれず、少なくとも正攻法で勝てる相手ではない。
(こうなったら!!)
ナイは岩砕剣を地面に突き刺すと、その様子を見てロランは訝し気な表情を浮かべるが、ここでナイは掌を構えて魔法を発動させる。
「ヒール!!」
「むっ!?」
『うあっ!?』
陽光教会で世話になっていた頃に教わった回復魔法を発動させ、魔力を調整して掌から閃光の如く凄まじい光を放つ。その結果、ナイとロランの戦いを見守っていた者は視界を封じられた。
回復魔法を利用した目眩ましでロランの動きを封じ、岩砕剣を再び手にしたナイは彼に向けて両手の大剣を放つ。しかし、目元を閉じた状態でロランはナイの攻撃を受け流す。
「甘い!!」
「うわぁっ!?」
瞼を閉じた状態でロランはナイの繰り出した二つの大剣の攻撃を防ぐと、それに対してナイは驚愕し、確かにロランは目を閉じているのにまるでナイの動きを読み切ったように攻撃を防いだ。
ナイは目が見えているのかと思ったが、ロランは完全に目を閉じた状態で対応しており、その様子を見てナイはある予想を立てる。
「まさか……心眼!?」
「下らん真似をしおって……かああっ!!」
リンダやナイと同様にロランは特殊技能の「心眼」も習得していたらしく、双紅刃を持ち上げて振り回すと、回転する事に両端の刃に変化が起きた。
双紅刃には地属性の魔石が取り付けられており、回転する度に両端の刃の部分に地属性の魔力が宿り、やがて紅色の魔力に刃が包み込まれる。それを見たナイは嫌な予感を覚え、距離を取ろうとしたがロランは攻撃を繰り出す。
「がああっ!!」
「うわぁあああっ!?」
「ナイさん!?」
まるで猛虎の如く、凄まじい咆哮と気迫を放ちながらロランは回転させて勢いを増した双紅刃をナイに向けて振り下ろす。その攻撃に対してナイは咄嗟に「瞬間加速」を発動させて後ろに避けようとしたが、いつの間にか建物の壁を背にしていた。
どうやらロランはナイが逃げる事を予測して誘導していたらしく、背後を絶たれたナイはロランの一撃を受けるしかなく、両手の大剣で防ぐしかなかった。
ナイは初めて見る魔剣に戸惑い、柄の両端に刃が取り付けられた武器など今までに見た事がない。だが、すぐに彼は考えを切り替えて旋斧と岩砕剣を構える。
(この人に下手な小細工は通じない……やるしかない!!)
もう戦闘は避けられる雰囲気ではなく、ナイは旋斧と岩砕剣を構えると、ロランは笑みを消して真剣な表情を浮かべる。二人の迫力に周囲の人間は慌てて距離を取り、リノも吹き飛ばされたルナを担いで距離を取る。
「ルナさん、離れましょう!!」
「う、う~んっ……」
気絶したルナをリノは急いで運び込み、改めてナイはロランと向かい合うと、まずは最初に仕掛けたのは彼の方だった。
「やああっ!!」
「ふんっ!!」
『うおっ!?』
両手の大剣を同時に振り下ろしてきたナイに対し、ロランは正面から受け止めた。激しい金属音と軽い衝撃波が周囲に広がり、冒険者、警備兵、騎士達は驚愕の表情を浮かべた。
ナイは全力の一撃を叩き付けたにも関わらず、ロランはそれを正面から受け止めた事に驚く。これまでに人間の剣士の中でナイの攻撃を正面から受け止める者などテンやルナ以外にはいなかった。しかも今のナイは二人よりも遥かに力を増しており、それにも関わらずにロランは正面から受ける。
(この人、強い!?)
(何という「剛力」だ……!!)
剛力を発動させた自分攻撃を受け止めたロランにナイは驚くが、その一方でロランも冷や汗を流す。ナイの腕力は素の状態でも巨人族に匹敵、あるいはそれ以上の力を誇り、ロランは咄嗟にナイの腹に蹴りを放つ。
「離れろっ!!」
「ぐふっ!?」
ロランに蹴り込まれたナイは距離を取り、ミスリルの鎖帷子が壊れていたので生身の状態で受けてしまった。だが、耐え切れない程ではないのでナイは両手の大剣を今度は交互に繰り出す。
「やああっ!!」
「ふんっ!!」
旋斧と岩砕剣の連続攻撃に対してロランは手元で双紅刃を振り回し、彼の攻撃を弾き返す。その攻防を見ていた者達は呆気にとられ、あまりの二人の激しい動きに目で追いつくのがやっとだった。
大剣の攻撃を受ける度にロランは手元が痺れ、ナイの予想以上の腕力に驚くが、それでも彼は一歩も引かない。一方でナイの方はどんな攻撃を繰り出しても弾き返すロランに対して焦りを抱く。
(この人、強い……多分、今まで戦った誰よりも!!)
流石に大将軍というだけはあり、その実力はナイがこれまでに戦ってきたどんな武人よりも技量は高く、圧倒的な強さを誇る。下手をしたらゴウカにも匹敵する力を持っているかもしれず、少なくとも正攻法で勝てる相手ではない。
(こうなったら!!)
ナイは岩砕剣を地面に突き刺すと、その様子を見てロランは訝し気な表情を浮かべるが、ここでナイは掌を構えて魔法を発動させる。
「ヒール!!」
「むっ!?」
『うあっ!?』
陽光教会で世話になっていた頃に教わった回復魔法を発動させ、魔力を調整して掌から閃光の如く凄まじい光を放つ。その結果、ナイとロランの戦いを見守っていた者は視界を封じられた。
回復魔法を利用した目眩ましでロランの動きを封じ、岩砕剣を再び手にしたナイは彼に向けて両手の大剣を放つ。しかし、目元を閉じた状態でロランはナイの攻撃を受け流す。
「甘い!!」
「うわぁっ!?」
瞼を閉じた状態でロランはナイの繰り出した二つの大剣の攻撃を防ぐと、それに対してナイは驚愕し、確かにロランは目を閉じているのにまるでナイの動きを読み切ったように攻撃を防いだ。
ナイは目が見えているのかと思ったが、ロランは完全に目を閉じた状態で対応しており、その様子を見てナイはある予想を立てる。
「まさか……心眼!?」
「下らん真似をしおって……かああっ!!」
リンダやナイと同様にロランは特殊技能の「心眼」も習得していたらしく、双紅刃を持ち上げて振り回すと、回転する事に両端の刃に変化が起きた。
双紅刃には地属性の魔石が取り付けられており、回転する度に両端の刃の部分に地属性の魔力が宿り、やがて紅色の魔力に刃が包み込まれる。それを見たナイは嫌な予感を覚え、距離を取ろうとしたがロランは攻撃を繰り出す。
「がああっ!!」
「うわぁあああっ!?」
「ナイさん!?」
まるで猛虎の如く、凄まじい咆哮と気迫を放ちながらロランは回転させて勢いを増した双紅刃をナイに向けて振り下ろす。その攻撃に対してナイは咄嗟に「瞬間加速」を発動させて後ろに避けようとしたが、いつの間にか建物の壁を背にしていた。
どうやらロランはナイが逃げる事を予測して誘導していたらしく、背後を絶たれたナイはロランの一撃を受けるしかなく、両手の大剣で防ぐしかなかった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
追放された美少女を助けた底辺おっさんが、実は元”特級冒険者”だった件について。
いちまる
ファンタジー
【毎週木曜日更新!】
採取クエストしか受けない地味なおっさん冒険者、ダンテ。
ある日彼は、ひょんなことからA級冒険者のパーティーを追放された猫耳族の少女、セレナとリンの面倒を見る羽目になってしまう。
最初は乗り気でなかったダンテだが、ふたりの夢を聞き、彼女達の力になると決意した。
――そして、『特級冒険者』としての実力を隠すのをやめた。
おっさんの正体は戦闘と殺戮のプロ!
しかも猫耳少女達も実は才能の塊だった!?
モンスターと悪党を物理でぶちのめす、王道冒険譚が始まる――!
※本作はカクヨム、小説家になろうでも掲載しています。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる